魔法少女リリカルなのはStS -Ende der Rache, schlaf mit umarmender Liebe-   作:フォールティア

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/31 Oder jeden Tag

 

「死ぬかと思った……いや死ぬわ」

 

あれから半日、みっちりと動き回らされた。

その内容はそれはまあ酷いもので。

デバイス開発と回収した聖遺物の残骸の研究に付き合わされ荷物運びやら検査やらをやらされた。

それが終わったかと思えばアミタに連行されて──。

 

「じゃあとりあえず、私達と闘いましょう!」

 

「待て待て待て待て」

 

日が傾き始めてからやってきたのは、ラボの敷地からかなり離れた荒れ地だ。

普段から訓練で使っているらしいそこで、アミタが朗らかに笑うのに俺はツッコミをせずにはいられなかった。

何故かって?ラボのメンバーであるディアーチェ、シュテル、レヴィ、ユーリ、イリス、キリエが完全武装で立っていたからな!!

これにアミタを加えて七対一。パワーバランス最悪か?

 

「多勢に無勢過ぎんだろ、せめて三・三で分けろ」

 

「ん~、でもシミュレーションだとそれで勝てなかったんですよ」

 

「は?」

 

それは単に設定ミスでは?

 

「比較対象が姉妹達……今はラーム・ラハムだっけ?それを二段強くした設定だったんだけど」

 

「結果は?」

 

「三分で全滅ね」

 

やれやれと肩を竦めるキリエに戦慄する。

全滅ね、なんて軽く言ってるが、そもそもそんな設定の奴に三人で三分持たせられる方がおかしい。

んで勝てないからと本人を前に全戦力投入、と。

……これ、俺死ぬのでは?

 

「いや、待て流石に俺はそこまでじゃ無いぞ?ここはやっぱ三人で」

 

「じゃあデバイス展開してくださいね!」

 

「話聞けや!?」

 

こちとらさっき帰ってきたばっかだぞ?

つかテメェら武装が若干変わってるじゃねえか、絶対強化しただろ。

 

『私がやりました!』

 

ちくしょう、シャーリーの奴のくっそ腹立つ笑顔が見えやがる……!

 

「因みにシャマルさんから、聖遺物無しならやっていいとお墨付きを頂きました!」

 

「くっそ!先回りしてやがった!」

 

八方塞がりとはこのことか……。

しょうがねぇ、やるか。

 

「はぁ……わかった。ヴィーザル」

 

了解(Ja)

 

デバイスを展開してから、懐から取り出したカートリッジを差し込む。

これはさっきシャーリーから手渡されたもので、曰く、純粋な魔力のみで構築された魔法式が入っているらしい。

つまり、魂をいちいちコストにしなくて済むのだ。

模擬戦の際はこれを使えって言われたが……さっそく出番が来るとは。

 

「準備完了だ。何時でもいいぜ」

 

「では────行きます!!」

 

十字架と双剣が、火花を散らした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

荒野の上空を、幾つもの光が交錯する。

さながらイルミネーションのようなそれは、その実、荒々しい戦いの軌跡でもある。

 

「おー、やってんなぁ」

 

「ヴィータか」

 

七対一の模擬戦と聞いて、急いで振られた仕事を終わらせやってきたヴィータに、シグナムが声を掛ける。

 

「マジで七対一なんだな……」

 

「ああ。アミタ達もよくやっている」

 

「普通、クレンの方ほめねぇか?」

 

「七対一程度、アイツはこなすだろう。地力の差もあるしな」

 

会話をしている間も、目を反らさず模擬戦を観戦する。

連れだってやってきたティアナ達もまた、シグナムから少し離れた位置で同じように真剣な眼差しで模擬戦を見ていた。

 

「お、クレンにダメージ判定」

 

「今のは……レヴィの一撃か。あんな小技を使うようになったか」

 

「隙がねぇな……前衛はレヴィとキリエ、中衛にアミタ、イリス、シュテル。後衛にユーリとディアーチェか」

 

「元より連携が取れている上に、武装も強化されているな。強さで言うならば、管理局でも上位だろう」

 

「アイツらも成長してんだな……」

 

戦況を分析しつつ、しみじみとそんな事を言うヴィータに、シグナムはふっと笑う。

 

「なんだよ」

 

「いや……存外、お前も寂しがり屋なのだな、とな」

 

「んなっ……!?」

 

顔を真っ赤にしたヴィータがシグナムを睨むが、当の本人は素知らぬ振りをして目を合わせない。

 

「何、私達も成長しているさ。だからそう羨むな」

 

「……べつに、羨ましくねぇし」

 

模擬戦は膠着状態のように見えるが、しかし着実にダメージ判定をお互いに重ねている。

小さく小さく。それでも確かに進んでいる。

それから口数少なく模擬戦を見ていると、二人を呼ぶ声が聞こえた。

 

「シグナム副隊長、ヴィータ副隊長~」

 

「ん?」

 

「ありゃあ……シャーリーか」

 

振り向けばシャーリーが慌てた様子で、こちらに駆けて来ていた。

走ってきたからか、或いは運動不足からか。駆け寄ってきてから荒い息を調えて、シャーリーは顔を上げた。

 

「はぁ、はぁ……良かった、二人とも揃ってた、ふぅ」

 

「何かあったか?」

 

「はい──とても、重要なことが。詳しい説明はラボで」

 

「……わかった」

 

シグナムは振り返って空を見上げる。

戦いはまだ、終っていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「死ぬかと思った……いや死ぬわ」

 

これちょっと前にも言ったな。

這う這うの体でシャワーを浴び、ランチ内の仮眠室(エリオ、ヴァイスと相部屋)に戻ってきたのは夜になってからだ。

模擬戦の結果?……数の暴力ってのは、酷いよな。ギリギリで判定負け。

 

「あ、お帰りなさい」

 

「おう……って、まだ起きてたのか」

 

仮眠室の簡易ベットに腰かけて、起きていたのはエリオだ。

ヴァイスは観測所で夜哨に入っている。

 

「何してたんだ?」

 

エリオの対面に座りながら訊ねると、投影された映像を見せてきた。

これは、さっきの模擬戦か。

 

「凄い内容だったので、見直してたんです」

 

「へぇ……何か参考になりそうか?」

 

「実は、所々速すぎて……」

 

「見えなかったと」

 

確かに乱戦めいた状況だったし、魔法が入り乱れてたからな。俯瞰では見にくい所があるのは当然か。

……仕方ねぇか。

 

「解らなかったとこ再生してみろ」

 

「え?」

 

「教えてやる」

 

「あ……ありがとうございます!」

 

子供の面倒見るのが年長者の仕事……だよな、シスター。

 

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