バブールレーン   作:ペニーボイス

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DA☆RE!!






ミス・ワーワー

 

 

 

 

 

 

イラストリアス主演のエロティック・サスペンスの後、私は書類へ印鑑を押しまくり、そして夕食会に出席し、風呂に入って、ピッピママと一緒に寝た。

 

 

もう特筆すべきことでもなんでもないけど、もう一度言おう。

 

 

マッマと化したティルピッツと一緒に、やましい事をナニカするわけでもなく、ただただ絵本読まれたり子守唄歌われたりしながら、一緒に寝た。

 

なんかね、まだ2日目が終わったばかりだけど、もう慣れちゃったわ。

 

ピッピママに添い寝してもらう事がごく普通の事に思えてくるぐらいには慣れた。

つーかもう、ピッピママ無しじゃ寝れない。

安眠ピッピ最高。

 

 

そして、私は今朝安眠ピッピと一緒に寝ていて、ベルファストにかなり乱暴なやり方で起こされた。

 

「起きてください、ご主人様!」

 

 

あのね、ベルファスト。

シーツを無理矢理引っこ抜く前に、普通に起こしてくれてもいいんじゃないかな?

わざわざそんな海兵隊の鬼軍曹みたいなモーニングアクション起こさなくてもいいのよ?

 

ベルファストが見た目に合わない怪力でシーツをテーブルクロスのように引き抜いた結果、私とティルピッツはまるで洗濯機の中の洗濯物のように半回転した。

 

結果、私の上にいらっしゃったティルピッピママの豊満な双丘に顔が挟まり、圧迫される形となる。

まあ、なんて幸せ。

でもマッマ、早くどいてくださる?

息ができませんの。

 

 

「ベルファスト!何をするのよ!せっかく私の大事な坊やと一緒に素敵な朝を迎えようとしてたのに!」

 

「はい、迎えさせません〜!ご主人様は私の可愛い息子ですぅ〜!」

 

「何よその態度!?メイドの癖にィッ!!」

 

「メイドだからなんだと言うのですか!?母親は母親です!!」

 

 

おいおい、朝から私の寝室でカンブレーの戦いはやめてくれ。

 

ティルピッツは戦艦特有のパワーで私を抱きしめるのをやめてくれ。息ができん。

ベルファストも私をピッピから奪おうと引っ張るな。痛い、すっごく痛い。

 

もう喧嘩はやめてください、誰の息子でもいいから。

 

私の本当の母親は今頃はもう愚痴を垂らしながらパート先へ向かっている事だろうけど、こっちの世界の母親はピッピママだろうとダンケママだろうとベルママだろうとセントママだろうと何でもいいから。

 

とりあえず、静かに朝ぐらい迎えさせてくれ。

 

 

おや?セントルイス、おはよう。

相変わらずいい笑顔で挨拶を返してくれてうれしいよ。

その笑顔が天井からじゃなく、あっちの扉から見れたならこれ以上完璧な事はなかったんだけどね。

お前は天井を何だと思ってんだ?

 

 

おお、おはようダンケルク。

今日も元気が良いね。

人の寝室の壁をぶち抜いて来るなんて、とっても元気が良い証拠だよ。

「2人とも落ち着きなさい!」ってどの口で言ってるんだい?

一番落ち着かないといけないのは君じゃないのかな?ん?

 

 

「ティルピッツ!ベルファスト!今日が何の日か忘れたのですか?」

 

「………今日?そういえば姉が…」

 

「ビスマルクさんは何も関係ないです!ベルファスト、貴女準備すべき事があるでしょう!」

 

「……………あ!ご主人様、申し訳ありません!このベルファストとした事がっ!」

 

 

ん?今日なんかあるんだっけ?

 

 

「ベルファスト?指揮官に伝えてって言ったハズよね?私は昨日ドックの作業で忙しかったから伝達を頼んだのだけれども。」

 

「はい、しかし私もウォースパイト様からの呼び出しを受けまして、ティルピッツに頼みました。」

 

「確かにベルファストから頼まれたけど、それはダンケルクがもう伝えてたんじゃないの?」

 

 

「「「…………………」」」

 

 

何だ、お前ら。

黙るな。何か喋れ。

何があるんだ?今日は一体何の日なんだ?

 

まず、話そうか。

おじさんに『今日は何の日?ふっふぅ〜♪』なのか教えてくれ。

あのベテラン司会者みたいにしわがれた声で「○月✖️日、今日は初めて云々カンヌンがあった日です」とか教えてくれ。

 

 

気まずい沈黙の後、ダンケルクが非常に申し訳なさそうに口を開く。

それは私にとってフランス革命並みの衝撃だった。

 

「今日、海軍参謀長が視察にいらっしゃいます…」

 

 

はい、おワタ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ねえ、君達。

やっちゃった事は仕方ないんだけどさ。

 

なんだって海軍参謀長が来る前の日に執務室ぶっ壊してんのよアタマオカシインジャナイデスカァァァアアア!!!???

 

知らなかったならまだしも知っててやったなら重罪だよ!!

しかも何で言わねええええのよ!!

何で複数のエンジニアが同一の仕事した場合徐々に認識のズレが生じて重大なミスに至る典型例みたいな伝達ミスしてんのよ!!!

 

 

まあ、今回はかなり優秀な工作艦たる明石くんが、私がベルファスト私室兼臨時執務室に到着した途端にぶっ倒れながら入室してきて「指揮官、終わったにゃ」とか言ってくれたから良かったんだけどね。

 

明石くん、本当にありがとう。

恐ろしい程に仕事が早すぎて助かるよ。

君がいなければ私は今頃、こっちに来て2度目の自殺を考えていたところだよ。

海軍参謀長に全壊の執務室なんて見せたらどうなったか。

考えたくもない。

 

 

まあ、執務室テロ実行犯4名(と内2名の分身達)もかなり視察前の準備をしてくれたから実際の刑罰は不問とする。

彼女達も彼女達なりに視察予想箇所の事前点検や清掃・整備を、商船護衛任務の合間に進めててくれたみたいだから。

 

つーか、こいつら強え。ヤバたん。

出撃から15分で敵艦殲滅とか何なの?

「あ、ちょっとその辺走ってきます」感覚で敵艦隊を逆に強襲するとかどんだけよ。

 

聞けば、戦闘中ずっと視察前準備の事話し合いながら敵の量産型潰してたって言うじゃん。

敵艦隊はハンド●ピナーか何かか。

いくら量産型でも可哀想だろうが。

 

 

さて、とりあえず一安心といったとこか?

点検前の準備はテロ実行犯4人が進めててくれて、明石くんの人並みならぬ努力のおかげで執務室は直り、私は鎮守府の正門で出迎えの体制を取っている。

 

ぶっちゃけた話、今回私はなにもしていないし、慌てたのは視察の話を朝一番にされた事と、正装が思ってた以上に面倒くさかった事ぐらいか?

 

 

丁度いいので制服について話しておこう。

 

皆さん、指揮官ないし提督と聞けば帝国海軍式の純白の詰襟を思い浮かべる事だろう。

だが、私の制服は開襟式の物で色もオリーブドラブだった。

言わば陸軍式の制服だね。

 

戦艦・巡洋艦より戦車や榴弾砲が好きだった私の趣味が影響しているのかは分からない。

ただ、小肥りした首周りには詰襟は有難くなかったので、開襟式の制服はとても嬉しい。

 

問題はこの制服の正装の規定だと腰に拳銃を吊り下げとかなきゃならん。

面倒くせえ。

どうせ撃ちもしねえのに、何でそんな重いモン腰からぶら下げにゃならんのよって愚痴ってたらティルピッツから凄い目で見られたので黙って選ぶことにした。

そういった妥協は許してくれないのかよ。

 

選ぶことにした、というのはベルファスト私室に移動されていた指揮官専用執務机の引き出しに何挺もの拳銃が入っていたからだ。

 

 

 

ニコラス・●イジじゃないんだぜ?

グロック拳銃や357マグナムを麻薬カルテルやリベリア大統領に売りに行くわけじゃないのに何でこんなに拳銃があんのよ。

武器満載のAn12輸送機とか、鎮守府の何処かにあるわけじゃないよね?大丈夫だよね?

インターポールの熱血刑事とか追ってきてないよね?

 

さて、どれにしようかな。

 

もう、なんつーか軽くて単純なのが良い。

間違ってもドウェ●ン・ジョンソンみたくデザートイーグルを片手で撃てそうな体型じゃない私には9mm弾のコントロールさえ難しいかもしれない。

 

取り敢えず、32口径モデルのPPKとホルスターを持ち出した。

これなら、まあ、軽くてあまり負担にならないだろうし、もし必要になれば…制圧射ぐらい出来るだろう。

ジェームス・●ンドに憧れたわけじゃない、いいね?

 

PPKを選んだ瞬間に、ティルピッツがドヤ顔を、ダンケルク、セントルイス、ベルファストが舌打ちをした。

 

ダンケルク、マニューリンの1873年型は古すぎる。お手入れ大変じゃん。

 

セントルイスもガバメントは反動きつすぎるだろうし、ベルファストはNo2じゃなくて455ウェブリーを持ってきたのが失敗だよ。

 

これでよぉく分かったけど、あんたら自分の国の銃器を勝手に私の机にポンポカ入れていってたのね。

プレゼントか何かのつもりなんだろうか。

品の良い時計とかの方が嬉しかったが。

 

 

 

 

さて、そうこうしている内に海軍参謀長のお車がお目見えになりました。

はあ、緊張する。

統合参謀本部議長とは違って、私と海軍参謀長の間には何の接点もないはずだ。

つまり、今日が初対面、少なくともこちらからすればね。

黒塗りのセダンの車列が近づいてくるに連れて私の心拍数も上がって行くのが分かる。

たまったもんじゃねえ!!

 

どうか温厚な人であってくれ。

参謀長執務室で翔鶴あたりが作ったお粥でも食べながら「かゆ、うま」してる程度の人であってくれ。

 

間違ってもハート●ンがそのまま星と二本線を付けたような人間とかやめてくれよ。

M14バトルライフォーで心臓を撃ち抜きたくなる人間とか間違ってもよこすなよ。

「やっとお前の取り柄を見つけた!」とか言い出すあたりにはもう終わってんだからな、分かるよな!

 

何か車列の方から軽快なラテン系の音楽が聴こえてくる気がするなあ、緊張してんだな、気のせいだ、気のせい。

 

 

 

 

 

 

 

気のせいじゃなかった。

 

誰だお前は。

「DA☆RE」とか言ってるけどお前こそ誰なんだ。

スキンヘッドにスーツにグラサンの白人。

ノリとテンポの良いラテン系の音楽に、時々混ざるスペイン語。

 

 

ピット●ルじゃねえかよ!!!!

まんまソレだよ!!

別の場所でお会いしたかったよ!!!

週末の宴会の二次会とかの後、クラブか何かにでも行った時に来てくれよ!!!

何で海軍参謀長としてくんのよ!!!!

 

聴こえたもん!

セダンが停車した瞬間から『ホー●ルッ!モー●ルッ!』っていうのが聴こえたもん!

「FooooOOOO↑↑↑↑」つってテンションアゲアゲで車降りてくんのも聴こえたもん!

 

大鳳とサウスダコタの腰に両腕回してご満悦の様とかもうそのまんまホテル・ルーム・●ーヴィスだよ!

後ろの別の車両でアルバコアがDJしてるし、おっさんのセダンの運転手がどっからどう見てもT-●ainにしか見えねえよ!

 

やめろ、人の鎮守府の正門でパーリートュナイトすんじゃねえ!

アルバコアは音楽を止めろ!

T-●ainはフューチャリングしてないで車をそこから退けてくれ!!!

 

お前ら一体何をしに来たんだ!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

いやあ、疲れた。

結局視察って言ってもドックと執務室にちょっと顔を出したくらいで大したことなかったけど、海軍参謀長閣下の高カロリーなテンションに付き合わなきゃいけなかったからとっても疲れた。

 

大鳳とサウスダコタ侍らせながら、時々ラップ調で質問してくるし。

スペイン語混じりで聞かれても分かんねえよ『Si!!』とか『DA☆RE』とかやめてくれよ。

 

最後はまた運転手にフューチャリングしてもらいながら「FooooOOOO↑↑↑↑」つって帰ってった。

ホントに何しに来たのよ。

 

 

どいつもこいつもキャラが濃すぎるだろ。

そりゃ、ティルピッピに甘えてビースト(赤ん坊)と化してる私も人の事言えた義理じゃないんだけど、何故かその私がまだ正常に思えてくるっておかしくないかい?

 

統合参謀本部議長は高校時代のコーチだし、海軍参謀長はピット●ルだし、艦娘達は全力で私を甘やかしに掛かってくるし。

 

まあ、まだ楽しい方だから全然良いんだけどね。良くねえか。

 

 

「ご主人様ッ!大変ですッ!」

 

おうおうどうしたベルファスト。

そんな血相を変えなくても普段から十分大変だから大丈夫だよ。

で、どうしたの?

 

 

「GOD MATHERが戻られました!!!」

 

 

誰よそれ。これこそDA☆REだよ。

 

食事会の時、テーブルにドン・コ●レオーネみたいな机上札があったのは覚えてるけど、未だに誰なのか思い出せない。

 

多分、最初にケッコンした艦娘だけど…誰だったっけなあ。

私ってかなり酷いヤツだよね、ごめんね。

 

あ、思い出してきたぞ。

茶髪で、明るくて、活発で、ええっと確か名前は………

 

 

「シッキカーン!動きやすいように薄着しちゃったんだ♪」

 

 

私が名前に思い当たる前に、その艦娘はベルファストをまるで物置のようにスルーして執務室へ入って来た。

たしかに聞き覚えのある声で、今やっと名前も思い出したが、言葉の意味は理解できなかった。

大事な箇所がアメリカの深夜番組で使われるような黒い長方形で隠されているにしても、表現が不適切でしかない。

 

 

 

レパルス、君の国がどういう習慣をしているのかは知らないが、少なくともそれは薄着とは言わないと思うぞ?

 

それは全裸だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

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