バブールレーン   作:ペニーボイス

14 / 172


「実際には行けてねえだろうが」


--------------ジャン・バール(アイリス戦艦)


指揮官はゴルフに行った

 

 

 

 

楽しい楽しいお休みの週末。

昨日の内に風邪は完治し、ピッピママと一緒にリカバリー済みという最高のコンディションで、私は土曜日を迎えた。

 

普段の土曜日なら昼の12時までオフトュンから離れないのが常なんだけど、今日は昨日の内にバカみたく寝てたから全然朝から動けますわい。

 

久々やぞ、この感触。

この世界に来る前は土曜日も平然と仕事ぶち込まれる事が多々あったし、土曜日休みでも金曜日の夜遅くまで仕事あったから、土日は昼までオフトュンだったんだよね。

 

さあって!シャワーも浴びて心地よい朝を迎えた事だし、ゴルフにでも行くかなぁっ!!

 

 

ん?どうしたダンケルク?

外出申請簿?何それ??

 

 

・・・

 

 

艦娘も艤装の一切を取り外し、私服に着替えており、さらに鎮守府司令の許可があれば外出が出来ると言うのが海軍のルールらしい。

 

いや、ふつうに出させてやれや。

何で一々私がチェックして許可出さんとあかんねん。

別に何してもええやん、犯罪以外なら。

 

 

とは言ってもやっぱり規則は規則だから、私に出来ることと言えば出来るだけの権限内で規制を緩めてやる事ぐらいか。

 

ただ、例え休日と言えど敵が来ないわけでもないから鎮守府には守備隊要員を2名置いとかなきゃいけないのが…気の毒と言うか申し訳ないと言うか。

 

 

まあ出来るだけ出れる人員には許可したし、後は交付するだけ。

執務室の机に座ると、廊下に列を成している艦娘達が1人ずつ外出許可書類を求めてやってきた。

なんか、初めて指揮官っぽい仕事してる気がする。

 

 

よし、じゃあ、いらっしゃい、いらっしゃい。

来た艦娘からどんどん交付してあげるよ〜。

 

まず最初は…おお、フォルバン!

今日はどこか行くのかな?

 

「はいっ!お買いも…じゃなくてっ、修行に必要な書物を購入してきますっ!」

 

ははは、休日ぐらい肩の力を抜いても良いんだよ?

さあ、さあ、ほら、いってらっしゃい。

はい、次の方〜。

 

おや、明石さん。

その格好は…釣りかな?

 

「釣り以外ありえないと思うにゃ。」

 

そりゃあ、長靴に釣り竿にクーラーボックスだもんね。

そうだ、今度タラ漁船を予約してあげようか?

(海馬に勝手に書き込まれてた情報によると)私の同期の1人が海軍をやめて漁業と釣り人向けのクルージングをやってるんだ。

磯釣りとは違う魅力があると思うんだが、どうかな?

 

「ほんとかにゃ!?ぜひお願いするにゃ!」

 

明石くんの笑顔を初めてみた気がする。

費用は私が持つよ。ほら、行ってらっしゃい。

いや、良いんだ。普段お世話になってる、ちょっとしたお礼だよ。

 

 

ええっと、次は…ヒヨコさん2名?

 

え?このヒヨコってあのヒヨコだよね?

ルフトヴァッフェの制服着てる事からしてグラツェンのBF109のパイロットだよね?

ヒヨコさん達の外出も私の管轄だったっけ?

 

やあ、調子はどうかな?

 

「最悪の気分さ。ボス、あのクソ女どうにかしてくれないか?明日は訓練すると言って聞かない。」

 

「ウチはカトリックなんだぞ!日曜日はミサって決まってんのに、あの不敬なプロテスタント女め!!!」

 

 

おおっと、そんな切実きわなりないお悩みをお持ちとは思わなかったが…2人共、少し後ろを見てから話すべきじゃないかなぁ?

 

「誰がクソ女だと?」

 

「うわっ、マジかよ」

 

「あー、おワタ。」

 

「2人共覚悟しろ。明日の訓練では立てなくなるまで…」

 

 

あー、やあグラツェン。

訓練に励むのは良い事だけど、適度な休息も重要なんだよ?

特に彼はミサがあるそうじゃないか。

この鎮守府で宗教紛争を巻き起こす気なのかな?

 

「いや、指揮官、そんなつもりは」

 

なら、グラツェン。日曜日はやめてくれ。

疲れも取れきれていないパイロットが飛行訓練で航空事故を起こしてみろ、誰が責められる?

 

「うっ…わかった。休日の訓練は取り消しとする。2人共、指揮官に感謝しろ。」

 

 

ほらグラツェン、いってらっしゃい。

ほら、ほら、2人も。

 

 

「ボス、マジであんたの事好きになりそうだ。」

 

「もしダウンタウンに用があったら、ウチの親父の店によってくれ。『フランク・ダイナーズ』だ。この街で一番美味いチキンが食えるぜ。アディオス、指揮官」

 

 

アディオス!

 

街で一番のチキンかぁ…腹減ったなぁ。

B●4かよ。

 

…………おい、待て、あのヒヨコ、チキン食えるって言ってたよな?

それ倫理的に大丈夫なのか、お前ら。

 

 

 

ヒヨコさん達の次は…おお、赤城と高雄か。

 

「指揮官、折り入って聞きたいことがある。」

 

「実は指揮官様、私もお聞きしたい事があります。」

 

おうおう、どうしたそんなにかしこまって。

何でも聞けい。

 

「休日とは何だ?」

 

「外出って、美味しいんでしょうか?」

 

 

………なんて可哀想な…ヤバい、泣きそう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一通り交付も終わり、あとは守備隊要員の2名にも挨拶を済ませた。

 

ロング・アイランドは基本的にゲームしかしないので引きこもらせて欲しいらしい。

 

まあ、だいぶハマってるゲームもあるんだろうね。

たぶん、タイトルまで分かる。

部屋に入った途端に

 

「…君一人取り残される可能性もある」

 

って言われたから

 

機械の進化は止められない!!!

 

って返したら

 

「デデンッ、デンッデデンッ!!」

 

つって一人で盛り上がってたから、放っておく事にした。

トレーラームービーであそこまで盛り上がる人初めて見た。

しかもそんなに盛り上がる要素のある場面じゃないはずなんだが。

 

まあ、何はともあれ、土日両方守備隊になってもらうんだから、手当は弾んでおこう。

金ぐらいしか解決策を見出せねえのかこの野郎って言われるかもしれんが、お金って結構順当な解決策だからね?

 

もちろん、ロングアイランドとは別にもう一人ずつ土日に守備隊勤務に就くリアンダーとジャベリンにも手当を当てる事とよろしく頼んますという旨を伝えた。

 

まあ、あまり嫌な顔をされなかったのが救いというかなんというか。

 

守備隊って言っても警戒か何かしてるわけじゃなくて、何か非常事態でも起こらん限り私室でゲームしてようが寝てようが野球やってようが別にいいから、割と自由なのもあるのかな。

 

 

 

 

 

 

挨拶も済ませれば、とうとう私の外出が始まる。

接待以外のゴルフは久し振りだぜ、思いっきり楽しむぞぉ!

 

たが、部屋の扉を開けた瞬間、そこにはマッマ達が既に私服に着替えて待ち構えていた。

 

 

「指揮官く〜ん、どこに行くの?」

 

や、やあ、セントルイス。ええ…と…ゴルフかな。

 

「まさか、私達を置いていくわけじゃありませんよね、ご主人様。」

 

ベルファスト、え?マジで?

 

「当たり前よ、指揮官。もしも道中何かあったらどうするの?」

 

ダンケルク、その為にPPKが…

 

「Nein!!Nein!!Nein!!Nein!!認めないわよ、坊や!保護者の同伴なしに外出なんて認められないわ!!」

 

ピッピ、怒鳴らないで。そんなに必死になる必要ないじゃん。

 

「「「「大アリ!!!」」」」

 

 

「一人でゴルフなんて認められないわ。」

 

「そうです、ご主人様は私と一緒にティーブティックへ…」

 

「何言ってるのベルファスト!指揮官は私と今話題の最新スイーツを!」

 

「Nein!!許さないわ!坊やは私と一緒にショッピングよ!!!」

 

 

おいやめろお前ら、ガバメントやらNo2リボルバーやらハイパワーやらP38でメキシカンスタンディングするんじゃねえ!!

落ち着け、落ち着くんだ!!

30過ぎのおっさんの外出ぐらい放っといてくれ!!!!!

 

 

 

 

結局、全員で外出することに。

 

ああ、俺のゴルフ、愛しのゴルフ…

 

 

鎮守府正門を出る前に、プールの上を跳躍しようとしているトチ狂った奴を見つけた。

あれ、エンプラさんじゃねえ?

 

エンプラさんは向こう側からこちらを見つけると、日傘を差し、クラシカルな服を着てプールでの跳躍を試みる。

どうしたどうした本当にトチくるったのか、おい。

もちろん、プールを跳躍で飛び越える事などできず、水中に落ちてずぶ濡れで這い上がってきた。

 

「はあっ、はあっ、ご覧になりましたでしょうか、指揮官。3メートルはっ、はあっ、飛んでいたと思います!」

 

目の前で、日傘を持ったエンタープライズが息を切らして私に報告する。

 

いや、そんな報告しなくていいから、何で日傘片手にプールの上を跳躍するなんて無謀な事をしたのか教えてくれないかな?

 

「少佐殿の言葉の意味を知りたいからです!」

 

誰だよ、少佐殿って。

私は中佐だよ。

高級将校にカテゴライズされるハズの階級だけど日々やってる事は二等兵以下な気しかしないけど、一応中佐なんだよ。

 

で、誰だよ少佐殿って。

少佐殿の言葉って何だよ。

 

「"愛してる"の意味を知りたいんです!!」

 

 

はあぁ。

ヤバいね。

本格的にヴァイオ●ット・エヴァー●ーデンと化して来てんじゃん。

 

前に一回お願いしただけなのに。

「お客様がお望みならどこへでも駆けつけます」って言ってもらっただけなのに。

 

何で今年度全俺最優秀作品賞のワンシーン再現するにまで至ってんだよ…

 

 

 

 

 

 

 

 








ワシントンキタァァァアアア↑↑↑↑↑
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。