バブールレーン   作:ペニーボイス

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ロングアイランド「指揮官さん、私は何もしない事をしているよ」

マッコール「いや、それはそれで問題だから。ちゃんとお仕事も」

ロングアイランド「それは風船より大切?」

マッコール「………しばしば」


最終話 マッマと大人になった僕

 

 

 

 

 

ふぅ、寒い寒い。

 

雪が降る冬の夜は驚くほどに冷える。

 

 

私は、この雪の降る寒い夜に、ロイヤルの首都郊外の小道を、駐車場から新しい自宅へ向かって歩いていた。

 

二つの選択肢を差し出された私は、辞職の方を取った。

ピット●ルが少し寂しそうな顔をしたが、書類自体は受け取り、サインをして、私は制服を返納してから鎮守府を去った。

まあ、私がこっちの世界に来てから僅か3週間の間だったが離れるときは少し寂しかった。

後任は若い士官で、きっと彼なら上手く切り盛りしてくれるだろう。

 

 

ついにKANSENを率いる(?)仕事から離れ、今では一人歩いている。

そう、私の身の回りにKANSENは一人として居なくなった。

もうKANSENと会う事は、あるにはしてもかなり少なくなる。

 

だが、別に寂しくはない。

何故なら…………

 

 

 

強い北風が吹いて、私は少し身を縮め、あまりの寒さに「さっぶ!!!」と声を漏らす。

一人で歩く夜道にそれが響き、余計に寒さを引き立てたが、じきにそれは収まった。

つーか、あったかい。

 

 

 

「坊や!風邪引いたら大変でしょ!ほら!ママのコートであったまりなさい!!」

 

さっぶ!!!と言った瞬間に、白い大きなコートの両端が、後ろから私を覆った。

次に豊かな双丘が後頭部に当たり、恒温動物特有の暖かみを感じる。

嗅ぎ慣れた香りに包まれて、私は安心した。

それはとても、とても。

 

 

 

あぁ、本当にあったかいよ、ピッピ。

 

「そうでしょう?着いてきて良かったわ。」

 

着いてきたってどこから着いてきたの?

駐車場から?

 

「ええ、そうよ。」

 

じゃあ、車を止めるとこも見てたわけだ。

 

「もちろん!いつもの駐車場に、相変わらず完璧な駐車をしてたわね!」

 

嘘つけいっ!いつもの駐車場は今日工事始めたから止めとらんのじゃいっ!

 

「げっ」

 

本当はどっから着いて来たんじゃいっ!

正直にっ!正直に話せいっ!

 

「ええっと…ミルバン11番地から。」

 

職場からかよ…

 

「坊やの職場で待ち伏せて、そのまま気づかれないように車のトランクに忍び込んで、坊やが車降りてからそっと降りて、ずっとストーキングしてました。」

 

 

車降りた時点でいつもと違う場所だって気づいても良いと思うんだけどさあ…

 

 

 

それはさて置き、私の新しい仕事場はロイヤル首都のミルバンというところにある。

『ロイヤル保安局』…通称"MI5"が私の新しい仕事場だ。

 

対外諜報顧問という、重々しい肩書きを与えられているが、実際にやっていることはただの連絡役だった。

 

 

 

ユニオンで副大統領が昇格した後、チェイブル首相は会談を申し出た。

その会談には、ユニオン新大統領の他に自由・ヴィシア両アイリス政府、鉄血、重桜の代表も含まれていた。

 

後に『ホルタ会談』と呼ばれるようになるこの会談で、チェイブル首相は私の元いた時間軸の同一人物に勝るとも劣らない偉業を成し遂げた。

 

彼のおかげで、世界は2度目の大戦を経験せずに冷戦に突入出来たのである。

 

恐ろしいのは北方連合の勢力の強大さで、ホルタ会談側引っくるめても張り合えるというのが信じられない。

 

あと20年もすれば核戦争スレスレとかなりそうだが、セイレーンの活動が再燃してきた以上、しばらく人類間の本格的な争いは諜報レベルだろう。

 

 

私は鎮守府指揮官時代のコネクションを利用して、ホルタ会談側の各諜報組織と連絡を取り、協議して、北方連合からの諜報を防いだり、逆に諜報作戦を仕掛けられる可能性を探ったりしている。

 

まあ、鎮守府時代と同じで、ぼくちん殆ど仕事してません。

CIUから私の担当官として再派遣されたノーカロさんが、秘書としては過剰過ぎるほどの有能ぶりで殆ど捌いてくれます、私の存在意義。

 

つーか、なんで私は各国諜報組織の間で有名人になってんの?

「北連をロイヤルから追い出した英雄」って私本当に何もしてないからね?

ただ椅子座ってエクレア食ってただけだからね!?

 

 

 

 

まあ、仕事の話はこれくらいにして、マッマ達がどうなったか話しておこう。

 

彼女達は、『KANSENをやめた。』

 

しばしば国際的取り決めは、自国内の規則を凌駕する。

海軍規則では、彼女達は国に帰らねばならないが、KANSEN協定では自由意志が認められているのだ。

特に、ケッコン済みのKANSENは自由意志がらかなり尊重される。

 

そういうわけで、彼女達は『KANSENをやめた上で、自由意志によりロイヤルに残る』事が認められたのだ。

 

あ、一応KANSENとして続けたいかは確認した。

そしたら口々に、「最近目がボヤけた」やら「最近腰が痛みやすい」やら「もう歳かも」やらの理由でKANSENを続けていく自信がないと答えた。

嘘つけこの野郎。

 

 

尚、重桜の"元"KANSEN達も回収できた。

明石が届けてくれた重い木箱の中身は、大量のケッコン指輪で、それはある名門貴族から送られていた。

アーサーさん、ありがとうございます。

息子さんの仇みたいなもんだから心底嫌われてるかと思ったから、ちょっとビックリしたけどね。

『私生児とはいえ、私の息子があなたを殺そうとした。あなたが手を掛けたのではない事は知っている。これで息子の罪は許してやってほしい』

むり、泣きそう。

 

 

 

 

要するに、私は鎮守府丸々従えて、新しい職と身分まで手に入れて、悠々自適な生活を始めたのだ。

 

ピッピのお姉さんから寄贈されたデカ過ぎる家に皆んなで住み、今のところ幸せに暮らしている。

 

 

 

家に帰った瞬間、ミニマッマ達が出迎えた。

 

「「「「パパァ〜、おかえりぃ」」」」

 

誤解を産む表記。

 

「あら、お帰りなさい、あなた。」

 

イラストリアス、せめて服を着てくれ。外は寒いんだから、家の中とはいえ下着はやめようよいい加減。

 

「おおマッコール!今夜はすき焼きだぞ!」

 

ありがとう加賀さん。

 

「赤城とお姉さんと高雄ちゃんも手伝ったのよぉ〜」

 

それはとても楽しみだね。

 

「しきかーん☆いっくよおおおおおおお☆」

 

やめて、レパちゃん、その鉄球は投げずに下に置いて?

 

「騒がしいわねえ。少しは静かにできないの?」

 

「本当にゃ。」

 

「何かが来るのを感じるだろう…地を這うような……」

 

やあ、プリンツェフ、明石、ロングアイランド。

ロングアイランド、そろそろ別のゲームやったら?

 

「だからブルストは黒いのが良いんだよ!」

 

「うるさい!卿はウィーン風が好みのハズだ!」

 

「少佐の言葉の意味をっ」

 

「エンタープライズさん、マッコールさんはもう少佐でも中佐でもありませんよ?」

 

「正気に戻れ、戻るんだエンタープライズッ!」

 

「モオオオオオオッ」

 

「はいはい、よしよし、もう少しで着くわよ」

 

グラーフツェッペリンとパイロット2人はソーセージ作ってるし、フォルバンとワシントンが未だヴァイオレットなエンプラさんを抑えているし、牛さんがヘレナに連れられて室内牛舎へ向かっている。

 

カオスだね、うん、良い意味でカオス。

良い意味で混沌。

言語がゲシュタルト崩壊なのは今に始まった事ではない。

 

こうして、一つ屋根の下、女の子達が活発に過ごすのは側から見ても心地よいものだ。

 

そして何より…

 

 

「おかえり、Mon chou!」

 

「今日も頑張ったわね、指揮官くん。」

 

「ご主人様、ウェルカムコーヒーならぬカムバックティーです。」

 

 

嗚呼マッマ、嗚呼嗚呼マッマ、嗚呼マッマ。

 

本当の本当に大好き。

 

 

 

「私達もあなたが大好きよ、坊や!」

 

ピッピが背後から正面に回って、私を抱きしめてくれた。

 

 

 

あぁ、もう、本当に、もう。

 

これなんてエロゲ?

 





3ヶ月の間、この駄文を読んでくださり、感想まで下さった方々、本当にありがとうございました!!

設定ガバッてる上にまとめ方が雑だった気もしますが、どうにか最後まで書くことができました。
これも皆様のご指導のおかげかと思います。

今後はポツポツと番外編を書けたら書いていく予定では一応あります。
どうしようもなく暇な時に目を通していただけたら幸いです。

誠に有難うございました!
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