バブールレーン   作:ペニーボイス

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カブール&チェザーレファンの皆様ごめんなさい。
次話からはちゃんと(?)戻します。


母親病棟 〜性格母親なKANSENしかいない国家でマザコン生活〜

 

 

 

 

 

サディア帝国近海

 地中海洋上

 

 

 

 

 

 

 

「さぁて、私のピッコリーノ♪私の私のピッコリーノ♪可愛い可愛い私のピッコリーノ♪()()()ザラマッマはどうかしら?」

 

「畜生!よくも私の坊やをっ!坊やを返せ、このゲス!カス!売春婦!」

 

「あ、あの、大人しくしてくださ」

 

「グルルルッ!!」(ピッピ)

 

「う、うわぁ…」

 

「まぁ〜!怖いわね、ピッコリーノ?大丈夫、ザラマッマが一緒だから安心して♪」

 

 

 安心できるもんか。

 

 ほんの30分前、正体不明の戦闘機に襲われた我々はカプセルで輸送機から脱出した。

 そこから海上に落着するまでは無事だった。

 いや、ひょっとしたら無事だったと言うのは早計かもしれない。

 何せ、サディアのKANSEN・カラビニエーレに曳航されるカプセルに乗るマッマ達は危機的な状況にあった。

 ピッピは嫉妬のあまりヒトのカタチをしたナニカになってしまったし、ルイスは依然グロッキーだし、ダンケとルイスは魂を失った抜け殻になってしまっている。

 そして、私といえばルイスマッマ並みに豊満なKANSENの谷間で今にも押しつぶされんとしていた。

 この短い時間に何が起こったのか。

 まあとにかく、30分前に遡ってみよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 あ〝あ〝あ〝あ〝あ〝ッ!!

 お、おぢるぅぅぅぅぅ!!!!

 

「ぼ、坊や!オエッ!ママにしっかり捕まって!!」

 

 

 ようやく吐き気が治りかけたと思しきピッピが、私をダンケの谷間から奪い取って自身の谷間に挟み込み、急速落下するカプセルの衝撃から守らんと固く抱きしめる。

 変態たる私は若干アルコールじみたピッピの体臭のおかげでなんとか若干の落ち着きを取り戻せたものの、しかし急速落下特有の"タマヒュン"のせいで恐怖に襲われていた。

 

 実を言うと、私はこういった落下系イベントが大嫌い。

 ジェットコースターとかヒュー・ストンとか、ああいう類いのアトラクションは転生前も極力避けてきたのだ。

 最悪の状況に直面した私は、藁にもすがる思いで、なり振り構わずピッピの双丘を両腕でガッチリと抱え込む。

 

 

「ん♡…ヒック…坊やのエッチぃ」

 

 

 ピッピの反応などかまってはいられない。

 つーか大丈夫かこのカプセル!?

 流石にこのまま海面にダイレクトアタックとかしないよね?

 ちゃんとパラシュートとか付いてるよね!?

 

 

「ご安心ください、ご主人様!このベルベル、ご主人様のお嫌いな事も完全に網羅しております。」

 

 おおっ、流石ベルベル!

 

「このカプセルにはパラシュートが…あら?」

 

 ……ベルベル?

 

「………申し訳ありません、ご主人様。パラシュートが付いておりません…」

 

 

 直後に抜け殻になるベルベルとダンケママン。

 まあね、これからこの急速落下カプセルで海面にダイレクトアタックするとなりゃあ当然だわな!!

 

 

「…坊や♡ソノ気があるなら、最初から言えばいいじゃない♡坊やとなら…悪い気はしないわ♡」

 

 

 それどころじゃねええんだよピッピィ!!

 こちとらそんな気分でも何でもねええんだよおおおお!!

 つーか分かってますぅ!?

 ピッピもピッピでクライシスなんですよ、分かってますぅ!?

 もちっと危機感持ってもらってええですかええええ!?

 

 

 恐る恐る見下げると地中海の美しい海面がグングンと迫ってきていた。

 この美しいブルーオーシャンにミートソースをぶち撒けるのも時間の問題に思える。

 ああ!なんてこった!こんなところで死ぬなんて!

 

 

 

 

 

 そう思った直後、眼下のすぐ下に迫ったブルーオーシャンに鮮やかなオレンジ色のマットが広がった。

 カプセルはそのマットに衝突したものの、衝撃は吸収されたようで、私とマッマ達は半回転するくらいで済んだ。

 おかげで私はピッピの馬鹿デカな双丘の下敷きになってしまって呼吸が危うい状況へと追い込まれたが、しかし、ミートソースになるよりかは勿論断然だった。

 周囲の様子を伺いたかった私は、ピッピの双丘をパンパン叩く。

 

 

「ん♡あ♡ぼ、坊や♡ヒック♡焦らないで」

 

 違う、ピッピ。そうじゃない。

 とりあえず起き上がって?

 あと、そろそろ酔いを覚まして?

 正気に戻って、とりあえず。

 話はそれから。

 

 

 ピッピが起き上がり、私がようやっとカプセルの外を窺い知る事ができるようになった途端。

 視野の中に2人のKANSENが入ってきた。

 だいぶ身長差のある2人は共に銀髪で、カプセルの外から我々の事…勝手に発情してる酔っ払いピッピ、酔い潰れて寝ゲロしかけてるルイス、抜け殻状態のダンケとベル、それから困惑する私…をキョトンと見ている。

 ま、まあ、カプセルの中地獄絵図だからね。

 そりゃあキョトンとされても…

 

 

「大成功だよチェザーレちゃああああん!!!!」

 

「ウッス。さすがカブール、天才っス。」

 

 あ、あの。どうも…

 

「どーも初めまして小生はサディアの戦艦のカブールといいますぅ!!こっちは妹で戦艦の…」

 

「チェザーレっス。ウッス。」

 

 いかん、頭痛がしてきた。

 

「と、いう事であなたにはサディアの首都まで来てもらいますぅうううう!!!」

 

 ………は?

 え?

 ちょ、ちょっと待ってもらえます?

 話の脈絡がなさ過ぎるんですが、なんでこの状況で…てか、誰の許可があって

 

「許可なんてもらうわけがないでしょおおおおお!!小生は思いついたアイデアをすぐに試したいし実行したいんですぅううう!!!なのにリットリオやヴェネトは確実性や安全性がどうだのゴチャゴチャと!!小生のアイデアは芸術なんです!あのオ●ショ●共に分かってもらえなくて結構!!!」

 

 …と、特に理由はないのね。

 

「ウッス。ないっス。」

 

「それじゃあああさっそくううう、連行してチェザーレちゃあああん!!!」

 

「ウッス。連行するっス。」

 

「ちょっと。待ちなさいカブール。」

 

「なあああ!!お前はポーラあああ!!」

 

「ヴェネトに何の連絡もなしにコトを進めるとか頭沸いてるのいや沸いてるよねゴメンね気づいてあげられなくてでも普通人なら声さえかけないと思うだって見るからにヤバいしキモいしでも私は真面目な重巡だから応援してあげるよネチネチネチネチネチネチネチネチ」

 

 

 うわぁ…

 なんだか面倒くさそうな人が増えたんですが。

 カブールに容赦なくネチネチ口撃を加えていくKANSENが現れて、ついでとばかりに茶髪のKANSENと衛兵隊みたいな格好したKANSENも現れる。

 いやぁ、まさかこんな乳中海がこんな闇鍋になっているとは…

 

 茶髪のKANSENはしばらくポーラと呼ばれたネチネチKANSENの後ろに控えていたが、どうやら此方が気になったらしくチラッと視線を向ける。

 その時だった。

 気のせいだと信じたいが、茶髪KANSENの瞳が此方…それも私の事を捉えて止まる。

 

 気のせいだ、気のせい。

 何か良からぬ事が起きる気しかしないが、やはりジンクスという言葉もあるし気のせい気のせいいや気のせいじゃない。

 理由は特にないのだが、私はそのKANSENと関わったらすっげえ面倒くさい事になりそうな気がしてならなかったし、久しぶりにある直感が働いていた。

 その直感はやがて警鐘となり、そしてその警鐘は茶髪KANSENが此方へ向けて近づくに連れて大きくなっていく。

 

 

「………」

 

 

 茶髪のKANSENが私を見下ろしながら立ち止まる。

 もう十中八九ヤバい気しかしない。

 

 

「………ん、しゅ、chou?大丈夫?」

 

「どうやら、皆様ご無事のようですね。」

 

「おっ、オブえっ!ミニ?あれ?ここは?私達さっきまで東南アジアにおぶええええっ」

 

「ルイス!しっかりして!坊やに掛かったら大変おぶええええっ」

 

 

 ピッピの谷間から這い出た私の背後では、マッマ達がようやく目を覚ましたり覚まし切れていなかったり釣られ嘔吐したりしていたが、申し訳ない事に私はそちらへ神経を向ける事ができないでいた。

 近づいてきたKANSENから目が離せないのである。

 やがて彼女は口を開き、私の直感の正しさというモノがどれだけ正確かという事を、私自身に改めて思い知らせたのだった。

 

 

 

 

 

 

「………ピ」

 

 ピ?

 

「ピッコリーノ?」

 

 

 

 

 

 はぁああああ。

 

 イタリア語でピッコロとは小さなものを指す。

 ドラゴ●ボールの緑の奴ではなく。

 つまり、その、ピッコリーノという言葉が示す言葉は…

 

 

『私の男の子』※意訳

 

 

 じゃねえええよおおおおおお!!!!

 

 

「あ〜↑私の私のピッコリーノじゃない!!覚えてる!?あなたの幼なじみよ!?」

 

 

 茶髪KANSENが自身の事を指差しながらそんな事を言ってくる。

 幼なじみ?

 いやおかしい…この娘と面識なぞあるわけ…あるわ。

 

 なんでや。

 なんでそうやってすぐ海馬に色々と後付けで書き込んでいくんや。

 今さっきアップデートされた海馬には、まだ子供の頃によく通っていたサディア料理店の店主の娘な女の子との出会いと別れの鮮やかな記憶(ハートフルストーリー)が記されている。

 なんでこんな事するの?

 人の海馬なんだと思ってんのよ本当に。

 

 

 

「…いえ。幼なじみ、ってだけじゃないわね。」

 

 

 ……またか。またなのか。

 また"ああいう類いの"宣言をされるのか。

 私は不安だったし、今日の不安はよく当たる。

 

 

「私はあなたのマッマでもあるわ♪さて、ピッコリーノ。あなたにまた会えるなんて…ザラマッマはとっても嬉しいわ♪」

 

「ぼ、ぼ、坊やと幼なじみ!?」

 

「chouとめんしきぃー…」

 

「私より前にご主人様とぉ…」

 

「オブええええ…」

 

 

 突如繰り出されたサディア帝国重巡・ザラの母親宣言。

 茫然とするピッピ。

 再び抜け殻になるベルダンケ。

 また二日酔いが悪化したルイス。

 

 肝心の私はというと、辟易していた。

 

 ハイカロリーすぎないかい、色々と。

 

 

 

 

 

 

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