それいけ、空ちゃん!   作:宇宙人A

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バタフライ効果、それは些細な変化が後に大きな変化を齎すこと。



二話

 

───第六階層【 アンフィテアトルム 】

 

 

 足を踏み入れる者。

 

 皮や肉が一切無い骸骨と呼ばれる者。

 

 金で彩られた漆黒のローブを纏い腹部には赤黒い球体が埋め込まれている。空洞だと思われる瞳には赤黒い光がゆらゆらと灯して眼光を担っている。

 一歩、一歩と歩む度に存在、輪郭がズレて黒い霧が滲み出しては消えて行く。

 

ナザリック地下大墳墓統治者にしてギルドマスター。

 

 

『モモンガ』

 

 

 ふと歩みを止め空を見上げた。

 

 夜空に広がるは星々の輝き。

 時間と共に変化する様に試行錯誤して作られたソレ、

 

人工天体。

 

 じっと眺めていれば星々が一定方向に流れている事が判る。

 

 そのまま周囲を見渡す。

 多くの観客が見やすい様に作られた階段状の客席、中央には少し出っ張る様に作られた貴賓席。

 其れ等を含めて闘技場全体を

  【コンティニュアル・ライト(永久光)】が隙間なく照らしている。

 

 更に進むと貴賓席から何者かが飛び出した。

 魔法を使わず肉体的能力と技巧だけで貴賓席から百メートル以上の距離を飛び数メートル手前に着地する。

 

「ぶぃ!」

 

 そして何故かダブルピースを決めた。

 

 身長は低く色白の肌に幼さを残したような容姿。金と緑のオッドアイにサラサラとした透き通るような金色の髪。

 美しく可愛らしい少女だが、ただ一点、長く尖った耳が人間以外であると主張している。

 

 所謂エルフと呼ばれる存在だが普通のエルフではなく【古妖精(アークエルフ)】と呼ばれる古代種。

 

 上下は黄金に輝く竜の鱗で作られたシャツとズボンを着用し、その上から白いベストで止めている。至る所には金や宝石の装飾がが施されており一目で上流階級の存在だと分かる。

 

 其の者は『アウラ・ベラ・フィオーラ』

 ナザリック地下大墳墓第六階層の守護者の一人。

 

「アウラ……か」

 

「いらっしゃいせ、モモンガ様。あたしたちの守護階層までようこそ!」

 

 ニコニコと満面の笑顔を浮かべている。

 

「元気そうだな」

 

「元気ですよ~。ただ、この頃暇でしょうがないですけどね。侵入者でも来てくれれば良いのに」

 

──侵入者。

 

 その言葉にモモンガは()を細める。

 かつて数千人に及ぶ大群が攻めてきたとき、第八階層階層まで侵入された。つまりすべての守護者が全滅したのだが、その時の記憶はどうなっているのか。

 死が怖くないと言う考え方も出来るが、死という概念を彼女達にはどの様な意味合いを持つのか。

 

 確かめたい気持ちはあるが、無理に藪をつつく必要も無い。敵意の無いアウラを己の実験のためにどうこうするのもどうかと思う。何よりアインズ・ウール・ゴウンのメンバーが作ったNPCを実験に使うなんて以ての外。

 それより守りたい気持ちの方が大きく出ている。それに現状では死の概念が変わっている可能性もある。その内実験する必要はあるが、追々考えることにする。

 

「そうか、所でマーレは…」

 

「此処にいますよ…」

 

 アウラの影からから分身するかの如く現れた。

 

「フフフ……いらっしゃいませ」

 

「う…うむ。マーレも元気そうだな」

 

「はい…」

 

 不気味な雰囲気を感じさせる少女はアウラと同じくサラサラとした透き通る金色の髪に色白の肌、金と緑のオッドアイをしている。

 

 アウラと瓜二つの少女(・・)

 

 服装は黄金に輝く竜の鱗を使用した上着は一緒だが、下はスカートを履いており女性であることを主張している。

 

 其の者は『マーレ・ベロ・フィオーレ』

 ナザリック地下大墳墓第六階層の守護者の一人でアウラと双子の()だ。

 

 アウラも少女であるのだが創造主の趣味によりボーイッシュな少女とガーリッシュ((?))な少女として創造された。

 

「えーっと、今日、六階層に来られたのは…」

 

「なに、魔法の訓練をしようと思ってな」

 

「訓練…ですか」

 

 ナザリックの支配者であり最高位の死靈術死でもあるモモンガが何を言っているんだと思ってしまうアウラ。

 

「そうだ」

 

 モモンガが手に持った【スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウン】を地面に軽く叩きつけると二人は理解した。

 今までモモンガと言う存在に気を取られていたが、その手に持っているスタッフがギルド武器だということに。

 

「そのスタッフは伝説のアレですね!?」

 

「…そうだ。私しか持つことが出来ないアレだ…」

 

「フフフ…」

 

 伝説のアレとは何ぞやと思ってしまうモモンガ。よく分からないので取り敢えず同意しておく。その同意に目をアウラはめをキラキラさせマーレはうっとりと見つめている。

 

「それと守護者全員ここに呼んでいる。一時間もしない内に来るだろう」

 

「なら歓迎の準備を…って、え? あの女も来るんですか!?」

 

 あの女とは誰ぞやと、分からなくも無いが誤魔化しておく。

 

「全員だ…」

 

「はぁ…」

 

 しょんぼりするアウラと相変わらず不気味に微笑むマーレ。その雰囲気に骨の超越者であるはずのモモンガは一瞬尻込みしそうになるが気合で踏みとどまる。

 一体どの様な設定を加えていたのだろうか、全く思い出せない。

 どうにかして思い出さないと何かマズイ気がしてならないのは何故だろうか。

 

「と…とりあえずだ、魔法の実験に何か的になるものはないかな?」

 

「でしたら案山子がありますよ!」

 

「ふむ…用意してれるかな?」

 

「はいっ!」

 

 ハキハキとアウラが答える。

 

「案山子を持ってきて―っ」

 

 アウラが何処かに向かって声を飛ばすと、闘技場の入り口からボディービルダー宜しく逆三角形でムキムキで竜の鱗と頭を持つ者が入ってきた。

 三メートル程の身長で竜の頭と太い尻尾が生えている。翼こそないものもその直立した姿は竜だと言って良いだろう。

 

 所謂『ドラゴンキン』

 

 ドラゴンと親しき者と呼ばれるドラゴンキンだがアウラの下僕である。彼女は職業『ビースト・ロア』を最高レベルで得ており自らの下僕の能力を1・5倍に引き上げる事が出来る。ドラゴンキンのレベルは55と雑魚も良いところだが全能力を1・5倍に引き上げられればレベル100の者でも無視出来ない力を出すことが出来る。その為百数十体にも及ぶ数のドラゴンキンを与えられている。

 

 それら今の行動を見る限りでは上手く使えているようだ。

 

 案山子を担いだドラゴンキンは猛獣の様な速度で走ってきては少し離れた位置に突き立ててアウラの背後に整列した。

 

「おまたせしました!」

 

「…うむ、少し離れると良い」

 

 用意したのはドラゴンキンだが下僕ならアリなのだろうか?妙な事で少し悩んでしまった。

 

 それより魔法の実験をしなくてはと気を取り直しす。

 

 案山子を見据えてから数秒、静かな空間が広がる。

 魔法を使うには声による音声操作かコマンドメニューからの手動操作だった。

 しかし今、魔法に意識を向けると脳裏に使い方が浮かんでくる。若干の戸惑いはあるが、それ以上に胸を踊らせる。

 

 イメージするだけで魔法が使えるのでは?と。

 

 右手にスタッフを持ち魔法をイメージした。

 

《3rd magic/ファイア・ボール》

 

 次の瞬間スタッフの先端にバスケットボール大の炎球が生まれ、案山子に向かって放たれた。

 魔法はイメージ通り寸分違わず案山子へ当たり、爆炎と火の粉を撒き散らす。

 

 その光景にモモンガは薄っすらと笑み(・・)を作った。

 

 魔法をイメージするだけで使える事に。

 

 予想以上の威力が出た事に。

 

「クククッ─ アウラ、別の的を」

 

「…あっ、はい!ただいま!―持ってきて!」

 

 笑うモモンガに見とれていたアウラは一瞬固まり慌ててドラゴンキンに命令を下す。

 新たな案山子が設置されたのを確認してから、別の魔法を発動させた。

 

《8th magic/エクスプロード》

 

 発動した直後に案山子が吹き飛び爆風が荒れ狂う。モモンガや守護者には全く影響の無いものである。

 しかしアウラとマーレに爆風で飛散した土埃が何故(・・)か付着していた。

 

「…すまないな。予想以上に威力が出てしまったようだ」

 

「いえ!全然気にしませんです!寧ろ嬉しいです!!」

 

「嬉しいわ…」

 

「エッ…」

 

 二人は何故か姿勢を正す。その仕草に可愛らしさを覚えるが発言が不穏で仕方ない。

 取り敢えず現実逃避をする為に別の魔法を発動させた。

 

《Extra magic/メッセージ》

 

 遠方と通話する魔法、相手はゲームマスター(GM)、一度確認しているが淡い期待を込めてもう一度。

 発動してから少し、コールの様な音声が頭の中で鳴り響くだけで一向に繋がらない。繋がらないなら切断しようか、悩んでいると道が切り開かれるような感覚を感じた。

 

『はい。モモンガ様、如何なさいましたか』

 

 繋がった。

 が、外の探索を命じたセバスに、である。

 

『セバス…か、外の様子はどうなっている?』

 

『少々困ったことに』

 

『何が問題だ?』

 

『ナザリック周辺が草原に変わっております』

 

『なに…?沼地だったはずだが…草原だと?』

 

『左様でございます。ナザリック周囲数キロに渡り草原が広がっており、存在する生命体はレベルが10にも満たない小動物しかおりません』

 

『そうか…ご苦労。詳しい探索は後だ、ナザリックへ帰還し六階層のアンフィテアトルムに来い。周囲の警戒は怠るな?』

 

『はッ』

 

 更に困惑する。

 ナザリック大地下墳墓周辺は猛毒の沼地だ。それが草原とは冗談にしか聞こえない。セバスが冗談を言うとも思えないしNPCが動いている異常性を考えれば納得するしかあるまい。

 NPCが動き回る他にGMコールやコンソールが一部使えないこと、ナザリック周囲が沼地から草原に変化したこと、思考していく内に異世界転移と言う単語が頭に浮かんだ。

 

 しかし異世界転移と言うならナザリックそのものが異世界に転移したのだろうか、ユグドラシルから?些か不明にも程がある。情報が断片的で全くわからない。なら地道に情報を調べる他ない。

 

 ふと感じた違和感、視線を向けると空間に闇が渦巻いていた。

 

「…おや、わたしが一番でありんすか?」

 

 その闇から一人の女性が出てくる。

 

 鮮血を思わせる真っ赤な瞳。アルビノの様な色白の肌にシミ一つ無い真っ白な長い髪。

 漆黒のオフショルダードレスは身体のラインを魅せる様にフィットして、胸元には紅い薔薇の装飾が施されている。腕にはドレスと色を同じくしたレース付きのフィンガーレスグローブで足には少し高めのヒール。

 

 大人一歩手前の容姿と色気が調和した少女。

 

 其の者は『シャルティア・ブラッドフォールン』

 ナザリック地下大墳墓第一階層から第三階層までの守護を任されている。

 

「……わざわざゲートなんか使うなっての」

 

 アウラは先程までと打って変わり凍てつくような鋭い視線を向けた。ある種の敵に向ける視線でもある。

 一方シャルティアは殺気立つアウラに目もくれず、身体をくねらせながらモモンガの前に移動した。

 

「…くさ」

 

 体から立ち上る香水の香りにアウラは呟いたが全く気にする様子を見せず、モモンガの首に腕を回しぶら下がるような姿勢で身体を密着させた。

 

「ああ、我が君。わたしが唯一支配できぬ愛しの君」

 

 むにゅっと密着する大きな胸。

 

 モモンガは動じない様に意識してシャルティアの設定を思い出そうとするが、脳裏に浮かぶのはエロい鳥(ペロロンチーノ)のマシンガンの様な熱弁だけ。

 

 でも動じない様意識しても気になってしまう。

 

 むにゅっと潰れる大きな胸が。

 

「…」

 

「いい加減にしたら…」

 

 声を低く発して初めて反応する。

 

「おや、いたんでありんすか?視界に入ってこなかったから…分かりんせんでありんしたぁ」

 

「ッチ…」

 

 アウラが舌打ちするといつの間に隠れていたのか、影からマーレが這い出て来た。

 

「フフフ…私もいますよ…」

 

「げっ!?」

 

 マーレの登場で余裕の表情が崩れた。

 後退り顰め面を見せる。

 

「…知っている?シャルティアは少し前までモモンガ様モモンガ様って部屋で盛っ」

 

「うわー! うわー! うわー?!」

 

 声を上げバタバタと手を振って誤魔化そうとしている。

 

「な…何で知ってるのよっ!」

 

 誤魔化すことで頭がいっぱいだったが冷静になって気付く。モモンガの目の前だと、次第に白い顔が紅く染まり、次の発言で引き攣る。

 そしてアウラが更に追撃を入れた。

 

「フフ…嘘よ。でも…その反応…香水…答えね?」

 

「へぇ、そっかー、アンデッドって発情するんだー」

 

「おんどりゃー!」

 

 キレたシャルティアから黒い靄が滲み出す、マーレは影に潜りアウラは腰の鞭を取り出した。

 

「サワガシイナ」

 

 止めようかと思った矢先に別の者の声を発した。

 三メートル近くはある悪魔のようで昆虫のようにも思える白銀の巨体。蟷螂の様な蟻のような顔に四本の腕、身長の倍以上はある太い尻尾。装甲を思わせる外骨格には冷気が纏わり、ダイアモンドダストを発生させ無数のキラメキを放っている。

 

 其の者は『コキュートス』

 ナザリック地下大墳墓第五階層の守護者。

 

「御方ノ前デ遊ビガスギル……」

 

「……この小娘がわたしに無礼を」 

 

「発情期…」

 

「あら…真っ赤ね?」

 

シャルティアの影からマーレが顔を出した。真下から真上、スカートを覗く様にして顔だけ。

 顔が引き攣るシャルティアはマーレを踏み付けるが影に潜られて空振り。

 

「マーレ…アウラとシャルティアも程々に」

 

 びくりと二人の体が跳ね上がった。

 

「「もうしわけありません」」

 

「フフフ…」

 

「…元気なのは良いが別の機会にしてくれ」

 

 モモンガは咎めるとコキュートスに身体を向けた。

 

「良く来たな、コキュートス」

 

「オ呼ビトアラバ即座ニ」

 

「うむ。所でだが、この頃侵入者も無く暇ではなかったか?」

 

「ソノヨウナ事ハ御座イマセン、セネバナラヌ事モアリマスノデ」

 

「ほぉ、普段は何しているんだ?」

 

「何時如何ナル時デモオ役ニ立テルヨウ鍛錬ノ日々デス」

 

「そうか…ご苦労だな…」

 

「ソノ言葉ヒトツデ報ワレマス。……オヤ、アルベドニデミウルゴスモ到着ノヨウデス」

 

 視線の先、闘技場の入口から二つの人影が歩いてくる。

 一人は純白のドレスを纏った女性。黄金の瞳に黒く艶やかな長髪。頭上には漆黒に光る(・・)輪が浮かび、二対の翼が全身を覆うように畳まれている。

 

 純白のドレスと漆黒の翼が印象に残る女性だ。

 

 其の者は【アルベド・ヌト・カーアンブル】

 ナザリック地下大墳墓の守護者統括。

 

 その背後には東洋風の男性が付き添っている。

 浅黒く日焼けしたような肌に白髪のオールバック、丸メガネをかけて人の良さそうな笑みを浮かべている。

 黒と赤のストラプが入ったスーツを着用しており、どことなくビジネスマンに見えなくもないが、彼もやはり人間ではない。

 人間には無い尻尾が生えており、銀色のプレートに包まれている。

 

 其の者は『デミウルゴス』

 ナザリック地下大墳墓第七階層の守護者。

 

 彼は周囲を見渡して一言。

 

「済まないね皆さん、お待たせしたようだ」

 

「あら、燐がまだのようね?」

 

 この場に来ていない者は『火焔猫燐』愛称は『お燐』と呼ばれている。

 ナザリック地下大墳墓第四階層守護者だ。

 

「ふむ…アルベドよ、此処に来るよう伝えたんだな?」

 

「……はい」

 

 一瞬疑われたのかと思い反応が送れてしまった。

 

「っ…直ちに燐を引きずり出します!」

 

「いや、待て何か問題があるのかもしれない。私から聞いてみよう」

 

《Extra magic/メッセージ》

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

『燐よ』

 

『これはモモンガ様、如何なされましたか』

 

 その返事に白々しいと思ってしまう。

 アルベドから連絡を受けているはずなのに、その様な反応をするのは如何なものかと。

 

『アルベドから伝言は…来なかったか?』

 

『申し訳ありませんが、階層守護を優先しております』

 

『それは……私の命令が聞けないということか?』

 

『はい』

 

 少し周囲を警戒した。

 燐が命令を聞かない事に、此処に居る守護者達は大丈夫なのかと。

 

『何故だ?』

 

『空様のご命令だからです』

 

 

「………『ハァ!?』」

 

 

 モモンガはメッセージと声を同時出し、口がカッコンと開いた。

 人間の状態だったらよりアホ面に見えただろう。

 

「「モモンガ様!?」」

 

『如何なされました?』

 

 突然声を上げたモモンガに何事かと反応した守護者一同と、普通に返してきた燐。

 

ん!んっ……いや何でも無い。少し驚いてしまっただけだ」

 

「モモンガ様が驚かれるとは……一体…」

 

 デミウルゴスは非常に興味深々である。

 

「敵でありんすか?」

 

「ご命令とあらば即刻排除いたします!」

 

 守護者が一気に殺気立つ。

 おそらく行けと一言伝えればお燐を全力で排除しに行くだろう。

 

「落ち着け」

 

 たった一言で殺気が静まり反る。

 それより最も重要な事を聞く為にメッセージに集中する。

 

『う…空さんは…来ているのか?』

 

『はい、現在自室におります』

 

『そうか…そうかッ…!理解した。なら今一度確認するが、お燐は空さんの命令で来れないと言うことだな?』

 

『はい』

 

 そしてメッセージを切り、集まった守護者達を見渡す。

 

 

「お燐は…空さんの命令で来れないようだ」

 

 

 静かに耳を傾けていた守護者一同に衝撃が走った。

 モモンガの発言が真実なら霊烏路空(お空)が現在ナザリックに居るということ。それに火焔猫燐(お燐)を除いた守護者、恐らく守護者以外の者を含めて誰一人として存在に気付かなかったと言うことだ。

 

 一息ついてから改めてメッセージの魔法を発動させる。

 

 無論相手は霊烏路空。

 

 

《Extra magic/メッセージ》

 

 

『空さん、聞こえますか?』

 

『ん……ももんが?』

 

『よかった!来てくれたんですね!!』

 

 返事が帰ってきた事にモモンガは喜んだ。

 

 一人ではないことに。

 

 安心もした。

 

『うん、きたよ。所でさ、燐のAIいじった?なんか喋ってるんだけど』

 

『そのことですが、恐らくナザリックが異世界に転移した影響だと思うんですよ』

 

『異世界?何の話?…やっぱりももんがもおかしいのね?』

 

『ええ……直接お話したいので闘技場まで来ていただけますか?』

 

『いいよー』

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 霊烏路空とのメッセージから数分が経った頃、闘技場の上空に世界樹と太陽が描かれた黄金の扉が現れた。

 

 扉が何もない空間に現れるだけならごく普通の事だが、ソレは直径百数十メートルはあろうかと思える大きさで尚且つ地面に水平に向いていた。

 

 ここまで目立つ巨大な扉は格好の獲物だが襲おうとする者はまず居ない。

 

 

 ──無知を除いて。

 

 

 そんな扉は─ゴォウン―と金属を軋ませる様な重々しい音を周囲に響かせながら開かれた。隙間から伺えるのは真っ白な空間のみで漏れ出した光が地表を照らしている。

 

 その開き切らない扉の隙間から彼女、霊烏路空は姿を現した。また同時に闘技場に居るすべての者に重圧が襲い掛かる。

 物理的に重力が増して地面に向けて押し付けられる様な感覚が。

 

 その重圧に守護者達は感じていた。

 意識をしっかり持たないと重圧に殺られてしまうと。

 

 

 

 

─── 天圧 ───

 

 

 

 

 それはモモンガが使用する【深淵のオーラ】と同様の種族スキル。

 【天圧】は即死やバッドステータス等の効果が無い代わりに非常に強力な移動阻害能力を持っている。自身の周囲、地上では移動速度を激減させ上空では飛行不可能にさせると言う羽虫絶対叩き落とす系スキルである。

 

 そんなスキルを発動させた状態で現れるものだから後に続いてお燐は、飛行スキルがキャンセルされて落下した。

 しかし守護者クラスのステータスを持つお燐は難なく着地する。

 

 そして仲間に迷惑極まりない霊烏路空が地上に降り立って一言。

 

 

「きたよー」

 

 

 異常な程の重圧を撒き散らしながら口を開けば、何も考えていないような軽い一言だった。

 




マーレェ!?

シャルティア?可愛い子ですね。

【マーレ・ベロ・フィオーレ】
アウラ・ベラ・フィオーラと瓜二つだがズボンと違いスカートを履いている。
性格はアウラと天地。あと女の子。

【シャルティア・ブラッドフォールン】
巨乳設定じゃなくて、巨乳。特にオフショルダーのドレスが谷間を強調している。
マーレが苦手。

【アルベド・ヌト・カーアンブル】
設定でタブラ・スマラグディナが頭を悩ませている所に霊烏路空が横槍。
なんか色々フュージョン(融合)して、邪神と融合(フュージョン)して、化学反応しちゃった63&93&22&2&72

SAN値チェックOK?


ちなみにビッチである(モモンガを愛している)

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