この約半年の間に海外出張2回、国内出張5回と全く休まる日がありませんでした。
年末休みやゴールデンウィークとは何だったのか・・・
ようやく仕事の方が落ち着いてきましたので続きを書いてみました。
『第1回戦を始める前に今回の解説者はこちらだ』
『メンドクセェ』
『ちょっとソルさん、自己紹介ぐらいしようぜ』
『急に引っ張り出されたと思ったら何でこんな事しねぇとならねぇんだ』
『はい、というわけで流れの賞金稼ぎソル・バッドガイさんです。皆、失せ物や浮気調査はガンガン頼むようにな!』
『俺は探偵じゃねぇよ』
むぅ、ノリが悪いぜソルさん。
賞金稼ぎってアレだろ?
人を探して尾行してとっちめる、ほら合ってるじゃねーか。
それにせっかくの格闘大会なんだ、もっと盛り上がらなくちゃ駄目だろ。
『はい、じゃあ第1回戦を始めるぜ。選手入場!ついでに条件の再確認だ』
設置していたスモークが巻き上がり選手が入場してきた。
実況席を通過する時に何故か二人とも俺を見て笑みを浮かべながら礼を言ってきたが何だ?
あぁ、なるほど。どんだけ戦いに飢えているんだこの人達。
晶さんは世界を渡り歩くくらいだから分かるがグリフォン先輩の母親までその類だったとは・・・
第1回戦 結城晶 VS ミランダ謝華
結城晶:超必殺技のヒット、または必殺技のカウンターヒットで星一つ減少。
七つ減らした状態で必殺技を当てれば勝利
ミランダ謝華:スピード2倍、飛び道具のATK-50
『そういえばメリットだかデメリットになるカードがあったがどうやっているんだ?』
『実際のところ知らない。特に変な事をした覚えは無いし・・・あ』
『何だ、そのあ、ってのは』
『いや、琢磨に頼まれて料理をたくさん作ったくらいだな』
『料理だ?まさか料理でカードの内容を実現するってんじゃねぇだろうな』
『ははは、まさか。激励の意味をこめて選手にご馳走するって言ってたぜ』
料理を食べて攻撃の威力が上がったり下がったりしてたまるかよ。
まったく、ソルさんも変な事を言うなぁ。
しかしこれでさっきの選手二人の笑みと礼の理由が判明したな。
笑みを浮かべるってことは美味かったって事だよな。
伊達に毎日、お袋の飯は食べてないぜ。
『さぁ結城晶選手とミランダ
『両方知らねぇから分かるか』
『はい、何とも解説者らしからぬコメントありがとうございました』
誰だ、ソルさんを解説に選んだバカ野郎は。
『結城晶選手は自身の家で受け継がれる結城流八極拳という日本だか中国だかよくわからない発祥の武術の使い手です』
晶さんの実力をその目で見たことは無いが噂は色々と聞いている。
様々な格闘大会に文字通り殴り込みをかけているだの、秘密組織を潰しただのキリが無い。
『一方でミランダ謝華選手は謝華グループの総帥として知られていますがその実力は謎に包まれています』
『よくそんな情報知っているな』
『さっきの休憩時間に某検索サイトで調べました』
『・・・聞かなきゃよかったぜ』
さて、実況席はこれくらいでいいだろう。
俺は実況席の映る眼鏡と音を拾うためのイヤホンを外して目の前の光景を見る。
見事に職員室に潜入成功だ。琢磨もこういった物があるなら早く渡してほしかったぜ。
今頃実況席では俺に変装した半蔵の分身が実況を務めてくれているから問題無い。
何故か半蔵は変装すると「ござる」の口調が無くなるんだよな。
「ふっふっふ。格闘大会なんて教師の目を欺くためのフェイク!全てはこの時のため!」
今や校長も格闘大会に釘付けだからな。
この千載一遇のチャンス、ばっちりと決めてやるぜ。
「まずはカーテンだな」
以前に結城と買ったカーテンを付け替えていく。
所々に散りばめられたラメが目に痛い。
うん、これでヨハン先生も職員室で目立つこと間違いなしだな。
橘先生もこれからはカーテンにどんどん血を吐いていけば皆に迷惑はかからないだろう。
さて、残ったのはデフォルメされた麻宮アテナがプリントされたカーテンだが・・・
「これは校長室だな。うん?」
校長室に足を向けようとしたところでヨハン先生の机の上にあるプリントが目に入る。
1学期期末試験用紙、と書かれている。
・・・いや、まぁ、その何だ。俺はテスト期間中に格闘大会を開けば免除になっているから関係は無いんだが。
ちらっと見るくらいならいいよな?
「・・・うん、さっぱり分からん」
よく考えればテストを見ても答えが分からないからまるで意味がなかったな。
いや、待てよ?これを他の生徒達に秘密裏に売り捌くと言うのはどうだろうか。
・・・駄目だ、俺の知り合いで買ってくれそうなのが草薙ぐらいしか思い浮かばない。
他の奴らは成績悪くても人が良いから挙動不審になるか先生に告げ口、もしくは説教されてしまいそうだ。
「あら、やっぱりここにいたのね」
ビクッ
テスト用紙を机の上に戻したところで声をかけられ肩が震えた。
恐る恐ると目線を扉の方に向ければモリガン先生が何時の間にやら職員室の中にいた。
「何だ、モリガン先生か脅かさないでくれよ」
「ふふふ、随分と素敵な職員室になったわね。特にヨハン先生のは素敵よ」
さすが教師の中で俺の悪戯擁護派だけあって俺のお茶目な悪戯も容認してくれているようだ。
そんなに褒めても何も出ないぜ。
「それで、そのカーテンはどうするの?」
「校長室にかけるつもり」
「それは・・・面白そうだけど大丈夫?」
「何が?」
「頭が」
「ヒデェなおい」
「だって見つかった場合どうなるかなんて、考えるまでもないでしょう?」
「おいおい、そんなの見つからなければ大丈夫だって。ほら、こうしてアリバイもあるんだしさ」
「確かにあの変装はよくできているわね」
モリガン先生も面白い事には大抵目を瞑ってくれるから問題なしだ。
おっと、もうひとつあるのを忘れていたぜ。
「モリガン先生、これ取り付けるの手伝ってくれよ」
「・・・そんなもの何処で見つけたの」
「家の倉庫にあったぜ」
親父かお袋のものだとは思うんだがな・・・
何だっけ、ミラーボールって言うのか?
隠しながら学校に持ち込むのに苦労したぜ。
「なるほど。前回がピンクの照明だったから次はコレってわけね」
「そーゆーこと。何か派手に光るんだろ?見たことはないけど」
「・・・これがジェネレーションギャップって奴かしらね。面白そうだから手伝ってあげるわ」
「サンキュ、結構重いんだよなこれ」
まだ時間はたっぷりあるからな。後はどんな仕掛けをしておこうか。
『いやー、中々白熱した試合でしたねソルさん』
『そうだな。条件が違っていたら結果も違っていただろうよ』
ふむ、虎徹は上手くやっている頃か。
僕は試合会場の下で演出を担当しつつ時間を確認する。
虎徹に変装した半蔵とソルの会話を聞きながらも先ほどの試合を思い返した。
ミランダ・謝華の全方位のバリアはかなり強力と聞いていたが虎徹の料理により威力は半減。
しかし突進攻撃などスピードのある攻撃は多彩で結城晶はかなりの苦戦を強いられていた。
だが要所で的確にカウンターなどでダメージを与えて行き、七つの星を減らす。
その状態で結城晶お得意の崩撃雲身双虎掌が決まり勝利となった。
『では次の試合が整うまで5分間の休憩とするぜ。ソルさん、解説ありがとな』
『やれやれだぜ』
僕の準備は既に終了しているので後は生徒会メンバと次の解説者だけだな。
次の試合は例の転校生と誰かの保護者か・・・ん?
カイン・R・ハインライン?ふむ、ロックの叔父なのか。
僕のデータベースで検索した結果だが、ロックの周囲も随分と濃い人間関係だな。
「は、博士。耐衝撃フィールドの形成完了しましたー」
「ご苦労ティセ。いや、もう10%ほど出力を上げてくれ」
「え?でもこれ以上出力を上げるとエネルギーの消費が・・・」
「追加のジェネレータがあっただろう。一緒に増設するんだ」
「はいー、わ、分かりましたっ」
ロックの叔父ということはハワード家の者ということだ。
それに転校生の攻撃を考えるともう少し頑丈にしないと危険だろう。
最初のルガール社長とゲーニッツ牧師の闘いでもギリギリ保ったと言えるからな。
さすがに観客に危険が及ぶようではこちらの信頼関係に影響しかねない。
オロチさんがどういった手段を用いたのかは分からないが助かったことには変わりない。
「あ、高藤君。ここにいたんだ」
「結城さん?」
ティセを送り出し次の試合の準備に漏れが無いか確認していたところで名前を呼ばれて振り向く。
そこにはデス様を連れた結城さんの姿があった。
てっきり兄の結城晶の下へ向かっていると思ったが・・・
「ふむ。ついに協力してくれる気になったということか」
「え?何の事?」
「デス様を実験に使ってもいいと言うことだろう?」
「違うよ!」
「ついに堂々と実験って言ったデス!」
震えるデス様を抱きかかえてこちらから身を背ける結城さん。
おかしいな。僕としてはこれ以上無いくらいのラブコールだと言うのに。
一体いつになったらデス様は尊い犠牲になってくれるのだろうか。
「それでは一体何の用かな?」
「あ、うん。高藤君にもらったコレなんだけど」
「これは・・・」
結城さんから受け取ったそれは以前に渡した虎徹の居場所を特定する受信機だった。
電源を入れてみるが特に異常は無いようだが?
「八代君が実況席にいるのに校舎の中を示していて・・・壊れちゃったのかな?」
「・・・あぁ、そういうことか」
確かに半蔵の変装は完璧だ。よく虎徹をトレースしている。
しかしこの受信機は虎徹についている発信機から受信されているため欺くことはできないか。
さて、どうするか。別に結城さんなら正直に話したところで問題は無いだろう。
どうせこの後で彼女にも手伝ってもらうことがあるしな。
結城さんにも勝ちが上がった結城兄の応援をしたいと思うだろうが、どうせ校長が勝つに決まっている出来レースのようなものだ。
ここで嘘をついてバレて機嫌を損ねたとしても虎徹あたりに任せておけば僕に被害が来ることは無いが・・・
「あの、もしかして私何か変な事したかな?それで壊しちゃった?」
「タクマ、さっさと直すデス」
不安そうな結城さんとそれを見てやけに強気なデス様。
まぁ別に女性を困らせて喜ぶ趣味も無いし正直に話すとしようか。
後、デス様はイラッと来たので個人的に復讐を考えよう。
「いや、壊れてはいないさ。あそこにいるのは半蔵で本物は校舎の中にいるからな」
「え?え?どういうこと?服部君ならさっき見かけたんだけど」
「・・・あぁ、そうか。結城さんは見たことがなかったな。アレは半蔵の分身が変装した姿だ」
半蔵の本体は別の仕事があるからな。
今頃はあっちこっちに飛び回っているだろう。
「よ、よかった。壊しちゃったと思ったよ。あれ?何で八代君は校舎にいるの?」
僕は虎徹の悪戯の事は伏せて今後の予定を話した。
実際どういった悪戯をしているのかは僕も知らないからな。
「また変な事をするつもりデスカ」
「変な事?季節に見合ったことをするだけだ」
「うん。面白そうだし私も協力するよ。でもそういうのって資格とかいらないの?」
「ふっ。シミュレーションならば既に幾度も試している。何の問題もないな」
「う、うーん。いいのかな」
やれやれ、資格だの持っていなくても使えるのだから何の問題も無いだろうに。
これまでだって何度資格が必要な事をしてきたと思っているのやら。
「とにかく結城さんはバティン先輩とグレモリーさん、姫島さんに協力を取り付けておいてくれ」
「うん、分かった。それじゃあ早速行って来るね!」
「分かっているとは思うが、くれぐれも外部の者には漏らさないように」
「任せて」
さて、手伝いも増えた事だし僕も、試合に集中するとしようか。
試合が盛り上がれば盛り上がるほど虎徹も動きやすくなる事だしな。
「へぇ、これがハナビ?打ち上げる前はこうなっているのね」
アスナに呼ばれて朱乃と屋上に来てみれば変な筒が一杯置いてある。
テレビで夜空に咲くハナビは見たことあるけど、どうやって打ちあがるのかは知らないわね。
「うむ。今、拙者の分身達が総力を上げて運搬中でござるよ」
「ハンゾー、貴方また分身できる数が増えてない?」
「これも修行の成果でござるな!」
既に10人以上はいるのだけれど・・・そんな簡単に分身の数って増えるものなのかしら?
そう思いながら屋上の下を覗いてみる。
『いやぁ、先ほどの転校生は中々面白かったな。ライザーさん』
『何で攻撃を受けて回復してるんだよ・・・しかも攻撃を受ける度に気持ちよさそうにして回復していたぞ』
『人体の神秘って奴だな!』
『いや、それで片付けていいのか?』
『何か最後は満足そうに倒れたからいいんじゃねーの』
まさかアレがハンゾーの変身とはね。
魔力が無いから一般人のコテツとハンゾーは見分けが付き辛いとは言え、本当に分からないわね。
そういえば当の本人は何処にいるのかしら?
「やっぱり花火と言えば線香花火ですわね」
「あーそうだよね。庭でやったりするよね」
「拙者の里では手作りでござったな」
「ねぇ、ハンゾー。タクマは大会の運営でいないのは分かるけどコテツは何処にいるの?」
「殿でござるか?殿は現在、仕掛け中でござるよ」
仕掛けって・・・また碌でもない事をしているんじゃないでしょうね。
大体手伝ったほしいって言ってる本人はいないのはおかしいでしょ。
「では拙者と分身で打ち上げ花火を運ぶので、お三方にはこの配置図通りに打ち上げ花火を設置して欲しいでござる」
「うわ、多いね」
「5000発って基準がよく分からないのだけど多いものなの?」
「大きな花火大会では1~3万発ですから、このような学校単位の規模でやる数ではありませんわね」
よくこれだけの数を集めてきたものね。
呆れを通り越して感心するわよ。
「うむ!殿と拙者だけではなく家で兄者や姉者達に手伝ってもらったでござるよ」
打ち上げ花火を運んできた別のハンゾーが胸を張って言い出した。
そういえばハンゾーの家は故郷から何人かホームステイしているんだったわね。
「じゃあ早速この通りに置いていこうよ」
「そうですわね。花火を見る機会はあれど見せる機会は初めてで、わくわくしますわね」
「私は見るのも初めてよ。でもこういうイベントは好きよ。コテツも中々いい提案をするじゃない」
「何だかんだ言って八代君も皆で楽しめる事は結構してきているからね」
確かに今回の格闘大会にしても学園の生徒達は参加したり観客として楽しんでいる。
中学時代もそうだったのでしょうね。でないと球技大会にも行ったけど、あそこまで人気がでるわけないものね。
「はぁ、やっと抜け出せたわ。はろー、皆進んでるかしら?」
「ティナ先輩。今からするところですよ」
「丁度よかったわね。私も手伝うわね」
疲れた様子でティナがやってきた。
まぁお兄様の相手をしていたみたいだし気持ちは分からないでもないわね。
家でならいいのだけど人前で愛称を呼ばれたりすると私だって恥ずかしいもの。
特にティナの家はバティン家が取り壊されそうになったところをお兄様に助けて頂いて無碍にもできないだろうし。
「あらら、凄い数ね。これって屋上に等間隔に置いても入りきらないわよ」
「打ち上げたら直ぐに置き換えるように傍に置くみたいね」
「でもそれだと危ないですわね、火が引火したら一面火の海ですわよ」
「そうだよね。ちょっと離して置こうか」
これだけの数が引火したら私や朱乃、ティナはともかくアスナ達は危険ね。
建物は外からの衝撃には魔法で強化しているみたいだし大丈夫でしょう。
それから眼下で行われる格闘大会の歓声を聞きながらハナビの玉を設置していく。
というか男手が全然いないのだけど、どういうことよ。
タクマは格闘大会の運営、ハンゾーはハナビの運搬、ライザーは・・・火気厳禁だから寧ろ邪魔ね。
そうなると残るはコテツなのだけど、ハンゾーいわく仕掛けって言っているけど何をしているのか分かったものじゃないわ。
ガコンッ
「え?」
「おーう、黒い。誰だ?」
突然、足元で何か音がしたと思ったらコテツの声が聞こえた。
足元を見れば一枚のパネルが外れており虎徹が顔を覗かせている。
それは良くないけれど百歩譲ってコテツは今なんて言った?黒?・・・・つまりは。
「えいっ!」
ぐりっ!
「ぐえっ!て、てめっ、グレモリー!思いっきり顔を踏みやがったな!」
「私の下着を見ておいてその程度で済んだのだから喜びなさい!」
「いや、確かにラッキーだけどよ。じっくり見る暇すらなかったぜ」
思わず踏みつけた顔を抑えながらコテツが屋上に上がってきた。
な、なんてところから出てくるのよ!
「いやーん、トラちゃんのエッチ。私たちが無防備になる瞬間を待っていたのね」
「いやいや、完全に不可抗力っすよ先輩・・・おい、こら何だ結城に姫島。その視線は」
「・・・八代君のえっち」
「あらあら、コテツさんも男の子ですわね」
「うがーっ!わざとじゃねーって言ってんだろーが!」
おー、痛ぇ。グレモリーの奴、思いっきり顔面を踏みつけやがって。
鏡を見たらグレモリーの靴底があるんじゃないだろうか。
「で、何処まで進んでるんだ?」
「殿!こちらもこれで最後でござる!」
「まだ半分も終わってないよ」
「私も合流したばかりだしね」
えーっと決勝が終わるのが19:00頃のはずだから・・・うん。
まだ花火を打ち上げるには時間があるから大丈夫だな。
女性陣にはそのまま花火の玉を置いてもらって俺と半蔵とその分身達で筒の固定に取り掛かる。
「コテツさん、手馴れていますが何度か経験がおありなのですか?」
「いや、初めてだぜ?」
「・・・えっと。私、凄く不安になってきたのですが」
姫島の奴、失礼だな。
俺だっていつも仕掛けを作るのに火薬を使っているんだから心配しなくてもいいのによ。
「格闘大会の方をハンゾーの分身に任せるなんて責任感が無いわね」
「あん?・・・あぁ、格闘大会ね」
まだ先ほどの件で怒っているのか機嫌悪そうに言ってくるグレモリー。
しかし責任感?あぁ、そうか。格闘大会はダミーだって知ってるのは琢磨ぐらいだったな。
怪訝そうな表情をしてしまったが、咄嗟に誤魔化して更にからかえるネタを思いついたで思わずにやけてしまった。
それを見たグレモリーは先ほどの件を思い出したのか警戒した。
普段は大人ぶった言動でこっちをからかう癖に突発的な事には弱いようだ。
「な、何よ。今度は何を企んでいるの」
「いや、べっつにー。ただ、グレモリーは海外からの留学生だから花火を見たことが無いんだな、と思ってな」
「え、映像では見たことあるもの!」
「あら、それはいけませんわリアス」
「そうよリアスちゃん。やっぱり花火は直に見ないとダメよ」
「朱乃にティナまで・・・」
ふふんっ、所詮グレモリーは知識のみ。
体験したことのある俺達の意見に自分の味方がいないことを悟ったらしい。
「いつでも開催できる格闘大会と夏しかできない花火大会、どっちを優先するかなど一目瞭然でござるよ」
「やっぱり夏の風物詩だもんね」
半蔵と結城の言葉で気づいた。
確かに夏といえば花火が思い浮かぶが、別に夏にしなくてはならないルールはないよな。
よし、今度は冬にでも花火をしてみよう。
そんな事を考えていると姫島が何かを思い出すように言った。
「私が小さい頃は神社でも毎年のように花火大会がありましたわね」
「・・・あぁ、"あった"な」
「・・・うむ、"あった"でござるな」
「・・・うん、"あった"ね」
「・・・えぇ、"あった"わね」
「"あった"?・・・ちょっと待ってくださいな。なんで過去形なんですの?いえ、何をしましたの?」
暫く日本にいなかった姫島は知る由も無いだろう。
だが当時現場にいた俺達は言葉を濁したのだが鋭い嗅覚で俺達に懐疑的な視線を送った。
かと思うと直ぐに問い質すような視線へと変化した。
まるで俺達に原因があるようじゃないか。まぁ間違ってないが。
「あれは2年ぐらい前か。花火大会と同時開催で格闘大会が開かれてな」
「こら、トラちゃん。物事は正確に言わないとダメよ。トラちゃんのせいで姫島神社で格闘大会が開かれたんでしょ」
「まぁそうとも言う」
「まだ慣れないけど格闘大会を開くのは別に珍しくないのよね?それと何の関係があるのよ」
「えっとね、その格闘大会っていうのが火をテーマにした格闘大会だったの」
あれは中々白熱した大会だったな。
飛び交う超常的な炎や重火器の弾丸。
隣接していた花火や露店に引火して焦土と化した姫島神社の境内。
夜中だって言うのに真昼のように明るかったぜ。
「途中まではちょっと気を付ければ問題なかったんだけど八代君が、もっと過激にしようって言って・・・」
「殿と拙者と琢磨で闘技場の上に火薬を撒いたでござる」
「何て事をしてくれますの!」
「いや、普通にやってたらつまらなかったからさ」
「はっ!お母様達は止めようとしませんでしたの?」
「朱璃さんは笑顔のまま気絶していたわね。グスタフさんは朱璃の介護でおろおろしていたわ」
そういえば、おろちんは当時はまだ知り合っていなかったが姫島神社にいたんだろうか?
出会った時は俺の事を知っているような口振りだったけど。
おろちんの事を考えていて遅れたが気づけば姫島が手にデッカイ雷みたいなのを構えていた。
「あ、朱乃落ち着いて!そのよく分からない雷を閉まって!」
「どいてくださいなアスナさん!コテツさんには姫島家を代表してキツイお仕置きをしなくてはいけませんの!」
「だ、大丈夫でござる姫島嬢。殿のお力のおかげで焼け野原もすぐに戻ったでござるよ」
「や、焼け野原・・・」
「あちゃー、ハンゾーちゃん。それはちょっと失言だったわね」
「焼け野原にしたのもコテツの神器の力だったらよかったのに・・・」
「おいおい、今は花火を仕掛けているんだぞ?そんなの構えてれば危ないって常識でわかるだろ」
「離してくださいな!一番、常識という言葉を使ってはいけないコテツさんに当てなければ気が済みませんわ!」
「落ち着いて朱乃!」
「深呼吸でござる!深呼吸すれば何とかなるでござる姫島嬢!」
「コテツもこれ以上朱乃を挑発しないで!」
「知らんがな」
賑やかなのは大歓迎なんだが、一応隠れて設置しているって自覚してくれよ。
こんなんで全ての作業が終わるんだろうか。