踏み台転生?何言ってるのさ   作:みかん@

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第十五話

「嫌だ…死にたくない…」

 

男の口から出てきたのは命乞いだった。

許す気が無いので殺ることに。

一歩。男に近づくと、俺に目掛けて僅かな殺気を飛ばされているのに気づく。

気づかれないように、念話でキャメロットと話すことに。

 

『キャメロット、センサーに反応は?』

 

《複数の動体反応を確認しました。というかマスターは気づいてましたよね》

 

『殺気を感じたからな。そいつ、まだまだ未熟だな』

 

《その人ってもしかして…》

 

気づいてないと思わせる為、視線をすずか達に向けた。

男からその一瞬視線を外したら、男は逃げ出してしまった。

 

「死にたくない!いやだ!」

 

「あ!まてー」

 

「ジャック、追わなくてもいいよ」

 

「そうなの?おとうさんが言うならいいか」

 

そう、追わなくてもいい。

ジャックに左手に持っている本を見せた。

表紙には『ALICE IN WONDERLAND(不思議の国のアリス)』の文字が書かれている。

ジャックはその本を見て納得した表情を浮かべた。

 

「じゃあおとうさん、私たちは帰るね」

 

「ああ、ありがとうなジャック」

 

またね、と言いながらジャックは、足元から消えていき退却していった。

 

「後はすずか達だけか」

 

俺はすずかに近づき手を伸ばした。

気絶したふりをしているのは分かっているので、顔に触れて眼を開けさせようとした。

その瞬間、隠れていた気配が駆け出してきたのだ。

殺気を出しながら近付いて来たので、咄嗟に右手をその気配に向けた。

 

「っ!?」

 

「はぁ!」

 

「え?盾君?」

 

突き出した右手は、殺気を出していた人物に斬られた。

斬られた手はそのまま跳んでいき、残った腕からは血が()()()

 

「へぇ、やるじゃん」

 

「すずか!大丈夫か!?」

 

こちらの事を警戒しながら、すずかの安否を確認している。

その辺の訓練、というか何かしら教えられているのが分かる。

だけど警戒だけじゃあまだまだだね。

 

「殺るんだったら(ここ)をやるべきだよ」

 

残った右腕で首を叩く。

右手を斬って怯むと思っていたのか、斬った本人は驚愕の表情を浮かべていた。

 

「お前…正気なのか?」

 

「腕一本で騒いだりしねーよ」

 

それよりも左手にある本の方が我慢出来てないみたい。

落ち着きな。

 

「あ、あの盾君…大丈夫なの?」

 

さっきもそうだがさすがの騒ぎに、すずかも眼を開けた。

すずかの視線は右腕に向いている。

 

「ああこれ?大丈夫だよ」

 

「でも手が!?」

 

「…もしかして君が盾君かい?」

 

今更違和感に気づいたのか、彼は俺に名前を確認してきた。

てかなんで知ってる風なのさ?

 

「この人は、なのはちゃんのお兄さんなんだよ」

 

「兄?てことはこの人が恭也さんか?」

 

話は聞いている。

幼い頃からなのはと一緒にいたが、何故か一度も会ったことがない。

父親や母親、姉まで会って兄に会ったことが一度もない。

ことごとく噛み合わないかのように。

なのはと二人して首を傾げてた記憶がある。

 

「兄なら味方か。じゃあすずか、帰ろうか」

 

「そんなことよりも!」

 

「すまない!俺の勘違いで君の右手を!」

 

「ああこれ?」

 

そう言いながら袖から()()()()を出した。

 

「「え!?」」

 

「これ、この女の腕だよ。気づかなかった?」

 

そう、最初にジャックが殺した女性の右腕である。

すずかに触れようとした時に、恭也さんが襲って来たので足元に落ちている右腕を掴んで突き出したのだ。

 

そこまで動揺するとは思わなかったがドッキリ大成功という事で。

 

「単純に切ると言っても、こうも綺麗に切れるのは腕が良いと言うこと。でも非情にはなりきれなかったかな?」

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