ベイビーステップ ハルとナツ   作:ニャン吉

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第10話

side春樹

「タクマ。そんな言い方しなくてもいいと思うぞ。」

「そうだよタクマ。言い方がキツすぎ。」

と俺となっちゃんはタクマを攻めるも

「アイツの眼が気に食わなかった。そんな事よりやるぞー。」

と誤魔化すようにタクマがまたサーブ練習を始める。

 

そして3日が経ち、俺がなっちゃんと午前中に2人で練習をしてから、午後の練習が始まるまでの間にデートへ行った。

いつものように公園の中を通っていると

「ハルちゃん。髪の毛に葉っぱがついてるよ。」

となっちゃんが言ったので取ってもらおうと腰を曲げると

俺の唇になっちゃんの唇が当たり

「嘘だよハルちゃん。」

と言ってきた所で俺とエーちゃんの視線があってしまった。

 

「なっちゃん。」

「どうしたのハルちゃん?」

「多分エーちゃんに見られたよ」

と伝えると

「・・・・・・ええぇぇえええええ」

と俺が口を掌で抑えたから声は大きくならなかったが叫んでいた。

 

とりあえずエーちゃんはここのコートから出てしまったボールを取りに来ているようだ。

 

コートに入りベンチに

影山・俺・なっちゃん

の順で座ってエーちゃんの壁打ちを見ていた。

「まさかエーちゃんが自主練をするとはな。」

と俺が言うと影山が

「以外だと思うか?」

と聞いてきた。

俺がそれに対して

別に

と応えようとするとなっちゃんが

「エーちゃんなら珍しくも何ともないよ。でも優等生だから休みの日も勉強してるのかと思ってた。」

「確かに。」

と俺となっちゃんが思っていると

「夜はやってるみたいよ。」

と答えていた。

「さすが優等生だな。」

「だよなー。

それより春樹と鷹崎さんはエーちゃんが体験に行ったクラブでテニスずっとやってるの?」

と影山が聞いてくる。

「そうだね。5歳からずっとハルちゃんとやってるよ。最初は家が近かったからハルちゃんのお母さんに送り迎えして貰ったり、私のお母さんにして貰ったりね。」

「小五位からは2人で自転車かバスだな。

影山もテニスやってみたくないか?」

と俺が影山に聞く

それに対して

「確かにエーちゃんもやってるし興味はある。」

と言っていたので[来てみろよ]と言おうと

するとこのタイミングでなっちゃんがエーちゃんのカバンの上に載っていたと1冊のノートを取り出した。

「なにこれ?」

「影山・・・コレってまさか」

「春樹。そのまさかだよ。

エーちゃんノートテニス版」

と聞いて俺となっちゃんはこのノートを開いて凝視した。

するとエーちゃんが取り返そうとやってくるので

「影山。読みたいから時間稼ぎを頼むよ。」

「鷹崎さんの為に時間稼いでやるよ」

と言ってエーちゃんを抑えに入った。

 

ノートを読むと書かれている内容はオレとなっちゃんが教えた内容だった。

「影山・・・ありがとう。それとエーちゃん。

このノートはキモイね。」

「それには私も賛成かな。」

「そもそもこれは基本で試合では動作が遅くなるから使えない技術ばかりだからな。でもエーちゃんはこのノートに書いてある事、全部やろうとしてるんだろ?」

「そうだよ。」

「確かエーちゃん曰く今回の体験の時に完璧なショットが打てたらしいんだよね。まぐれで。」

「だからその時のフォームの正確かつ詳細なデータを知りたいんだ。」

「でもだからって分度器まで持ってくるか?」

とエーちゃんは言って影山が笑うと

「俺もその練習はやってるぞ。イメージトレーニングの1種でプロもやる。」

「ハルちゃんの練習法を少し見せてあげたら。手伝うよ。」

となっちゃんが言ってくれたのでカバンからラケットとボール・・・3脚にビデオカメラを取り出して俺は準備をしている。

 

side鷹崎奈津

「ハルちゃんのこの練習法は手本になるよ。凄く細かいからハルちゃんも。でもエーちゃん見たいに馬鹿みたいに細かくはやらないよ。ちゃんと必要な部分だけやってるから効率が凄くいいんだよ。」

取り言ってるとハルちゃんが準備を終えたらしく

「なっちゃん。よろしく。」

「任せて。」

そう伝えるとハルちゃんがサーブから打ち始めて一通り全てのショットを打つ。

それをベンチに戻ってハルちゃんと2人でハルちゃんのフォームをって・・・

「ハルちゃん。もうスグ夕方の練習が始まるよ。」

「マジだやべ。とりあえずエーちゃん。壁打ちならSTCでも出来るからいつでも来いよ。俺となっちゃんは毎日コートで練習してるから。」

「またね。エーちゃん影山君。」

そう言って手を振るとハルちゃんが手を握ってクラブでまでほぼランニング状態で向かう事になったのだった。


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