ピッピはシャワーを浴びてヴァイツェン(白ビール)を3本空けると、私を抱き抱えてベッドに入った。
そのベッドがある部屋はピッピの実家にあり、どうやら小さな頃からの彼女の部屋らしい。
部屋の中の机にはビス叔母さんとの成長の記録とも言える写真の数々が、丁寧に額入りで置いてある。
その、ピッピのスーパープライベート空間とも言えるお部屋の、ピッピを幼少期から温めていたベッドの中で、私はピッピに温められていた…おNEWの下着その2姿のピッピに。
「………坊や…お願い…よく考えて?…私の身体をよく味わって…どんなことでもしていいから…」
ごめん、意味が分からん。
困惑し過ぎてるのか、それとも精神が崩壊してしまったのか、それともいつもどおりなのか。
私には到底皆目検討もつかない。
"味わって"の解釈をしていただいてもよろしくて?
さもなければピッピ、貴女のクッソエッロい腋の下とかprprするよ?
何してもいいって言葉を額面通りに受け取るよ?ん?
そもそも、ピッピの身体中prpr舐めまわしたところで考えが変わるとも思えないんだ、ごめんよ。
はぁぁぁぁ。
それにしてもピッピは酷く落ち込んでいるか、混乱しているかのいずれかのようだった。
私を抱き抱えて寝転んだまま、寝るでもなく目を瞑り、その豊満なお胸で卵でも孵化させるのかというほど私を抱き抱えている。
なんつーか…ピッピの鼓動とか体温とか香りとか色々色々伝わるし。
流石にサイコ方面に走りすぎたかな?
もう湾岸ミッド●イトがデイライトに変わるぐらいには
フリッツX-Ⅱとかいう都合の良すぎるスーパー兵器見たせいで興奮して理性を失っていたようだ。
だって、男の子だもん。
真面目な話をすれば、ピッピが衝撃を受けてしまうのも分かる気もする。
私がやろうとしているのは、要するに無差別な殺戮なのだ。
街を一つ消す。
建物も、街路も、そこに住む住人達もまとめて消し去ってしまう超兵器を、私はためらう事なく「使う」と断言した。
後ろめたい部分がないわけではないが、もはやあのスラム街は手のつけようがない。
フォースター大佐が大金を送り込んで行き着いた先が海賊行為だというのなら、もう救いなぞ見込みようがないのだ。
確かに、あの海賊行為に助けられている、本当に可哀想な人々だっているかもしれない。
悲惨な生活環境に置かれる何の罪もない人々が決してゼロだとは思えないし、年端のいかない子供だっている事だろう。
誰もが罪人だと言える根拠なぞないし、俗に言う、"スラム特有の絆"なるものに助けられている人々も多いかもしれない。
ただ、決して忘れてはならない。
その連中の海賊行為は、流通という国家の動脈を切り刻んでいるのだ。
一つの街の住人達の不法行為が、全国の真っ当な人々の生活さえ脅かしかねないのであれば、誰かが凄まじいまでの強制力を持って排除しなければならない。
義賊被れなのかどうかは知らないが、それが例え上流階級の嗜好品を運ぶ輸送船であったとしても状況は変わらない。
船が襲われる時点で、海運業者達は仕事を存分に邪魔されている。
そして海運業者のビジネスが回らなければ、ロイヤルの流通は徐々に締め上げられるだろう。
ピッピは…おそらくその辺は充分に理解してくれているはず。
でも今卵を産んだばかりのニワトリみたくなっているのは…そんな彼女でも葛藤してしまうのだろう。
彼女からすれば、私がフリッツX-Ⅱを使用するという事が…即ち、それは…私が…"可愛い息子"が"怪物"へと変貌してしまうかのような気持ちになるのではないか?
………大勢の老若男女を殺した"怪物"に。
「ねえ、坊や?やっぱり…使うの?」
…使うしかないんだよ、マッマ。
「坊や…坊や…他の方法はないかしら…ああ!例えば!他のギャングをけしかけて」
そのギャングがあの海賊連中を潰したところで、次はそいつらが跡を継ぐ。
ギャングなんかが律儀に約束を守るはずがない。
もしそうなら…あのスラム街はもう無くなってる。
「なら!なら、海賊拠点を潰していくのはどう!?骨の折れる作業だろうけど、MI5も協力してくれるはずよ!それなら街ごと消さなくても」
海賊拠点は潰すけど、スラム街から先にやる。
拠点を潰したところで人的資源の供給源が健在なら連中は別の所に同じような拠点を作るはずだ。
そんなのじゃ意味がない。
「…………坊やぁ…」
暖かな水滴が舞い降りてくる事は容易に想像できた。
更にガッチリと抱き込まれる事も。
ピッピの事だから柔らかい大きな胸で"説得"を試みるだろうなぁとか思ってたらその通りにしやがったし、おかげで想像してた通りに呼吸が苦しくなるし。
それでも、私の考えは変わらない。
私は、自分自身の強固な意志を持ってスラム街の住人を皆殺しにしなければならないのだ。
見た目は見事なまでの赤ん坊かもしれないが、それでも海軍少将の階級章をつけて指揮官の椅子に座る以上は責務を果たさなければならない。
そして、その責任は…私自身が取らなければならない。
間違ってもマッマ達には取らせない。
いつか、ルイスママにブチ怒られた事がある。
"私達を頼って!"
でも、今回ばかりは別。
ノアが箱舟に乗せる人間を決めたように、私も決めねばならないし、そしてその責任は勿論、私にある。
投下の計画は、私の頭の中でどことなく出来上がりつつあった。
そしてその計画は、いずれの場合であっても最終的にはフリッツX-Ⅱの投下に結びつくものである。
投下しないという選択肢はハナから用意されていなかった。
「………そう…坊や……。もう決めてしまったのね?」
うん、ピッピ。
心配してくれるのは有難いけど、これはもう決めた事なんだ。
「……………………坊やぁ……」
…ピッピママ。
ちょっとだけ、甘えてもいいかな?
「…え?」
とはいうものの、私自身、これから何万人を殺そうとしていることに何も感じていないわけではない。
頭では、理性では、手を血に染めなければならないと理解している。
でも、人間というものはそんなに単純にはできていない。
だから、私は…あぁ、自分からはやりたくなかったんだけど、ピッピに甘えまくる事にした。
赤ん坊のそれと化した小さな身体を動かして、ピッピの豊かな母性のより奥へと入る。
更に濃いピッピの匂いに包まれ、そして羽毛が生えてきそうなくらいに温められた。
分かってる、分かってます。
もはや変態以外何者でもありませんね。
ただ、これからジェノサイドをおっぱじめようってんだから、落ち着ける場所に至りたいわけですよ分かってくれますか?分からない?ですよね、すいません。
「………坊や。坊やがもう決めているのなら…私たちは応援すべきね…。ごめんなさい、苦しんでいるのは私だけじゃなかったのに…。」
ピッピ…
「ダンケルク達も衝撃を受けるかもしれないけど…でもきっと分かってくれる。少なくとも、私は何があっても坊やの味方よ?それだけは覚えておいて?」
本当にありがとう…
「お礼を言いたいのは私の方よ、坊や。Dank e sehr…坊や、"北の女王"は母親になれた…あなたのおかげで。」
私の母親の内の一人が、その目線を机の上に投げかける。
まだ小さな頃のピッピ、ビス叔母さん、そしてその後ろに立つ彼女達の"母親"。
ピッピにとっては、間違いなく微笑ましく懐かしい写真の内の一枚だろう。
でも、私はその写真を見てふと思ってしまった。
これから私はこういった親子を何組殺すのだろうか?
少しだけ身震いしたので、私は自分からピッピの谷間の奥へと更に進んだ。