「ヘレナ…?ヘレナ!ヘレナァァアア!」
「……?…姉さん…それに…指揮官…?」
ヘレナとルイスマッマが感動の再会を果たし、お互いに駆け寄ってハグをする。
わざとかどうかは知らないが、ルイスマッマは私を谷間に挟んだままヘレナとハグをした。
よって私はルイスマッマのポルノスターが白目を剥くような馬鹿でかい双丘と、ヘレナの姉には劣るとも同クラスのKANSENの中では充分にドレッドノートな双丘に挟まれる事となる。
鼻腔を満たす姉妹の香り。
前後から感じる圧倒的なソフトリィ。
温もりと、鼓動と、圧迫感。
ああ、あんたら同じシャンプーとボディソープ使ってんのねってのが丸わかり。
なんというか、たまらなく姉妹だし、たまらなく良いカンジなんだけど、ちょっとだけで良いから呼吸させてもらえないかな?
ルイス?
私の存在忘れてるわけじゃないよね頼むよ?
「ヘレナ!私を殴って!私は…あなたを救うことを一瞬躊躇った!一瞬でも、可愛い血の繋がった姉妹の救出を諦めたかけた!どうか私を殴って、ヘレナッ!」
バッチィィィン!
「姉さん!姉さんもどうか私を殴って!私も姉さんの事を疑った!一瞬でも、姉さんの助けを疑ってしまった!どうか私を殴って、姉さん!」
バッチィィィン!
おい、太●治しろなんて誰も一言も言ってねえから早く解放しろや。
お前らメ●スとセリヌ●ティウスやってる暇あったらちょっとばかし私の事を思い出せ。
思い出さなくても良いけど、せめて谷間に感じる圧倒的な異物感に気づけよ、なあ。
唐突にルイスとヘレナが私を解放し、お互い一歩下がって私の方を向く。
だから、あのね、君たちね。
走れメ●スやれなんてマジで誰も言ってねえからね?
王様やらなきゃダメかい?
いつかの寮舎みたく「君たちの友情が云々」言わせなきゃ気が済まないかい?
気が済まない!ああ、はいはい、わかりました、わかりました!!
君たちの絆がこの私を改心させたのだどうかその姉妹の絆に私も入れてはくれまいか?
「あら。"言ったわね、指揮官くん"。ヘレナ?今の聞いてたわよね?」
「もちろんよ、姉さん。指揮官、セントルイス級ファミリアへようこそ!」
悪質な違法商法かお前らは!?
なんなんだよ本当に!?
何なの、セントルイス級ファミリアって!?
何で何の説明も一切なくKKK入会の儀みたいな事済ませてんのよ!?
何でもう組織の一員です逃げられませんご覚悟を的な持って行き方してんのよ!?
「うっ、ぐすっ、嫌なの?指揮官?」
ヘレナァァァ???
君そういうキャラじゃなかったと思うんだけど?
お前そんなあざとさ全開新春春のあざとさスーパーバザーみたいな奴だったっけ?
わかった、わかった、わかりました。
嫌なわけないじゃないですか、ワーイウレシイナァ。
「…良かったわね、ヘレナ。あなたにも可愛い息子ができたようね!」
「ええ、嬉しいわ、姉さん!私も姉さんみたいにこの子をあやすわ!」
「「イエィ!」」
姉妹の仲睦まじいハイタッチを見て、私はもう諦めた。
もう、私はロブ・マッコールなどではない。
現状に合った言い方をするなれば。
最低でも
『ロブ・マッコール・ティルピッツ=ダンケルク・ベル・セントルイスファミリア』
というフランツ=ヨーゼフ1世級の名前が必要になるはずなのだ。
もういいや、どうでも。
さて、セントルイス級姉妹の太●治に付き合わされた後、私はようやく次のステップに進むことができた。
ピッピがあろう事かレクタスキー本人の首根っこを、まるで悪さをした猫にそうするように持ち上げて私の元へ持ってきたのである。
………まさに、文字通り。
「コソ泥のように隠れてたわ。坊や、貴方が嫌なら、私が手を汚す。」
ピッピがレクタスキーを放り投げ、北連のマッドサイエンティストはゴミクズのように床に転がった。
装甲列車はほぼ制圧が完了しかけていて、こちらからはヴァイオレッ…ああ、いかんいかん、エンタープライズが、前方からはラインハルト達が制圧を行いつつこちらへ向かっている。
つまり、もうこのイカれ科学者を助ける者はいない。
「………くそッ!くそッ!」
デッドエンドですね、博士。
「クソッタレめ!!信じられん!!本当に信じられん!!何故だ!?何故貴様のような四六時中ダァダァバブバブしてるようなクソッタレに負けねばならん!?」
貴方はそのダァダァバブバブを軽く見すぎたんですよ、博士。
これで、我々ホルタ会談側は…少なくともKANSEN拉致の証拠を手に入れる。
この装甲列車の中にあるほぼ全てのものが証拠となるでしょう。
諦めなさい、貴方の負けだ。
「認められるかッ、こんな敗北!私の計画は完璧だったはずなんだ!」
いいえ、完璧とは程遠い。
アイリスの件も東煌の件も貴方はしくじった、そしてヘレナの拉致も。
「…クソッ」
更に言うなれば、ウィンスロップ鎮守府でも、コィバでもしくじっています。
「…………待て。コィバ?コィバだと?……そうか、そういう事か。」
………??
「なんだその顔は。…なんだ、お前も知らないのか。ハハハハハッ、こいつは傑作だ!」
何が言いたい?
「何もクソもあるか!所詮私もお前も"奴ら"の駒でしかないわけだ。若造、いい事を教えてやろう。」
………
「私はコィバに行ったことなぞないし、ウィンスロップは少なくとも私の計画じゃない。
いいか、若造。よく聞けよ。真の黒幕は…」
ズガンッ、ズガンズガンッ
Hscの乾いた銃声が響き、3発の32口径弾がレクタスキー博士の頭部を破壊する。
博士は後頭部の殆どを失い、32口径弾の着弾とほぼ同時に生き絶えた。
「危なかったな、ブロ。」
き、兄弟、お前なんて事をっ…
コイツをロイヤルまで引きずってくれば、全世界にスタルノフの蛮行を暴露できたのに!
「落ち着けよ。コイツが喋るとは思えない。武器を隠し持ってた可能性だってある。躊躇はしない事、これは忠告だ。」
でも、なあ、兄弟…
「終わったんだ!これで!何もかも!北連を有罪に持ち込む材料はもう回収出来てる!終わりだ!終わったんだ!」
疑念が確信に変わりつつあった。
そうか、"つまり、そういう事か、兄弟"。
私は確信を持ちつつあったが、証拠があるけではない。
それに、今は場が悪すぎる。
何せ、今では私と兄弟以外に4大マッマとビス叔母さん、ヒッパー叔母さんがその場にいるのだ。
今、この疑念を口に出すことはできない。
「ブロ、ウクラニア陸軍が来る前にズラかろう。」
物理的従兄弟の勧めで、我々は即座にその場から離脱する事になった。
そして、その後、私はロイヤルに帰国し、調べ物に取り掛かった。
どうか"私の確信"がただの妄想であってほしい。
しかし、残念ながらその願いは叶いそうにない。
ロイヤルに戻った後、私はノーカロさんにある物を調べてもらう事にした。
別に放っておいても良さそうなのだが、私にはどうしてもハッキリさせておきたい事があったのだ。
残念な事に、私の"確信"は妄想などではなかった。
時期と証拠がそれを示してしまっている。
これは一度じっくりと話し合うべきだな。
そう思った私はラインハルトにアポイントメントを取り、一対一で話し合う場を設定した。
もう、ここまできたら皆様も薄々勘付いているかもしれない。
レクタスキーはコィバに行ったことはないと言っていたが、到底嘘をついているようには見えなかった。
私がウクラニアに行っている間に、アヴマッマが鉄血大使館の手引きで北連へ向かっていた。
いつだか私が監禁されたウィンスロップ鎮守府の地下施設には、北連は全く関わっていないらしい。
これらの事実から、私はある仮説を立てていた。
そして、それは……本当に残念な事に仮説ではなかった。