バブールレーン   作:ペニーボイス

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つい我慢というものができずにまた始めてしまった。
反省はしている。

主人公の名前が若干変わってますが、そもそも設定が一部前作から変わる予定なので、詳しくは追い追い登場人物紹介を挙げて行こうかと思います。

我慢というものができない、頭が本当におかしい人間の怪文書の駄文でありますが、お楽しみいただければ大変幸いです。。。


バブールレーンⅡ 『バブ・ベイベー』
プロローグ


 

ある陽気な平日の昼、1人の惨めな男が、自らの執務室で頭を抱えて怯えていた。

男はガチガチと歯を鳴らし、その腕は小刻みに震え、その額は脂汗で満たされている。

 

もうすぐ30も半ばを越えようとするこの男をここまで怯えさせたのは、3日前の出来事。

それ以来彼は、エドガー・●ラン・●ーの小説の登場人物のように惨めに怯え、一日の内の大半をそうして過ごしているのである。

 

 

 

その"男"とは私、『ロバート・フォン・ピッピベルケルク=セントルイスファミリア1世』の事だ。

たかだか二次創作物の主人公がなんでそんなオーストリア皇帝みたくクソみたいに長い名前になったのかは…もしお時間が許すなら前作を読んでいただきたい。

そこにはここに至るまでの全てが記されていることだろう。

 

私は三日前に、本当にとんでもない経験をしてしまい、ずっと怯えているのだ。

それはそれはもう恐ろしい体験だった。

エドガー・●ラン・●ーとスティー●ン・キ●グが同時に真っ青になるレベルで。

ペニー●イズだって、私の体験を聞けばきっと裸足で逃げ出すに違いない。

 

 

だから皆様には、最初に謝罪させていただきたい。

皆様はきっと、この怪文章を読んだ後に必ずこんな風におっしゃることでしょう。

 

「こ、この、サイコ野郎…何て物をこの世に送り出しやがった!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3日前

鎮守府内

医務室

 

 

 

 

 

 

あああああっ!!この世の地獄だァァァアアア!!

 

「ちょっと、動かないで!死・ぬ・わ・よ?」

 

死んだ方がマシかもしれんわ、こんな恥辱っ!!

 

「そんな事言うもんじゃないの!ほら、もう少しで終わるから大人しくなさいっ!」

 

 

 

持病というものは人を苦しめる。

それを持つ者は、下手をすれば死ぬまでその病と付き合っていかねばならないのだ。

ある者は喘息、ある者は糖尿病、ある者は神経痛、ある者は痛風。

私の場合、それは血栓性外痔核だった。

平たく言えば『イボ痔』。

このタイプの痔は非常に厄介で、外科的手術によって完治はできないそうだ。

出るポイントが3点あり、その内1点を手術したとしても、残りの2点から出る可能性が高い上に一度切ったらもう切れないらしい。

医師からも薬による治療を勧められた結果、私は引っ込んだり出てきたりする痔核と戦う道を選ばざるを得なかったのだ。

お食事中だった方、本当にごめんなさい。

 

 

そして私は今、いつの間にか当鎮守府衛生兵キャラが定着してしまったプリンツ・オイゲンにネリ●ロクト軟膏という素晴らしい薬を塗られようかとしていた。

 

いや、マジ勘弁してください。

プリンツ・オイゲンにプリケツ・オイゲンしたい人間がどこにいるんだよ。

 

彼女の場合、母性っつーより親しい幼馴染っぽさの成分が多く含まれてる人物だからことのほか恥ずかしかった。

 

あのさ、幼い頃転んで怪我して幼馴染に消毒液塗ってもらって「痛ててて」「我慢しなさい男の子でしょ」とか言うやり取りとかだったら分かるじゃん?

むしろ羨ましいじゃん?

 

でも30半ばにもなって明らかに自分より年下に見えるレディに痔の薬を塗ってもらうってすんごい恥ずかしいわけよ。

なのにプリンツェフ(プリンツ・オイゲン)は一切の躊躇無しにおっ広げて塗ろうとしてくんのよ。

自分で塗るから大丈夫ですむしろ自分で塗らせてくださいって言っても聞いてくんねえのよ。

 

結局、私はプリンツェフに塗り薬を塗ってもらう事になり、先程の様に悪態を零していたのである。

 

 

 

「はいっ終わり!これに懲りたら、次からはイボを出さないように努力する事ね。」

 

出さないって言ったって…出るんだもん!

 

「やめなさい。全く可愛くないし、むしろグロいわよ?」

 

ヘグッ(critical!!)

 

「食物繊維を摂取しなさい。キャベツとか。とにかく、血液の流れをサラサラにして、血流を良くしないと。」

 

…わ、わかりやした。

 

「それじゃ、治療も済んだことだし、行ってらっしゃい。私の………後は好きに想像なさい♪」

 

 

 

プリンツェフに送り出され、私は自らの執務室へ向かって歩き始める。

朝一番だってのにエラい目に遭ってしまったが、やはりプリンツェフには感謝しないとなぁ。

彼女のおかげで、私の持病の症状が既に緩和され始めていたのだ。

薬の塗り方一つでも変わるもんなんだな。

 

 

 

 

やがて私は執務室へと至り、品のいい扉を開けた。

その部屋の中には4人の貴婦人達がいて、私が来るなり笑顔で迎えてくれる。

 

 

「坊や!私の坊や!私の愛しい愛しい坊や!おかえりなさい!」

 

うん、ピッピママありがとう。

 

「プリンツ・オイゲンから聞いたけど、また"出ちゃった"んですって?Mon chou(私の可愛い息子)?」

 

実はそうなんだ、ダンケママ。心配かけてごめんね。

 

「指揮官くん!ひょっとして…私が昨日ポテトチップなんか作ったから…」

 

ルイスママ、それはない。それはないから。一晩で影響が出るもんでもないし。

 

「とにかく、ご主人様。ご自身の健康にはご注意していただかなければなりません。」

 

はい、ごめんなさい、ベルママ。

気をつけます。

 

「さて、と。坊やの治療も済んだ事だし…今日もバトルね!」

 

「今日こそ私がMon chouを最初にあやすわ!」

 

「うふふふふ♪私はラッキー・ルー♪そう簡単に勝てると思うの?」

 

「勝てるか勝てないかではなく、勝つのです。お間違いなきよう。」

 

「それじゃあ…」

 

「「「「サイッショはグゥゥゥ!!」」」」

 

 

これが当鎮守府名物あやしんぐジャンケンである。

その日の誰から順番に私をあやしていくか決めていくのだ。

その勢いは正にショッギョ・ムッギョ。

 

 

執務室のど真ん中で物理的母親達による白熱のジャンケン=バトルが行われている間、私は窓の外を眺める事にした。

 

ティルピッツ、ダンケルク、セントルイス、ベルファストの4人とは、色々あって今の関係へと至った。

本当に死にかけていた所を輸血で助けてくれたのだが、その結果、彼女達は自分こそ私の母親だと言い張る様になり、私は彼女達の物理的な息子となったのである。

その母親達が鬼の形相で繰り広げる凄まじいバトルを直視するには、私のメンタルは脆すぎるのだ。

 

 

 

窓の外を見ると、ちょうど明石と夕張が何かの装置を弄っているのが見える。

 

あ〜、アレどっかで見たことあるぞ。

アレだ、アレ。

ベルファストからベルちゃんを分生させたあの装置だ。

なんだアイツらまだ懲りずにあんなもん作ってんのかよ。

 

 

 

どうやらセッティングが終了したようで、明石と夕張は装置の電源を入れたようだ。

装置からは何かアヤシイ光線が出てきて、しかしそれは途中でカーブミラーにぶち当たって反射する。

 

そして、その光線は「セッティングぐらいもうちょいちゃんとしろや」と思っていた私に向かって飛んできたのだ!

 

私は光に包まれ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつくと暗闇の中。

でも、寒くもなければ怖くもない。

なんだか暖かく、心地よく。

ずっとここにいたい、そう思えた。

だが光が見えてくる。

いつまでもここにはいられないんだな。

光の向こうで、誰かが待っていてくれている。

仕方ない、行くとするか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めると、私は揺かごの中にいた。

いや、大人サイズの揺かごとか、そんなのじゃない。

"ちゃんとした、赤ん坊用の揺かご"。

 

おかしいな30半ば近い私が入るはずもないのに。

 

やがて長い両腕が伸びてきて、私を抱え、上に持ち上げた。

プリンツェフ?

 

 

「あ〜、よかったですねぇ、お母さん〜、元気な男の子ですよぉ〜(裏声)」

 

 

プリンツェフはそう言いながら、私をベッドの上へと運ぶ。

 

そこには1人の女性がいて、私を見るなりこう言った。

 

 

「ちゃんと無事に産まれて来てくれたのね!Mon chou!」

 

 

おいダンケルク。

これは一体全体何が起きたんだ?

何が起こってるんだ?

お前はそこで何してる?ん?

お前はそんなところで寝転がって、一体何してるんだよ?ん?

 

何故安心した母親みたいな顔で私を見る?

何故産まれて来た赤ん坊を見て………

 

 

おい、おいおいおいおい!

 

頭を別の方向に向けると、グルグルに縛られて十字架にかけられた明石と夕張が見える。

その横にはピッピ、ルイス、ベルがいて、微笑ましい笑みを浮かべて私とダンケを見ていた。

 

 

「おめでとう、ダンケルク!坊やがちゃんと産まれて来てよかった!」

 

「うっ、ぐすっ、じぎがんぐんっ!わだぢだぢじんばいじたのよぉ?」

 

「とりあえず…これで装置の安全性は確認されました。次は私ですね。」

 

「皆んなの応援のおかげで、私も頑張れたわ。今度は私が応援する番。Mon chouの"本当の母親になれる"感動…皆んなならきっと分かってくれると思うわ!」

 

 

 

ちょっと待て。

いまいち頭の理解が追いつかない。

ただ、現段階で分かっていることと言えば…なんてこった。

ここに来てついに、私はモノホンの赤ん坊になっちまったようだな。

 

 

 

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