はいすくーるDxD 平穏(笑)な日常   作:鶏唐

33 / 52
ifシリーズ~MUGENキャラで本編が進んでいたら~
英雄派の日常3

「はぁ、今日も皆を取りまとめられなかった・・・」

「曹操、疲れているようだな。紅茶でも淹れよう」

「あぁ、済まない」

「構わんよ。では失礼する」

パタンッ

「・・・あの白髪オールバック、誰だ?」


英霊エミヤは英雄派に入るのだろうか・・・




1年 1学期日常編
第32話


球技大会から暫く経ち、梅雨に入ったのか雨の日がよく続く。

今日も傘を差して登校してきた。

やれやれ、こんなに雨が降っていたんじゃ、外で遊べないじゃないか。

 

 

「では殿、失礼するでござる」

 

「おう。お、琢磨はよーっす」

 

「あぁ」

 

 

扉に近い半蔵と別れて途中で琢磨に挨拶をする。

しかし何やらパソコンを睨むようにして挨拶もおざなりだった。

ついにガ○ダムを作る気になったか?

・・・駄目だ、ディスプレイを見ても難しい数式ばかりでさっぱりだ。

他のクラスメイトにも挨拶をしながら席に着く。

 

 

「おはよう八代君」

 

「おーっす結城」

 

 

後ろの席の結城に挨拶をする。

グレモリーと姫島はまだ来ていないようだ。

鞄から筆記用具を出そうとしたところで結城が更に声をかけた。

 

 

「ねぇ八代君」

 

「ん?」

 

「昨日の夜、学校に来てたでしょ」

 

「・・・サァ、ナンノコトヤラ」

 

 

馬鹿な、何故結城がそれを知っているんだ。

俺がトラップを仕掛けようとすると何故か結城やグレモリー、姫島に気づかれてしまう。

そのためにわざわざ、夜中に学園中に仕掛けて回っていると言うのに、どこでバレたんだ?

 

 

「嘘、だって高藤君から貰ったコレがあるからすぐに分かるんだから」

 

「何だそりゃ」

 

 

結城が手にしていたのはスマホに似た何かだった。

あれ、何かどこかで見たことがあるような・・・

 

 

「八代君の居場所を特定するGPSだよ」

 

「げっ!」

 

 

そうだった、球技大会の時に琢磨が渡していたのをすっかり忘れていた。

通りで俺の仕掛けようとする場所に3人が都合よく現れるわけだ。

それじゃあ夜中に出かけたのは意味がねーよ・・・

 

 

「結城、お前も暇人だな。何で夜中に俺の居場所なんて見てるんだよ」

 

「わ、私だって見るつもりは無かったよ。八代君が勝手に出歩いたりするのが悪いんだもん」

 

 

あれ?これは俺が悪いのか?

確かに夜中にトラップを仕掛けはしたけどよ。

 

 

「うん、八代君が悪いの」

 

「ふふん。だが、さすがに夜中は出歩けまい!つまり結城が俺を止める手段は無いって事だ!」

 

「うーっ、フェ、フェルちゃんが止めてくれるよね!」

 

「何デス?」

 

 

幾ら俺が出歩いている事を知ってもそれを止められる結城ではない。

これでも結城は、しつけの厳しい家だから門限とかもある。

これで俺を止める奴が一人減ったと思っていると結城はデス様へと救援を求めた。

既に恒例となりつつあるクラスメイトから餌と言う名のお菓子を貰っていたデス様がこちらにやってくる。

 

 

「八代君が夜中に出歩いているのは悪い事だよね?」

 

「?別に悪いとは思わないデス」

 

「ほら見ろ、デス様は俺の味方だ」

 

「え・・・やっぱり悪いデス」

 

「どういうこったっ!」

 

 

それは俺の味方が嫌だって事か!

デス様の頬を両側から引っ張る。うわ、すげぇ柔らかいな。

 

 

「ひゃへふへふー!」

 

「ほら!フェルちゃんもこう言ってるんだし・・・あ、リアス!」

 

「おはよう二人とも。どうしたのアスナ?」

 

 

デス様を堪能していれば敵が増えていた。

やってきたグレモリーは結城から話を聞くと暫く考え込んだかと思うとこちらを見た。

ふっ、所詮はグレモリー。沸点の低いお前など相手にならねーぜ。

 

 

「コテツ、夜中に出歩くのは止めなさい」

 

 

やたらと凄んで俺を見るグレモリー。

その目はやけに赤く光っている。

あれ?こんな事、前にもあったような・・・・

 

 

「・・・しょうがないな。夜中に出歩くのは止めるとするか」

 

「え、本当に?」

 

「二人がそこまで言うなら止めるって」

 

「そうして頂戴。ただでさえ、最近はぐれ悪魔が増えて危ないんだから」

 

「はぐれ悪魔?」

 

「うぅん、何でも無いの。こっちの話」

 

 

はぐれ悪魔、なるほど。

名前からして経験値が高そうな悪魔だな。

何のゲームだ?今度貸してもらうか。

・・・あれ?何で夜中に出歩いては駄目なんだっけ?

 

 

「それよりもコテツ。古典の宿題はやってきたんでしょうね?」

 

「そうだよ八代君。昨日、先生に言われていたよね」

 

「宿題、だと?昨日に古典なんてあったか?」

 

「コテツは爆睡していたデス」

 

「何でそれを早く言わねーんだよ!」

 

 

古典は壬生月先生じゃねーか!

もし忘れたとバレちまったらバッサリ斬られるな。

 

 

「昨日寝ていて出席簿で叩きつけられたの忘れたの?」

 

「すまん、昨日一部記憶が無いんだが・・・もしかしてそれのせいか」

 

「アレは凄かったデス」

 

「出席簿で衝撃波って出るのね・・・」

 

 

どうやら俺が寝ていた間に壬生月先生が俺を叩き起こしたらしい。

が、何故か記憶が無い。

気づけば放課後だった。

 

 

「と、とにかく二人とも。宿題見せてくれ!」

 

 

でないと俺の身体が真っ二つになってしまう!

俺のお願いに結城とグレモリーの二人はため息を吐いてノートを出してくれた。

 

 

「サンキュ!お礼は出世払いで頼むぜ」

 

「駄目だよ。お礼はちゃんとしてくれないと」

 

「そうね。まぁお礼はアスナと考えておくからコテツは宿題を写しなさい」

 

 

ぐっ、さすがに勢いで誤魔化せなかったか。

とは言え背に腹はかえられない。

俺はお礼については考えない事にして必死に宿題を写していくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1限目の数学が終わった休憩時間。

・・・コテツさんの姿が見えませんわね。

タクマさんから頂いたコテツさんの居場所を特定するGPSを起動させると・・・

 

 

「化学室、ですか」

 

 

今日は化学は無いのに化学室にいるという事は。

また悪戯をしていますのね。

 

 

「朱乃、どうする?」

 

「今回は私が伺いますわ」

 

 

アスナさんに言って教室を出る。

全く、コテツさんも懲りるという事をしませんわね。

ふふふっ、ですがコテツさんの驚いたり悔しそうな顔を見るのも心地よいから構いませんが。

程なくして化学室の前へと来ました。

 

 

「あら?」

 

 

扉に手をかけたところで中から声が聞こえてくる。

コテツさん一人かと思いましたが他にもいらっしゃるようですわね。

先生に呼び出されたのかしら?

静かにして耳に意識を集中させる。

悪魔に転生したおかげで五感が高まり、扉を隔てていても中の声がはっきりと聞こえますわ。

さて、一体何を・・・

 

 

「ぐっ。先生、止めてくれ」

 

「ふふっ、貴方がいけないのですよ。ほら、これで丸裸です」

 

 

・・・・えっ?

聞こえてきたのはコテツさんの唸るような焦った声。

次いで先生の笑い声でした。

 

 

「だ、だが先生も隙だらけだぜ!」

 

「おや、珍しい。貴方から攻めてくるとは・・・」

 

 

こ、これはもしかして・・・そ、そういう事ですの?

た、確かにコテツさんも年頃の男性。

とは言え、これは予想しませんでしたわ。

まさか教師とそのような関係だったなんて・・・

私も悪魔ですのでそういう事には興味があります。えぇ、悪魔ですので。

 

 

「そ、そうですわ。これも後学のため」

 

 

これは覗きではありません。そう!人生の社会見学ですわ!

ドキドキとする気持ちを抑えて、そっと扉を開けて中を覗いてみます。

視界が扉から化学室の中へと移り、そこに広がっていたのは・・・・

 

 

「しかしこれで終わりです」

 

「ぎゃーっ!また負けたーっ!」

 

 

ズルッ

 

 

「おや?貴女は確か姫島さん。どうしました?」

 

「あん?何やってんだ姫島」

 

 

・・・私のドキドキを返してください。

教室に倒れるようにして入った私にお二人は首を傾げるばかり。

私は直ぐに立ち上がりお二人の元へと向かいます。

 

 

「何をしてらっしゃったのですか?」

 

「見ての通りチェスだ。くそーっ!これでタバサ先生に12連敗か」

 

「八代君。貴方はもう少し考えるという事をしなさい」

 

「そんな事言ってもルールを覚えたばかりだぜ。で、何で姫島は顔を赤くさせてんだ」

 

「な、何でもありませんわ」

 

 

穴があったら入りたい。

まさかそのような気持ちを実際に体験することになるとは思いませんでしたわ。

羞恥と落胆と安堵を同時に味わいながらもコテツさんから視線を逸らす。

・・・安堵?何故私はホッとしているのかしら?

 

 

「次の授業が始まりますよ」

 

「おっと、そうだな。行こうぜ姫島」

 

「え?えぇ、そうですわね」

 

 

何故こんな感情が湧いたのか考えようとしたのですが仕方有りませんわね。

また今度考えるとしましょう。

コテツさんと一緒に化学室を後にする。

 

 

「この短い時間にタバサ先生とチェスを指していたのですか?」

 

「あぁ、短い時間ならタバサ先生も集中しきれずにミスをすると思ってな」

 

「それはコテツさんも同じ条件ではありませんの?」

 

「・・・おー、その発想は無かったぜ」

 

「コテツさん、もう少し考えて行動しましょうね」

 

「ぬぐぐ、タバサ先生と同じ事を言いやがって」

 

 

うふふ、やっぱりコテツさんは色んな表情をしてくださるから楽しいですわ。

思わず私は手をコテツさんの頭に置いて撫でてしまった。

途端にコテツさんは私から距離を取り顔を赤くさせる。

その表情を見た途端、私の胸が疼きました。

 

 

「な、ななな、何しやがるっ!」

 

「何って、頭を撫でてみましたの。もしかしてコテツさん」

 

「な、何だよ」

 

「頭を撫でられるのが苦手ですの?」

 

「苦手って言うか、いい年して恥ずかしいだろ・・・って何だその笑みは!」

 

 

あらあら、思わず笑みが浮かんでしまいましたわ。

これはコテツさんの弱点を発見したようですわね。

私が再度コテツさんの傍に寄ろうとするとササッと距離を取る。

 

 

「・・・・・」

 

 

ずいっ

 

 

「っ!」

 

 

ささっ

 

 

「うふふ、コテツさん。そのような顔をされると溜まりませんわ」

 

「だーーっ!やってられっかーーっ!」

 

 

そう叫ぶと脱兎の如く逃げて行かれました。

コテツさんとお会いして3ヶ月、ようやくコテツさんから一本取った気がしますわね。

あの羞恥に赤くした顔、今なら以前に本で読んだ言葉も納得と言うものです。

 

 

「あの顔でご飯三杯はいけますわね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「殿、姫島嬢と喧嘩でもされたでござるか?」

 

「いや、とにかく姫島の視界に俺を入れるなよ半蔵」

 

「よく分からぬでござるが承知」

 

 

先ほどから拙者を壁代わりにして姫島嬢の視界に入れまいとしている殿。

ふむ、喧嘩ではないとすると一体どうされたのでござろうか?

姫島嬢は微笑んで殿を見ているようなので仲がよいのなら問題ないでござるな。

 

 

「それでは今日は男女合同で体育を行う」

 

 

空手先生の声に拙者は視線を前に向ける。

雨でグラウンドが使えないため拙者達は女生徒と共に授業となったでござる。

しかし特に準備もされてはおらぬが何をするのでござろうか?

 

 

「今日の授業は防御について教える」

 

 

そう言ってホワイトボードを使いながら説明していく空手先生。

防御、でござるか。

忍びの里では戦闘についても教わっていたでござるが回避を主体にしたもの。

故に防御については疎かにしがちでござる。

 

 

「既に知っているものもいるとは思うがキチンと身を守れば刀だろうが銃弾だろうが防げる」

 

「あー、そういえばそうだな」

 

 

拙者の背に隠れている殿が思い出すように呟く。

確かに中学時代でもマシェッタ嬢の鉈のような刀を素手で防ぐネコ嬢など普通に防いでいたでござるな。

なるほど、防御とはとても重要なのでござるな。

 

 

「防御は疎かにしてしまいがちだが防御しつつ戦うといった戦法も編み出されている」

 

「ふむ。カウンターで勝つという事か?」

 

「そうだ高藤、とある軍人はその闘い方で長い間闘っている」

 

 

何と、そのような軍人がいるとは。

 

 

「衝撃波で距離を取り、近づけばサマーソルトで迎撃と口にするのは簡単だが難しい戦法だ」

 

 

むむっ、飛び込むタイミングを誤れば撃墜されるという事でござるか。

しかし拙者達忍びは速度が命でござる、動けぬ状態と言うのは死んだも同然でござるよ。

 

 

「これは噂だがレッドサイクロンを悉く苦しめてきたらしい」

 

「何だって!?」

 

 

空手先生の言葉に殿が反応する。

れっどさいくろん、とは確か殿が好きなプロレスラーだったはずでござる。

他にも鳥の覆面を被ったプロレスラーが好きと申されておった。

 

 

「また、防御と言っても最近では様々な方法がある」

 

 

ふむ、空手先生は格闘王を名乗るだけあって詳しいでござるな。

直前に防御して被害を限りなく無くす、相手を押して距離を取るなど。

これは拙者も習得せねば!

 

 

「では各自ペアを組んで真面目に取り組むように。遊んでいる奴はこの格闘王KENJIが相手になるぞ!」

 

 

さすがにもう空手先生の相手をしたくはないでござる。

殿や琢磨、結城嬢は格闘の心得のある生徒達とペアを組むようでござる。

となれば拙者はどうするべきか・・・

 

 

「ソコの忍者、アタシの相手するヨロシ」

 

「ぬ?蔵土縁嬢でござるか。うむ、よいでござるよ」

 

 

確か蔵土縁嬢は中国からの留学生でござったな。

よく教室で飛び回っていて元気の良い印象があるでござる。

 

 

「ジャア早速行くアルヨ!」

 

「む!」

 

「フォワッチャー!」

 

「いきなりでござるか!?」

 

 

青い気を足に纏いこちらへと飛び蹴りをしてくる。

急な事に驚きながらも後ろへと飛び避ける。

蔵土縁嬢は拙者の頭上を飛び越えたのを確認しながら懐に手を入れる。

手裏剣やクナイは危ないでござるな・・・ならばっ!

 

 

ひゅんっ!

 

 

縄のついた分胴を彼女が着地した瞬間目掛けて投げつける。

当たると思われた分胴は彼女から発した緑色の膜によって防がれてしまう。

ぬぅ、あれも防御の一種でござろうか。

 

 

「激甘ヨ!暗器使いは慣れてるネ!」

 

「ならばこれで!」

 

 

再度懐から手にしたのは鎖鎌。

右手に鎌を持ち、左手に鎖を持つ。

しかし相手はニヤリと笑うと姿勢を低くして滑るようにこちらへと近づいてくる。

 

 

「たぁっ!」

 

「見える・・・!」

 

「何と!?」

 

 

投げた鎌を、するりと避けると背後に回りこまれてしまったでござる!

こちらは鎌を投げて隙だらけ・・・まずいでござる。

 

 

「千里神掌!」

 

「ぬぅっ!」

 

 

気を纏った拳が拙者の体に叩きつけられる。

振り向いて鎖を前に出して防ぐもその威力に吹き飛ばされる。

 

 

ズサァッ

 

 

「ソレも見た事アルネ」

 

「蔵土縁嬢は忍びと闘った経験があったでござるか」

 

「ウーン、暗器も鎖鎌も忍者も全部違う人アル」

 

 

一体どういう事でござろう?

まさか暗器使い、鎖鎌使い、忍びと言った連中と闘った経験があるとは思えぬ。

ぬぅ、こうなると拙者も迂闊な忍具が使えぬでござるよ。

この様子だと鉄扇も止めておいた方がいい気がしてきたでござる。

 

 

「ならば体術で勝負でござる」

 

「望むトコロアル!」

 

 

中国四千年の妙技、見せてもらうでござる!

・・・ぬ、そういえば何故このような勝負をしていたのでござろうか?

考えていても始まらぬでござる、修行の成果を出し切るのみでござる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、結城とグレモリーを連れて商店街にある喫茶店に来ていた。

と、言うのも朝に宿題を写させてもらった礼をする羽目になったからだ。

まぁ、おかげで壬生月先生に斬られる事も無かったし助かったんだが・・・

 

 

「じゃあ、ショートケーキとチーズケーキとモンブランとレモンティーで」

 

「私も同じのでいいわ」

 

「お、俺の小遣いが・・・」

 

 

タダでさえお袋に小遣いの減額をされているというのに、こいつらは鬼だろうか。

俺はウェイトレスにコーヒーだけを頼もうとしたが値段を見て水だけにする。

ちくしょう、何で喫茶店のコーヒーは無駄に高いんだ。

 

 

「これに懲りたら宿題を忘れずにやる事ねコテツ」

 

「そう言われてもな、寝ていたんだから覚えてねーよ」

 

「だから授業中に寝るのが駄目なんだってば」

 

「球技大会の時はあんなに活き活きとしていたのに・・・」

 

 

そりゃ面白くない勉強より面白いイベントの方が楽しめるってものだ。

どうやら目の前の優等生二人にはそれが分からないらしい。

折角の放課後だと言うのに二人から説教をされていたところへ注文したケーキが来て解放される。

説教はヨハン先生だけで十分だぜ。

 

 

「うーん、美味しい!」

 

「本当ね、驚いたわ」

 

 

本当に美味しそうに食べる結城にグレモリー。

俺は氷の入った水で喉を潤しながらそれを眺めていた。

それを見てか結城の奴がフォークに刺したケーキをこちらに向けて来た。

 

 

「八代君も一口食べる?」

 

「いらねーよ」

 

 

ナチュラルに何やってんだコイツは。

恋人でも中々やりそうに無い事を平然とやってのけるとは。

一連の行動を見て今度はグレモリーが同じような事をしてきやがった。

 

 

「ふふっ、アスナ。コテツは照れてるのよ。ほら、遠慮せずにあーんしなさい」

 

「何だ、そうだったんだ。八代君のお金で注文したんだから照れなくてもいいのに」

 

 

おい、待て。何だこの状況は。

周囲の客もこっちをガン見してんじゃねー!

結城は天然だからいいとして、グレモリーの奴は絶対からかっていやがる。

普段意識しないようにしているとは言え二人とも美少女だ。

そんな二人にこんな事をしてもらってる時点で世の男達からすればアウトだろう。

いやいや、この二人は気遣いと悪戯の心からやっているだけでそういった(・・・・・)感情が無いのは分かる。

おのれ、男心を弄ぶとは何て奴らだ。

 

 

「・・・じゃあ遠慮なく頂こうか」

 

 

俺は二人のケーキではなく、テーブルに置かれているフォークを手に取る。

そして結城の手が付けられていないモンブランへと突き刺すと食べた。

 

 

「え・・・?あーーーーっ!」

 

「モグモグ・・・んぐ、んじゃこっちも」

 

「ちょ、ちょっと私のショートケーキ!楽しみにしていたのに!」

 

 

ふははは!馬鹿め!俺をからかうからこうなるんだ。

しっかし甘い、しかもほとんど噛まずに飲み込んだから胃にもたれる。

水を流し込むようにして飲んで一息つく。

 

 

「・・・ふぅ。うん、美味いな」

 

「八代君のばかーっ!」

 

「なんてことしたのよコテツ!」

 

「一口いいって言ったのはお前らだろ」

 

「うぅ、私のモンブランが」

 

「ショートケーキ・・・」

 

 

俺の反論を聞くこともせずに空になった皿を見て落ち込む二人。

あれ?何かこれ俺が悪い流れになってねーか?

おかしいな、俺は悪く無いはずなのに。

 

 

「どうぞ、追加のご注文でございます」

 

 

そんな声と共に先ほどのウェイトレスがモンブランとショートケーキを持ってきた。

紫の髪をしていて前髪で目が隠れている。

 

 

「え?いや、頼んでな・・・」

 

「以上で全てお揃いでしょうかぁ?」

 

「いや、だから」

 

「お揃いでしょうかぁ?」

 

「・・・・はい」

 

 

馬鹿な、何だあの笑顔の重圧は。

俺が引き下がるしか無かっただと・・・

何か最後は雷を纏っているように見えたぞ。

 

 

「ほ、ほら悪かったな。これも奢るから許してくれ」

 

 

ケーキ一つで涙目になって唸る二人に差し出す。

すると笑顔になりケーキを頬張る。

・・・やっすいな二人とも。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。