グラップラーソシルミ!   作:桐山将幸

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資料として何度も原作を読み返すうちに、自分の勝ち上がりが記録されるトーナメント表をウキウキした顔で見てるクリリンの顔に罪悪感が湧き上がってきました、B-BS-Cnbです。


”もう一人”の実力はいかに!第二、第三、第四試合!

 第二試合のヤムチャVSジャッキー・チュン(亀仙人)の戦いは、概ね原作通りに進んだ(はずだ、詳しい試合内容なんて覚えていられない)。

 

 亀仙人演ずるジャッキーは、ヤムチャの実戦で鍛え上げられた能力を褒めつつもその実一方的に翻弄した挙げ句、手で仰いだだけの風で武舞台からはじき出してしまった。

 一撃で仕留めてしまったという点を除けば、俺がクリリンにしたこととそう変わらんな、そこの手加減と余裕が持てないのが俺の青さだろうが。

 

 まあ、ヤムチャが敗北するのは確定事項だったし、ヤムチャは敗北でへこたれたりするタチでもない。

 彼は問題なく、更に強くなっていくはずだ。

 

 さて、ジャッキーの身体能力はあからさまにクリリンを上回っている。

 だが正直言ってヤムチャとジャッキーの間には心技体、あらゆる指標で天と地ほどの差があるのも事実、この試合でジャッキーの身体能力を測ることはできないようだ。

 

 ……試合を観戦しながらも、俺の注目は次の試合へと移っていた。

 

 

 第三試合はナム対孫紅流だ。

 ナムは渇水の村を救うため、水の購入資金を稼ぎに天下一武道会に挑戦しに来たインド風の青年だ。

 その強さは常人のレベルを遥かに超えていて残像拳を見切るほどの視力も持っているが、原作では悟空に後を引くほどのダメージを与えることもなく敗れ去っており、正面戦闘で亀仙流に迫るほどの力はないと思われる。

 だが、それでもその武術は本物だ、少しでもヤツの底を見せてくれればいいのだが……。

 

 「第3試合はじめっ!!」

 

 「よろしくお願いします」

 

 「う……! よ、よろしくお願いします……」

 

 ヤツに向き合うナムはかなり複雑な表情をしている、そりゃあ、自分が優勝して村を救わないといけない時に、対戦相手として現れたのがまだあどけない(しかも、歳より若く見える)女の子ときたら、そりゃあビビるし困る。

 だが、そんな心配は無用だ。

 

 「その心配は無用です、私もそれなりに鍛えてありますから」

 

 でないとここには立っていません、と付け加えたヤツを前に、ようやくナムは踏ん切りを付けたようだ。

 

 「……わかりました、全力で行かせてもらいます!」

 

 そう叫ぶやいなやナムはすばやくヤツを蹴りつける。

 亀仙流のような怪物じみた鍛え方ではないが、足腰の強さと確かな腕前を感じさせる鋭い蹴りだ。

 狙いは足だ、110cm程度の小兵相手なのだから胴体を狙えばいいだろうに、戦う覚悟はあっても傷つける覚悟までは持てなかったのか?

 いや、それとも単に俺とクリリンの試合を見て、同じ道着を着る彼女のその実力を警戒しているのか。

 

 「ッッ!!」

 

 ナムの蹴りを飛び上がって回避したヤツは、そのまま頭突きを叩き込んだ。

 ………頭突き!?

 

 「がっ!?」

 

 余りの速度に面食らったナムはモロにそれをくらい、後方に思いっきり倒れ込んだ。

 いや、有効でないわけではないだろうが……。

 

 「おおっと!孫紅流選手、攻撃を飛び上がって避けたままの勢いで頭突きです!ナム選手これは痛い!」

 

 そりゃあ、小さい身体とはいえ、飛び上がっての頭突きというのは全体重を込めた質量弾にほかならない、ナムの命が心配だ。

 (もちろん人体で最も大切な部位である頭部と頚椎を武器にするも同然で、危険な技にもなりうるが……、亀仙流でサイヤ人であるヤツにとってそれは問題にならないだろう)

 

 「おおっと、ダウンです!ワーン!ツー!……」

 

 いや、もうムリだろう、これが天下一武道会ではなく、近代的な大会ならテクニカルノックアウトだ(もっとも、超人たちの能力と耐久力を正確に判断してストップを入れられるレフェリーが居たのなら、だが)。

 ナムはそのままあっけなくテンカウントを取られ、アナウンサーの勝利宣言が終わっても目を開けないまま救護班に運ばれていく。

 その高い跳躍力も、不殺でありながら相手を10日は目覚めない眠りに追いやる、某虐殺王大喜びの必殺技『天空×字拳』も披露されずじまい、あっけない終わりだった。

 

 ……通っていくナムの身体を見たが、脳がどうなってるかは分からないものの、命に別状があるような挙動は見えない。

 どうやら、ヤツが敵選手殺害によって失格となることはないようだ。

 

 ヤツの師匠であるジャッキーをちらりと見ると、滝のような汗を流している。

 弟子に加減を教えるのを忘れたことへの自責か、あるいは悟空が敗れれば自らあの恐ろしい弟子と戦わねばならぬことへの焦りか……。

 ……おそらく両方だろうが亀仙人のことだ、後者がメインな気がしてならない。

 

 

 「俺はクリリンをあそこまで痛めつけはしなかったぞ?」

 

 「う、うるさいですね、少し焦ってしまったんです、まさか軽く飛んだだけの頭突きにあそこまで威力があるとは……」

 

 いや、サイヤ人が何をカマトトぶっているんだ。

 

 「……なんですか」

 

 「いやぁ、なんでもないさ」

 

 ジト目の追求をニヤリと笑って受け流してやる。

 

 「まあいいだろう、次はギラン対悟空だ、自慢の弟が『予定通り』の勝利を掴む様を見に行くといい」

 

 「……言われなくとも見に行きますよ」

 

 そう言うと、ヤツはちょっとヒいてるクリリンを連れて悟空たちの試合を観戦しに行った。

 

 

 第4試合、悟空対ギラン。

 ギランはグルグルガムという頑丈な体液(?)をブレス技のように吐き出して、敵に巻きつけ拘束する能力を持った翼竜の獣人だ。

 

 空を飛ぶという天下一武道会にふさわしくない特徴と相まって、強力な選手だ……が。

 それはあくまで常人~達人の領域でバチバチやりあってるときの話だ、その領域を踏み越えてしまった悟空の前では単にギミックで観客を喜ばせるだけの弱者にすぎない。

 

 実際、試合運びもそのようになった。

 ギランは2つの能力を披露して悟空を(試合形式上)追い詰めるも、しっぽを生やして危機を突破(無茶苦茶な話だが、サイヤ人は特別なことがなければしっぽは生え直すものらしい)し、グルグルガムをあっけなく千切った悟空を前にあっさり降参してしまった。

 

 

 少々締まらない勝利だったがそれでも悟空の一回戦突破だ。

 第1試合では俺にやられたもののとてつもない速度の踏み込みを見せたクリリン、第3試合ではナムを圧倒した孫紅流、第4試合ではギランを圧倒した孫悟空、この3人が同じ道着を着ていることに注目したアナウンサーがインタビューを行い、三人が亀仙流であることが明かされる一幕もあった。

 

 クリリンとヤツが悟空に駆け寄り勝利を祝っている、まあクリリンはともかくヤツは実力的にも出来レースなのがわかりきっていた試合でそう大喜びは出来ていないようだが。

 

 「さて、次は俺と亀……ゴホン、ジャッキー・チュンの試合だな……、実に楽しみだ」

 

 「……本当にやるつもりなんですか?」

 

 「ああ、勝てるかは分からんが、挑まないつもりもない」

 

 「そういうことでは無いのは分かっているでしょう?……ですが、止めても無駄ですね」

 

 ヤツは険しい顔でこちらを睨みながらも、引き下がる気配を見せた。

 

 「ソシルミ選手!」

 

 にらみ合いもそこそこにして、武舞台前で待機しようとしたところに、聞き覚えのある声が飛び込んできた。

 

 「なんだクリリン選手」

 

 「ボクはもう選手じゃ……いえ!あの……頑張ってください!」

 

 「ありがとう、言われなくたって頑張るが、受け取っておこう」

 

 「あと、ちょっとですね……」

 

 クリリンは俺の手を引いて、物陰に向かうと、耳を貸すように要求してきた。

 内緒話か?

 

 「ボソボソ(あの…ソシルミ選手、紅流さんとどういう関係なんですか?)」

 

 「ボソボソ(武道家同士だからな、いろいろあるんだ)」

 

 本当はもっと深い事情があるのだが、まあ今はこれで十分だろう。

 

 「ボソボソ(ライバル心ってやつですか……、本当にそれ以上はないんです?)」

 

 「ボソボソ(お前が何を心配してるのかは分かっている、そういうことはないから安心しろ)」

 

 そう言うと、クリリンはたまらず顔を赤らめ声を上げた。

 

 「なっ!?」

 

 『それでは第5試合を始めます、アエ・ソシルミ選手、ジャッキー・チュン選手、ご登場くださーい!』

 

 「おっと、応援はしてやる、……頑張れよ!」

 

 いやぁ、しかしヤツも隅に置けん、まあ、男所帯の道場から移動して同年代の少女の同門ができたのだから、少しは色気付くのが自然か。

 クリリンがここで『頑張った』としても、(あるかもわからない)アニオリの彼女(名前忘れた)と18号との関係がなくなる程度で戦力的にはほぼ影響はない……はずだ。

 むしろサイヤ人の子供が増えるなら大幅な戦力上昇だ(将来のライバルも増える)、応援するべきだろう。

 

 

 「お二人の登場です、亀仙人のお弟子さんを破った前大会優勝者ソシルミ選手と、正体不明の圧倒的な強さを誇るご老人、チュン選手の戦いは一体どのようなものになるのでしょうか!」

 

 「ほめるのは良いがちゃんとわしらにはインタビューしてくれんのか?」

 

 「あ…はい!ええと……では、ジャッキー・チュン選手はどこからお出でになられたのでしょう」

 

 「秘密じゃ!」

 

 ジャッキーのあまりに理不尽な振る舞いを前に、アナウンサーはタラリと汗を流して、こちらに向き直った。

 

 「……………………ソシルミ選手はどこから?」

 

 「西の都の近くの村だが、故郷は追い出されてしまったのでもうないも同然だな」

 

 自業自得といえば自業自得、理不尽と言えば理不尽といったセンだ。

 

 「で、ではいかにしてそのような強さを身につけられたので?」

 

 「ほとんど生まれつきだと思っているが、特にやったことというと、各地を回って様々な武道家と試合して技術を吸収してきた、あとは崖から飛び降りたりモンスターと戦ったり……結構な無茶もやったな」

 

 「が…崖!それはすさまじい!!なるほど、ソシルミ選手の強さは素晴らしい才能ととてつもない努力にあったわけですね!!」

 

 観客はフカシだと思って笑う者と、俺ならあるいはと思ったのか、息を呑むもの、そして単にマイクパフォーマンスに興奮しているものに別れた。

 そしてヤツはまたジト目だ、崖から飛び降りるのは確かにむちゃくちゃだが、鍛錬としては良かったんだぜ、大きな崖を使えば継戦能力の訓練にもなる……9歳くらいの頃にやったときはあやうく死にかけたが。

 

 ……ジャッキーは俺のインタビューを聞き入っている、どうやら、これが目的だったみたいだな。

 亀仙人は心が読めたはずだが、何かの条件があるのか俺の心は分からなかったようだ。

 

 

 「では、第5試合を始めます」

 

 「よろしくな、アエ選手」

 

 「ソシルミでお願いします、ジャッキーさん」

 

 和やかに挨拶を交わす俺たちだが、お互いの実力を、お互い『底が知れない』という形で知っている二人だ、武舞台はすでに凄まじい緊迫感に包まれている。

 

 「では第5試合、はじめっ!!」




タイトルにあるのに地の文だけで片付けられたヤムチャとギラン、哀れ。


リハビリ作なので毎日投稿縛り。
いやぁ原作あると執筆早いなあ!
ということで、オリ展開とかに入ったら投稿ペース崩れるかも、そこまで行くかも分からないけど。
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