魔法少女リリカルなのはStS -Ende der Rache, schlaf mit umarmender Liebe-   作:フォールティア

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今回短めですm(__)m


/08 Auftakt

「直撃確認……」

 

派手に上がる土煙に確かな手応えを感じた高町が遠くを睨みながら呟く。

俺の目から見ても直撃は確実だ。

事実、当たったのを見たのだから。

だが。

 

「……ダメ、止まってない!」

 

「あれ喰らって脱落が二匹だと?ふざけてんのか?」

 

土煙を突っ切って獣のようなヤツらが速度を更に上げこちらに向かってくる。

幸いなのは速度を上げたからか、物体を射出してこなくなった事くらいだ。

 

「防衛陣形形成!!急いで!それとランチを何時でも出せるようにしといて!」

 

『了解!』

 

即時に判断を下した八神の指示に従い、陣形が作られる。

 

「クレン君、一番槍頼める?」

 

それぞれが慌ただしく動く中、八神がそう言ってくる。

 

「任せろ」

 

何となくそう来ると思っていたので、即答しておく。

 

「理由聞かないんやね」

 

「言われないでも判るっての」

 

ヴィーザルを担ぎ直し、笑って返す。

現状、六課で最大火力を出せるのは俺だけだ。頑丈さも違う。

口火を切るのにはうってつけだろう。

ヤツらを近付けないためにも俺が突っ込んで足止めしたほうが良い。

俺の返答に「ありがとう」と言い、八神は肩を叩くと離れていった。

 

「さて、つーワケだヴィーザル。誉れある一番槍だとさ」

 

盛大に行きましょう(Lasst uns großartig gehen)

 

「はっ、お前も中々言うようになったじゃねえか」

 

随分やる気なヴィーザルに思わず笑う。

形成された陣形より更に前に出て、地を踏み締める。

低く腰を落とし、左手を地面に添え、止まる。

正面にはもう目を凝らさずとも見える黒いヤツら。

距離を計り、タイミングを合わせ……今。

 

 

「そんじゃあ────行くぞ」

 

爆ぜるように大地を蹴りつけ、一気に加速する。

景色が歪んだかと思えば、もう既に黒いヤツらが目の前に居た。

突然現れた俺を見てヤツらの動きが一瞬、『ブレる』。

ああ、それはいけねえな。

そんなの見せたら……

 

「こうなるぞ、っと」

 

ヴィーザルの大質量に殴り付けられたヤツらの一匹が、轢き潰された蛙のように地に叩き付けられ潰れる。

 

「よお、お前ら。さっきは随分なご挨拶だったな?」

 

俺を囲うように止まったヤツらを見渡す。

黒ずんだ腐肉と機械とケロイドのような何かが混ざった、グロテスクな明らかに自然のモノではない獣擬き。背中には一際異質な石のようなものが埋め込まれている。

首も顔も無いそれらが威嚇するように四肢を振るわせる。

まあそれはどうでもいい。

 

「返事はすんだことだし、じゃあ死ね」

 

どうせ殺す事に変わりは無いのだから。

 

 

 

 

 

【はやて、私たちはどうする?】

 

口火を切ったクレンの一撃を見て、フェイトの通信が入る。

中空に浮きながら戦況を見ていたはやては一瞬目を細めると即座に情報を伝える。

 

「全体に通達。どうやら相手は純粋物理攻撃が通るものと魔法攻撃が通るもので別れとるみたいや。見分けは背中にある石の色。緑が物理を通し、黄色が魔法を通す。直線機動は速いけど、どうやら複雑な回避は出来んようや」

 

【こちらスターズ1、了解。ヴィータちゃんとスバルは緑の石のをお願い。ティアナと私で黄色を担当!】

 

【はいよ、行くぞスバル、着いてこいよ!】

 

【は、はい!】

 

【こちらライトニング1、シグナムとエリオをヴィータ副隊長と合流させます。私とキャロはなのはと合流を】

 

【承知した。遅れるなよ、エリオ】

 

【はい!】

 

情報を聞くやいなや、素早く陣形が変わり、二つに別れる。

そのまま接敵するのを確認して、次にはやては後方に控えるシャマルに通信を飛ばす。

 

「シャマル、敵影は?」

 

【今のところは追加は無いみたい。けど念のため、ザフィーラがランチの回りに防壁を張ってくれてるわ】

 

「ナイスやザフィーラ。シャマル、ランチのレーダーとのリンク情報を共有できる?」

 

【丁度いま出来たところ。共有するわね】

 

空中に投影された画面に周囲の地形、味方、敵、天候などの情報が一斉に浮かび上がる。

 

「リイン!」

 

「ハイです!」

 

「地形データから敵の位置の索敵、お願い」

 

「おまかせあれです~!」

 

傍らで待機していたリインに地形情報を渡すとはやては横で浮かせていた長物を手に取って構えた。

 

「全く……リミッター解除が出来ないからって、総隊長をテスターにしようとするとか、カレトヴルッフも肝が据わっとるわ」

 

はやての身長よりも長いそれは、一つの砲だった。

 

砲というには少しばかり心許ない細さだが、カレトヴルッフの作った立派な武装だ。

 

カレトヴルッフ社製試作電磁加速式魔力衝撃砲《ヴェレ》。

 

『波』を意味する名を冠したこれは使用者の魔力を弾として形成し、内蔵されたバッテリーによってバレル内で瞬時に加速して撃ち出し、着弾の衝撃で敵の足止めないし無力化を狙うものだ。

一般的な長距離射撃魔法程度の威力しか出ないが、一発あたりの魔力消費効率が良く、尚且つそれによってそれぞれの魔力発動……ミッド式やベルカ式、はやてのような特殊型問わず使用出来るメリットがある。

特殊型故にカレトヴルッフ製の武装と相性が悪く、使用出来なかったはやてにとって、これは今の状況と合わせてありがたいものだった。

 

「ま、使えるものは何でも使う!これでわたしもカレトヴルッフデビューや!」

 

ベルカ式の騎士甲冑に武骨な砲とアンバランスな組み合わせだがそれはそれ。今は気にしている場合ではない。

少量の魔力を装填し、軽くトリガーを引くとバッテリーが起動し小さく駆動音を立てる。

準備完了。

 

「総員に通達、これより衝撃砲による援護射撃を開始します。目標は敵陣後方部!」

 

【いつでもどうぞ!】

 

事前予告を発すると前線から直ぐに返答が来る。

 

「衝撃砲、発射!」

 

それを確認してはやては、トリガーを更に引いた。

バヂヂッ、と空気が弾ける音を立て、魔力弾が敵の後方目掛けて発射され……

 

バゴンッ!!!!

 

その身体を宙に弾き飛ばした。

当然、前線の猛者達がそれを見逃す筈もなく。

無防備に浮いた敵は為す術無く、クレンを筆頭に蹂躙されていく。というかほぼクレンが後方を食い散らかしている。

 

「敵の数、残り僅かです!」

 

「シャマルとヴァイス陸曹に索敵範囲を更に拡大するよう伝えて。熱源以外にもソナーも使ってな」

 

「ハイです!」

 

ヴェレを降ろし、戦場を眺める。

 

「随分な挨拶やな、フィル・マクスウェル……」

 

小さく呟いた所で、

 

【ふん、何かと思えば漸く来たか、貴様ら】

 

そんな声が通信越しに聞こえた。

 

【熱源反応あり!数は三つ!】

 

「ああ、大丈夫や。それは敵じゃない」

 

同時に聞こえたヴァイスの報告にそう返して、はやては西の空を見上げる。

そこには三つの人影があった。

その内の先頭に立つ、自分と瓜二つの一人を見て、はやては微笑んだ。

 

「久しぶりやね、『王様』?」

 

「ふん、ああそうだな。『小鴉』」

 

 

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