フランスのどっかの街角
気づけばフランスのどっかの街角にいる。
いや、そもそも導入それで入ってんだからそりゃそうだろうよって話なんだろうが。
アズールレーンの世界だと、フランスはアイリスという名の勢力として描写されていたりする。
でも私の知る限りここはフランスだ。
ダンケママならここをアイリスって言うかもしれないし、アズレンのSSなんだからアイリスって書けやと思われるかもしれないが、私はアズレン世界から現代社会に帰ってきたはずである。
だからここはフランスのはずだ。
だってほら、トリコロールあるじゃん。
そこら中トリコロールまみれじゃん。
ここまでフランス国旗を前に出しておいてフランスじゃねえとは言わせねえ。
まぁ、とにかくフランスだ。
フランスのどっかの街角の、よくテレビとかで見かける類のカフェテリア。
その中で私はダンケママと、更にはもう1人のKANSENと向かい合って座っているいやおかしいそんなわけはない!
記憶が正しければ私はダンケママのお腹の中に突っ込まれた。
例によって、ダンケママがどうやって私をその母胎の中に引き入れたのかという記憶は消去されているが…しかし確実にダンケママのお腹の中にいる確信がある。
つまりここは私とダンケルクの精神世界。
そう、言うなれば『
このママリックスの世界に入り込む方法は二つ。
ダンケルクとお連れさんになんらかの血縁関係があるか、あるいはお連れさんの方も私と共にダンケルクの胎内にぶちこまれているか。
2人目のKANSENに呆気に取られていると、SDキャラ・ミニダンケルクがトテトテとやってきたが、これがまさしく私がダンケママのお腹の中にいる証拠でもある。
「……もんしゅう!ごちゅーもんは?」
あ〜可愛いなSDダンケちゃん、私はアークロイヤルじゃないし奴のような趣味もないがそれでも可愛らしい。
なんというか、こう、大きなメニュー表を頑張って運んできてる様がまさに癒しの塊なんだよねところで何このグランドメニュー、ブリタリ●百科事典並の厚さなんだけど。
SDダンケちゃんから差し出された分厚いグランドメニューを受け取って"飲み物"の項目を開く。
あまり細かいことは気にせず、コーヒーか何か飲んでとりあえず一息つくか。
『お飲み物 グランドメニュー
・お冷
・羊水
・羊水ブレンドコーヒー
・羊水アメリカンコーヒー
・羊水ウィーンコーヒー
・"カフェ・ダンケルク"バリスタの厳選ブレンド 〜ダンケルク産の研ぎ澄まされた羊水と共に〜
・羊水紅茶
(ダージリン、アールグレイ、アッサム各種ございます。当店自慢の羊水と共にどうぞ。)
・"カフェ・ダンケルク"名物『母性のカフェラテ』
当店バリスタ厳選ブレンドを健やかなる羊水で淹れ、ダンケルク自慢の母n』
私は泣いた。
頭を抱え、次に顔を覆い隠し。
周囲の目など憚ることなく、ただただ泣き喚いた。
なんだこれは。
これは一体なんなんだ。
どこか私の理解の追いつかないことが、理解し難い何かが目の前には並べてある。
これは一体何なんだろう。
私はどうしてこんなものを見ているんだろう。
突然泣き出した私を心配そうに見ているダンケルクにそのお連れさん、そしてSDダンケちゃん。
何故心配されないといけないんだ、メニュー表を見たら分かるだろう?
そんな…そんな、「メニュー表におかしな事でも書いてあったの?」みたいな顔をするんじゃない。
おかしなことしか書いてないだろ誰がどう見ても!
「………とりあえず…私はカフェラテをお願い。アルジェリーは?」
「私は…紅茶をお願いしようかしら。」
「すとれーととみるくのどちらになさいますか?」
「せっかくだから、ミルクティーを頼んでみるわ。…ダンケルクの指揮官は何か頼まないの?」
ダンケルクのお連れさんがそう問いかけてくる。
あなたもあなたで何かおかしいとは思わないのだろうか?
しかし私の同じようにメニュー表を開くその表情からは、何ひとつさえ異常を感じ取っていないことが窺い知れる。
もう嫌だ。
心の底からそう思うが、しかし喉が渇き始めたのもまた事実。
致し方あるまい。
「あの………ダンケちゃん、この"お冷"ってのは冷えた羊水のことかな?」
「あっはは!ダンケルクの指揮官は変なこと言うのね!冷えた羊水なんて美味しくないでしょう?」
「はい!それはよーすいじゃなくてふつーのおみずです。」
「とりあえず、このお冷を頼むよ。」
「もしかして……Mon chou…私の羊水は………いや?」
「……………ぅぅぅぅぅぅううううううん、そうじゃなくて、何か冷たいものを飲みたくてさ。」
「ああ!そうよね、羊水を使うとどうしてもホットになっちゃうから…次はコールドでも美味しく飲めるように改良を加えておくわね、Mon chou!」
加えなくて良い。
世の中には時としてそのままにしておくのもまた一つの選択肢だったりするものがある。
これはその典型だ。
そもそもどうしてあなた様はそうまでして私に羊水を飲ませようとなさるのか。
此度の羊水危機は無事に回避され、SDダンケちゃんがトテトテと厨房に戻ってからカフェラテ、ミルクティー、お冷をプレートに乗せて持ってくる。
私達はそれぞれ自身の頼んだものを取ると、一口飲んでから話し合いが始まった。
「さて、Mon chou。今日はあなたに紹介したい人がいるわ。」
「えっとぉぉぉ…アルジェリーさん、だったっけ?」
「ええ、そうよ。どうぞよろしくね、Mon poussin。」
「こちらこそよろしくオイコラ待て今何つった?」
「え?…だから…よろしくね、Mon poussin♪」
Mon poussin…平たく言えば「可愛いヒヨコちゃん」。
おフランスのご婦人方がご自身の子供に対して使う愛称だったような…………
ま た か よ。
ナチュラル過ぎないかい、いちいち。
何だって君達毎回毎回私のマッマだって主張をしなきゃ気が済まないのかなぁ!?
良いじゃんたまにはマッマ以外の何かになってみるってのも一つの手だと思うよ?
てかこれ以上マッマ増やしてどうすんのよ!?
言っとくけど今までマッマ宣言もらったのってピッピ、ルイス、ダンケ、ベル、ザラ、アヴローラ、ポーラ、チャパエフ、プリンツェフ(オイゲン)、それに重桜のヤベェ奴らにユニオンの脳筋戦艦勢その他諸々いるんですよ!
下手するとその全員から母胎の中に押し込みたいと思われてる可能性があるわけよ!
こんなん日替わりで五人ローテされるだけで発狂の数歩手前なのにその上で増やすの!?
しかも母胎の中で増えんの!?
なんで初対面がダンケの母胎の中なんだよ色々とおかしいだろうが!!!
「あ、どうしてここにアルジェリーがいるのか不思議なのね、Mon chou?」
「う、うん」
それ以前に色々と不思議な事が盛り沢山なのだが。
「アルジェリーは既にあなたのマッマだから、こうして精神世界を共有できるのよ?そう考えたら不思議じゃないでしょう?」
………いや、不思議だよ?
なんでそんな説明で私が「あ〜!なるほど!」って言うと思ってる感MAXな顔できんだよ。
アルジェリーもアルジェリーで静かに目を瞑ってミルクティー啜ってる場合じゃないからね?
何でそんな…なんというか名探偵が事件を一件落着させたみたいな態度してるんだい、まだ何も解決してないぜ?
つーかそれダンケのミルクティー(意味深)って書いてなかったっけ、普通お友達のミルクティー(意味深)一切の躊躇なしに飲めるもんなの!?
ああ、だめだ。色々と疲れる。
諦めた。
致し方なかろう。
どうせここでマッマ増やすんじゃねえとかなんとか喚いたところで
「どうしてそんなこと言うの、Mon chou!?…セントルイスの教育が悪かったのね!こうなったら私が産み直してあげるから!」
とか何とか言って母胎に押し込んで放り出すという恐ろしいイベントが始まるだけだろう。
だからそんなことになる前に負けを認めてしまった方がいいような気がする。
「まあ…そういうことだから、改めてよろしくね、Mon prussian♪」
「よ、よろしくお願いします…」
「あっ………もうそろそろ、ここから出ないといけないみたいね。それじゃあ、Mon chou。お外に出ましょう。」
ブリブリブリブリブチチブシャアアアっ!!
ネチョっといた粘液に塗れて、顔を真っ赤にしたアルジェリーマッマの目の前にいる。
いや、やっぱりおかしいだろ。
ダンケママのお腹の中に突っ込まれたはずなのに、何がどうやったらアルジェリーの方から飛び出して来れるんだよ。
色々と頭がおかしくなりそうなので、もうこれ以上は何も言わないことにする。
それにしても………はぁぁぁ………次は羊水コーヒーかな。