レミリア「私、真のラスボスになるわ。」   作:ゼロん

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祝! シリーズ化決定!

1話のおまけ。

「はっ、もしかしてお嬢様が動揺していたのはただの演技で、うまく私の珍品入りのお茶を回避したというの……? さすがお嬢様」

勘違い。ちなみに今回はトリカブト(有名な毒草)入り。レミリアに毒は効かないとわかっているからこそできる悪戯である。

「人間の血よりも刺激的かな、と」



パチュリー・ノーレッジと大図書館にて

 大図書館。紅魔館の中にある無数の本を保管する空間であり、ここにある無数の本の管理と通読が日課である魔法使いパチュリーの居住区と化している。

 数千とあるだろう棚に囲まれた中心には、巨大な地球儀と大きな机が置かれており、そこがパチュリーの活動拠点だ。

 

「パチェえもん、カリスマ性を上げる道具を出して!」

「しょうがないなぁ、レミ太くん。そんな君には、ばんそうこうー! ……これで頭の欠損でも直しなさい」

「ひどいわね」

「あなたの頭の方がね」

 

 特徴的なダミ声を途中で普段の気だるげな口調に戻し、レミリアの親友、パチュリー・ノーレッジは再びレミリアを追い返そうとする。

 

「タイムマシンを出せだの、カリスマを取り戻せだの、よくわからない注文をこの図書館に持ち込まないでくれる? 今ちょうどいい所なの」

 

 そう言ってパチュリーは読み進めていた本に再び視線を戻す。『……この魔法陣は。そういうことね』と独り言をブツブツとつぶやいている。どうやら新しい魔術書の解読に熱心のようだ。

 

「……小悪魔。優秀な指導者についての本ってあるかしら」

「え? あ、ハイ! その本なら確かGの棚の方にあったはず……」

 

 レミリアは真剣な口調と表情で大図書館の司書、小悪魔に適当な本の場所を尋ねる。小悪魔はその特徴的な羽と赤い長髪を揺らし、Gの棚の方へレミリアを案内しようとする。

 

「こあ、待ちなさい。……レミィ」

 

 パチュリーは読んでいた本を閉じ、レミリアを呼び止める。

 レミリアはゆっくりとパチュリーの方を振り返る。

 

「なに? 私も今お取込み中なの」

「……。本気みたいね」

「じゃなきゃ今頃、咲夜と屋上でゆっくりティータイムよ」

「はぁ……」

 

 パチュリーはダルそうにため息をつき、レミリアの方へノソノソと歩く。

 彼女が歩く姿を見て、レミリアは一驚し口元に手を当てる。

 

「パチェが、パチェが立った……。明日は隕石でも降ってくるのかしら?」

「レミィは私をなんだと思ってるの? 私も『動かない大図書館』と呼ばれてはいるけれど、私だって動くのよ?」

 

「ちなみに動ける範囲は?」

「本気を出せばこの図書館の出口までは」

「全然だめじゃない」

 

 レミリアはやれやれと呆れたそぶりを見せ、パチュリーは頬を膨らませる。

 

「ふん……どうせ今朝の新聞記事のせいなんでしょ? でなきゃあなたがそんなに焦るはずがないわ」

 

「そうなのよ。私としても、『あんたのカリスマは地に落ちた』とか書かれたら気にせずにはいられないのよ」

 

「カリスマ、ねぇ……」

 

 パチュリーはレミリアの全身を品定めするように見つめる。

 レミリアはこの身体から湧き出る魅力に気づかぬか、と自分の青みがかった銀髪を撫でる。ふわりと柑橘系の良い匂いが図書館内に漂う。

 

「まぁ、レミィからカリスマを感じるかはまた別として」

「おい。せめて何かあるだろう。香水、結構こだわって選んだんだぞ?」

 

 何でもいいから何かコメントが欲しかったようだ。話題を先に進めようとするパチュリーにレミリアは口元をヒクつかせる。

 

「どうしてレミィはそんなにカリスマ性にこだわるのよ。ラスボスだった頃の過去の栄光にでも浸りたいの?」

「そうよ」

 

 清々しいくらいに断言され、パチュリーもだじろぐ。何がレミリアをここまで動かしているのだろう。

 

「私は愛されるより恐れられたいのよ。敬服され、一目置かれた存在でありたいの」

「人の中には愛された方が幸せって言う人もいるらしいけど」

 

「パチェ。愛って言うのは薬でもあり毒よ。人を強くもするし弱らせることもできる。それでも私は信頼の力は信じるけどね。まぁとにかく、私は身内以外になめられるのは嫌なのよ」

 

「……そう」

 

 

 ――レミィ。カリスマには二つあるの。あなたが求めるのは一つ目の意味、力と強さの魅力。そしてもう一つは……人格の魅力なのよ。

 

 パチュリーは『そのもう一つはすでに持っていることに今のレミィでは気づけない』と悟り、話題を切り替える。全く関係ないように見えて、実は大きく関係する話題に。

 

「レミィ、今日の妹様は大丈夫なの?」

「あぁ、フランね。あいつ、今日は発作が出てなきゃいいけど……」

 

 レミリアは少し考えた後、図書館の出口に足を運ぶ。

 

「パチェ、ちょっとフランの様子を見に行ってくるわ。お邪魔したわね」

「本当。けどおかげで退屈はしないわ」

「じゃあね、パチェ。また後で」

「夕食の時間の時ね。またね、レミィ」

 

 レミリアは図書館を後にし、パチュリーは再び机に戻り先ほど読みかけていた本を手に取る。

 

「『愛されるより恐れられよ』。確か君主論の言葉だったわね」

 

『君主論』、簡単に言えば指導者になるにはどうしたらよいのかについてぶっちゃけた論を述べた本である。その論の多くが『人間は生来「悪」である』という性悪説に基づいている。

 

 ――けど、数千もの歴史書を読んだ私からすればこうとも言えるわ。『どんなカリスマ性のある暴君も指導者も心の底では誰かに愛されることを望んでいる』。

 

「あなたは恐れられるより愛されてほしいわ。レミィ……そしてフラン。あなたも」

 

 そう言ってパチュリーは、どさくさに紛れて本を盗もうとする魔理沙の捕獲を小悪魔に命じるのだった。いつものように。

 

 




2話のおまけ。

「おっ、なんかパチュリーもレミリアも話し込んでる! チャーンス! 今のうちに数冊魔術書をゲットだぜ!」

ちなみにレミリアにもバレていたので、魔理沙は最終的に咲夜に捕まったという。


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