バブールレーン   作:ペニーボイス

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今回は少しばかり趣味に走りまくって好き勝手書いたので、知識不足によるクソ記述があるかもしれませんが所詮クソにわかの文章だと生暖かい目で見守っていただけると幸いです。。。


チェッ!28歳で革命!?

 

 

 

 

 

ふぇあああああ〜あったけえええええ〜。

 

冬のロンドンからカリブの南国なんかに来たもんだから、飛行機から降りた瞬間には汗をかいていた。

急いでコートを脱ぎ、同行したノーカロさんからクリスタ●・カイザーを受け取り、そしてハンカチで汗を拭う。

1月のコィバ共和国の気温は約20℃。

まあ、常夏の島と言われるだけはある。

 

 

残念ながら、観光をしに来たのではない。

今回の海外任務にはノーカロさんとピッピについて来てもらったが、その目的は『20年後の核戦争危機を予防するため』だ。

史実ではギリギリで回避されたキューバ危機だが、この世界線では回避するとは限らない。

よって私は今、史実におけるキューバよりよっぽど早く革命が起きて、しかも成功してしまったコィバ共和国という南国の島に来ているのだ。

 

この国に来るのに何が大変だったかって、クリント・●ーストウッドを説得すんのと、ルイスマッマから猛反対された事だね。

ユニオン大統領はアレルギーどころか被害妄想なんじゃないかってくらい容共的な人物を嫌ってたし、ルイスマッマは親ユニオン政権を打倒した出来立てホヤホヤの革命政権と話すなんてどうかしちゃったの指揮官くんとか何とか泣き叫びながら止めてきたから良心が引き裂かれそうになったんだ。

 

事実、私はM1ライフル銃を持った男達の前に立たされていたし、彼らは決して友好的な表情をしていなかったのだが。

 

 

「これは何だ!」

 

革命戦士が私のアタッシュケースをとことん調べ上げ、私自身気づかぬうちに改造されていたアタッシュケースの底裏から女性用の下着とマッマ臭液と思わしき小瓶を発見した。

あの下着の色は…。

ルイスゥ〜〜〜。マジで頼むぜぇ〜〜〜。

あれほどやめてくれって言ったのにヨォ。

 

 

「ああ、それは私の下着よ。小瓶は持病の薬。」

 

ピッピがナイスフォロー。

しかし、革命戦士は警戒を解かない。

 

「じゃあ何でこの男の手荷物に入ってる!」

 

「私の荷物がパンパンだったから、入れてもらったの。」

 

「仕事仲間とはいえ、男の手荷物に下着を預ける女がどこにいる!?」

 

「ただの仕事仲間なんかじゃないわ。私は彼のケッコン相手、そして何より…母親よ。」

 

「!?………」

 

 

おぉい、ピッピ。ケッコン相手だけで充分だよ。

ナイスフォローが一気にぶっ壊れちゃったよ。

革命戦士が「ん?は?どういうこと?」的な顔つきのまま止まってんじゃねえかよ。

ぜってえ怪しまれる要素を余計に一つ加えて

 

 

「羨ましっ!!!!」

 

 

革命戦士はそう言ってアタッシュケースをバァンッと閉じた。

もうそれ以上何も言いたくない。

羨ましいってどういう意味かとか、何で悔しそうにしてるのかとか、考えたくもない。

 

 

そうこうしてるうちに手荷物検査は終わり、肝心の人物がやってきた。

革命家のイコンになったとも言えるその人物は、よく描かれるように葉巻を加え、顎鬚を蓄え、そしてオリーブドラブ色の野戦服を着ている。

彼は後に禁煙宣言を出して実行するが、それは1968年の事。

つまり、今はまだハエやアブから顔面を守る為に始めた葉巻をバカスカ吸ってる頃だ。

 

 

フィデル・ガストロ。

コィバの親米独裁者、アナスタシオ・アル=バリスタに反乱を起こし、革命を成し遂げた人物。

 

史実に沿って言うならば、この人物は現時点では容共的な部分はあっても共産主義者ではないはずだ。

カストロがソ連へ接近し出すのは、アメリカを訪問してアイゼンハワーから冷遇された後。

それまではアメリカとも友好関係を望んでいたのだ。

 

 

本音を言えば、アナスタシオ・アル=バリスタがコィバの独裁者をやってた方がずっと都合が良い。

彼の国軍がキチンと仕事をしていれば、私がここに来る理由もなかったのだ。

ところが、17個の大隊から次から次へと脱走者が出た為に、ガストロの革命軍は首都まで悠々と進撃してしまった。

こうなっては、交渉相手を変更しなければならない。

ユニオン・フルーツの農場やユニオン・マフィアのカジノを守りつつ、この新しい革命家に『ホルタ会談』側に留まってもらわねばならないのだ。

 

その為に、クリント・●ーストウッドから妥協を引き出すという骨の折れる仕事をしてきた。

ダリスCIU長官は、ガストロが容共的なクソ野郎で、信頼ならないというもっともらしい意見を述べていて、それは●ーストウッドも同じだった。

だから私は、「『容共的なクソ野郎が完全な共産主義のクズ野郎になる前に』方向転換を試みさせていただけませんか」と具申を行い、何とか●ーストウッドの妥協を取り付けることに成功した。

 

まあ、ただのいち対外諜報顧問が大統領に直接意見具申できるとかどんだけガバガバなのよとか思っちゃったりしたけど。

鎮守府時代にマッマ達が稼いでくれた『ロイヤルから北連を追い出した英雄』なる評価があらゆる事象のマスターキーを用意してくれる。

本当にありがとう、マッマ、愛してる。

 

 

 

 

 

「さて、新しいコィバの未来を決める話し合いとやらをしようじゃないか。」

 

ガストロは開口一番にそう言った。

え、ここで決めんの?

一国の将来立ち話で決める気なの、この人は。

 

 

「私は国の全農地の国有化し、全ての生産資本を国の管理下に入れるつもりだ。国家の富を平等に配分して…」

 

 

おおっと、これは前言撤回しなきゃならんな。

ガチムチの共産主義者やん。

ただ、彼がリスクと照らし合わせて考えを変えてくれるならば…或いは妥協する余地を見出すならば、キューバ危機ならぬコィバ危機はまだ防げる。

 

 

 

 

 

「……と、いうのが私の思い描く将来のコィバだ。どうかね?」

 

もちろん、理想的な案ではありますが、ユニオンとの関係悪化は避けられません。

特に、農地の国有化と設備の国有化は…少なくともユニオン資本を例外にしないと。

 

「私の革命に例外はないっ!実家の農地だって例外ではないっ!それ程の覚悟をして国有化を断行するのだ!そうでないと真の理想は叶えられん!」

 

志は大変立派ですが、現実に即した物の見方も必要です。

貴方はユニオンと事を構えるおつもりですか?

 

「怖くはないな!北方連合と共同して対抗するという手もある。かの国では砂糖とコーヒーの需要も高いようだからな。」

 

一つ、貴方は勘違いをされておられます。

トゥーマン大統領はタカ派の中のタカ派です。

ユニオンのすぐ裏庭に、北方連合の同盟国が出来たとして…放置はしません。

 

「バカな!北方連合はもはや超大国の一つ…」

 

それはそうですが、今はホルタ会談側が地中海とバルト海の制海権を確保しています。

良いですか?

北方連合と砂糖とコーヒーの取引をしたとして、たしかに上手くいけばバーター取引による実質上の経済支援も取り付けられるでしょう。

民間取引ならば、いくらホルタ会談側でも止める手立てはありません。

 

しかし、軍艦やフル装備の兵士たちとなると話は別です。

ホルタ会談側が、コィバに向かう北方連合の軍艦を黙って見守るとでも?

先程言った通り、北連の艦隊は大西洋へ出られない。

ユニオン海軍を止められるだけの規模の艦隊を、民間輸送船と言い張って派遣できるわけがない。

 

「……………つまり、トゥーマンはいつでもコィバを潰せると。だが、北方連合は計画経済を完遂させ、重工業の発展により艦隊を急速に増長させている!近いうちにユニオンの海軍にだって」

 

いいですか、艦隊の強化なんてものは明日明後日でできるものではないんです。

対して、トゥーマン大統領は明日にでも海軍を派遣できる…貴方の革命戦士を叩きのめせるだけの海軍をね。

 

「なら何故今すぐにでもそうしないんだ?」

 

貴方はコィバ国民の支持を受けている。

もう革命が成功した以上、力づくで元の状態にするのは困難を極めるからです。

出来ないことはありませんが、膨大なコストを支払う前に私が交渉をさせてくれるように頼んだのです。

 

「交渉とは何だね?革命を捨て、コィバを離れて北方連合にでも亡命してくれと言うのかね?なら、徹底抗戦せざるを得んよ。」

 

そうは言ってません。アル=バリスタを迎え入れろと言うのではない。

貴方の考えている国有化を、来月のユニオン訪問まで待ってもらいたい。

 

「それだけかね?もっと直接的な要求をされるかと思っていたが」

 

訪問を終えれば分かります。

…もう一点、貴方は認めたくないでしょうが、心の底で心配していることがあるでしょう。

 

「今度は心読術か?当ててみろ。」

 

周囲の国々。

 

「…………」

 

現在、カリブ海に浮かぶほかの国々はユニオンの息がかかった独裁国家ばかり。

つまり、今のコィバは異端児だ。

そして、出る杭は打たれる。

 

「私自身がどうなろうと、私は」

 

貴方自身はね。だが、革命は?

アル=バリスタを打ち倒して、国民が国の財政を動かせる状態になったのに、周辺国の軍事行動で潰されれば元も子もない。

…まあ、そこで、彼女に来てもらったんですがね。

 

 

私はピッピの方を向いて、彼女を紹介をする。

 

 

彼女はあるロイヤルの企業主であり、また鉄血公国に相当のコネクションがあります。

 

「私はビスマルクの妹です。」

 

「ビスマルク!?あの鉄血財界の大物の!?」

 

「ええ。どうぞお見知り置きを。」

 

 

ガストロが驚きで目を見張っていた。

え、ビスマルクお姉様そんなに有名なの?

 

 

「私の姉はこう回答しました。鉄血財界はコィバの砂糖とコーヒーに関心があります。もし、貴国が鉄血公国を砂糖・コーヒー取引における最恵国にしてくれるのであれば、こちらは必要規模の余剰兵器と軍事顧問団を派遣できる。」

 

現在欧州では、砂糖とコーヒーの需要が高まっています。

悪い話ではないでしょう。

ユニオンは周辺国への面子を考えても、貴方を支援するわけにはいかない。

 

「…だが、それは…外国資本の受け入れだろう?アル=バリスタ以来の経済格差の拡大を招く恐れが…」

 

「農地の国有化より、鉄血と取引すればより良い税収が得られますよ。お姉様、いえ、ビスマルクは当面コィバからの砂糖・コーヒーを国際市場より高値の固定額で購入するつもりです。得られた税収で社会資本を充実させれば良いし、ユニオンを敵に回すこともない。」

 

「…………」

 

閣下、これを。

鉄血公国が最初にこちらへ送り込む兵器類の目録です。

 

「…長砲身のⅣ号戦車、軽榴弾砲、対空砲、小火器にBf109と哨戒艇だと!?」

 

ユニオンに刃向かうには圧倒的に力不足ですが、周辺国から防備するには充分すぎる兵器類です。

 

 

 

ガストロは少し考え込んでいたが、すぐに私の方へ向き直った。

どうやら、良い方向へ進みそうだ。

 

 

「わかった、わかった。君からの提案を考えよう。少なくとも、訪問までの間に国有化するものはない、それは約束する。」

 

大変結構です。それでは、私はこの辺で…

 

「ちょっと待ってくれ。実を言うと…君の来る三日前に北方連合の連中からも提案を受けたんだ。」

 

………………………え。

 

「実を言うと、国有化の考えはその時発芽したんだ。彼らは革命の安全を保障し、更にバーター取引にも応ずると言ってきたんだ。それも、"ある施設"を二つコィバに建設するだけでな。」

 

ミサイル発射基地ですか!?

或いは爆撃機発進基地!?

 

「一つはそれだ。もう一つは病院のようなものだった…これがその…参考図面だな。」

 

 

ガストロはそう言って、私に施設の参考図面を渡してくれた。

たしかに、病院のようにも見えるが、どことなく病院では見られない設備があるように思える。

素人なんで詳しくはわかんないけど。

 

 

「三日前に来たのは、アヴローラとかいう工作員と、レクタスキーとかいう技術者だった。レクタスキーは特に、その施設に情熱を持っていたよ。君に利益のある情報だと良いのだが…それでは、アディオス!」

 

アディオス!

 

 

一ヶ月後には、彼が私を"アミーゴ"と呼んでくれるのだろうかと軽く妄想したが、すぐにそんな妄想は傍に退けられた。

とりあえず、今私がすべき事は、レルゲンから受け取った情報とも一致しそうなこの図面を彼に送る事だけだ。

北方連合の情報管理の杜撰さのおかげで、私はどうやら新しい情報を、それもとんでもない陰謀の重要なピースを掴んだようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一ヶ月後、ガストロも●ーストウッドもちゃんと私との約束を守った事が分かった。

 

●ーストウッドは予定されていたゴルフの予定を変更し、ガストロと会い、そして冷遇するような事はせずに革命政権を承認した。

 

ガストロは●ーストウッドと話し合い、ユニオン・フルーツの農地に手を出さず、代わりにユニオン・マフィア経営のカジノを接収する事にした。

これを黙認した●ーストウッドはマフィアから反発され少々厄介な問題が増えたが、コィバに北連空軍の軍事施設が出来るよりはマシなハズだ。

 

鉄血財界も約束を守り、軍事物資と顧問団を送り込んだ。

コィバは鉄血に貿易における最恵国待遇を約束し、鉄血財界は欧州でのコーヒー市場においてかなりのシェアを獲得した。

やがてコィバは接収したカジノの運営と、鉄血資本の受け入れにより、徐々にモノカルチャー経済を脱却していく事になるが、それは別のお話。

 

信じられるか?

これ、立ち話で決まったんだぜ?

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