記憶をそのままに   作:雪楓❄️

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お久しぶりです。

更新滞っていた今作ですが週一を目指して更新するのでよろしくお願いします。


第一層ボス攻略戦

攻略会議が終わり、私たちもそのまま解散となった。

全員がソロプレイヤーであることもあり、少しばかりの作戦会議をした方がいいとは思ったが私自身、他人に深入りする気はなかった。それが同性だとしても、自分の容姿を見せる勇気がなかった。

 

 

その日の夜。

ボス攻略レイドは親睦を深めるための宴を開いていた。

もちろん、参加の義務はないが念の為私もその場に来た。

 

(……ティーゼ…)

 

私は広場の端っこで1人その様子を見ている。

あまりの虚しさにあの世界で共に居た親友の名を心の中で呼んでいた。

 

「……あれはキリトさんとえーっとアスナ?さん」

 

大通りから一本脇道に入ったところで、知った顔を見つけた。

隠れる必要はないのだが、私は咄嗟に物陰に隠れてしまっていた。

 

(……二人とも何話してるんだろ。それにしても、キリトさんにアスナさんか。名前は一緒だけど、あの二人の雰囲気とは大違いだなぁ)

 

かの世界では、私たちを助けてくれたあの二人の間には言葉すら必要ないというほどの信頼があった。

目の前にいる二人と大きく違う部分は、その部分というよりはあの二人のいる空間特有の甘さだと思うが。

 

(……今日は帰って寝よう)

 

二人に背を向けて、私は街外れにある宿に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

攻略戦当日。ボス部屋までの道中私たち討伐隊は緊張感に包まれていた。

緊張感はボス部屋の前に辿り着いて、より一層強まる。

 

「……俺から言えることは一つ。勝とうぜ!」

 

ディアベルさんの掛け声にその場にいる全員が息を吞むように頷く。

それを確認し、ディアベルさんは目の前にある重厚感ある扉を押し開けた。

扉が開ききると同時に、レイド全員がボス部屋へとなだれ込み、中央に辿り着いた辺りで周りが照らされ、ボスの姿が明らかになった。

玉座に鎮座する王は、私たちを視認するとその玉座から飛び上がり、私たちの目の前まで跳躍した。

 

「グルアァァァーーー!」

 

【イルファング・ザ・コボルトロード】。雄叫びとともに、その名前がボスの横に浮かび上がり、四段のHPバーが出現し、取り巻きであるルイン・コボルト・センチネルがポップした。

 

「……攻撃開始ー!」

 

ディアベルさんの号令を皮切りに、レイド全員がボスへと突っ込んで行く。

 

 

 

 

 

カンッ、カンッ

 

無骨な金属音がボス部屋に鳴り響く。

 

「スイッチ!」

 

そう叫び、フィリアさんと私は入れ替わる。

 

「やぁぁっ!」

 

フィリアさんはアーマー・ピアースを発動するとセンチネルの喉元へと打ち込み、センチネルのHPを削りとった。

 

「グッジョブです!」

 

「ありがとう!」

 

後方で待機していたキリトさんもこちらを見て親指を立てていた。

 

「それじゃ一旦交代だ」

 

キリトさんにそう言われ、私たちは一旦後方で待機することにした。

 

(……この調子ならいける)

 

ボス本体のHPも、最後の一段がレッドゾーンに入る直前というところまで来ていた。

 

「グルアァァァー!!」

 

最後の力を振り絞るように、コボルトロードは雄叫びをあげ持っていた片手剣と盾を放り投げた。

 

「情報通りみたいやな」

 

攻略本の情報通りのボスの行動に、レイドメンバーに少し安堵の空気が流れる。

 

「……下がれ!俺が出る!」

 

指揮官であるディアベルさんの判断は全員での総攻撃ではなく、単独攻撃であった。

間違っているとは言わない。それでも、このゲームでリスクを犯す必要なんてない。もし、あの方たちであったとしてもこの状況で単独で挑むなんてことはしない。

 

「グルルゥ」

 

コボルトロードはディアベルさんを迎え撃つように、低い唸り声をあげ武器を引き抜いた。

 

「だめだっ!!全力で、後ろに跳べ!!」

 

その引き抜いた武器を見たキリトさんは大声で叫んだ。

私はその忠告が聞こえるよりも先に走り出していた。

 

「下がって!!」

 

キリトさんの声に驚き立ち止まっていたディアベルさんを横に吹き飛ばして、私はコボルトロードのソードスキルをパリィしようと迎え撃った。

 

「はぁぁぁっ」

 

(……重いっ)

 

大きく跳躍したコボルトロードの刀は、途轍もなく重かった。

一人で、ましてや片手剣で受けようとしたのが間違いだった。

完全には受け流すことは出来ず、私は吹き飛ばされてしまった。

痛みを感じないはずのこの世界にも関わらず、壁に打ち付けられらた私の身体は言うことを聞かなかった。

 

「…ロニエっ」

 

キリトさんの焦った声に、私はなんとか手をあげ「大丈夫です」とサインを送った。

ほんとは誰かに駆け寄ってきて欲しかったが、今ボスのスキルを知っているキリトさんがあの場から離れてしまえばレイド全体が崩れかねない。

私は上半身を起こし、ポーションを口に含みながら戦況を眺めることにした。

 

(……ディアベルさんは…無事ね……でも、想定外のことに動けない人もいる)

 

ボスの行動が想定外だったことと、リーダーであるディアベルさんの離脱。そして、私が吹き飛ばされたことにより多くの人達が間近にある死の恐怖に怯えて、動けないでいた。

ボスの取り巻きの相手をフィリアさんとなんとか動ける人達で、ボスの相手をキリトさんとアスナさんがしている。

ボスの出すソードスキルに確実に合わせパリィし続けているキリトさんには流石としか言いようがなかった。

キリトさんがパリィをし、スイッチしてアスナさんがソードスキルを打ち込む。それが数回ほど、続いた時だった。

 

「っキリトさん!」

 

私はローブがなくなっていることなど気にもせず、身体を無理矢理動かしキリトさんたちのもとへと走った。

キリトさんの読みは遂に外れ、ボスのソードスキルをもろに受けてしまい吹き飛ばされた。ボスはその隙を見逃さず、キリトさんたちに追撃をしようとしていた。

 

「間に合えーっ」

 

ソニック・リープを発動し、ボス目掛けて全力で跳躍する。

ボスがキリトさんたちにたどり着くよりも先に、私の剣先がボスへと届く。

 

「…二人とも、大丈夫ですか?」

 

転がるように二人の前に来た私を見て、アスナさんはクスりと笑った。

 

「……えぇ、大丈夫よ」

 

「ロニエ……ありがとう。助かった。あとは、任せてくれ」

 

そういうとキリトさんたちは再びボスの方へと歩き出した。

 

(あとはあの二人に任せて大丈夫ですよね……、先輩)

 

ボスと対峙するキリトさんの後ろ姿は、あの世界で多くの人を救った先輩と同じ背中をしていた。

 

「行くぞ、アスナっ!」

 

「えぇ」

 

そこからの二人のコンビネーションは物凄かった。

ボスの攻撃をキリトさんが全て弾き、その隙にアスナさんがソードスキルを叩き込む。単純作業だが、二人の呼吸が少しでもズレてしまえばボスに隙を見せてしまう緊張感の中で二人はやり続けていた。

そして、その時はすぐに来た。

 

「はぁぁっ」

 

キリトさんのソードスキルがボスの身体を切り裂く。

次の瞬間には、ボスの身体は大きな閃光と共にポリゴン片へと変えた。

 

"Congratulation”

 

その文字が空中に浮かび上がり、ボス部屋は歓喜に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 

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