仮面ライダービルド ~Stars and flowers~ 作:アルクトス
時系列は、くめゆの初期。
最初の方は原作をなぞって……てか、そのまん(ry
四国を覆う結界の内周に聳え立つ巨大な植物の壁の上に、総勢三十二名に及ぶ少女らは立つ。
「総員、戦闘態勢!」
先頭に立つ少女――
直後、少女たちが光を纏わる。一瞬にして光が弾けると、制服だった姿が特殊な装束に変わる。
(これが、神樹様の――)
周りの者が力の獲得に、少なからず歓喜する中。むしろ芽吹の心は冷えていた。
与えられた力は不完全で、弱くて、求めていたものではなかった。
(やはり違う。私が求めていたのは、『これ』じゃない……私が、手に入れるはずだったのは――)
「戦衣で、星屑以上の相手をしてはいけません」
沈んでいく芽吹の思考を狩り取るかのように、背後の女性神官が言った。
言われずとも――芽吹は無言で頷く。それを見た神官は、更に付け加える。
「あなたたちは『防人』です。敵を倒すのではなく、あくまで壁外調査が目的です。決して無理はしないように」
防人――そう、芽吹らは『勇者』ではない。
三十二人の少女たちは、あくまでも勇者候補。その末に落選し、こうして防人となった者。
「皆さん、絶対に無事で帰って来てください。絶対に」
祈る声は巫女の国土亜耶のものだ。
防人の御役目は調査という名目だが、壁の外に出る以上、死の危険とは常に隣り合わせの物。故に巫女である彼女は参加することはできないが、だからと言ってそれを他人事で済ませられるほど、国土亜耶という少女は淡泊ではない。
しかし、それすらも芽吹にとっては苛立たしいものでしかなかった。
言われずとも、死ぬ気はない――生き残り、勇者の選ばれることが彼女の望みなのだから。
「それじゃあ、行くわよ!」
芽吹の号令で、防人たちは武器を呼び出す。
ある者たちの手には銃剣が、それ以外の者たちには身の丈ほどもある巨大な盾が現れた。
ガチャリガチャリと装備を鳴らし、進み出た防人達は壁外へと進んでいく。
「……これが、結界の外……!」
壁外に出てすぐ、芽吹は余りにも異常な光景に言葉を呑んだ。
結界の内側から壁の外を見ても、見えるのは綺麗な青空と穏やかな内海だったはずだ。それが、一歩でも結界の外に足を踏み入れた瞬間に、神樹が……世界が隠し通す、真実が明らかとなる。
「……想像していたよりも、熱いわね」
壁の外は、地面を見れば一帯は焼け爛れた灼熱の溶岩地獄。空を仰げば漆黒に塗り潰された闇の世界。
しかし、芽吹は怯むことなく、後ろに続く防人たちに指示を飛ばす。
「皆、壁から降りるわよ! 一箇所に纏まって、護盾隊は周囲警戒を怠らないように!」
防人の装備は結界外の灼熱の台地にも耐えられるように設計されており、その点だけは防人の方が勇者より優れている。
故に、降り立った防人たちは焼け死ぬことなく自由に活動できる。
「わぁあああああ!? メブ! 赤いよ怖いよ!! 座学で聞いてたのよりずっとヤバそうだよぉ!!」
喚き散らし、芽吹に縋りついてくるのは
「離れて、雀。前に進めない」
「メブ! 空見て!! 白いのいっぱい飛んでるよぉ!?」
黒い空には、まるで夜空に散らばる星のように異形の存在が無数に漂っている。喰らうことのみに特化した口だけの化け物。
「……あれは『星屑』。習ったでしょ?」
「想像してたのよりも気持ち悪いよ! 空全部埋め尽くしてるのが全部的なんて無理無理無理!!」
「私たちの任務は敵の討伐じゃない。あくまで採取が目的よ」
「でもあいつらって、人を見るとすぐ襲ってくるって……ほら来たぁぁ!!」
雀の叫びに従い、芽吹も構える。
見ると、空の一部――星屑たちが猛然と芽吹たちの方に突撃してきていた。
「ぎゃー死ねる!! 絶対パクっといかれて殺される! 助けてメブ~~!!」
芽吹は頭が痛くなるのを感じる。
が、一先ずとそれを無視し、纏われては指示も動きもできないと、芽吹は雀を振り払おうとするが、案外と力が強く中々振り払えない。
「恐れる必要はありませんわ! 星屑如き、わたくしだけで充分ですわ!」
その隙に突出するのは
彼女は手にした銃剣を構えると、突撃の体勢を取る。
「ここで功をあげて、弥勒家を……!」
芽吹の頭痛が痛みを増す。
勿論、その種は今も腰にしがみつく雀と突出する夕海子だ。
「雀は怯えない! 弥勒さんは突出しない!」
「「っ!」」
芽吹の声に、雀は驚いて泣き叫ぶのをやめ、夕海子は不服気ながらも踏みとどまった。
「銃剣隊、射撃用意……撃って!!」
芽吹の指示で、銃剣を構える防人たちが一斉に迫る星屑たちを狙い撃ちにする。
当たる一発一発は、星屑にダメージを与えていき、防人たちの過半数以上を占める数の銃弾が炸裂すれば、星屑はその醜悪な体を砕かせ、消滅していく。
「た、倒した……倒したよ、メブ!」
雀が目を輝かせる。
「でしょ。意外とこんなものよ……対策さえ立てていれば、だけど」
三百年を前にする旧世紀の時代。
バーテックスが初めて地上に降り立ち、全世界……四国以外の土地を壊滅させた、らしい。
ふざけている。あの程度の存在に人間が――人間様があんなものに滅ぼされるなど、あってはならない。
「遠くにいる奴らも倒しておきましょうか?」
一部倒したところで、無限の数を思うほど存在する星屑は消えない。
夕海子は遠くに見える星屑たちに銃口を向け、引き金に指を掛ける。
「弥勒さん、私たちの目的はあくまで調査です。無闇に戦火を広げれば、部隊が危険に晒される」
「……わかりましたわ」
一応素直に退く夕海子。
頭痛の種が消えたことを少し喜ぶ芽吹だったが、直後に、くいくい、と服が引っ張られる。
「どうしたの? しずく」
芽吹が振り返れば、いたのは
芽吹がしずくの指差した方に目を向ければ、三人の少女が腰を抜かしていた。
「あらあら。腰を抜かすくらいなら結界内に戻ればよろしいのに」
困ったように漏らす夕海子に対し、芽吹は声を張る。
「私たちに撤退はありません。みんな、一箇所に集まって!」
芽吹の指示に、防人たちが腰を抜かした三人を守るように終結する。
そして、密度を増した人の気配を察したのか、先ほどの数倍の量の星屑たちが迫って来ていた。
「くっ! 銃剣隊、射撃用意! 護盾隊は盾を構えて!」
「護盾隊って私のことだよね、メブ!?」
「そうよ! あなたが今手にしてるのは盾でしょ! 銃剣隊……撃って!!」
芽吹の指示による銃撃で、迫る星屑の半数が砕け散る。
が、それでも半数。相当数が防人たちを喰らおうと突進してくる。
「護盾隊、構えて!」
「ぎゃー!! 死ぬ死ぬ! 助けて――――!!」
泣きわめく雀だが、それでも的確に盾を構える。
その他護盾隊の少女たちも、雀と同じく盾を構える。そして、迫りくる星屑たちが衝突する瞬間にそれらの盾は巨大化し、部隊全体を覆う壁として役割を果たす。
星屑たちが弾かれたその時、芽吹は叫んだ。
「今よ! 突いて!!」
指示に、護盾隊の少女たちは隊列を変化させ、壁に意図的に隙間を作る。
作られた隙間に身体をねじ込ませようとする星屑だが、そこに銃剣隊が剣を突き出した。切っ先をねじ込ませ、引き金を絞り、星屑を撃破する。
「よし……!」
これが彼女たちに戦い方だった。
勇者であるなら、星屑など卑下にもしないだろう。不完全な防人である彼女たちは、星屑相手ですら、力を合わせなければならない。
芽吹の苛立ちが――力への欲求が意図せずところで、高まった。
「ああぁぁやばいよやばいよ! 助けて、メブ~!!」
恥も外聞もなく、汗と涙にまみれながらも雀は芽吹に訴える。
「自分のことは、自分で守りなさい。自分を信じて」
「自分なんか信じられないよぉおお!!」
雀はうるさいが、生存本能に関しては人一倍で、星屑の攻撃を見事に防ぎきっていた。
しかし、敵の数は多い。必然と対処に時間がかかり、時間をかければ疲弊してくる。
「きゃっ……!?」
護盾隊の一人が、星屑の突進の圧力に弾かれる。
「カバーに入って!」
芽吹の指示は早かった。指示を聞いた護盾隊のカバーも早かった。
――しかし、星屑が突き出された銃剣に噛みつく方が、尚早かった。
「た、助け――」
悲鳴を上げる間もなかった。
防人の踏ん張りなど意味すらなく、星屑は盾の壁の外まで彼女を引きずり込む。
「ひいいいいぃぃっ!?」
無数の星屑が彼女に群がる。
醜悪なその巨体は、まるで死体に群がる蛆のようだった。
「今助け――くっ!?」
芽吹が飛び出そうとした一瞬。
星屑数体がその進路を阻むように立ちはだかった。
「退きなさい!」
叫ぶ。斬る。
――その間にも、悲鳴は小さくなっていく。
(間に合わない……っ!?)
瞬間の思考。
芽吹が諦めかけたその時、空から蒼炎が舞い落ちた。
『グレートドラゴニックフィニッシュ!!』
蒼炎は龍を象り、壁の外の彼女に群がる星屑たちを焼いた。
爆炎が発生し、衝撃に皆が防御姿勢を取る。
「な、何……!?」
芽吹含め、防人たちが驚愕する。
その中、芽吹は爆炎の中心に仮面の異姿を視認した。
「おい、大丈夫か!?」
異姿は、彼女に駆け寄ると抱き起こし、防人たちに声掛けした。
「おーい、無事だぞ~」
手を振る異姿だが、その背後には更なる数の星屑が迫る。
「後ろ!」
咄嗟に叫ぶ芽吹。異姿もそれに反応して振り向くが、少し遅い。
噛みつかれる。あわや、そんな時だった空から数多の銃弾が降り注ぐ。
『フルバレット!』
またも発生する爆炎。
流石に衝撃にも慣れ、芽吹が彼女の元にまで駆け寄ると、今度は左右色違いの異姿が舞い降りた。
「大丈夫か、君たち?」
双方、若い男の声。
と、正体不明の異姿を警戒しつつも、芽吹は素直に礼を言う。
「お陰で助かったわ……あなたたちは?」
問うと、最初に現れた――龍の模した装飾の異姿がまず名乗る。
「俺はクローズ、仮面ライダークローズだ」
続いて、左右色違いの異姿が何やらポーズを決めて名乗り始める。
「俺は仮面ライダービルド。創る、形成するって意味のビルドだ」
本編終了後だからグレートクローズです