バブールレーン   作:ペニーボイス

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ピッピ「どうかしら、坊や?私達もμ's衣装用意してみたの!」

ダンケ「chouを沢山あやせるように」

ルイス「あやし特化型の特別仕様よ♪」

ベル「ご主人様、メインディッシュは我々です☆」

赤ん坊「.…えっとね、それμ's衣装って言わないと思うよ。」

マッマ「「「「ええ!?」」」」

赤ん坊「…あのねマッマ。それμ'sやない。バーレスクや。」


Ⅲ章 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・サディア
危険なゾーン


 

 

 

 

 

『加害行為は一気にやってしまわなければならない。』

 

 ----ニッコロ・マッキャヴェリ(イタリアの思想家・外交官)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヒスパニア(史実のスペイン)

 首都近郊

 "総統"官邸

 

 

 

 

 

 

 

『慈善事業じゃない事くらい、分かっているとは思うがね。』

 

「勿論分かっているとも。だが今度の件は大変感謝している。全ヒスパニアを代表して、ロルトシート家に感謝の意を表したい。」

 

『いくらおだてあげてもこちら側の要求には変わりはない。そちら側の対応によっては更に買い注文を出そう。こちら側が金を出せば、他家も買い注文を出すようになる。それくらい知っているとは思うがね、将軍?』

 

「………()()だ。」

 

『何だって?』

 

「私はもう()()ではない、()()だ」

 

『そうか。だがどうでもいい事だ。…アドバイスをしておこう、ビスマルクとは手を切りたまえ。そうすれば他家が買い込む余地が生まれる。リスクは分散され、ビスマルクからの借金も踏み倒せるぞ?悪い事はなかろう。それでは…せいぜいよろしく頼むよ。』

 

 

 

 フレデリック・フォン・ロルトシートが受話器を置いた後、ヒスパニアの国家元首・フランシス元帥は受話器を叩きつけた。

 かなり勢いよく叩きつけたので受話器は壊れ、側に控える副官がビクつく。

 

 

「あのシオン野郎共ふざけおって!!」

 

「落ち着いて下さい、元帥。経済政策に失敗した以上、我々が体制を保ちつつ敵を排除するためにはロルトシートの支援が必要です。…ビスマルクの支援はもうこれ以上…」

 

「…クソッ!あの鉄血女が黙って資金をよこしていればこんな事にはなっておらんのだ!あの女、北方連合で政変が起こった途端に手のひらを返しおった!!」

 

「元帥、ユニオンは我々を信用していません。ビスマルクも頼れない以上はロルトシートを頼るしか…!」

 

 

 フランシス元帥は目頭を押さえ深いため息を吐く。

 

 

「………分かったおる。致し方ない、サディアの件はロルトシートの言う通りにせよ。ロイヤル海軍の少将(セントルイスファミリア)がどうなろうと知ったことではない。」

 

「はっ!仰せの通りに!」

 

「だが!ビスマルクと手を切るかはまだ決める訳にはいかん!あの女は女狐より狡猾だ。少将を始末したら、出方をみよう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 サディア帝国南方

 地中海上空

 

 

 

 

 

 もちろん、最悪の事態だった。

 自身の鎮守府襲撃の一報を受け取ってから、私とマッマ達はせっかく天城さんが用意してくれた重桜航空のファーストクラス席を5席キャンセルしなければならなかったし、ピッピとルイスはほぼ二日酔いみたいな状態で揺れるC54輸送機に乗らねばならなかった。

 ただ、もちろんそれは"序の口"で、私はというと自身の鎮守府の為に電話を掛けまくらなければならなかったのだ。

 

 

 

 はい、はい、ですが、そこをなんとか…分かりました。………クソったれ!!

 

「chou!落ち着いて!アイリス海軍は北海で演習中の船団を送ってくれるそうよ!」

 

 おお!ありがとうダンケママ!

 外人部隊といい海軍といい、最近アイリス株がダダ上がりだぜこの野郎!

 

「…申し訳ありませんご主人様。このベルファストの実力不足で」

 

 ベルが悪いんじゃない、取り決めを守りもしない連中が悪いんだ!

 アイツら今まで散々我々を頼っておいて…!

 

 

 

 私は東南アジアに経つ前に、周囲の鎮守府にもしもの時には援護をお願いできるように下準備をしておいた。

 ところがここに来て、あのクソったれ連中は渋ってやがるのだ。

 おおよその理由は予想できる。

 誰も彼もが過去の経験から鉄血海軍との確執を感じているのだろう。

 ホルタ会談と冷戦が終わった後でさえ、過去の戦いを引き摺る大馬鹿野郎どもめ!

 

 言いたい事が分からないわけではない。

 私は海軍中佐時代にも鉄血艦隊と本格的にやり合った経験も記憶もないのだ。

 他の鎮守府には鉄血海軍に自身のKANSEN…中にはケッコンしたばかりのKANSENを沈められた人間もいる。

 政治的な都合でロイヤルと鉄血が友好関係を築いたとして、ついていけないし、ついていく気もないのだろう。

「内洋でヌクヌクとしていた、情報畑の若造が。何も知らないくせに。」

 そう言いたいに決まっている。

 

 

 だが、もし、それをこのタイミングになって拗らせるのなら、最初から引き受けたりしたのはどういう訳だろうか?

 或いはハメられたのだろうか?

 実は最初から連中はグルで、引き受けたフリをして私を陥れたのだろうか?

 なんて奴らだ!

 フォースター大佐のような論外はともかく、私は前任のクソ中将が通さなかった予算の増額要請を出来る限りの範囲内で緩和して通すようにしてきたハズだ。

 つまり、私の上番によって連中は今まで買えなかった資材や装備を手に入れる事が出来る様になったのだ。

 恩を仇で返された気しかしないし、ロイヤルに帰った暁には相応の報復をするつもりでいる。

 

 

「あぁ…坊や…坊やを裏切るなんて許せnオゲェェェエエエ!!!

 

「ミニ!忘れないで!私達を頼っオロロロロロロロ!!!!

 

 ピッピ、ルイス、とりあえず貴女方から落ち着いていただけるかしら?

 そんな、ビニール袋に吐瀉物撒き散らしてる状態じゃあ頼るに頼れんし、第一マッマが心配で心配でそれどころでもないからさぁ。

 

 

 当面、ピッピとルイスが頼れない状況なので、私はダンケママンの谷間からダンケとベルを頼りにビス叔母さんへの援護を試みている。

 私が各鎮守府に電話を掛けまくっている間にも、ベルとダンケはそれぞれのツテを当たってくれていた。

 飛行機には載らず、ピッピの艤装たる戦艦ティルピッツを伴って帰還中のプリンツェフとアヴローラもそれぞれ奮闘してくれているらしく、20分前には北連KGVから全面協力を確約されている。

 ただどうにも外的勢力のご協力のみでは限度があるのは明らかで、ロイヤルの直接行動部隊を動かせる人間の協力が一番に求められていた。

 

 

 ピッピお抱えのSBSは既に出動準備中、元海軍参謀長・現統合参謀本部議長のピッ●ブルは各鎮守府の"ケツを蹴り上げて"くれている。

 だがSBSのみでは不足だし、ピッ●ブルにケツを蹴られても動かない連中が多過ぎた。

 ダンケもベルもその辺は十分に理解してくれていたらしく、その証拠にベルが次のような報告を持ってきてくれた。

 

 

「ご主人様、MI5が行動部隊の派遣に応じて下さいました…ご主人様?」

 

 

 ベルの働きに落ち度があったわけでも、ましてその報告が歓迎されざるモノだったわけでもない。

 私の耳が遠いわけでも。

 それでも一瞬凍りついたのは、あのMI5長官の言葉が未だに鼓膜に張り付いて取れなかったからだ。

 

 

『マッコール、あなた変わったわよ?』

 

 

 長官は私のスラム街消滅計画を支持してはいなかったし、考える事すらおこがましいと思っていたに違いない。

 あの人ならスラム街が謎の新兵器で消え去った理由をセイレーンによる攻撃だとする海軍公式発表なぞ鵜呑みにするわけもないのだ。

 つまり、彼女は私が過去"最悪"の作戦を決行した事を知っている。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()

 ()()()()()()()()()

 

 

「ご主人様!」

 

 はい、何でしょうベルたん。

 

「ご主人様が何をご心配なされているかは分かります。ですが、長官は決して不誠実な方ではありません。ご主人様の作戦に反対なされていたとはいえ、裏切るようなことはされないかと。」

 

 

 ……ベルの言う通りだ。

 あの長官がそんな事をするわけはないし、その根拠がないわけでもない。

 私は長官が持ち合わせていない確固たる"パイプ"を確保していると胸を張って断言できる。

 モスクワで出迎えられた時、私は国家元首並みの待遇を受けた。

 それどころかKGVの本部にすら入る事を許されている。

 長官からすれば、私の使い道はまだまだ残っているはずなのだ…少なくとも、スラム街のギャングどもよりかは。

 

 信じるべき人間すら信じられなくなる程には、私は判断力が鈍ってしまっているようだ。

 こういう時ほど有能過ぎるマッマ達が有難く感じられる。

 彼女達のサポート抜きでは、私はスターリンと化していてもおかしくはない。

 つまり…自分自身すらも信じられなくなるかもしれないということ。

 

 

 

「Mon chou、MI5とSBSが動いているし、アイリス艦隊が向かってる。そしてあなたの艦隊は強力で、ビスマルクの兵隊は世界最強クラスよ?….私たちが到着すれば、敵の攻撃は間違いなく退くことができるハズ。」

 

 

 我々を乗せるC54輸送機は特別改造が施されていて、そのエンジンは通常モデルの数倍の馬力を発揮できる。

 その輸送機は中東で一度給油して、早くも地中海へと到達しているのだ。

 我々がより早くロイヤルに到着すれば、それだけビス叔母さんへの援護も行える。

 だからこの輸送機を貸し出してくれたユニオン・CIUにも感謝のリリックが止まらない。

 もうね、マジありがとう。

 

 

 

 若干希望の予兆が見えてきて、私はようやっとツキが回ってきたという気分になった。

 ところが、その気分は長続きしなかった。

 CIUお抱えのパイロットが、悲鳴に近い金切り声を張り上げたからだ。

 

 

「後方に未確認機を確認!!衝撃に備えてください!!」

 

 

 直後に機銃弾がC54の機体を貫いて、極寒の外気を否応なく機内に押し込んだ。

 巨大な輸送機は傾き、ダンケママンは私をギュッと抱きしめる。

 後を追ってレシプロ戦闘機特有のエンジン音が耳に入り、私はダンケママンの腕と胸の間から窓の外を見やった。

 

 鉄血製のBf109A。

 この戦闘機のシリーズの最初期型だが、丸腰の輸送機にとっては間違いなく重大な脅威だ。

 なんてこったい。

 

 

「ご主人様、脱出します!」

 

 え、でも…

 

「確かにあの戦闘機が何者かは分かりませんが、こちらを撃墜しようとしているのは明らかです。旋回して次の掃射ではエンジンを狙うことでしょう。ご主人様、手遅れになる前に!」

 

 

 ベルマッマはグロッキー状態のピッピとルイスを引きずりながら機体後部へと向かう。

 ダンケママンの谷間に挟まる私が続くとそこには大きなカプセルがあった。

 

 

「こんな事もあろうかと、こちらの機材もユニオンから借用しておきました。」

 

 

 ベルはそう言いつつ、ピッピとルイスを押し込める。

 恐ろしいまでの準備の良さを見せつけられた私はこう思わざるを得なかった。

 

 ………ベル☆ベル、だいちゅき。

 

 

 

 

 

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