私はゲームは土日とかまとまった時間にガッツリとやる派です。
俺達の攻撃、1番は木場だったな。
「デカイのはいいからとりあえず塁に出てくれ」
「はい。頑張ります」
ライザーさんの指示によりバッターボックスへと立つ。
次の打席である半蔵もネクストバッターズサークルへと向かうので適当に頑張れと言っておいた。
「しかしあのピッチャー、怖い面してるな」
「う、うん。顔に×の傷があるけど大丈夫なのかな」
「きっと極道の息子とか若頭って奴に違いねぇよ」
「何でそんなのが混じって野球してるのよ」
琢磨の言葉に相手ピッチャーの顔を見れば確かにあれはやばい。
絶対その筋の人だって。
そういえば、さっきネクストバッターズサークルにあの人がいたな。
って事は4番ピッチャーか、相当自信があるのか?
「相手チーム、随分と前に出てます」
「あら、本当ですわね」
「あぁ、バントを警戒してるんじゃないのか?」
「前に出ればそれだけボールを取って1塁に投げる時間が短くなるからな」
搭城と姫島の疑問にライザーさんと一緒に答えながらも唸る。
先ほどの守備で見せた事で木場が足の早い奴ってのは相手チームも気づいたか。
こりゃ塁に出るのは厳しいか、特にサインも考えてなかったから今から作戦を変更するってのもなぁ。
ブンッ
あらら、空振りか・・・ってピッチャー投げる球速いな。
キンッ
おぉ、ファール。でもまだタイミングが合ってないみたいだ。
ブンッ
ん?今微妙に変化しなかったか?
ともあれ木場は三振に終わってしまった。
「すみませんでした」
「いや初めてだし無理もないって。あんな球、俺達でも難しいぞ」
「祐斗先輩のカタキは打ってきます」
「あぁそうだ搭城。そのまえに一つ、3球目から振ってくれ、いいな?」
「?はい、分かりました」
搭城も次の出番か琢磨が転送してきたバットを持って次に控えた。
次は半蔵なので搭城に予め言っておく。まぁ半蔵なら・・・
コンッ
「キャッチャー!・・・って無理か」
一塁方向の白線ギリギリのバント
ピッチャーが慌てて指示を出すが半蔵は既に一塁にたどり着いていた。
まぁ、予想通りだな。
「さーて、次は待望の4番バッターだぜ」
「ふん、どうせコテツは三振に倒れて終わりよ」
「あはは、頑張ってね八代君」
「期待しておりますわ」
「まぁお前なら大丈夫だろう、女性陣の期待に応えて来い」
「あいよー」
バットを軽く振りながらネクストバッターズサークルへと向かう。
そして搭城がバッターボックスに立つと予想通り構えはするが1球目を見逃す。
バスンッ
「・・・・・・」
うへぇ、近くで見ると本当に速くて重そうな球だな。
真芯に当てないと飛ばないぞこりゃ。
そして2球目、俺の思ったとおり、相手ピッチャーが足を前に出した時に半蔵が走り出す。
「しまったっ」
「楽勝でござる」
これで2塁、十分得点圏だな。
さて、搭城みたいに背丈も小さいとなるとここは三振ってとこ・・・
カキーンッ!
「・・・へ?」
やけに甲高い音と共に搭城は振りかぶった体制のままやや上空を見ていた。
も、もしかして・・・
「ホ、ホームラン・・・」
「マジかよ」
「えっと、1周走ればいいんですよね?」
「あ、あぁ半蔵を追い抜かない程度でな」
遠くのホームランゾーンの川へと落ちていくボールを見て、俺は搭城の質問に応えた。
凄ぇな搭城の奴、あの背格好でこりゃまた大きなホームランを放ったもんだ。
相手ピッチャーも打たれた時はポカンとしてたもんな。
いやいや、誰が予想したよこんな展開。
「よくやったわ小猫!」
「凄いよ小猫ちゃん!」
「お見事ですわ小猫ちゃん」
「なるほど
「末恐ろしい後輩だな」
ベンチ側でも大騒ぎ状態だった。
まず半蔵がホームベースを踏み、搭城が踏んで帰ってきた。
「いやはや驚いたでござる」
「全くだ、凄いな搭城。こりゃ今日のヒーローインタビューは決まりか?」
「ぶい、です」
Vサインをする搭城を見送り、俺が今度はバッターボックスに立つ。
後ろでグレモリーが控えてるのを確認した後にピッチャーに視線を向けて構える。
ピッチャーは何故か怪訝そうな顔をした後に大きく振りかぶった。
ヒュッ
「?」
スパンッ
あれ、何か球速が遅くなったような・・・
遠くで見るのと近くで見るのじゃ違うのか?
俺が怪訝そうな顔をしているのを見たのか後ろにいるキャッチャーが話しかけてきた。
さっきの忍者っぽい奴だ。
「君からは1番と3番みたいな危険な匂いがしない。ユーゴさんが力を出すまでも無いだろう」
「はい?」
匂い?何だ、木場と搭城は危険な匂いがするって事か?
どんな匂いだよ、火薬の匂いって事か。
けど、一つ分かった事は・・・手加減されてるって事だよな。
「・・・へぇ、面白いじゃねぇか」
こっちは遊びとは言え真剣に遊んでるってのに向こうは手加減とはねぇ。
まずはその考えを・・・
ヒュッ
「改めてもらおうか!」
カキーンッ
真芯で捕らえた打球はセンターを超えてホームランゾーンの茂みへと入った。
俺は一塁を回りながらピッチャーへと向けて言ってやった。
「もっと本気で遊ぼうぜお兄さん」
物事を決めるときはテキトーに。
だが実際やるとなると本気で取り組むのが俺のモットーだ。
以下、作者の都合によりダイジェスト(ほぼ会話のみ)でお送り致します。
「ちょっと!急に速くなったわよ!?」
「うぉっ!?変化球まで使うだと!?」
5番、6番、ピッチャーの剛速球+変化球に三振。0-2
「あらら、これは無理ですわね」
「祐斗、飛びなさい!」
「無茶言わないでくださいよ部長・・・」
2回表 4番ピッチャーのホームラン 1-2
「グレモリー!こっちだ!」
「分かってるわよ!えいっ!」
「何処投げてんだボケーっ!」
5番、2塁打。6番のレフト前ヒットがリアスの暴投により同点。 2-2、ランナー1塁。
「わっ!?」
「ナイス結城!後は任せろ!」
7番のピッチャー返し。グローブに当てて弾くが虎徹が機転を利かせてキャッチして1塁へ送球2アウト。
「えーと、この辺かしら・・・きゃっ、取りましたわ!」
「お見事です朱乃先輩」
「グレモリーに比べたらスゲェなぁ」
「ちょっとどういう意味よ」
8番のライトフライを朱乃が危なげながらもキャッチしてチェンジ。
「む、無理だよこんな速い球!」
2回裏 明日奈、三振。1アウト。
「えーい」
「おぉ、ポテンヒットでござるな」
「姫島は出たって言うのにグレモリーと来たら」
「さ、さっきのは油断しただけよ」
朱乃、レフト前ヒットで1塁へ。
「あれを僕に打てと?」
「いや、琢磨にはそこまで期待してない」
「デッドボールにならなかっただけマシだろタクマ」
琢磨、見逃し三振。2アウト。
「ここだっ!」
「祐斗走りなさい!」
「朱乃も頑張って!」
祐斗、右中間のヒットでランナー23塁。
「む・・・制球が甘くなってきたでござるよ」
「よく見たハンゾー」
半蔵、四球でランナー満塁。
「・・・えいっ」
「あぶね、何であんな奥深いとこ守ってんだよ」
「何はともあれこれで1点だ」
小猫、センター前ヒットで2-3、ランナー満塁。
「さっきとは比べ物にならないくら速い、やっぱこっちの方が面白いだろうが!」
「抜けた!」
「また満塁、リアス頼むぞ!」
虎徹、三遊間を抜けるヒットで2-4、ランナー満塁。
「幾ら速いと言っても所詮は人を超える速度じゃないって事よ!」
「うぉっ、マジで打ちやがった」
「さすがリアスね」
「リアスの奴・・・本気でやってやがる」
リアス、左中間を抜けるヒットで2人ホームイン2-6、ランナー23塁。
「変化球の打ち方ならコテツの親父さんに教えてもらってるんだよ!」
「そういや親父の運送会社、社会人チームがあったな」
「ライザーさんも野球ファンだからな」
ライザー、レフト前へのヒットで2-7、ランナー13塁。
試合終了、31-12で俺達が負けてしまった。
何だこの点数、野球の点数じゃねぇよ。ほぼコールドじゃねぇか。
「あれ、おかしくね?途中まで俺達いい感じだっただろ」
「まさか相手チームが9打者連続ホームランしてくるとは予想だにしなかったでござるな」
「つまりは相手は超攻撃布陣のチームだったと言うわけだな」
そう、俺の言葉が皮切りだったのかピッチャーだけでなく相手チーム全員がボコスカと打つわで大変だった。
結城の奴なんて途中から涙目で交代したからな。
一方でこちらのチームと言えば木場、半蔵、俺、ライザーさんはかなり打っていたのだが・・・
「変化球なんて卑怯です」
「男なら真っ直ぐに勝負してきなさいよ!」
搭城とグレモリーは変化球に弱く、相手にそこを突かれてしまった。
姫島は当たり外れが大きく打つときもあれば三振やフライに終わるときもあった。
結城と琢磨は・・・まぁ無理だろう。
「うぅ、ごめんなさい。せめて打って汚名挽回したかったんだけど」
「いや、俺のリードも悪かったからアスナだけのせいじゃないさ」
「琢磨も溢すことなく守備は果たしたでござるよ」
「そう言ってもらえると助かる」
既に相手チームは帰ってしまった。
搭城と猫娘、半蔵と忍者は何やら気があったようで最後に一言二言話していたが。
「試合には負けちまったが・・・なぁグレモリー。勝負は俺の勝ちだよな?」
「むっ・・・分かったわ、今回は私の負けよ」
「はっはっは・・・って今回は?」
「次こそは私が完全に勝利するんだから覚悟してなさいコテツ!」
ビシィッと俺に指を突きつけて言い放つグレモリー。
何だ、まだやるのか。へへっ、面白い。
「おーけー、望むところだ!」
「と言うかリアスの奴、途中から人間相手とか忘れてたな」
「ふふっ、リアスったら負けず嫌いなんだから」
「私達も人のこと言えませんが」
「それでも敵わない相手チームは何者だったんだろう」
俺とグレモリーは互いに不敵な笑みを浮かべる。
初めてであれだけ打てるならちょっと練習すれば相当上達するだろうな。
こりゃ俺もうかうかしてられないな。
「殿、既に日も傾いてきたでござるよ」
「ん?そうだな、じゃあ今日はこれで解散でいいか」
「そうだね。さすがに遊びすぎたかな」
「ではまた明日、学校で会うとしよう」
日も暮れてきたと言う事で家へと帰る事にする。
俺は家が同じライザーさんと近所の半蔵と一緒に我が家へと歩みを進める。
「・・・・まずいな」
「何が?」
その途中で突然ライザーさんが足を止めたかと思うとそう呟いた。
今更試合内容に納得が行かなかったんだろうか?
「もうすぐナイターが始まるじゃないか!」
「あ、ちょっ!ライザーさん!?」
突如ダッシュするライザーさん。
ナイター?あぁ、野球の試合か。
「今日は駒王フェニックスの試合だっけ?」
「ライザー殿も殿の父君に染められたでござるなぁ」
「苗字と同じフェニックスだから応援してるって言ってたけどな」
ライザーさんが俺の家に居候して数日後、親父がプロ野球の試合を見ていたところにライザーさんが遭遇。
ライザーさんの苗字であるフェニックスが入った地元チームが気に入ったのかそれ以来、かかさず見ているらしい。
何回か親父と一緒に地元の試合を見に行った事もあったっけな。
「って事は親父もそろそろ帰る時間帯だしな・・・って、あれは」
俺と半蔵が話しながら歩いていると向こうから見覚えのある人が歩いてきていた。
グレモリーと同じような紅く長い髪をした女性だ。
俺と半蔵が小さい頃から知っているその人もこちらに気づいたようで優しい笑みを浮かべた。
「あら、奇遇ね二人とも」
「よぉ、グリ子さん」
「久しぶりでござる、グリ子殿」
「相変わらずオツムの弱い子達ねぇ。そのスタイルで行くならグレ子なのだけれど」
「言いづらい。グリ子さんでいいだろ」
「そうでござるよ」
「はぁ、まぁいいわ」
しっかし、グリ子さん・・・何かグレモリーに似てね?
グレモリーを見た時から思ってたんだが誰か思い出せなかった。
「それより、随分と面白い事になってそうねコテツ」
「最近、何かあったっけ?」
「記憶に無いでござるな?」
「ふふふ。本当、いつ見ても飽きないわ貴方達は」
そう言って俺達の頭を撫でだすグリ子さん。
って恥ずかしいからやめろーっ!
「ふふっ、残念。もっと話していたいけれど日も沈んできたから今日はこの辺でね」
「おっとそうだった。速く帰らないと」
「拙者も夕餉が待っているでござる」
「また今度ゆっくりとお話しましょう?」
「おう、じゃあなグレ子さん!」
「グレ子殿も気をつけるでござるよ!」
グレ子さんに挨拶をすると俺達は暗くなってきた道を駆け出した。
「大侯爵、侯爵、そして私の・・・ね、本当に面白くなってきたわね」
何と言う無理やり感。まぁ人間4人+若手悪魔5人 VS 獣人?9人ですからね。
悪魔5人には野生のカン(笑)で強いと判断したようです。
「本気で遊ぶか。ならば俺も超獣化で相手を・・・」
「ソレはさすがに止めようユーゴ!」