バブールレーン   作:ペニーボイス

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第四の"核"

 

 

 

 

 

合計で5000ドル。

 これがマッマ達による大惨事の対価。

 いくら私が海軍の高官であったとしても、この額は決して安くはない。

 全てが女性用下着に消えたとなれば尚の事。

 

 ただし、全てが全て、破損した下着の費用となったわけではない。

 結局はスペシャルオーダーメイドの下着を4つも発注したおかげで、この額にまで辿り着いてしまったわけだ。

 しかしながら、マッマ達に払わせるような事はしたくなかった。

 

 幸いにも、私はビス叔母さんの依頼により多額の臨時収入を得ている。

 そもそもマッマ達がいなければ私は海軍軍人としてやっていけるとは到底思えないし、言ってしまえば私の月給もマッマが稼いでくれているようなもの。

 だから高いと思う事はあっても、嫌だと思う事はなかった。

 

 

 

「あ〜ん、もぉ〜坊やったら最高よぉ♪」

 

 

 鉄血公国が誇る巨大な…ああ、もう。

 何度こういう表現をすればいいのやら。

 とにかく、彼女はあまりにもバカデカいお胸を支える新しいオーダーメイド下着の威力を早くも披露している。

 まあ、私も私で、今までより更にゆったりと挟まれる事に感動すらしていた。

 はいはい、そうですよ。

 私は変態ですよ。

 

 

 

 そして、今や立派な変態となった私と、その母親になったピッピは鉄血公国行きの飛行機に乗っている。

 スラム街の完全破壊は未だに「待った」がかかったまま。

 ならせめて、できる限りの海賊対策を打ち立てておこうという事になり、北海での海賊対策をより効率的に行うためにも鉄血政府の支援を得ることが求められたのだ。

 

 ウィ●ターズ総督が私を派遣したのは妥当な判断だろう。

 政府から"フォン"までいただいた私は、今や危険なまでに鉄血公国とズブズブな関係にある。

 向こうの行政には顔が効くし、何しろ叔母が国の財政を牛耳っているのだからこれ以上の援護はない。

 だから、私は二つ返事で快諾したし、せざるを得なかった。

 

 

「行ってこい、セントルイスファミリア。」

 

「え、でも」

 

「行け!!」

 

「あ、はい」

 

 

 総督の有無を言わせぬ命令により、私はピッピと二人きりで海外旅行ナウなのである。

 勿論、ほかのマッマ達はプラカード持って掲げてシュプレヒコールしてストライキするとか言い出した。

 ダンケマッマは特別背任で起訴するとか言ってたし、ルイスマッマは南の国境に壁を作るとか言ってたし、ベルマッマに至ってはEU離脱するとかよく分かんないこと言ってたけど、帰ってきたらあやしまくってええよ言うたら全部投げ捨ててくれた。

 ありがとう、マッマ。

 もうこれ以上何も言いたくない。

 

 

 

 さて、そうして私はピッピの谷間をエンジョイしたまま鉄血公国海軍省の入口にまで来てしまった。

 私は今日ここで、従兄弟の鉄血情報局長官ラインハルト代理ビス叔母さんと、鉄血財界第一人者のビス叔母さんと、鉄血海軍との繋がりが強いビス叔母さんと会談する。

 つまり、ビス叔母さんに会うだけでございます。

 だけだったのでございます。

 

 え、何?何だって?

 それだけで済むわけねえだろ?

 全くもってその通り。

 ただ単にビス叔母さんと久しぶりに会うだけだったら何の苦労もいらない。

 問題は、私達が会議室に入室した時にはビス叔母さんが常軌を逸した愛をラインハルトに注いでいた事。

 更には、叔母さんの親類であり、つまりは私の親類でもあるKANSENがそこにいた事である。

 

 

 右目を隠す艶やかな黒い長髪、ルイスマッマと同じタイプのナイススタイル、全体的に醸し出ている…危なっかしいような妖艶さ。

 どことなく禍々しさも感じられ、威圧感さえも伴っている。

 実力は、きっとその容姿に似合ったものだろう。

 

 私とピッピが会談予定の会議室に入った時、そのKANSENはこう言った。

 

 

 

「あらティル!久しぶり!ええッと…そのボウヤは誰かしら?」

 

「姉さんから話を聞いてないの?私の大切な大切な坊や♪」

 

「可愛いボウヤね……ボウヤ、何がお望み?哺乳類?子守唄?それとも、永遠なるあやし?

 

 

 これだよ。

 登場間もないどころか、まだ実装すらされてない癖に何だって初対面から母親ぶってくんだよ!?

 

 お気づきの方もいるだろうが、彼女こそ我らがNewマッマ、フリードリヒ・デア・グローセである。

 あのローンの次にヤバそうなお方が、ツ●ッターでちょっと紹介されただけで全力母親顔して迫ってきたのだ。

 立ち絵だと左手に指揮棒持ってるハズなのに、今彼女の両手にあるのは哺乳瓶とガラガラである。

 もうご勘弁願いたい。

 

 

「ロブ君、お久しぶりね。」

 

 あ、どうもビス叔母さん。

 ご無沙汰しております。

 

キィアアア!!シャベッタァァァアアア!!!

 

「幾ら何でも驚きすぎよ、グローセ。坊やは優秀だから、言葉を覚えるのも早いの。」

 

 ピッピ?

 さりげなく嘘をばら撒くんじゃねえ。

 

「さて、ロブ君。今日グローセを呼んで来たのはちゃんとした理由があっての事よ?」

 

 え?

 

「彼女が筆頭株主を務めている会社は、鉄血公国全軍への弾薬を納入している軍事産業の基幹ともいうべき企業なの。当然、最新鋭の技術も持っている。」

 

「その通り。ビスマルクから聞いたけど…ボウヤ、あなたロイヤルのスラム街を吹き飛ばそうとしてるそうじゃない。」

 

 

 私は軽く目眩がして、ピッピの柔らかな柔らかな柔らかな双丘に頭部の全重量を預ける。

 

 なんで、知っとんねん。

 

 てかよぉ。

 ビス叔母さん絶対ロイヤル内部に私以外の情報源持ってるよね?

 絶対スパイがなんか潜り込ませてるよね?

 あんたどんだけ先を行ってんのよ。

 どんだけ先の情報を得てんのよ。

 

 

「ああ、そういえば!ティルから聞いたけど、いつも()()にご贔屓どうも♪」

 

 

 ピッピ、口笛を吹いて知らん振りするんじゃねえ。

「〜♪」みたいな感じで流せると思うんじゃねえ。

 おっちゃん初めて聞いたぞ?

 今初めて鉄血製弾薬を購入してる話を聞いたぞ?

 もう色々あって3シーズン目も終わりかけだけど、初めて聞いたぞ?

 

 

 いったいどれくらいの割合で買ってたの、ピッピ?

 

「…45%ぐらいかしらね」

 

 本当に?

 

「…………全弾

 

 

 

 今ここに当鎮守府の新たな問題が露呈してしまった。

 鎮守府で使用するありとあらゆる弾薬を外国からの供給に頼ってたのである。

 これで、海賊問題は当鎮守府における生命線にも関わってくる問題である事がハッキリとした。

 弾がないのは玉がないのと同じ。

 つまり…この立ち話で判明したのは…海賊問題が当鎮守府の生命線さえ左右しかねない問題だったということだろうか?

 

 

「さてと…ごめんなさい、話が脱線したわね。我々はセイレーン技術の解析・研究を進めた結果、新しい種類の爆弾の製造に成功した。」

 

 

 グローセ叔母さんはそう言って、胸の谷間から一枚の白黒写真を取り出した。

 そこにはHe111爆撃機と、それに搭載されるフリッツXのような爆弾が写っている。

 …胸の谷間の使い方はもうこの際突っ込まない。

 

 

「名付けて"フリッツX-Ⅱ"。あぁ、言っておくけど、勿論核兵器ではないわ。放射線の恐れはいらない。」

 

「ただし、威力は核兵器並み。そうよねグローセ?」

 

「姉さん…まさかその爆弾をスラム街に…」

 

「ティル?私が何の考えもなしにロブ君に最新鋭兵器の事を教えたりすると思う?…貴女だって、察しているでしょう?」

 

「フリッツX-Ⅱの最大の特徴は、原料にセイレーン艦の残骸を使用している事。…ボウヤ、もう理解できたでしょう?」

 

 …なるほど………

 

 

 完璧じゃないか!!!

 

 

 こんな完璧な解決策があるものか!!

 そうだ、その通りだ!!

 このフリッツX-Ⅱを使用すればわざわざ私やマッマ達が泥を被る必要はない!!

 

 ありがとう、ビス叔母さん!!

 ありがとう、グローセ叔母さん!!

 まったく貴女方はどれだけ最高なんだ!!!

 

 

「坊やッ!?坊やッ!?正気に戻って!?」

 

 どうしたんだよ、ピッピマッマ。

 私は頗る正気だし、これ以上に晴れやかな気分もない!!

 完璧な解決策だよ…まさにこれこそが最適解なんだ!!

 

「街を一つ消そうとしているのよ!?姉さんも!!グローセも!!…皆んな一体どうしたって言うのよ!?」

 

「ティル?貴女こそどうしたの?」

 

「これ以上に良い解決策なんてないと思うけど?」

 

「そんな…そんなッ!…坊や、私があなたのスラム街攻撃案を支持していたのは、あなたがあくまでも民間人の被害に配慮すると言っていたからッ…」

 

「…少し落ち着きなさい、ティル。冷静に考えてみることね」

 

「………姉さんもどうかしてる…ごめんなさい、1人で落ち着く時間をもらえるかしら?」

 

 

 

 ピッピは頭を抱え、会議室から出て行った。

 すごく悲しそうだったし、何かショックを受けているようだ。

 今まで何があろうと私のやる事なす事全て肯定してくれていたピッピが衝撃を受けている様子は、私にとっても衝撃的なものだった。

 

 

 ………「1人で考えたい」とか言ってたのに、私を谷間に挟んだまま出て行ってる事には…触れるべきじゃないだろう。

 

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