~ OTHER SIDE ~
平賀源二は自分のことを特別や優秀と思ったことがない。
そんな彼がDクラスで一番振り分け試験の結果が良かったからDクラス代表になった。
なってしまったものは仕方なく、彼は彼なりにクラスを引っ張っていこうと思っていた。
そこにFクラスから宣戦布告の使者が来た。。
あまりの設備の悪さに自棄になったのかもしれないが、受ける側にとってはいい迷惑だ。
そう思っていたのは彼だけではなく、男嫌いで有名な清水美春など数名が、Fクラスの使者に襲いかかった。
代表としてクラスの暴力行為を止めるべきだが、Fクラスの使者が挑発的な言い方をしていたため、彼は気にしなかった。
Fクラスの使者がボロボロになって去って行った後、平賀は火にガソリンをかけるかの如く、クラスメイト達を煽った。
その結果、Dクラスは代表平賀源二の下で一つにまとまった。
それは彼が思っていた形ではなかったが、この機を利用しない手はなかった。
そして、時は来た。
「代表、時間ですわ」
清水が告げると、
「出陣だ!Fクラスを叩きのめせ!」
平賀は号令を発した。
~ 重晴 SIDE ~
自習時間となりましたが、お昼休みの延長みたいな感じです。
クラスを見渡しても真面目に勉強している人はいないようです。
お昼を食べたばかりですし、お昼寝でもしようかな……
「重晴、ちょっといい?」
優子と霧島さんに工藤さんか、何の用でしょうか?。
「どうかしましたか?」
「三人でFクラスとDクラスの試召戦争について話していたんだけど、あなたの意見が聞きたいのよ」
「僕の意見ですか?」
「そうそう、優子と代表はFクラスが勝つと言っているんだけど、僕はそう思えないんだ」
「私は何の考えもなく動くはずがないと思っただけなのよ」
「……私も優子と同じ意見」
なるほど、状況は分かりました。
「そうですね……僕もFクラスが勝つと思います」
「ええー、どうして?普通にいけばDクラスの勝ちだよ」
工藤さんが言うように普通ならばそうですね。
「FクラスがDクラスに勝てる理由はあります。それはAクラスにとってFクラスが脅威であると言える十分な理由です」
「興味深い話をしているね。僕らにも聞かせてもらおうか」
久保君がこっちに来たと思ったら、他のクラスメイトもこっちに注目しています。
「わかりました」
これはいい機会かもしれません。
「FクラスがDクラスに勝てる理由ですが、FクラスにはDクラスに勝てる戦力があります」
「おかしなことを言うね。Fクラスの成績は最低、つまり戦力も最低だということだよ」
「そうそう。試験の成績がそのまま召喚獣の強さなんだからそれはありえないよ」
久保君と工藤さんが言うことはもっともです。
普通に試験を受けてFクラスに振り分けられたのであればそうですね。
「普通ならばそうですが、イレギュラーでFクラスになった人がいるとしたらどうですか?」
「それはどういうことかな?」
「例えば……試験中に途中退室をした場合です」
「それって、姫路さんのことですか?」
「はい、そうです」
浅井さんは瑞希たちと同じ教室で試験を受けていたようですね。
「なるほど。学年次席の実力を持つ彼女がいることは確かに脅威だ。しかし、一人の力では限界があるはずだ」
「それに注意するポイントが分かったんだから、やっぱりAクラスにとっての脅威は言いすぎじゃないかな」
そうですね。瑞希一人だけだったら、僕もそう思っていました。
「では、イレギュラーが他に四人いるとしたらどうですか?」
僕の言葉に教室内が騒然となりました。
「竹中君は残りの四人に心当たりがあるんだね」
「はい。全員一筋縄ではいかない人たちです」
確定しているのは五人だけですが、あの二人もFクラスにいるかもしれません。
あの二人も加わりますと、Fクラスは本当に人が揃いすぎています。
それだけの人が揃っているんです。最終目標は当然
試召戦争というシステムがある時点で、穏やかでのんびりとした学園生活は難しいと思っていましたが、こんなにも早く騒がしくなるとは思いませんでした。
でも、これはこれで楽しい学園生活が送れそうですね。
~ 凱斗 SIDE ~
「そろそろ渡り廊下で始まったころだな」
「須川たちは大丈夫か?」
「こちらのほうが点数が低いのは初めからわかっていることだ。対応策は教えてある」
対応策と言っても、二人以上で一人の敵を狙うことと、点数が少なくなったら横溝の部隊と交代して補充試験を受けに戻ってくることの二つだ。
何かあれば康太が知らせてくれるから手遅れになることはないはずだ。
「……戦況報告。渡り廊下で交戦中の須川隊、若干劣性。点数だけではなく、気迫も相手が上」
「わかった。横溝には逃げたら俺と凱斗でぶち殺すと伝えておいてくれ」
「……了解」
多少の脅しが必要なのはわかるが、俺を巻き込むなよ。
「坂本、戻ったぞ」
しばらくすると、須川隊が戻ってきた。
「おう、ご苦労さん」
「四人が戦死した。Dクラスの奴ら俺の顔を見るとものすごい殺気を出してきやがった」
宣戦布告の使者の須川を先陣にしたのは失敗だったかな。
これは予想以上の勢いかもしれないな。
「雄二、そろそろ行ってくる」
「予定よりも早いな」
「Dクラスの勢いが予想よりも強いからな。渡り廊下を突破されるわけにはいかないからな」
「そうだな。よし、凱斗の部隊は出陣準備だ」
俺の部隊は美波を含めたFクラスの精鋭十名だ。
「心配はいらないと思うが油断するなよ」
「お前の顔に泥を塗るようなことはしないさ」
「ウチもいるし、心配ないわよ」
そう言うと、美波は俺の隣に並んだ。
「そうだな……美波が熱くなりすぎて、突っ走らなければ心配ないな」
「ウチはそんなことないわよ」
「そうやってすぐにカッとなるからな」
「それは凱斗が悪いんでしょ」
「お前ら、夫婦漫才はその辺にしておけ」
「そうだな。横溝隊が心配だ」
「否定しなさいよ!」
美波から俺に向かって左ストレートが飛んでくる。、
「ツッコミにしては強すぎるけど、悪くないストレートだ」
俺は難なく右手で受け止めて、
「それじゃ、行ってくるぜ」
「ちょっと、凱斗。手を放しなさいよ」
恥ずかしがってはいるが、嫌がってはいない。
そんな美波の手を引いて、僕らは教室を出た。
~ 雄二 SIDE ~
「坂本」
「何だ、須川?」
「黒田を事故に見せかけた戦死か、戦争後の粛清の許可をいただきたい」
教室内にいる明久と秀吉と姫路以外の奴らが覆面姿で殺気を出し始めた。
「やめておけ。これからの計画に支障が出る」
「しかし、黒田と島田のやり取りは風紀の乱れかと……」
「で、本音は?」
「いちゃいちゃしていて羨ましいんだよ畜生!」
こいつらは……本当に性根が腐ってるな。
「お前らが言いたいことはわかった。俺が言えるのはこれだけだ」
この手は使いたくないが……少々お灸を添えるか。
「悪鬼羅刹が忠告する。凱斗に手を出すのはやめろ」
悪鬼羅刹とは俺が中学の時に呼ばれていた名だ。
当時、荒れていた俺は気が付けばこんな名で呼ばれる不良だった。
「……わ、わかった」
俺が昔の名と殺気を出したことに、須川たちも意味が分かったようだ。
しかし、こいつらをどうにかしないと、俺たちも被害を被ることになるな。
こいつらが改心する切っ掛でも起きねえかな。