バブールレーン   作:ペニーボイス

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ショタっ子・エンペラー

 

 

 

 

 

 サディア帝国

 帝都 チッタ・エテールナ

 

 

 

 

 

 

 ピッピもダンケもルイスもベルも、勿論馬鹿でかい胸をお持ちである。

 だから、これ以上いくら胸の大きな大きな女の人の谷間に埋められようとも動じずにいられる自信はあった。

 変な言い方だが、これ以上的確に私の胸中を表現するのは無理だろう。

 画面の前の諸氏が疑う余地もなく、私は変態であり、変態であって、変態なのである。

 

 

 だが、幼なじみマンマ・ザラとの出会いはその自信を一蹴してしまった。

 彼女の胸は、前途の4大マッマにはない特徴を持っていたのだ。

 

 それは…『密度』である。

 

 今ザラマッマの谷間に埋められている私は左右から凄まじい圧と重量を感じていた。

 別に彼女が圧を上げているわけでもなく、それどころか彼女は普通に立っているだけなのである。

 しかし、それでも私は左右から圧迫されていて、これは私が全くのシラフであることを考えると幻覚や幻影の類ではあり得ないのだ。

 左右から強制される、なめらかすべすべ肌、温かな体温、柑橘系の爽やかな香り…やはり間違いない。

 私はまったくもって"正常"だ。

 

 さて、私を挟むザラマッマはというと、サディア皇帝執務室の前で衛兵に皇帝との面会を求めている。

 執務室からは怒号とは言わないまでも言い争いに近い会話がなされているようで、当然の事ながら衛兵達はお引取りを願っているようだ。

 しかし…お引き取りを願いたいのは…ひょっとすると執務室の会話だけが原因なのではないのかもしれない。

 

 

 ザラマッマの背後には究極の殺意を煮えたぎらせている4大マッマが控えていた。

 地中海洋上でザラマッマに私を取られて以降、彼女達は私のニューマッマへの不信感を隠そうともしていない。

 この帝都へ連行されて、シャワーを浴びて回復したはいいけど…復活した途端から保護が重い。マジで勘弁してほしい。

 

 

「クッ…坊や…私の坊や、待っていて、すぐに助け出すから…」

 

「chouの幼なじみとはいえ、いきなりの母親宣言とはかなり無粋ね」

 

「油断したわ…ミニの幼なじみ…まさかそんな手があったなんて!」

 

「完全に盲点でした」

 

 

 あなた様の目は節穴でございますか?

 

 あのね、盲点じゃないのよ、盲点じゃ。

 むしろ頗る順当過ぎて困っちゃうレベルなのよ。

 もうこの際言っちゃうけどさ、いきなりママとか言われてみ?

 そっちの方が訳わかんなくない?

 言っちゃ悪いけど、まだ幼なじみがママって言い出す方が順当でしょうが鎮守府で出会った最初の女性がいきなりママとか言い出す方が無粋でしょうが!!!

 

 いいかい、ママ達。

 別にザラにエコ贔屓したい訳じゃないんだよ。

 でもね、幼なじみっていう、順序を追った好意の寄せ方をしてくるザラはすっごく受け入れやすいのよ。

 あんたら順序もクソもなかったじゃん?

 エンペリア●級ウォーシップがハイパース●ースジャンプしてきた並の好意の寄せ方だったじゃん?

 困惑すんの当然じゃん?

 

 

 ただ、勿論、4大マッマには随分と助けられてるし順序がどうであれ大ちゅきだからそんな戯言は胸の中にしまっておく。

 しまってはおくけども暴れるようなら容赦なく解き放つからな?

 いいな?

 大人しくしててよ?頼むよ?

 

 

 

 さてさて。

 

 ザラママは必死に衛兵への説得を試みている。

 衛兵も衛兵で決して人を通すなと厳命されているのだろう。

 職務を果たさんとする彼らは立派だが、しかし、私としては早く退けて欲しかった。

 ビス叔母さんはまだ私の鎮守府を守るべく戦ってくれているだろうし、私は送れた援護が充分だと自信を持っていうことができない。

 

 だから、いつだかベルがそうなったように危機的な状況に陥ったビス叔母さんを引き続き援護できるように、電話機を貸してほしい。

 そう、正直言って皇帝と直々にお話するようなお願い事ではないのは分かってる。

 だが、ザラマッマは私を拘束してこう言ったのだ。

 

 

「残念だけど、ピッコリーノ。あなた達は今、サディア国家警察の管理下に置かれたわ。ザラの許可があるまで軽率な行動はしないで頂戴?」

 

 

 スパイ扱いかよ!

 とは思ったものの考えてみれば我々、ユニオンCIUの輸送機から飛び降りてきたのである。

 疑われるのも当然か。

 ひょっとしてあのBf109はサディアの…流石にそれはない。

 CIUが領空通過許可の取得ミスなぞするわけもないだろう。

 

 

 とにかく、今私にできることと言えば…焦ったくて仕方ないが…ザラマッマがどうにか説得に成功する事を祈るだけ。

 幸い、祈りは通じたようだった。

 

 

「陛下は国を左右するお話合いをなされております、何卒ご理解ください。」

 

「じゃあ、陛下に伝えてもらえるかしら。"ザラが解決策を持ってきた"ってね。」

 

「!?」

 

 

 衛兵は迷った末、申し訳なさそうに執務室へ入っていく。

 二言ほどの非難に、衛兵の弁明と思しき声が続くと、やがて衛兵が扉の前へ戻ってきた。

 

 

「陛下にお許しいただけました。」

 

「ありがとう」

 

 

 ザラマッマと私、それに4人のマッマ達はサディア帝国の象徴たる皇帝陛下の執務室へと足を踏み入れた。

 

 中には4人の人物がいる。

 まず、正面のデスク。

 ピッピ並みに美しい銀髪をした豊満な女性がこちらを見ている。

 新聞・ニュースで散々サディアの中心的人物と捉えられていた彼女の事を見間違えるわけもない。

 彼女はまさしく、ヴィットリオ・ヴェネトだった。

 

 彼女から向かって、右手、我々から見て左手には緑の髪をした凛々しい女性が立っている。

 私は彼女のことも新聞の写真で見たことがあった。

 "女たらしの"リットリオ。

 過去の軽率な言動の割には、その行動は野心家で有能に思える物が多い。

 

 反対側には盛大な勲章を山ほど身につけた国防大臣が見え、そして最後の1人はやはり真正面にいた。

 

 

 

 サディア皇帝は即位時、僅か7歳であった。

 当然後見人が必要で、そしてその後見人は彼自身の望みと民衆の望みが一致した事により、彼の希望通りの人選となったのだ。

 ヴィットリオ・ヴェネトに支えられる、サディア帝国の新しい皇帝。

 

 そして、新しい時代を任された大いなる幼き皇帝は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヴェネトママの谷間にいやがった。

 

 台無しだよ。

 過去最悪級の期待の裏切り方だよ。

 幼くして皇帝になるってんだから、ラスト・エ●ペラー的なサムシング思い浮かべたくなるじゃん?

 なんか、こう、幼いなりにも威厳を保とうと奮闘してみたりとか。

 市井の生活に触れてみたりしたがるお年頃チックというかなんというか。

 後見人のいいようにはされまいと頑張りながら、後見人よりも民衆の支持を集めていく感動ストーリーというかなんというか。

 そんなのを期待していた私の純情を返しやがれこの野郎。

 

 後見人にベッタベタじゃねえか。

 グリスとアロン●ルファ塗りたくったんじゃねえかってぐれえベッタベタじゃねえか。

 ベッタベタもベッタベタよ。

 つーかさ、ヴェネトさんもヴェネトさんでマジ何なんですか?

 変な…歪な時代の変遷とかにまで合わせる必要はないからね?

 寧ろ合わせず、地中海を守ってきた、どこの勢力にも飲み込まれないオリジナリティとインデペンデンス溢れるお方でいらしていただきたい。

 

 

 

 私の内心なぞ知るわけもなく、私とマッマ達を連れてきたザラママは極々ナチュラルにヴェネトの目の前まで歩みを進める。

 

 

「ザラ、不審者の回収はご苦労様です。でもその不審者をこの子の眼前まで連れてきたのはどういうわけかしら?」

 

「…セントルイスファミリア少将のことなら知ってるでしょう?」

 

「ええ。」

 

「この子がそうなの。」

 

「………」

 

 

 目を細めるヴィットリオ・ヴェネト。

 ふざけてんのかって顔してるリットリオ。

 話にならんって顔してる国防大臣。

 そしてヴェネトの谷間から手を振ってくれるショタ皇帝…おい、なんだその「やっと仲間を見つけた」みたいな顔は。

 

 まあ、ザラママが何の脈絡もなく私の事をロイヤルの少将として紹介したのだから、それぞれの反応は当然の

 

 

 

「なるほど。その子がセントルイスファミリア少将というわけですね。」

 

「その通り。飲み込みが早くて助かるわ。

 

「ザラ、あなたの幼なじみの話を何回聞かされたと思って?それに、あの伝説的な"対外諜報顧問"が赤児になったという話なら、もう既に欧州中に知れ渡っていますわ。」

 

 

 えぇ〜、それはそれで困るな。

 

 

「約束しましょう、ヴェネト。私のピッコリーノなら問題を解決できる!戦争を始める前に、せめてチャンスを!」

 

「世迷言を言うな!…陛下!国防大臣として申し上げます。サディアが優位に立っている現状こそ最大の好機です。躊躇する事なく、どうかご決断を!」

 

 おいコラ待てや。

 なんや戦争って。

 まさかとは思うけど、我々が東南アジアで色々やってる時にこっちでもなんかあったの?

 ビス叔母さんクライシスな時に地中海もクライシスになってたの?

 ねえ?教えて教えて?

 

「大臣、陛下は私ではなくこの子です。決定はこの子の意思でなくてはなりません。」

 

 

 私の懸念をガン無視して、厳しい顔を国防大臣に向けるヴェネトママン。

 その7歳児に一国の国運を託すのもどうかと思った私だったが、直後、私は自身の偏見というものを恥ずべきこととなる。

 陛下は、私もよくそうするようにヴェネトの豊満な谷間から這い上がり、国防大臣にこう問いかけた。

 

 

「だいじん、ぼくらがぐんじてきゆーいにたてるのは…いつまで?」

 

「はっ!50時間後までです!それ以降我々は軍事的優位を失い、介入の機会もなくなります!」

 

「…わかった。じゃら(ザラ)!きみのむしゅこ(息子)さんに48じかんあたえる!それまでにヒスパニアとのもんだいをかいけつせよ!」

 

「有り難き幸せにあります、陛下。」

 

 あ、あの、すいません。

 質問、よろしいでしょうか?

 

「初めまして、少将。不審者扱いしたご無礼をご容赦ください。何しろ、この24時間で状況が目まぐるしく変わってしまいまして。」

 

 何があったんです?

 

「………ヒスパニアがデフォルト(債務不履行)を宣言しようとしています。」

 

 ・・・うっわ。

 

「流石、噂に聞くだけはありますね、少将。貴方ならこの意味がご理解いただけるかと。」

 

 理解したくはありませんがね。

 

「坊や、私達にも分かるように説明して?」

 

 わかったよ、ピッピママ。

 ヒスパニアは軍事政権になってから、経済政策で行き詰まって債務を重ねている。

 借入先の第一位は鉄血、第二位はサディア。

 そのヒスパニアが借金の返済が不可能だと宣言しようとしてる。

 

「…つまり?」

 

 ピッピ、ビス叔母さんは鉄血財界のリーダー的存在で、冷戦時代から親鉄血派のフランシス元帥を支援するために国内の資金を募ってた。

 それが今回破綻するってことは、ビス叔母さんが鉄血での信頼を失うって事になりかねない。

 最悪の場合、誰かがビス叔母さんの代わりに立とうと考えるかも。

 

「なっ…。もしかして、坊や。これはロルトシートの…」

 

 間違いない。

 大方、もう既に債務管理の為の組織でも作ってる事だろう。

 

「一説によると、ロルトシートはロイヤルで『ヒスパニア債務管理局』という組織を立ち上げたそうですわ。」

 

 

 私の予想を補強するようにヴェネトが付け加える。

 そうなると間違いなく計画的な"攻撃"だ。

 こういうのも悔しいが、ここのところロルトシート家の強大さを味合わされてばかりだ。

 北方連合、東南アジア、私の鎮守府。

 次いでとばかりにヒスパニアか。

 

 

「ビスマルクは間違いなく追い込まれます。ヒスパニアの破綻は彼女の信頼を傷つけるどころか破壊しますわ。」

 

 そして、貴女方サディアはヒスパニアの破綻を防ぎたい。

 なんたって、鉄血に迫る途方もない額を注ぎ込んでるわけだから。

 

「それもそうですが…より重大な問題もあります。3時間前、ヒスパニアが"海峡"を封鎖しました。」

 

 か…海峡を!?ジブラルタル海峡を!?

 

「ええ、そうです。恐らく我々への譲歩を求めての行動でしょうが、海峡の半分を管理するロイヤルをも刺激しています。無論の事、ロイヤルは既に艦隊を派遣しています。」

 

 目眩がしてきたぞ…

 

「残念ですが、ここでは終わりません。北連黒海艦隊は貴方の鎮守府の援護のために出航したばかりですが、もしヒスパニアの封鎖が解かれない場合は強行突破しようとしています。そして、ユニオンが同盟諸国への面子を保つために地中海艦隊を展開しました。…かなり深刻な状況です。」

 

 …逃げていい?

 

「お願いします、少将。サディアとしてもヒスパニアとの戦争は最終手段なのです。我らの海(地中海)は火薬庫どころかガスタンクになってしまいました。小さな戦闘が世界大戦に発展しかねない。」

 

 

 簡単にまとめると、ビス叔母さんが二重の意味で危ない状況だし、ヒスパニアとサディアの戦争が始まりかけてるし、それがきっかけでロイヤル・ユニオン・北方連合を巻き込んだ世界大戦になりかねない。

 特にユニオン。

 紛いなりにもヒスパニアの同盟国である以上、北方連合の強行突破を許すわけにはいかないのだろう。

 対する北方連合も北方連合で、私への援護という任務があろうがなかろうが座視するわけにはいかない。

 世界に名だたる黒海艦隊を地中海で止められるのは、朝食に小便をかけられるようなもの(耐え難く屈辱的)だろうから。

 

 

 ヒスパニア人のせいで、私はあまりに危機的な問題に直面しなければならなかった。

 だが、世界大戦を回避するという大きな任務があっても、ほかの…それもすぐ目の前にある問題を無視することはできない。

 私はザラママにお願いすることにした。

 

 とりあえず電話貸して、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




すいません。
にわかが書いた文章なんで経済学的になんだソレってのが多分あると思われますすいません
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