「略すとママパンってそれママの下着感半端ないだろうが」
----------ジャン・パール(アイリス戦艦)
で、この汽車ポッポは何ですか?
ロイヤル鉄道激おこぷんぷん丸だったでしょ、ねえ?
ただでさえ通常ダイヤ回すの大変なのに、こんな列車走らせるとか言ったらそりゃあもう激おこ案件ですよ。
それもロイヤル王室関係者とか、政府高官とかのためじゃなくて、ただの一中佐の為にこんな御召列車使うとか言うんだからさ。
私は今、走る要塞みたいな列車に乗せられて自らの鎮守府へ向かっていた。
行きは普通の列車だったんだから、帰りも普通の列車で良いはずなのに、マッマ達は何を考えたのか装甲列車を用意したのだ。
もう…ほんとさぁ。
過保護の度を超し過ぎじゃないでしょうか?
どっからこんな列車持ってきたのよ。
どっからこんなジャナ●ール運んだのよ。
場違いじゃん?
決定的に場違いじゃん?
ただただお家帰るだけなのにジャナ●ール乗って帰るって甚だ場違いじゃん?
さっきから反対からすれ違う列車の乗客が「いよいよ世界大戦か!?」みたいな顔でこっち見てくんのよ。
完全にこっちが海軍大将か何かだと思って敬礼してくるおっさん、おばあさん、お子様がいるわけよ。
もういらない誤解招きまくってんのよ。
「坊やが心配する事は何一つないし、ロイヤル鉄道だって全然怒ってないわよ?」
え、ピッピ、本当に?
「ええ。列車自体は私の私物だし、線路も自前だもの。」
あー、それなら良かっ………今何つった?
「だから、全部自前よ。線路は鉄血鉄道社に依頼して敷設してもらったし、列車も鉄血鉄道社が廃車にしようとしてたのをオーバーホールして私の使わなくなった艤装を乗せただけ。」
いや、あの、線路敷くのって無茶苦茶金と時間かかる…
「鉄血の技術力は世界一ィィィイイイ!!!お金も姉さんにお願いしたわ♪鎮守府のお金は一切使ってないから安心して、坊や♪」
安心できない。
ピッピのお姉さんから後で無茶苦茶責められるパティーンじゃないのかそれは。
「そんな事ないわ。姉さんだって『あら意外と安いのね』って言ってたぐらいだもの。」
次元が違い過ぎて感覚が狂ってるんじゃないでしょうか。
そもそもね、妹の頼みとはいえただのおっさんの為にフル武装魔改造御召列車と専用路線を用意する為だけに、よくもまあそんなポンポカ資本投資できますね。
回収できない資本投資をよくもまあそんなポンポカできますねぇ!!
「強いて言うなら……ロイヤル鉄道じゃなくて、ロイヤル国防省のお偉方が戦慄してたくらいかしら。」
「そ、それは仕方ないと思いますよ、ティルピッツ。鉄血鉄道社の鉄道敷設能力を見れば、上陸されたら負けというのが嫌という程伝わりますから。」
「アイリスも陸軍が降伏してから早かったもの。Mon chou、信じられないでしょうけど、今ではアイリス鉄道の路線より鉄血鉄道の路線の方が多いのよ?(ヴィシア勢力内に限る)」
いや、怖っ。
そりゃあ怖いでしょ、だって自国のインフラ整備能力の数十倍早い建築能力見せられたら怖くて夜も寝れねえよ。
ほんと、もう、なんなの?
鉄血バケモノ過ぎないかい?
大人サイズのベビーカー即席で作ってみたり、陸軍駐屯地を一夜で作ってみたり、一日そこらで新しい路線作ってみたりさあ。
「ちょっと作ってみた」感覚で常に時代の最先端をリードするスタイルやめろとは言わんからもうちょっと出し惜しみすべきでは?
「ふっ。坊や、鉄血の技術力さえあれば…あなたを完璧にエスコートする事ぐらい造作もないのよ?」
使い道。
技術力の使い道。
世界征服夢じゃないレベルの技術力結集できるくせに、使い道が私のエスコートっておかしいでしょ?
もっと、こう、有用な使い道とかあるんじゃないの?ねえ?
資本と技術の甚だ甚だ甚だしい無駄遣いだとは思わんかね?
「いいえ、全然。」
「Mon chouったら変なこと言うのねえ。」
「指揮官くんの安全以上に重要な事ってある?」
「鉄血に渡すのも癪ですが、ご主人様の為なら植民地中から集めた資源ぐらい喜んで引き渡します。」
わかった、わかった。
もう何も言わない。
ところで、プリンツェフ(プリンツオイゲンの渾名。勝手につけました)。
高雄と赤城の薬指、うまく行きそう?
「指揮官、鉄血は技術だけじゃなく医療もトップクラスなのよ?…あ、何度も言ったけどこっちは見ないように。死・ぬ・わ・よ?」
見ただけで死ぬって何よ。
私ゃあなた様にお2人の薬指の修復をお願いしただけなんですけどねえ。
死ぬの?見ただけで死ぬもんなの?
「マッコール殿、これは見ない方がいい。正直言って…」
「グロい」
わかった、見ない。ぜってえ見ない。
ヤンデレサイコパス赤城が心の底から響くような声で「グロい」言うくらいだから、わしゃあ見ない。
グロいの苦手だもんぼくちん。
正直言って、モンドラゴンで撃たれたとき、一番嫌だったのは傷口抑えた左手の感触がグロかった事だもん。
アレを鏡で見てたら多分卒倒してたわ。
「ふぅ、上手くいったわ。あと1時間もすれば傷口も見えなくなるわ。」
「……おおっ、拙者の左指が」
「マッコール様……いえ、新しい指揮官様……
この赤城、一生ついて行きます。」
「さて、指揮官。分かってると思うけど、治療費は高額よ?この私の腕じゃなきゃ、こうまで上手くできなかったでしょうからね。」
お、おお、プリンツェフ。
そ、そ、そ、そうだね、良き仕事には対価が伴うもんね。
「その通り。指の修復処置、2人合わせて€●●●●●●●●●●になりまぁ〜す。」
おっふ…………私(海軍中佐)の年収、何年分なんだろうか………
いかん、頭痛がしてきた。
この世界に来る前の年収なら、軽く30年ローンだね。
「ふふっ、冗談よ…って言いたいけど、今回は本当に取るわよ?たーだーしー」
は、はい。
「今なら特別価格で手を打ってあげるわ。」
!?
まじですか…10%割引くらいはしてくれるとか?
「いいえ、そんなんじゃないわ。わたしが、あんたを30分間好きにする!!」
何だその王様ゲームは!
「それとも€では・ら・う?」
あ、王様ゲームでお願いします。
「ふふふ、それじゃあ…」
30分後、私はプリンツェフに抱きかかえられて思いっきりあやされてました。
あのさあ、€●●●●●●●●●●の代償がこれかい?
いつでもできるんじゃないのかい?
「できないわよ。あんた、四六時中あの4人組にあやされてるじゃない。わたしもあんたをあやしてみたかったのよ。」
な、なるほど。
見ればマッマ達4人組は揃いもそろって唇を噛んでこちらを見ている。
「私だって坊やを完全独占できた事は少ないのにっ!」
「Mon chouと2人きりでアレコレできたの、あのセーフティルームの時だけよっ」
「指揮官くんと2人きりなんてベッド下でしか…」
「私の私室が指揮官執務室になった時に、邪魔さえ入らなければっ!!」
あんたら毎日毎日、朝から晩まで殆ど一緒じゃん。
何もそんな涙目になる事ないじゃん。
おい、ピッピ、泣くな、泣くな、泣くでないっ!!
プリンツェフはとても律儀で、きっかり30分で私をマッマに返納した。
まあ、いつも通りの軽い争奪戦を繰り広げている間に、列車は鎮守府の最寄駅に到着。
すっごいしょげたマッマ達と共に列車を降りた。
あーあー、あの装甲列車と線路どうすんのよもったいない。
「列車も線路もロイヤル鉄道に寄贈されるわ。」
なるほど、だから政府からの妨害もなく許可も降りたわけか。
よく見れば線路はまだまだ延々と続いている。
おそらく、ポーツマスからロンドンあたりまで繋がっているのだろう。
しかしまあ、本当にゴージャスすぎるだろビスマルクお姉様。
列車と路線ってそうそうポンポカ投げられるもんじゃないでしょ。
マッマ達に四方を囲まれて、完全なるVIP待遇で駅を出ると、Ⅳ号戦車H型の車列に迎えられた。
……………はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、ピッピぃ。
『ご苦労様、中尉。坊やの特別仕様車は前から何番目かしら?』
『5番目です、閣下。』
制帽被ったいかにも戦車隊指揮官チックなヒヨコの案内で、私は5番目のⅣ号戦車に乗り込む。
ちなみに、プリンツェフと高雄、赤城は6番目、その他重桜KANSENの皆様は増加装甲型のハノマグに乗り込んだ。
私は装填手席に乗せられ、ピッピが車長席、ダンケが砲手席、ルイスが通信手席、ベルが操縦手席に乗る。
いや、ひっろ。
戦車って普通機材やらゴチャゴチャしてて狭いもんでしょうが。
「特別仕様車だもの。砲弾のスペースを削って、席を上質なものに取り替えてあるわ。すべて、貴方の為よ。」
ありがとう、ありがとう。
ここまでしてくれるKANSENも中々いたもんじゃないよ、ピッピ。
でもここまでやる必要は
ガンッという音が聴こえて、私は言葉を詰まらせる。
キューポラから外を見れば、シュルツェンがこちら側に凹んでいるのが確認できた。
た、対戦車ライフル!?
「ほら、やっぱりこれぐらいはしておくべきよ。各車、パンツァー・フォー!!!」
ピッピの掛け声で、10両ものⅣ号戦車と、同じくらいの数のハノマグが一斉に動き出す。
もうピッピはドイツ語での会話に切り替えて各車に指示を出していたから、私はルイスからヘッドセットをもらって何が起きているのか確認を試みた。
『隊長車、こちら"ローエグリン3"。敵の対戦車チームを発見!』
『隊長車了解!坊やを狙った事、後悔させてやりなさい!』
『ローエグリン3、了解。砲手、2時の方向、距離700、榴弾!…フォイアッ!!』
直後に長砲身75mm砲の爆発音と、同軸機銃の発砲音が聞こえてくる。
『こちらローエグリン3、対戦車チーム沈黙!引き続き警戒します!』
『隊長車了解、鎮守府まで気を抜かないで。』
ね、ねえ、ピッピ、どういうことか説明してもらえるかい?
もしかして、また、あのアホタレの仕業?
「アホタレなら猿轡嵌めたまま放置してきたじゃない。」
それはそうだけど
「えっとね、坊や。実はノースカロライナから連絡があって、北連諜報部が暗殺リストに貴方を加えたって教えてきたの。」
ま、マッジ!?アホタレの次は北方連合かいっ!?
直後に爆発音がして、今度は戦車が左右に揺れる。
対戦車ライフルではない、おそらく対戦車砲とか、そういう類。
ピッピがドイツ語で怒鳴る。
『先頭車、報告しなさいっ!今のは何!?』
『こちらローエグリン1!ロケット砲の類かと思われますが…おそらくPIATです!』
PIAT!?厄介だなぁ。
バネで成形炸薬弾飛ばすとか英国面丸出しすぐるwwとか笑う人も多いけど、おかげでロケット推進式みたいに派手な後方爆風が出ることはないし、発射する場所も選ばない。
車列は街中に差し掛かっていたから、尚更厄介だ。
『こちらローエグリン8!11時の方向、黄色い建物っ!おそらくそこですっ!』
『隊長車了解、発砲に適した車両はいるか?』
『ローエグリン2、応戦します!』
いやあ、待て待て待てっ!
疑わしきで砲弾ぶっ放すでないっ!
ちゃんと確認を
また爆発音がして、車体が大きく揺れる。
『黄色い建物からの発砲を確認!砲手、目標11時、距離500、榴弾!フォイアッ!!』
また爆発音と同軸機銃。
もう、私は黙ってた方が良さそうだね。
ふぁああああ、一時はどうなることやらと思ったけど、無事に到着して何よりだわ。
結局、PIATによる攻撃の後もPTRSらしき物による攻撃や、迫撃砲による攻撃、果ては57mm砲にまで狙われたけど、戦車隊が暴力的な火力を発揮して叩き潰してくれた。
もう、ピッピには感謝感謝。
しかしまあ、北連諜報部とは厄介な相手を敵にしてしまったもんだ。
てか私が狙われる理由は何?
「きっと…坊やも実態を把握している1人だからよ。」
そうか…もうヤンなっちゃうね。
鎮守府到着して受け取った第一報が、ローレンスが自前の地下施設で蜂の巣にされて見つかったという死亡記事。
地下施設で放置したのは確かに私だけど、PPsHの71連マガジンを一本叩き込んだのは私じゃない。
マッマが気を利かせてくれなきゃ、私も蜂の巣だったって事かぁ。
「安心して、坊や。あなたは私が守るわ。」
うん、ありがとう、ピッピ。
ありがとう、ありがとう。
だから、そろそろ双丘プレスはやめようか。
………肉塊になる。