バブールレーン   作:ペニーボイス

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GOD MATHER part Ⅰ

 

 

 

 

 

 

突然裸の女が目の前にやって来たら、まず興奮すると思うだろうか?

答えは否だ。

びっくりする。

 

WTF!何てこった!早く何か着てこい話はそれからだ何考えてんだまったく!ってなる。

 

 

 

執務室への全裸入室という前代未聞の事件を巻き起こした後、レパルスにはちゃんと服を着てから再度ご入室いただいた。

私はこう見えて常識人なんだ。

ビースト(赤ん坊)と化したとしてもまだ常識人として振舞っていたいんだ。

 

もはや私の中で一つの規則が出来ていて、それに従っている内は、まだ私は常識人であるという勝手な解釈をして精神の均衡を保っている。

 

"ビースト(赤ん坊)と化す時間は、夜2200から朝0700までの間とする。"

 

 

おっちゃん、早寝なんだ。

だから枕元で白人長身美巨乳お姉さんとかに「はいはい、良い子でちゅねぇ〜、子守唄歌ってあげまちゅからよく寝るんでちゅよぉ?♪月明かりの中 花も眠る(以下略)」とかブラームス歌われると抵抗するすべを持たないんだ。

 

ティルピッピママの悪いとこはその後熱が入りすぎて一人ウィーン劇場が始まるところなんだけどね。

ほんとね、もう可愛いよ。

何というか、こう、ロリータ的な可愛さとは別の意味で可愛い。

 

ヘンゼルとグレーテルを読み聞かせながら、最後に「ぐすっ、良かったねヘンゼル、グレーテル…本当に良かった…」って泣いてる人初めて見たよ。

あれはそんな泣けるストーリーじゃなかったと思うんだが。

どっちかっていうと魔女の婆さん釜に突き落とすあたり狂気を感じるんだが。

 

 

 

脱線してしまった話を少し戻そう。

衝撃的な初対面からはや20分。

今度はベルファストが、未だ動揺が収まったとはとても言い難い声でレパルスの入室を告げる。

レパルスの到着を聞いて慌てて駆けつけ、今や私の背後にいるティルピッツとダンケルク、そしてセントルイスもどこか落ち着かない様子。

なんだろうか?

今朝の事を除けばそんなにヤバい奴ではなかったと思うぞ、レパルスは。

やがて扉が開いて、レパルスが入ってきた。

 

 

おい、やめろお前ら。

レパちゃんが入ってきた瞬間から"NTR"、"負けヒロイン"、"狙われポン"、"信じて送り出したレパルスが"とか不穏極まりない二つ名を口々にするんじゃない。

ヘル●ングじゃねえんだよ。

アンデル●ンじゃねえんだよ。

もうちょっと穏やかに迎えてやれよ、お前ら。

 

 

やあ、レパルス、久しぶり?だね。

まずは長距離強襲任務ご苦労様。

とりあえず休みを取ってゆっくりしたまえ。

何か欲しい物があるなら直ぐにでも取り

 

「あれえええぇぇぇ?指揮官、ティルともケッコンしたの?」

 

 

う、うん、そうだね。

どうしたのかな、レパルス。

どうしてそんなアーカー●みたいな目をするのかな?

おい、何をするつもりだ艤装じゃないよなまさかお前まで艤装持って入ってきたわけじゃないよなつーかなんで艤装の使用を恐れてるんだ私は何かとんでもない事が起きそうな予感というか直感がベルサレムの鐘みたくなって私自身に警告してるんだが気のせいだよな

 

 

「そっかぁ。私専用の指揮官じゃないなら…もういっらなーーーーいっ!」

 

 

 

ダンケルクには秘書艦はパンツか何かみたいにずっと付いて回る必要はないと言ったが、どうやら撤回せずにはいられないようだ。

 

レパルスが目にも止まらぬ速さで短銃身、ストックレスのステン短機関銃を取り出して私に向けて発砲した時、ダンケルクがどこからともなく防弾盾を取り出して私を守ってくれなければ、私は毎分500発で繰り出される9mm弾に穴だらけにされていただろう。

 

 

じゃなくてね。

 

超怖ええええ!!!

なんなの!?レパルスお前いったいどうしたの!?そんなキャラだったの!?

 

目が怖えよ、目が。目がッ目がァァァアアア!!ってぐらいに怖えよ。

思わずNo.2リボルバー投げ出して両手で目を覆いたくなるほどレパちゃんの目が怖いんだよ。

 

 

わかってる?ねえ?

貴女今さっき余裕でセントルイス追い越して鎮守府イチ恐ろしい艦娘堂々の第1位になったんだよ?

もう洗脳とか屁でもねえよ。

直に殺しに来る方がよっぽど怖えよ。

 

なんで?

私、何か気に触ることをしてしまいましたでしょうか教えてくださいお客様。

 

「えへへ☆だって指揮官が私以外のモノになるなんて考えられないじゃん☆指揮官の重婚を止めて、私だけのモノにするにはこうするしかないでしょ☆」

 

 

病み過ぎだろおおおおおお!!!

 

「モノ」の意味が変わってくるだろうが!!

「者」っていうより死体としての「モノ」って感じ全開で来たぞ、こいつ!!

暖かかろうが、冷たかろうが側にあれば良いスタンスで来たよ!!

もはや私の事をぬいぐるみか何かとしか思ってない前提で来たよ!!

 

 

つーかなんなんだそのサブマシンガンはッ!

どこでそんな変態みたいなステンガン手に入れた!?

 

グリップに巻いてるテープ的なサムシングはアレか!?

指紋残さない類のアレか!?

ここはイタリア料理店じゃねえんだよ!

私がトルコ人なわけでもねえよ!

お前はいつからマイケル・コルレ●ーネやらトニー・モ●タナになったんだ!?え!?

 

 

「そんな所に隠れてないで出てきなよ〜。いいじゃん、ずっと一緒にいようよ〜。」

 

 

ダンケルクの前から変態ステンガンのリロード音が聞こえる。

やめろ、やめてくれ。私の執務室を子牛料理の美味いイタリア料理店にしないでくれ。

そしてこれ以上の物資破壊をもたらさないでくれ。

明石が泣く。今度こそ泣くぞあいつ。

 

 

「し、指揮官、ああなってはゴッド・マーザーは止められません。取り急ぎ避難すべきです。」

 

おお、そうだなダンケルク。

でもどうするよ?どうやって逃げるよ?

防弾盾持ってるダンケルクの右も左もステンガンの射程範囲じゃん。

ステンガンがある以上、ティルピッピママは私のいる机の隣の書棚から動けないし、ベルファストは………ちょっとまってレパちゃん、それは反則でしょう。

あんたどうやってステンガンをリロードしながら片手でウェブリー使って後ろのベルファストに精密極まりない牽制射撃してんのよ。

次●かお前は。

 

 

うわ、マズイぞ。どうやっても病んデレーナと化したレパルスから逃れる方法が見つからん。

 

右、左、上、下、どこも逃げ道は…下?

………よし、セントルイス。

天井のみならず床下からも出口を作っていた事はこの際不問にする、つーか褒める!

飛び降りるからちゃんと受け止めてね?

おっちゃん重いよ、大丈夫?

その恍惚とした表情はやめてくれるかい?

 

 

 

 

 

 

 

ふぁー。

危なかったあ。

 

結局、あの後セントルイスと一緒に執務室から脱出し、未だにファム・ファタムっぽくて仕方のないイラストリアスが車で迎えに来てくれて一旦鎮守府の外に避難した。

 

当のレパルスはダンケルクを力づくで………いいかい、もう一度言おう、LV100越えの戦艦を力づくで退けて私の机に迫った後、「あれれぇぇぇえええ?指揮官は〜???」とか言って外に出たらしい。

 

その後ティルピッツと戦闘して"終始圧倒しながら"鎮守府内を探し回った挙句、「あ、もうこんな時間だ。次の長距離強襲に行かなきゃ」とか言って出撃したそうだ。

 

 

疲れ果てた様子のダンケルクとティルピッツ始め関係者各位には、深々とお辞儀してお礼した。

 

まだこっち来てから3日たってないのに本当に死ぬとこだったわ。

 

 

 

レパちゃん、ねえ。

最初に私が引き当てた戦艦で、最初に私がケッコンした艦娘。

底抜けに明るくて、いつも元気なイメージが好きだった。

なんかこう、幼馴染みの女の子的なサムシングを感じ取ったんですわ。

 

まあ、最近は他の艦娘の育成やらイベントやらで全然構ってなかったからなあ。

挙句、数人と重婚をされたら彼女としては裏切られたような気持ちもしたかもしれない。

 

でも、別のアプローチもあったんじゃないかな?

全裸入室からの暗殺未遂は余りにもぶっ飛んでるよ、レパルス。

 

まあ、長距離強襲任務は手のつけられなくなったレパルスの為にわざわざ作られた任務で、そうそうこっちに戻らないってとこがせめてもの救いっつーか、レパちゃんには凄い申し訳ないけどリゾート地経由だし旅費もトコトン弾んでるから勘弁してください。

ただ、不定期で戻られるというのがなんとも。

 

 

まあ、さて、帰るかな。

鎮守府まで戻ったけど、私の生活空間は執務室からは離れた場所にある。

今日はピット●ルとトニー・モン●ナのおかげで随分とくたびれたし、ゆっくり風呂にでも入って寝よう。…ピッピママと一緒に。

 

ええっとまずは車、車。

私の愛車で移動して…

 

 

「ご主人様、お待ちください。」

 

どうしたベルファスト、青い顔して。

つーかなんで艤装付けてんの?出撃予定ないでしょ、貴女。

鍵?ほら、どうぞ。

いったいどうした………ooops.

 

 

 

 

 

 

今日は秘書艦経験者全員に命を助けてもらった。

 

 

帰り際にフル装備のベルファストが私の代わりに車のドアを開けていなかったら、私は間違いなく天に召されていただろう。

 

私の愛車は爆発を起こし、ベルファストに装備していたT3バルジはダメになった。

 

もうトニー・モン●ナどころじゃねえよ。

テロだよ、テロ。

 

 

よって私の交通手段はなくなり、ティルピッツにおぶってもらい帰宅となった。

 

歩いていくって言っても聞いてくれなかった。

道中危険かもって必死に訴えられたし、実際車が吹き飛んだ後じゃ私も怖かったよ。

 

ただ、私をおぶるティルピッツが歩を進める間にも、ベルファストが金太郎飴を食べさせ、セントルイスが民謡を歌い、ダンケルクがガラガラを鳴らしていた。

 

 

 

もう、いいです。

私は皆の可愛い赤ん坊です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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