どうしよう、ダンケが壊れた。
「いい〜?Mon chou〜?逃げる奴はゲリコマ(ゲリラ・コマンドゥ)よ!逃げない奴はよく訓練されたゲリコマよ!戦争は地獄ね、アハハハハハハッ」
こわ。
ダンケは今、大越北部へ向かうコリブリ・ヘリコプターからシャテルロー軽機関銃を撃ちまくっている。
やめなよダンケママン。
なんでそんな事するのよ?
なんで現地の人々にナチュラルにケンカ売りながら闇鍋に加担するのよ?
もう勘弁してつかぁさい。
我々は、どうやらHCRI社貨物船から大越北部軍に引き渡されたらしいアヤシイ荷物を調査するためにヘリコプターで移動中。
大所帯になるのを避けるため、重桜マッマズにはシャム王国でお留守番してもらい、久々に4大マッマとのみの行動でありやす。
肝心の私自身は…今回はベルマッマによって挟まれ、眼下に広がる水田と、銃弾によって跳ね上がる泥、逃げ惑う人々を眺めていた。
ごめんなさい、皆さま。
私めにできる事は何もござーやせん。
ダンケママンはわざとかそうじゃないか分からんが、良くも悪くも誰一人として仕留めちゃいなかった。
それだけでも救いというか何というか。
やがてコリブリ・ヘリコプターは着陸する。
ここは大越中部軍及びアイリス植民地軍の飛行場で、北部軍の領域からもほど近い。
ダンケによると最近北部軍は中央政府の意向を無視する傾向にあるという。
え?何その一触即発秒読み段階みたいな状況?とは思ったものの、流石に北部軍も重桜とロイヤルという二大国を敵に回すような狂った連中ではあるまい。
現に我々の派遣調査の要求は多少渋られはしたが受け入れられ、安全も約束された。
さて、我々はこの飛行場で"水先案内人"と合流しなければならない。
北部軍は調査に渋々同意したが、案内をする程歓迎はしていないのだ。
土地勘のない我々には助けがいる。
だから、この地域での活動が長いユニオンの工作員と合流するのだが…
ちょうど飛行場に到着して30分後。
唐突に、60年代後半を彷彿させるハスキーボイスなロッケンロールが流れ始める。
上空からはローターの回転音がして、見上げれば弾痕だらけのドラッヘ・ヘリコプターが舞い降りてきていた。
よく見れば頭にバンダナ、上半身裸体に血塗れ防弾チョッキという、CV小山●也な男が身を乗り出して載っているではないか。
「酷いナリね、ウッ●」
「ジャングルで見た目を気にすんのか、ルイス。ここは大越だぜ。」
よし、わかったもう突っ込まない。
もうこの男とルイスのやり取り見ただけでも、たぶんコイツが東南アジアで活動してるユニオンの工作員だって事が分かるしお前どこのSOGだよどっから湧いて出たんだよってくらいSOGなのは分かるからね。
無駄なエネルギーは省エネしようじゃないか。
え?何?結局突っ込んでるじゃないかって?
はは、気のせいさ。
私とママ達とウッ●軍曹は何台かの幌付きジープに分乗して移動を始める。
その間に、ユニオンが何故アイリスの植民地に関わるようになったのかをルイスマッマが簡単に説明してくれた。
「えっとね、ミニ・ルー。ユニオンがこの地域での活動を始めたのは東煌内戦の時期なの。」
へー。
「北東煌政府は南部を基盤とする統一政府の戦力を分散させるために、更に南側から圧力をかけようとしていたわ。つまり、大越を共産化する事によって、二正面作戦に追い込もうとしたわけ。」
ユニオンとしては共産化の"ドミノ"を防ぎたい。
だからCIUあたりでも介入させたのかな?
「ええ、そうよ。よく分かったわね〜♪良い子よ〜ミニ・ル〜良い子良い子ぉ♪…でも、当時の大統領は北連との関係を重視してたから、活動は小規模なモノに限られたわ。」
「俺からも補足してやるよ」
はい、ウッ●軍曹
「確か3年前だな。ハウスクリーン作戦の後にCIUは東南アジアでの活動を諦めた。ケツを拭いたのが軍部だ。」
質問いいですか、ウッ●軍曹。
「なんだ、マイソン?」
あのね、軍曹。
いくら元ネタの相棒に近づけたいからと言ってもね、そんな誤解を招くような呼び方しないでいただけます?
それじゃまるで私が逸物か何かみたいじゃないのよ。
…もうこの際どーでもいーや。
CIUの活動がハウスクリーン作戦に影響を受けたのは、どうしてですかえ?
「簡単だ。マラヤン独立派メンバーの中には、CIUのアセットが多数含まれていた。…アセットとはつまり、CIUが動員できる資産・資材・資源、さらに言えば現地人協力者だ。」
おうふ。
でも…そうだとしたらMI5とCIUは相当揉めたのでは?
「それが、そうはならないんだな。3年前といえばアズールレーンとレッドアクシズの戦いが最も熾烈な時期だ。ロイヤルもユニオンも東南アジアどころじゃなくなったのさ。そこで、互いの情報組織は予め"調整"を行いあの作戦を実行したんだ。」
ん?て、ことは?
あの作戦は独立派メンバー全員を消し炭にする作戦じゃなかったの?
「ご名答。ロイヤルは独立派メンバーを全員消したがっていたが、ユニオンは何名かの保護を約束させた。…つまり、大越のコミー共と深く関わる独立派メンバーの保護を約束させてた訳だ。"ドミノ"を予防するのに役立つ、最小限の数のメンバーをな。」
あの、すっごい今更な話なんだけどさ。
これ僕ちんが耳にして大丈夫なのかな、すごく不安になってき
ドオオオンッ
スガガガガーンッ
突然砲撃が始まった。
何事かも分からずパニクっている間に、ジープの近くに砲弾が落下!
私やマッマ達とウッ●軍曹を乗せたジープが横転する。
ラッキー・ルーと一緒だというのに、私を抱えるベルマッマは横転したジープから投げ出されて偶然その近くにあった池に転がり落ちてしまった。
なんてこったい。
「いてててて………マ、マイソンッ!!」
「ベルッ!?坊や!?大変…池に落ちたみたい!」
「Mon chou!!」
「ミニ・ルーを助けないと!!」
「…おい!ルイス、下着になるんじゃねえ!」
「止めないで、ウッ●!ミニを助けるためなら裸にでもなる覚悟はあるわ!」
「いいえ!ここは坊やの真の母親たる私が裸体になって坊やをレスキュー」
「ダメよ!Mon chouはアイリス版『彼女が裸体に着替えたら』を楽しむの!」
流石のSOGも、狂気の母性にはドン引きである。
「………こ、こいつらイカれてやがる…クラフ●ェンコがマトモに思えてくるぜ」
「ぷはッ!!はぁはぁ、危ないところでしたねご主人様。このベルベル、このような時の為に水泳の訓練を……って、ご主人様?」
「ベル!?貴女の谷間にいた坊やは!?」
ベルマッマは急いで水面に浮かんだが、そこで大切な事に気づく。
その谷間に挟まっていたハズの私は、横転の衝撃でベルマッマから投げ出され、まだ池の中だったのである。
「ぼ、ぼ、坊やァァァアアア!!!」
一方その頃、私はというと…
えっ、ちょっ、ムリ!!
マジでやばい、マジで溺れるッ!!
いや、おま、赤ん坊が泳げるわけなかろうがッ!!
やばい、マジで、息、が…
………14、26、42、45
意識が遠のきかけた時、謎の数列を読み上げる女性の声が聞こえてきた。
濁った水中で恐る恐る目を開けると、タイガーストライプの戦闘服に身を包むポニーテールプラチナブロンドな巨乳少女が私を抱き上げるところが見える。
その少女は私を水面まで運ぶと、驚くべき事に立ち泳ぎで私を高々と掲げてこう叫んだのだ。
「一歩目!!水中からの脱出!!」
………いや、何でここにいらっしゃるんですか、アヴマッマ?
「ミ…いや、マイソン、私はアヴローラなんかじゃありません!我が名はヴィクトル・アヴノフ!!ヴォル●タでは皆兄弟です!!」
……………
「さて、ミ…マイソン!二歩目は!?」
……銃を手に入れろ〜
「さあ、行きましょう、マイソン!今こそこの手にヴォル●タを!!!」
この3秒後、私はジト目のピッピママに取り上げられました。
見事に意気消沈するヴィクトル・アヴノフ。
あのよぉ、お前らヨォ。
忘れてるかもしれかいから一応言っとくね?
ここ、まだ砲撃のど真ん中だからね?