バブールレーン   作:ペニーボイス

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「それアレだろ?元ネタはネズミが出てくるフランス料理店のやつだろ?最早原型留めてなくて分かんねえだろうが。」


----------ジャン・パ(以下略


マミーのおいしい朝ごはん

一夜城。

 

ラブホテルの名前ではない。

ありそうだが、少なくとも私は見たことがない。

 

豊臣秀吉が築いたとされてきた墨俣城の事だ。

実際は、その城は前々からあったのだが、江戸時代に流れていた通説では、秀吉が一晩で構築して敵を驚かせたという事になっていたらしい。

 

 

 

まあ、それはさておいて。

 

久々に指揮官執務室に戻った私の眼前にも、墨俣城ができていた。

もっとも、この場合の墨俣城は石垣と堀のあるジャパニーズトラディショナルなお城の事ではなく、眼前に広がるより近代的な陸軍駐屯地の事だったが。

 

既に立派な隊舎が並んでいて、戦車や大砲は綺麗に並べられていた。

あたりにはドイツ軍特有の山岳帽を被ったヒヨコ達が「あぁ、やっと終わったぜ」的な雰囲気で休んでいる。

 

 

昨日の昼前に到着して、今日の朝に駐屯地まで作り終わった、だと?

鉄血のヒヨコはバケモノか!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昨日はあの後、夕食食って風呂入ってゲームを楽しんでマッマのお歌を聴いて、寝た。

うん、そのとおり。

敷きピッピ敷きダンケ、掛けファスト掛けルイスで寝た。

もう慣れてる自分が恐ろしい。

 

ただ昨日から寝る前のお歌の時間にはバイオリンやチェロの伴奏が入るようになってしまった。

ピッピのソプラノが終わるまで寝落ちは許されない状況となってしまった。

ピッピママ、ここまで来たら逆効果では?

 

 

ああ、そうそう。

昨日の夕食はハンバーグだった。

ご丁寧にハンバーグの上にはロイヤル国旗が掲げられ、お子様プレートそのものだ。

 

ただ、昨日のハンバーグは何か…カリカリとしたものが混入していた。

食感が面白かったので、これが何なのか尋ねてまわったが、誰にも言明を拒否された。

何か怖い気がするけど、深く考えないでおこう。

知らぬは仏、そう言うこともある。

マッマ達がコソコソと「ナイト」だの「ポーン」だの言ってた気がするが、きっと別の話だろう。

 

 

朝はピッピママに「さあ起きて、可愛い私の坊や」と起こされ、顔を洗い髭を剃って朝食を待つ。

 

そして朝食の準備ができた後、セントルイスが用意してくれたソーセージとスコッチエッグと、ダンケルクが小麦を挽くところから始めて作ってくれたバケットとを、ベルファストが細心の注意を払って作ってくれたロン●フェルトのセイロンで流し込んだ。

 

風味の変わったソーセージだった。

薬草でも混ぜたのだろうか?

セントルイスとダンケルクがまたコソコソ声で「チェイサーを取り込めば…」とか「やっぱりスカベンジャーの方が…」とか言っていた。

薬草の名前だろう、きっと。

信じよう。信じる事が大事。

 

セイロンティーも、今日はいつもと違ったなぁ。

 

と、いうのはベルファストは私がストレートを好むのを知っているから、レモンとミルクは添えてあるだけって事が多いんだけど。

今日に限っては問答無用でミルクティーになってたのが少し不思議だ。

 

ベルファストの表情もね。

ミルクティー飲んでる時に恍惚な顔をして見られてたような気がしないでもないが、まあ、気にしないでおこう。

アーメガフッテモキーニシーナイーぐらいの軽い気持ちで行こう。

深く考えて真実に辿り着いた時、私にはその真実に耐えられる自信がない。

 

 

 

さて、朝食の後にはプリンツ・オイゲンがやって来た。

軽度の健康診断をされ、傷の状態を確かめられる。

 

「ふふっ、立派なハゲが出来るわね。」

 

クソぉ嘲笑いやがって。

とは言いつつもプリンツ・オイゲンは丁寧に包帯を外し、傷口をこちらの痛みが最小限に抑えられるように消毒し、新しい、より清潔なガーゼに変えて真新しい包帯で包んでくれた。

処置の一つ一つに思いやりが滲み出ていると言っても過言とは言えないであろう丁寧さだった。

 

 

もう復帰していい?

 

「死・ぬ・わ・よ?」

 

いや仕事が好きとかそんなんじゃなくていい加減暇人過ぎてどうにかなりそうなんですよ。

もう十分寝たし、ちょくちょくゲームとかやってたし。

 

ゲームの方は、FPSオンライン対戦の同じサーバーにロングアイランドがいたせいで速攻で飽きた。

 

あいつ上手過ぎる。

近接武器のみでキル:デス=42:3ってどう言う事?

チート使うでもなく、ツルハシとシャベルだけでどんだけ殺してんのよ。

私の分身であるオーストリア=ハンガリー兵も可哀想な事にツルハシで3回、シャベルで1回殺された。

足音を銃声に混ぜるのがあまりに上手過ぎて誰も気づけないのだ。

 

分隊のメンバー達と共に何度かロングアイランド狩りを試みたものの、分隊員達は1人また1人と消えていき、気づいた時には私の分身もツルハシの餌食になっていた。

もうここまで来るとバ●ルフィールドつーよりかはデッド・バ●・デイライトだね。

 

 

 

そんな訳で早くも本格的に暇なのだ。

ロングアイランドが無双しているサーバーに首突っ込むのも飽きたし、3日間を睡眠に注ぎ込んだおかげで眠いわけでもない。

 

 

「ふーん、そう言う事なら…ティルピッツ 達の観察下でなら、"復帰"しても良いわよ?ただし無理は厳禁。力仕事も厳禁。ちょっとでも悩むような判断も厳禁。ペンを持つ事さえ厳禁。」

 

いやそれ何もできな

 

「死・ぬ・わ・よ?」

 

 

あー、何となくわかったぞ。

どうやら今回の件で過保護になったのはマッマ達だけではないようだ。

鎮守府にいるほぼ全てのKANSENが過保護の塊と化してしまった可能性が高い。

 

プリンツ・オイゲンは感情の起伏が表に出ないので、気づかなかったのだろう。

まあ、伏線はあったけどね。

この間まで無警告で採血してたぐらいのドS路線走り出してたのに、さっきの手当ては保健室の先生だったもんね。

 

 

 

 

まあ、何とかプリンツ・オイゲンの許可も出た事だしマッマ達と一緒に指揮官執務室へ行きましょう。

そういえば昨日のヒヨコ達どうしたのかな、天幕でも張って露営したのかなぁって話をピッピとしてたら目の前に墨俣城が出来てました。

 

すっごーい!建築が得意なフレンズなんだね!

 

「フレンズ?何を言ってるの?私たちは家族じゃない。」

 

ピッピママ 、頼むから右ストレートとかやめてくれよ。

もう家族でいいから。

うん、家族だから。

だから、やめて?

シャベル持って追いかけ回したりとかはしないで。

絶対しないとは思うけど。

 

 

「はいはい、それじゃ皆、仕事にかかりましょう。Mon chouのローテーションは…今日はMk.Ⅴでいいわね?」

 

「ご主人様の為ならば。」

 

「異議なしよぉ〜」

 

 

なんなんだ、Mk.Ⅴって。

なんで私の取り扱いについて既にローテーションスケジュールが組まれてるんだよ。

 

いつから和解した?

いつから和解して、皆一つ屋根の下で仲良く面倒見ましょうみたいなEUチックなプレゼンスが功を奏し始めたの?

いつから戦争ばかりだった欧州のこれまでの歴史を振り返り経済的・軍事的にも深く結びついて大国に対抗すると共に人々の心の中に平和の砦を築いていきましょう的なアプローチに入ったんだ?

 

 

どうやらMk.Ⅴの場合、最初に私の"面倒を見てくれるのは"セントルイスのようだ。

 

「指揮官くん、はい、あ〜ん。」

 

ルイス、ありがとう。

でも朝の9時からバニラアイスは流石にキツ…おっと目がマジだぞ大人しく食べておこう。

 

このバニラアイスを拒否するならサキュバスが淫魔と呼ばれる由縁を教え込もうかしらウフフ的なナニカが感じ取られた。

 

「どう?おいしい?」

 

美味しい美味しい。

 

「本当!?良かった、初めての手作りだったから少し不安だったのよね。遠慮せずにもっと食べていいのよ?」

 

あははは、どうもありがとうセントルイス。

私がバニラアイス食べてる時のセントルイス

も恍惚な表情をしていた気がするが気のせいだ気のせい。

『深く考えない、このポリシーは走り続ける。』

 

 

「失礼します、指揮官はいらっしゃいますか?」

 

引き続きセントルイスにバニラアイスを食べさせていただいている最中に、エンタープライズが郵便局員そのもののバックを肩に掛けて入室してきた。

 

「あ、指揮官。貴方宛のお手紙です。」

 

「手紙なら後にして!今、指揮官くんにはわt…んんんっ、デザート食べさせてあげてるところなんだから!」

 

そんなムキになる必要ないだろセントルイス。

ってか何か重大な事実に直面するところだったかもしれない気がするが気のせい気のせい。

『深く考えない、このポリシーは走り続ける』

 

 

「そんなっ、どうか受け取ってください!届かなくても良い手紙なんてないんです!」

 

うん、そうだね、ヴァイオ●ット。

受け取ってあげてセントルイス。

 

「仕方ないわねぇ。」

 

 

セントルイスが手紙を受け取り、無事仕事をやり遂げたヴァイオ、違うな、エンタープライズは颯爽と次の配達へ。

 

私はセントルイスから手紙を受け取ろうとしたが、セントルイスは私には渡さずに中身を開け始めた。

 

 

「ダメよ、指揮官くん。プリンツ・オイゲンからも言われてるでしょぉ?」

 

そこまで?そこまで厳禁?

 

手紙は先にセントルイスの目で確認された。

 

「皆んな、ちょっと来て。」

 

セントルイスは私には内容を告げず、他の3人のマッマを集める。

集まったマッマ達全員が、セントルイスの持つ手紙を見て目を丸くした。

最初に口を開いたのはピッピ。

 

 

「これはっ…」

 

どうしたの、ピッピママ。勝利の味?

 

「午後から統合参謀本部議長がいらっしゃる!急いで準備を!!」

 

 

いくらなんでも急過ぎるだろ。

バルバロッサ作戦かよ。

 

 

 

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