バブールレーン   作:ペニーボイス

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「普通に育てなさい」


----------ジャ以下略




………………………………………………………

今回は戦後広島を描く某漫画がパロディされますが、話題となっているあるグループのクソTシャツの一件とは何の関連性も持たせたつもりはありません。

あの漫画は戦後間もない日本を知る上での良い資料となる側面も持ち合わせておりますので、機会があれば是非一度目を通してみてください。



保護下で育つ青い麦

ダンケルクと一緒にドーナツを食べている途中、しびれを切らしたかのように残りのマッマ達が突入してきた。

 

「ダンケルク貴様あああああ!!!!!」

 

「『もうMon chouと口聞かない!』とか言ってたくせにぃぃい!!!許さないわよおおお!!!」

 

「ご主人様にちょっと慰められて調子のりやがってえええ!!!それに加えて"ご主人様独占禁止法"を反故にした事、どないして落とし前つける気じゃボケェェェエエエ!!!」

 

 

ベルファストのキャラ崩壊がいつにも増して激しい。

はだしの●ンを思い出した。

アレに出てくる広島ヤクザそっくり、というよりまんまアレだわ。

 

つーか私の独占禁止法ってなんだ、おい。

市場か?

私を巡る為替の値動きとかでもあるのか?

私の帰属問題というクッソどうでもいい事の為にわざわざそんな反トラスト法紛いのもの作ったのか?

 

『夏のスュクレ』を着て、今まで私をその神の祝福を受けし豊かな双丘に挟んであやしていたダンケルクが、いきなり真剣な顔をして立ち上がった。

 

どうやら、あやしんぐタイムを邪魔されて相当不機嫌になったらしい。

食事中に中学生に頭からソースをぶっかけられた元帝国陸軍の軍曹みたいな勢いで怒鳴りだす。

 

 

「上等じゃ!!かつては夕陽の燃える仏蘭西でェ、独公相手に勇名馳せたァ鬼戦艦・弾蹴苦(ダンケルク)が相手になったるわ!!!」

 

 

きっ。

きちがいじゃあ、きちがいじゃあ〜。

ダンケルクは一体どうしたんじゃ、きちがいになってしもうたんか!?

 

わしゃどうしたらええんじゃろうか!?

あの洋食店の乱闘みたいに、弾蹴苦(ダンケルク)の後ろで「そうよ、倉●さんやったりんさい!」とか言えばええんじゃろうか?

 

どうにかせんといかん!

乱闘が始まってしまう!

執務室がまた壊れる!

明石が泣くッ!

 

おぉ、ロングアイランド!!

ちょうどええとこに来てくれた!!

こいつ等を止めてくれ!!

 

 

「………………ク、クレイジィ。」

 

おい、ロングアイランド!?

米軍基地の監視役のアメ公かお前は!?

そうやってわしらを見捨てるんか!?

お〜い!!戻ってこ〜い!!ロングアイランド!!

一生のお願いじゃあ!!きちがい達をどうにかして止めてくれい!!!

 

「覚悟せえやぁ弾蹴苦!!!」←注:ピッピ

 

「わしら相手にしてええんかい!?」←注:ルイス

 

「ご主人様盗んだ事後悔させてやるけぇ」←注:ベル

 

「おうおう、かかってこい!かかってこい!わしはやると決めたら徹底的にやる主義じゃけんのぉ!!」←注:ダンケ

 

 

やめんさい!!やめんさい!!

そんな事で喧嘩してどうするん!?

 

ロングアイランド!!

マジで頼む!!

私の部屋がはだしの●ンになる前にマジで助けてくれ!!!

いや、はだしの●ンから仁義なき●いになる前に!!

早う!!!!

 

 

 

 

 

 

 

「では、改めて。公正にご主人様をあやす為に、只今よりレクリエーションタイムとさせていただきます。」

 

進駐軍(ロングアイランド)が介入した結果、はだしの●ンは回避できたが、突如ベルファストの提案により、レクリエーションタイムが始まった。

あの、いや、ベルファスト?

演習まであと何日か分かってやろうとしてる?

 

 

「ご心配には及びません、ご主人様。ウィンスロップ子爵鎮守府には、ユニオンの調査隊が入る事が決まりました。崩壊も時間の問題でしょう。安心してあやされてください。」

 

 

へえ、ついに奴も年貢の納め時かぁ。

まあ同盟国から不審の目で見られたのならいくら貴族でも、もうどうにもできまい。

流石に内実がそのまま外に出る事はないだろうが、奴は確実に追い出される事になるだろう。

 

結局、アホタレは自分の首を自分で締める形となってしまったわけだ。

ざまあねえぜ。

 

ただ、どうにもアホタレが生き延びそうな嫌な予感がする。

そしてこれまで嫌な予感に限って的中してる感じがする。

 

いいや!ただのジンクスだ!

あんな事してタダで済むハズはない!

マッマ達には散々心配かけたし、ここはベルファストの言う通りにしよう!!!

 

 

 

 

それにしても、"安心してあやされる"というパワーワードね。

 

逆に安心せずにあやされるって何なの?

いつ身に迫るか分からない危険に震えながらベルファストに抱きついてガラガラでも振ってもらえばいいのかい?

抗うつ剤でも飲んで紙袋で過呼吸抑えながらピッピママの子守唄でも聞けばいいのかい?

 

もう想像すらできないよ。

 

そもそも絶対にあやす前提で話をしないと気が済まないのかい?

 

雨が降ろうと槍が降ろうと砲弾が降ろうとあやさないといけないっていう熱意がすごく伝わってくるんだけど。

その熱意はもっと他に向けるべきじゃないのかな。

 

 

で、レクリエーションって具体的に何やるの?

平日の昼間からレクリエーションやろうとしてる時点でまさに税金泥棒なんだけどさ、何をしようとしてるんだい?

 

 

「そうですねぇ…ご主人様はよくFPSをプレイされているようですので、皆で一緒にやりましょう。ご主人様は固定、私達の内の2人ずつワンマッチ交代でやりましょう。」

 

うん、良いんだけどさあ。

もうちょっとUN●とかジェン●とか、ザ・レクリエーション的な事の方が良かったんじゃないのかな。

おっさん1人囲んでゲームして楽しい?…楽しい、わかった、もうこれ以上は聞かない。

 

 

かくして、セーフティルームには3台のテレビと3台のプ●ーステーションⅣが持ち込まれてインターネットに接続されたのであった。

 

5台ずつ持ち込んだ方が良かっただろ、って言ったら、ピッピから「ゲームしながらじゃ集中してあやせないじゃない!」って言われた。

集中してあやす、とは何なのだろうか。

より良いあやしは集中を要するということなのだろうか。

 

 

考えても仕方ないので、私はいつもやるようにプ●ーステーションⅣの電源を入れてFPSゲームのソフトを挿入した。

 

まあ今まではロングアイランド以外とやった事なんてなかったから、たまには良いんだろう。

 

ちょうど3人入れるサーバーがあり、私とマッマ2人…最初はピッピとダンケ…はそのサーバーに参加した。

 

 

どうやら舞台はあのヴェルダン要塞になりそうだ。

あちらこちらで火の手が上がっていて、まさにウェルダンなヴェルダン。

唐突に仕掛けた親父ギャグはマッマ達によって見事にスルーされる。

おっちゃん、寂しいなぁ。

何か反応してくれてもいいじゃん。

 

 

やがてマッチに参加することになり、私はヴィルヘルム2世の鉄血軍に配属された。

ピッピママも鉄血軍で、ダンケルクはアイリス軍側だった。

 

「えっ!ちょっ!チームを移れないっ!"定員に達した"?何よそれ!!Mon chouを援護出来ないじゃない!」

 

諦めろダンケ。

いいじゃないか、君の祖国の軍隊なんだから。

 

「仕方ないわねぇ。」

 

「坊や、援護は私に任せて?」

 

ダンケが少ししょんぼりした返事を返し、対してピッピは上機嫌。

その間、ルイスがバニラアイスを持ってきて私に食べさせ、ベルが耳かきをする。

 

耳かきしてもらってる所申し訳ないけど、操作しづらいからやめて?

画面を横に見ながら操作できるほど私は器用じゃないんだよ?

そんな悲しそうな顔しないで。

すっごく罪悪感。

 

 

 

当の私はというと、突撃兵を選択し、MP18とルガー拳銃を握りしめてヴェルダンの地に降り立つ準備をしていた。

 

既にダンケもピッピも戦場へ馳せ参じている。

遅れてなるものか。

私は同じ分隊のピッピから分隊リスポーンを利用して、ヴェルダンの真っ只中へ飛び込んだ!

 

………そして直後に死んだ。

 

 

「やったあ!Mon chou、見て見て!ルベル・ライフルでさっそく1人倒したわ!」

 

うん、よかったね、ダンケルク。

それは私だよ。

 

「そ、そんな!坊やがっ!私の坊やがっ!いやあああああッ!!!」

 

ピッピ、頼むから、落ち着いて。

キーボー●クラッシャーかお前は。

何度でもリスポーンできるんだから。

本当に死んだわけじゃねえんだから。

 

 

半ば発狂したピッピママが、MG15機関銃を腰だめで撃ちまくりながら敵の陣地へ前進し、既に10人ほどキルしている。

援護兵の説明文読んだ?

突撃には向かない(個人差)って書いてあったと思うんだけどさ。

 

「よくも私の坊やをおおおお!!楽に死ねるとおもうなあああああ!!」

 

おっと、過保護☆バーサーカーになってしまったようだ。

これ以上のツッコミは避けるべきだね。

 

彼女に感謝すべきなのかどうかイマイチ分からない。

私の事を想ってくれるのはありがたいんだけど、別に狂戦士にならなくてもいいじゃないの。

ただのゲームなんだから。

 

 

「あはっ、あははははっ!わ、私!Mon chouをこの手でっ、あはははっ!あはっ、あはははははっ!」

 

ダンケルク、頼むからゲームで精神崩壊しないで?

心をしっかりと保って?

 

貴女のMon chouは今横で次のリスポーン地点を選ぼうとしてんだよ?

そこでくたばってんのは迷彩ヘルメット被った私の分身の鉄血兵であって、私本体じゃないんだよ?

これで発狂されたら私の持ってるゲームのほぼ全てにおいて発狂要素満載という事になるじゃないか。

 

とりあえず、落ち着こう?ね?

とりあえず、深呼吸しようね?

とりあえず、鎮静剤飲もうね?

 

 

 

 

もう、重い。

一つ一つがあまりにも重過ぎる。

マッマ達の重たい重たい、マウス超重戦車並みの重たい愛がアクションを一つ起こす度に伝わってくる。

 

ゲームに限った事じゃないし、その重たい愛に何度も助けられたことがあるんだけどさ。

 

レクリエーションの時ぐらい肩の力を抜こうぜ?

こんな地獄みたいな絵面のレクリエーション見たことある?

レクリエーションの本来の意味を失っていないかい?

何で私への愛を示す機会みたくなっちゃってんの?

何で楽しいレクリエーションが愛の重さの修練場みたくなっちゃってんの?

 

 

 

ワンマッチさえ終わっていなかったけど、私はゲームをやめることにした。

 

プ●ーステーションⅣのコントローラを置いた時、部屋の中はまさに阿鼻叫喚だったからだ。

 

ごめん、ごめんよ、マッマ達。

 

もう、少なくとも…マッマ達の前でFPSはやらない。

 

そして自立の道を選ぶ事もなく、貴女達マッマの良い息子であり続けます。

 

だからおねがいします。

 

落ち着いてください。

 

 

 

 




「あの漫画の一番好きなところは、戦後広島の描写の緻密さでも、少々左寄りな作者の思想でもなく、日々クレイジーな事を率先して楽しんでるくせに他人が同じようなことをしてると『き、きちがいじゃあ』とか言ってドン引きする主人公のライフスタイルだね。」


----------私の親しい友人の一人



許可はもらいましたからね!一応!

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