side丸尾栄一郎
2人を見送りながら手を振ると影山肩を組んできて
「うわっなんだよ影山っ」
「お前、鷹崎さん、好きだろ。」
と言われて取り乱したりして影山に笑われた。
でも俺が頑張って鷹崎さんに告白しても無理だよ。
だって春樹くんには勝てないからね。
それに友達としては好きだけど恋人になりたいかと言われると違う気がするんだよね。
side春樹
翌日 日曜日
いつも通りなっちゃんを迎えに行ってSTCに向かうとエーちゃんが既に壁打ちを始めていた。
「早いなエーちゃん。」
「本当だね。たぶん、今日も完璧を求めてやってるんだよ。」
「テニスの完璧ってなんだよ?」
「テニスの女王様に出てくる黒石さんのバイブルテニスじゃないの?」
「バイブルテニス。ねぇ〜。
俺はテニス以外を習った事がないけどスポーツに完璧は存在しないと思うんだよね。」
「私もそう思うかな。でもエーちゃんにはエーちゃんのテニスかあるから好きな様にやらせてあげよう。私達にも私達なりのテニスがあるんだし。」
「まぁそうだな。それにエーちゃんなら難波江よりもいつか強敵になりそうだし。」
と俺が言うとなっちゃんがきょとんとした表情になって
「どうしてそう思うの?」
と聞いてきた。
「エーちゃんのテニスは今は未完成。というか多分今後どれだけ練習しても完成は無い。その証拠はあのノート。完成が無いから俺と難波江同様に全てのステータスを最大値に限りなく近くして弱点を無くそうとするはずだ。でも難波江とは何度も試合をしてわかったことはまだ精神面が弱い事。対してエーちゃんは今の所の精神面は俺やそうちゃんよりも強いと言っていいと思う。」
「でもハルちゃんとそうちゃんが揺らいだ所は見た事が無いよ?」
「それは未だに完全な敗北を知らないからだよ。俺もそうちゃんもプロを除いて今の所はお互いに敵はいないからな。タクマが頑張ればわからないけど、最近のタクマは精神的にやられてんだよ。」
「でもエーちゃんが完全な敗北を知ったらどうなると思ってるの?」
と真面目な顔でなっちゃんは聞いてきた。
「経験の1つ。エーちゃんならそう捉えるよ。」
「そっか。」
そして練習を終えてまたコートの横を通る時に
まだ壁打ちをしているであろう音が聞こえる。
「まさかまだエーちゃんは壁打ちをしているのか?」
「してたとしてもエーちゃんらしいよね。」
と話して横に来ると
エーちゃんはまだ壁打ちをしていた。
フォームも少しは安定してきていた。
俺はなっちゃんの手を取ってエーちゃんのいるコートに入りエーちゃんに声をかける。
「エーちゃん。」
と声を掛けると気付いてこっちを見て
「どうしたの春樹君?」
と聞いてきた。
多分これを聞いたら驚くんだろうな。
「俺と軽い試合をやらないか?」
と聞いてみると予想以上の反応が帰って来た。
「春樹くんとし・し・し・試合!無理だよ。俺とやっても春樹君にいい事は何も無いよー」
と慌てて答えてくる。
「俺の為の試合じゃない。エーちゃんの為の試合だ。」
と俺が答えるとなっちゃんが
「なるほど!エーちゃんに足りない経験を積んさせようとしてるわけだ!」
「そういう事。これでも日本でトップレベルだ。いい経験になると思うぜ。そのノートも内容が濃く出来るようにするからな。」
トップレベル俺がエーちゃんに伝えると。
「なら春樹君。よろしくお願いします。」
「おうよ。」
こうしてエーちゃんにとっての初めてのテニスの試合をする事になった。