仮面ライダービルド ~Stars and flowers~   作:アルクトス

5 / 6
戦闘描写は苦手……あ、どうも皆さんお久しぶりです。

二ヵ月ぶりでしょうか? 早いもんです時の流れとは……そんな私は受験生なので受験勉強してました。
が、少しずつ書いてたら投稿できるだけ溜まったので投下します。



あ、最近、知り合いの作品の監修やってます。
パラドファンさんの《仮面ライダーエグゼイド Fatal Death Game SAO》という作品です。
最新話では後書きに僕のSSも載せて貰っているので、良ければ読んでみてください。


絶望のフロントライン

 結界の外、太陽コロナを思わせる炎が噴き出す焼け爛れた台地を防人の少女らと、既に変身済みの戦兎と万丈の二人が進む。

 本日の任務は、元『中国地方』に赴き土壌の採取と状態観測となっている。

 

「ここが日本な……焼けちまって、何もわかんねェ」

 

「神の力は偉大だな」

 

 呆然とする万丈に適当に返しつつ、戦兎は自らの知識を持って外の大地の状態を分析する。

 焼け爛れた大地は単純に焼けているわけではなさそうだ。元瀬戸内海であろう今歩く大地は多少の高低差あれど平坦な道と化しているのだから、元の大地に新たに焼けた大地が上書きされているのだろう。

 

「……本当に、神の力は偉大だ」

 

 通常では決してあり得ぬ現象、それを三百年間も絶やさず行っているというのだから。

 皮肉交じりに、戦兎はそう呟いた。

 

 

 

 

 

 道中半分を進んだところで、星屑たちが戦兎たちを感知し襲い掛かってきた。

 防人の少女らは芽吹の指示で防御を固め、遊撃の戦兎と万丈が前に出る。

 

『ニンジャ!』

 

『ガトリング!』

 

『Are You Ready?』

 

「ビルドアップ」

 

 掛け声とともに、忍者ガトリングフォームに変身した戦兎。

 右手に逆手で短刀『四コマ忍法刀』を装備し、左手に小型機関銃『ホークガトリンガー』を構え、防人の少女らに迫る星屑に向けて突撃する。

 

「ハアッ!」

 

 遠い敵はホークガトリンガーで撃ち抜き、近く寄る敵は四コマ忍法刀で斬り刻む。

 と、弾が炸裂し生まれた爆炎の中から、他よりも若干大型の星屑が戦兎に向かい突撃してきた。

 

『20!』

 

 急ぎリボルバーを回転させ、それを撃ち込む。

 しかし、それだけでは醜悪なその体を打ち砕くことは出来ず、戦兎は四コマ忍法刀のトリガーを引く。

 

『風遁の術!』

 

 星屑が喰らいつく間近まで近づいた時、戦兎は再度トリガーを引く。

 

『竜巻斬り!』

 

 発生した竜巻は星屑を、大地の炎も巻き込んで巨大化。

 大型個体とともに複数体の星屑も砕いた。

 

「俺も負けてらんねェ!」

 

 戦兎が声の方を向くと、同じく大型個体と相対する万丈の姿が見えた。

 援護に向かおうとするが、既に万丈はビートクローザーの下部トリガーに手をかけていた。

 

『ヒッパレ―!』

 

『スマッシュヒット!』

 

 一刀両断。見事大型個体を切り裂いた万丈は、更に星屑を切り裂いていく。

 

「……俺も負けてらんないな」

 

 そんな万丈を見て、奮起した戦兎はボトルを振るう。

 

『ハチ!』

 

『潜水艦!』

 

『ベストマッチ!』

 

『Are You Ready?』

 

「ビルドアップ」

 

『深海の仕事人! ハチマリン! イェーイ!』

 

 音声とともに、ハチマリンフォームに変身した戦兎。

 迫る星屑に、次々と右手人差し指の針を突き刺していく。更に迫る星屑には、左手から放たれる魚雷を模したミサイルをお見舞いする。

 

『ヒッパレー! ヒッパレー!』

 

『ミリオンヒット!』

 

「いっくぜェ!」

 

 万丈も、戦兎と共に防人の少女らに群がろうとする星屑の一群を切り裂いていく。

 と、防人の少女たちから悲鳴が上がる。振り向けば、迫る巨大個体への応戦に苦労しているようだった。

 

「まずっ!?」

 

『タートル!』

 

『ダイヤモンド!』

 

『Are You Ready?』

 

 

 取り急ぎ、タートルダイヤモンドフォームに変身した戦兎。

 護盾隊の少女らを庇い立つように前に躍り出て、攻撃を一身に受ける。

 

「まじッ!?」

 

 遅れて気付いた万丈が焦りの声とともに飛び込んでくる。

 

『スペシャルチューン!』

 

『ヒッパレー! ヒッパレー! ヒッパレー!』

 

『メガスラッシュ!』

 

「オラァ!!」

 

 蒼炎を纏わせた剣で、戦兎を襲う巨大個体複数を焼き払う万丈。

 衝撃から解放された戦兎が防御姿勢を解くと、今度は空高くから星屑たちが急降下して接近してきた。

 

『フェニックス!』

 

『ロボット!』

 

『ベストマッチ!』

 

『Are You Ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

『不死身の兵器! フェニックスロボ! イェーイ!』

 

 空から襲う星屑の始末のため、フェニックスロボフォームに変身した戦兎。

 すぐさまレバーを回し、その身体を炎の不死鳥へと変える。

 

『Ready Go!』

 

『ボルテックフィニッシュ!』

 

 戦兎が姿を変えた不死鳥は縦横無尽に空を駆け、空漂う星屑を一掃する。

 やがて空中で姿を戻した戦兎は、重力に身を任せながら炭酸飲料の缶を模した機械を振る。

 

「これでフィニッシュだ!」

 

 掛け声とともに、機械をドライバーに挿入し、レバーを回す。

 

『ラビットタンクスパークリング!』

 

『Are You Ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

 通常とは異なる形状のライドビルダーが戦兎を包む。

 

『シュワッと弾ける! ラビットタンクスパークリング! イェイ! イェーイ!』

 

 ラビットタンクの強化形態、ラビットタンクスパークリングフォームへと強化変身を果たした戦兎。

 

「勝利の法則は、決まった!」

 

 ポーズの後、左足に力を貯める。

 それを一気に開放し、空中を蹴り上がって、レバーを回す。

 

「負ける気がしねェ!!」

 

 下の方から、そんな叫びが聞こえた。

 と、スペック差で隣に並ぶはずのない万丈のグレートクローズが空を飛ぶ戦兎の隣に並んだ。流石は筋肉バカ、といったところか。

 

『『Ready Go!』』

 

『スパークリングフィニッシュ!』

 

「いっけー!!」

 

 戦兎が叫ぶ。

 

『グレートドラゴニックフィニッシュ!』

 

「オラァ!!」

 

 万丈が吼える。

 そして、発砲と蒼炎が星屑たちにぶつかり、その大群を一気に殲滅してのける。

 

 

 

 

 

 ◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「……すごいわね、あの二人」

 

 芽吹が星屑を怒涛の勢いで倒していく戦兎と万丈の二人を見て、呆然と漏らした。

 あれなら、バーテックスが出てきても問題ないかもしれない。そう思わせるほどには、二人の勢いは凄まじかった。

 そんな二人の活躍により、維持が容易となった防人側。動きのない戦場に、夕海子は叫んだ。

 

「わたくしたちも負けてられませんわ! 弥勒家の再興のためにも、一体でも多く星屑を……!!」

 

「弥勒さん! 無闇に戦火を広げない!」

 

 今にも敵に突撃しそうな夕海子に、芽吹は釘を刺す。

 

「……わかってますわ!」

 

 渋々と、夕海子が銃を収める。

 

「いっぱい来るよぉぉぉ――!! 助けてメブ~~~!!」

 

 と、今度は雀が涙交じりの悲鳴を上げた。

 またか、と芽吹は思うが、実際に迫る星屑の数は多く、すぐさま指示を隊に飛ばす。

 

「銃剣隊! 三十秒間、偶数番号も加わって一斉射!」

 

 芽吹自身も加わった、防人の全火力。

 流石に伊達ではなく、十体を超える星屑も一瞬で砕けた。

 

「偶数番号は引き続き射撃を継続! 奇数番号は一旦引いて次に備えて!」

 

 前回の経験を生かした、力のない量産型の防人らしい戦法。

 

(あの二人がいたのが幸いだったわね……)

 

 今回、芽吹らを襲ったのは前回の調査時を遥かに越す物量の星屑たち。

 バーテックスと呼ばれる星屑の進化体が現れなかっただけマシと言えるが、それでも戦兎と万丈の二人がいなければ全滅していただろう。

 

 

 

 

 

 結界外での行動を開始して早一時間。

 星屑たちの妨害を躱し、どうにか目標地点である元中国地方にたどり着いた防人一行は土壌の採取作業に入っていた。

 その最中にも星屑たちは次々と襲い掛かってくるのだが、対応にも慣れたのか戦兎と万丈の二人は戦いながらやり取りをするまでになっていた。

 

「……ここが岡山か、お好み焼き食えなくなっちまったじゃねーか……」

 

 言いながら、蒼炎を纏わせた拳で星屑を屠る万丈。

 

「それ広島な」

 

 答えるのは、発砲で威力を増した拳で星屑を屠る戦兎。

 

「え?」

 

「岡山は、焼きそばとかが美味いんだよ」

 

「ほーん」

 

 相変わらず調子の崩れる、二人のやり取り。

 それを余所に、土壌の採取作業は続いていく。

 

 

 

 

 

「撤退開始!」

 

 土壌の採取が十分に終わり、芽吹の号令で後退を始める防人一行。

 が、星屑らは依然として襲い掛かってくる。

 

「大分倒したから、帰りは無事で……とはいかないのか」

 

 戦兎のため息交じりの声が聞こえてくる。

 その声には行きでの戦闘での疲労がにじみ出ていた。

 

「あのくらいの数なら、私たちでも十分対応できるので、お二人は一度下がって休んでてください」

 

 芽吹がそう言うと、戦兎からは息を呑む気配が見えたが暫くして――

 

「……わかった、任せるよ」

 

 と、今度は万丈が抗議の声を上げた。

 

「んだよ、俺はまだやれるぞ」

 

「万丈、お前足ガクガクだぞ」

 

 冷静に万丈に返す戦兎。

 確かに、見てみれば目に見えるほどに足を震わせていた。

 

「マジかよ!?」

 

 だが、当人は戦闘での高揚からか気付いていなかったようで、相当に間抜けな声を上げている。

 

「……ホントだ」

 

「しっかりしてくれよな……」

 

 その通りである――芽吹は思った。

 以後、戦兎と万丈という戦力を欠いたまま後退を続ける防人たち。

 

「ぜぇー、はぁー、ぜぇー……ふふふ、今回の御役目も。実に簡単でしたわ! 余りにも歯ごたえが無さすぎて、ふぅ、ふぅ、居眠りするところでした……」

 

 余裕、と宣う夕海子。だが、言葉の調子からもわかる通りフラフラだし、防人の防護服の所々は星屑の攻撃で切り裂かれたのか、薄く裂けた皮膚までを炎の台地に晒している。

 

「一応突っ込ませてもらうんだけど……すごい息切れしてるし、傷だら――」

 

 流石に何か言わざるを得なかったのだろう。雀が呆れたように苦言を呈すが、夕海子はニコリと笑む。

 

「雀さん? これ以上言うならあなたの眉毛を千本ほど抜いて、面白い顔にして差し上げますわよ!」

 

「ご、ごめんなさい!!」

 

 と、そんなやり取りの裏。万丈は戦兎に問うた。

 

「ん? なァ戦兎、眉毛って千本もあんのか?」

 

「物の例えだろが……」

 

 吐き捨てつつ、そろそろ戦線に加わるかと戦兎。

 前線では、防人の少女たちが後退を続けながらも迫る星屑たちにあくせくしていた。

 

「じゃ、次はこのボトルで――」

 

 と、雀が唐突に叫び出した。

 

「ああああ!!」

 

「雀、今度は何!?」

 

「あれ! なんか……なんかいっぱい集まってるよぉぉぉ!」

 

 雀の絶叫に、皆彼女が指さす方を見る。

 すると、少し離れた地点の空で星屑たちが融合していく姿が確認できた。

 

「あれは……」

 

「あれは『成りかけ』、バーテックス完全体ではないですが形状から見て、そうかと」

 

「あれがか……」

 

 それは神官から聞かされていた現象の一つだ。

 星屑が集合し、生み出される異形《バーテックス》の文字通り『成りかけ』。それでも星屑の巨大個体と比べれば圧倒的であり、その差は歴然だ。

 

「殺されるううう!! 助けてメブぅぅぅ!! ああ、お父さんお母さん先立つ不孝をお許しくださいぃぃぃ!!」

 

 そんな『成りかけ』が、防人の少女らに襲い掛かる。

 

「くそっ!!」

 

 舌打ち混じりに戦兎はラビットタンクスパークリングを装填する。

 

『ラビットタンクスパークリング! イェイイェーイ!』

 

 強化変身を果たした戦兎は、すぐさまカイゾクハッシャーを構える。

 

『各駅電車 急行電車 快速電車……』

 

 エネルギーが溜まるまでの時間が惜しい。

 その間にも、成りかけは少女たちに襲い掛かる。

 

『海賊電車』

 

 チャージが完了し、戦兎はトリガーを離す。

 

『発車!』

 

 列車上のエネルギーが解き放たれ、成りかけに向かい超快速で迫る。だが――

 

「――っ!?」

 

 成りかけの巨体は怯んだ様子すらなく、エネルギーはぐにゃりと歪む醜悪な外郭に飲み込まれる。

 

「嘘だろ……」

 

 その様子には、思わず駆けていた戦兎も足を止める。

 が、成りかけは戦兎らに与えた衝撃に構うこともなく、少女らに向けて突貫する。

 

「きゃああっ!」

 

 上がる叫び声。

 戦意などとうに失せ、腰を抜かす者、失禁する者、泣き出す者……戦線はガタガタだ。

 星屑は我先にと少女たちに群がり、成りかけは僅かでも立ち向かう少女たちの戦意を削いでいく。それでも――

 

「死なせない!!」

 

 戦兎は叫ぶ。死なせないと誓ったから。

 だが、無慈悲にも成りかけは攻め手を緩めない。そして、目という器官があるかは不明なれどその巨体は、偶然防人たちの最後尾にいたしずくを捉えた。

 

「…………死ぬ?」

 

 ごく自然に、しずくの口からそんな言葉が漏れた。

 死ぬのは嫌だ。

 あの日、祭壇に横たわる冷たい骸となった少女を見たから。献花した際に見た少女の身体は、清められてはいたが所々擦り傷だらけで右腕は欠損していた。御役目で死んだと聞かされた。それが名誉なことだということも。では、名誉とはなんだ。死んでから与えられる名誉に何の価値があるのか。もう彼女は帰ってこない。空席となった机。そこに彼女がいた証として置かれた花束。それでも、もう彼女の名は呼ばれることはない。底抜けに明るかった少女。みんなの中心にいた、憧れだった少女。

 嫌だ。

 死ぬなんて嫌だ。そもそも、死ぬって何だ?

 迫りくる死に、しずくは――

 

 

 

 




本編でやったらスーツの用意どうなるのというレベルの変身劇だった……


一応、流用すればどうにかなるんでしょうけどね。
ビルドはスーツの改造・流用が結構多かったので、例えばクローズビルドはトラユーフォーの素体流用だったり、ブラッドのマスクはハザードの流用でとか、
特に、トライアルは一個か二個かの頭部を都度塗り直してたとか

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。