苦手な方はご注意を。
晴れ晴れとした青空の下、私の執務は始まった!
なんだお前急に週間少年ジャ●プみたいな出だししやがってと思った方々ごめんなさい。
でも本当にそうなってしまったんだから仕方ないんです。
戦艦2、軽巡8によるスペクタクルな大海戦が行われた後、そこに残ったのは"執務室だったもの"。
ティルピッピママが豊満な身体で包んでくれていなかったら私も今頃"指揮官だったもの"になっていただろう。
ありがとうティルピッツ。でも許さん。
君たちの"大活躍"のお陰でヴィクトリア朝様式の豪華な装飾で彩られていた天井があった場所には、ほら見て!綺麗な青空が広がってるよ!
どないしてくれんねんや!!!
カッツカツやぞ?ウチの財政はカッツカツやぞ?
どこにそんな費用あんねん!
いやあんねんけども装備買ったり建造したりもすんねん!
維持費かかんねん!!!
とりあえず明石くんに相談しないと始まらんな、あー、気が重い………
「無理だにゃ、指揮官。無理だにゃ。」
緑色の髪の毛に猫耳生やした艦娘がこちらを見ながらゆっくりと首を振る。
明石くん、そこをなんとか頼むにゃ。
・・・なんだその「お前がケ●ーを殺した」みたいな目つきは。
ここはサ●スパークじゃないんだぜ?
ユダヤ人も、1年中フード被ってる子も、口が悪すぎて見るに耐えないデブもいないんだぜ?
ねえ、頼むよぉぉぉ今まで君から何個ケッコン指輪買ったと思ってんのよ何個ダイヤつぎ込んだと思ってんのよいくら使ったと思ってんのよ。
執務室の修理費ぐらいちょっとまけてくれてもいいじゃん。
こちとらカッツカツもカッツカツなのよ。
統合参謀本部議長からの支援物資合わせてもカッツカツなのよ。
ほら見て、ぶっ壊した本人達もJapanese traditional DOGEZAして謝ってんじゃん許してやりなよ許してくださいお願いしますよぉ
このままじゃ私カビるよ?
雨降った日とかカビるよ?
カビに塗れた状態で君の店に行くよ?
いいの?ねえ、いいの?
まけてもらいました。
明石はなんだかんだ言って優しい。
とはいえ執務室の修繕までは秘書艦経験者のお部屋で業務やる事にしました。
仕方ないよね、青空の下デスクワークなんてできないもんね。
じゃあだれのお部屋にしようかな。
て・ん・の・か・み・s…おい、なんだどうした皆そんなに必死に手を挙げて。
確かに秘書艦経験者っていったらあんたら4人(セントルイスとベルファストはオリジンのみとする)しかいないんだけどさ、なんで秘書艦の経験あったのにあんな真似したのかなおじさんに訳を話してもらえるかい?
とりあえず各人のお部屋を見て回って、それから決めるか。
はい、ベルファストのお世話になります。
他のお部屋は論外です。
まず、ティルピッピママ。
なぜ部屋の一部の壁紙をお星様にして、お日様とお月様の模型をぶら下げているのかな?
湯●婆並みの準備の良さだよ!
まんまあの大きな赤ん坊のお部屋だよこれ!
いつの日にか本当の母子関係に至ることを目指してそうで怖いよ!
でもね、ベビーカーとか幼児用ベットとか、どう考えてもおじさんは入れないと思うな。
あやす気だろ?基本、あやす事しか考えてないんだろう??もう真面目に仕事させる気すらないんだろう???
それからダンケルク?
毎日三食365日分確保できますって自慢げに離乳食缶詰の山を見せられてもね、おじさん本当に赤ん坊に戻った訳じゃないからね?
何個あっても無理なもんは無理なのよ?
貴女365日離乳食食べれる?
何より離乳食缶詰で部屋の殆どのスペース取られてるじゃないの。
私をいったいどこに押し込む気なのよ。
おじさん買い取るから。全部買い取るから。
泣かないで?「せっかく買い込んだのに」って泣かないで?
もうその気持ちだけでお腹いっぱいだから。
純粋な少女の気持ちを踏みにじってしまった重い罪悪感に駆られてるから。
そうだよね、私が「マッマ!マッマ!」言わなきゃこんな事にはならなかったのにね。
本当にごめんよ。
セントルイスに至っては……このお部屋お取り壊ししていい?
部屋の真ん中にある逆トラバサミ・ヘッドギア付きの椅子は何?
肘掛けに付いてる拘束具はいったい何?
椅子の目の前に綺麗に並べてある数々のテレビは何?
テレビ画面に映ってるあの数列は何?
シュタ●ナー、ドラゴ●ィッチ、クラフ●ェンコ、奴らに死を!とか言わなきゃいけない義務感にかられるあの数列は何?
かつて収容所で生活を共にして脱獄した際にはぐれて今は生きてるはずのないロシア人が見えるようになりそうなあの数列は何???
ジグ●ウか何かか、お前は。
だいたい何だこの数列、何の意味が…
2、15、6、89、25、10………セントルイスはママセントルイスはママセントルイスはママセントルイスはママセントルイスはママセントルイスはママセントルイスはママセントルイスはママセントルイスはママ………………
「目を覚まして!」
セントルイスはマmへぶぅ!?
おお、ダンケルクありがとう!!
危うくトラップにかかるとこだったわ。
もう怖いよセントルイス!
アプローチがデンジャラスにも程があるわ!
お前こんなキャラじゃないじゃん!
直で洗脳しに来るようなキャラじゃないじゃん!
いつからそんな隙あらば人の頭弄ろうとするようになったのよ!
いつからハン●バル・レ●ター顔負けの変態チックなアプローチするようになったのよ!
「指揮官、せめてヘレナには…」ってどういう意味だ!?
ここで失望ボイス垂れ流す意味はいったい何なんだ!?
………屈託のない笑みで人差し指を唇に当てるんじゃねえ!!!
今まで妹には秘密でやってたんかい!!!
と、いう事でお世話になります。
どうぞよろしくお願いします。
「こちらこそよろしくお願いします、ご主人様」
いやあ、執務室での乱闘を除けばベルファストってやっぱりマトモなんだね。
至って上品な壁紙だし、離乳食で溢れかえってるわけじゃないし、ヘッドギア付きの椅子があるわけでもない。
紅茶も色々取り揃えてあるんだね。
ご丁寧にハ●ッズからロン●フェルトまで揃えてあるんだ、まあ素敵。
「何かお飲みになりますか?」
そうだなぁ、ロン●フェルトのイングリッシュ・ブレックファストかな。
確かに午後も2時半に、そんな朝専用モーニ●グショットみたいなもん飲むもんじゃないだろうけど。
なんかこの…さっきの洗脳のせいでモヤっとしてる頭をすっきりとさせたい。
「かしこまりました。すぐにお持ちしま…」
ベルファストの動きが止まる。
なにかを感じ取ったかのように、扉の方を見ていた。
おいどうしたベルファスト。
そんな、DEAが踏み込んでくるのに勘づいた密売人みたいな反応して。
まもなくして扉が開き、2人の客が入ってきたが、もちろん、重装備に身を固めたSWAT隊員ではなかった。
SWATが使うような黒いケブラーや防弾チョッキとは対照的に、青いドレスや白い軍服に身を包んだイラストリアスとエンタープライズだ。
「いきなりごめんなさい、ベルファスト。お茶をいただいてもよろしいかしら?」
「いきなりすまないな。だが、イラストリアスが本物の紅茶とはどういうものか…………あれ、指揮官?」
ドーモ、エンタープライズ=サン、シキカンです。
珍しい組み合わせだな。
イラストリアスの交友関係が広いのは知ってるけど、まさかエンプラさんとお茶をする仲だったとは。
「あら指揮官様、御機嫌よう。」
ドーモ、イラストリアス=サン、シキカンです。
「指揮官、ここで一体何を?」
「まあ!私達とお茶をしに来てくださったのですね!嬉しいです、指揮官様。」
実に強引。強引ングマイウェイ。
イラストリアスってこんなに強引だったけ?
いつもゆるふわっとした感じで「うふふふふふ」とか笑ってるロココ調の女の子じゃなかったっけ?
こんな獲物を見つけたタカみたいな目してたっけ??
ま、まあそういう事にしよう。
お茶をしに来た事にしよう。
イラストリアスはベルファストに前後して来てもらったくらいの古参で、随分と前から艦隊の中核空母として活躍してもらってるしね。
ちなみにエンプラさんは結構最近になっていらっしゃった。
勲章?んなもん改造図に溶かしたわ。
「そういう事でしたら。」
ベルファストが澄ました顔で指をパチンと鳴らす。
どこからともなく残り4人のベルファストが現れ、その内2人は私がやる予定だった書類業務、残りの2人はティーポットを準備し始めた。
いや、慣れすぎでしょ。
分身の使い方慣れすぎでしょ。
もはや口頭指示もないってどういう事よ。
ドッペルゲンガーを使い魔みたく使いこなす人初めて見たよ。
ベルファスト達の動きは素早く、流石はデキるメイドさんといったところか。
席に着いたイラストリアスと話をしようとする頃には、目の前には紅茶とスコーンが置かれていた。
書類業務もあっという間に終わらせてしまい、後は私が印鑑押すだけ。
イン●ル入ってる?
さあ、何の話をしようか。
これといって話すこともないんだけどね。
とりあえず、右隣に座るイラストリアスはやめて対角線上のエンタープライズの方へ注視しようか。
何故って、イラストリアスに『終わらないお茶会』ドレスを着せてる理由は、彼女の太ももを見た瞬間に「ウホッ、ガーターベルトッ」ってなったからなんだけどさ。
まさかこんな場で、氷の●笑みたいな脚の組み方して見せつけられるとは思わなかったんだ。
「良い機会だ、指揮官。実は指揮官に伝えたい事があるんだ。」
はい何でしょう、エンプラさん。
「私は、指揮官とは何事も腹を割って話せる仲になりたいと思っている。」
うん、なるほど。
「もし、悩み事や、私達に不満を覚えるような事があれば率直に言って欲しい。私からも何か思う事があれば遠慮せずに言わせてもらうつもりだ………指揮官、どうした?」
う、うん、君の言いたい事はよくわかった。
そうしてくれて構わない。
「落ち着かないのか指揮官?どうして目を逸らす?」
右隣のシャ●ン・ストーンが気になって仕方ないんだよ!!!
スカートどんだけめくってんのよ、淑女がそんなことしちゃダメでしょうがよ!!!
おい、ゆっくりと脚を組み替えるな。
うおおおっ、見える、見えちゃうからな!
穿いてるよね?そこまで映画に忠実じゃないよね?ちゃんと穿いてるよね?
穿いて・・・る!良かった、何なんだこのスリルとサスペンスは!
ゲッ●・アウトみたくセントルイスの脳みそが入ってるわけじゃないよね?
フラッシュ見た途端に「あれ、指揮官君」とか言いながら鼻血垂らしたりしないよね?
まあ、当のセントルイスはレ●ター博士と化してるんだけどね!
「指揮官!やはり何か悩みがあるんだな!その様子だと、自殺未遂の話も本当のようだ。
私に遠慮は無用だ、指揮官。全て話してくれて構わない。」
なら掘り起こすんじゃねえええ!!
その話は忘れてくれえええええ!!
あれはその…本当の意味で次元の違う話だから!
別に現状に不満あるわけでもないから!
悩みがないわけでもないよ、たしかに。
知ってる艦娘がいつのまにかマッマやらレ●ター博士やらシャ●ン・ストーンになってたりするから。
お前らいったいどうしたんだ?
どこで道を踏み外したらそうなるんだ?
ビースト(赤ん坊)になったのは認めるけど、その影響以上に変わり過ぎじゃないか??
「まあまあエンタープライズ。指揮官様も一人で内密に考えたい事ぐらいあるんじゃないかしら?」
そうだね、君が私の想像以上に悩ましい艦娘だったりする事とかね。
「そんな事より指揮官様、私からプレゼントがありますの。喜んでいただけると嬉しいのですけれど…」
渡されたのは1通の大きめの茶封筒。
おお、ありがとうイラストリアス。
これは何かな?
「あらもうこんな時間!お先に失礼しますわ、指揮官様。」
え、待って、怪しいよイラストリアス。
足早に帰り過ぎだよ。
え、エンタープライズ?変だと思わないかい?
「いや、そうは思わないが。とにかく、何かあれば遠慮せずに話してくれ。頼み事でも何でも良い。」
『お客様がお望みならどこにでも駆けつけます』って言ってもらっていい?
「お客様がお望みならどこにでも駆けつけます」
ありがとう、エンタープライズ。
何でもないんだ。
なんか、こう、心温まるハートフルストーリーを思い出しただけなんだ。
さあ、行ってくれヴァイオレッ…違った、エンタープライズ。
どうか君はそのままでいてくれ。
エンプラさんも帰った後、そこにはベルファスト5人と私と茶封筒のみが残された。
「何でしょうね、ご主人様。これは勘ではありますが、お一人でお開けになられた方がよろしい気が致します。」
うん、そうする。
ベルファスト達が片付けがてらに居なくなった後、私は恐る恐る茶封筒を開けた。
なんか生暖かいし、漂う良い香りはさっきどこかで嗅いだし。
なんとなく想像ついてたけど。
入っていたのは黒と青の布。
それは…その…なんというか……大事なモノを包んでいたんだろうなって形の布。
暖かくて、香りの濃い。
イラストリアス、こんな事する為に『終わらないお茶会』を終わらせたのかい?
僕、すっごく怖いなあ。