ロクでなし魔術講師と虚ろな魔術少女   作:猫の翼

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今回はちょっと量が多めになります。
つい筆が乗ってしまった……


第五話

 アルザーノ帝国魔術学院は静まりかえっていた。それもそのはず、今日の学園にはほとんど人がいない。教授、講師達は全員が帝国総合魔術学会へ参加しているからである。

 そんな中、二年次二組の教室だけが生徒で賑わっていた。前任の講師が突然居なくなった為に、授業のできなかった数日分、その授業がこの休み中に行われるからである。

 だが──

 

「……遅い!」

 

 現在時刻十時五十五分。授業の開始時間からかれこれ二十五分が経過していた。

 教壇には誰も立っていない。グレンが来ていないわけで、早い話が遅刻である。

 

「おかしいなぁ……私が出るときにはもう起きてたのですけど……」

 

 レナが呟く。家を出るとき、グレンはもう起きていたはずである。部屋に呼びかけると、やる気はなさげだったが返事が帰ってきたのは記憶に新しい。

 

「なら、なんで遅刻してるのよ……まさか休校日と勘違いして二度寝してるんじゃないでしょうね?」

 

「あ、あはは……グレン先生でも流石にそれはないよ……ないよね?」

 

 グレンを信頼しているルミアでも完全に否定できなかった。

 連絡を入れようかと、レナがポケットから半分に割れた宝石の魔導器を取り出そうとしたところで、教室の扉が乱雑に開かれる。

 

「あ、先生ったら、何考えてるんですか!? また遅刻ですよ!? もう……え?」

 

 システィーナが振り向きながらグレンにいつもの小言を言おうとして、固まる。そこにはグレンはいなかった。居たのは、チンピラ風の男とダークコートの男の二人組だった。

 

「あー、ここかー。いや、皆、勉強熱心ゴクローサマ! 頑張れ若人!」

 

 チンピラ風の男が声を上げ、クラスが困惑に包まれる。

 

「あ、君達の先生はね。今、ちょっと取り込んでるのさ。だから、オレ達代わりに来たっつーこと。ヨロシク!」

 

 あからさまな嘘だ。そもそも、学院の関係者でないことは格好から見ても明らかである。

 

「ちょっと……何者ですか、貴方達。ここはアルザーノ帝国魔術学院、部外者は立ち入り禁止です。そもそも、どうやって入ったんですか?」

 

「おいおい、質問は一つずつにしてくれよ? オレ、君達みたいに教養ないんだからさ!」

 

 正義感の強いシスティーナが立ち上がって、男を問いただすが、男は相変わらずヘラヘラと返答する。

 

「まずオレ達の正体はね、テロリストってやつ。要は女王陛下サマにケンカ売る怖ーいお兄さん達ってワケ」

 

「は?」

 

「で、ココに入った方法はー、あの弱っちいかわいそーな守衛サンをブッ殺して、結界もブッ壊して、お邪魔したってわけ。オーケー?」

 

 クラス中がざわつき始める。それもそうだ、突然やってきた男がそんなことを言えば、そうもなる。男はため息を付いて、指を黒板に向けると──

 

「≪ズドン≫」

 

 何やら奇妙な呪文を唱えた。すると、堅いものを穿つ音と共に黒板にコインほどの大きさの穴が空いている。

 教室中の人間が一斉に黒板を見て、そして冷や汗をかく。真っ先に思考が現実に追いついたシスティーナが呟きを漏らす。

 

「そんな……まさか……い、今の術は……【ライトニング・ピアス】!?」

 

 それは、軍用の攻性呪文(アサルトスペル)。早い話が人を殺すための呪文である。【ショック・ボルト】と同じ電撃の魔術であるが、その威力、射程共に桁違い。鉄板など容易く貫通し、フルプレートなぞ紙同然である。

 しかも、このチンピラ男はそれを一節どころか、更に短い略式詠唱をして見せた。魔術を少しでもかじった者ならわかる、恐ろしい技量だ。

 

「だーから言ったでしょ? テロリストだって。君達は人質です、大人しくしててねー? あ、抵抗する奴はブッ殺すからそのつもりで」

 

 逆らえる者は居ない。彼らは等しく学生であり、学生が使える魔術などたかが知れている。たとえこの教室中が束になってかかっても、皆殺しにされるのは目に見えている。

 そして、ようやくクラス中の思考が現実に追いついて──

 パニックとなる。

 

「う、うわぁあああああああああッ!?」

 

「きゃぁあああああああああああッ!?」

 

 教室中が狂乱の渦に呑み込まれ、正気を失いかけた瞬間。

 

「うるせぇ、黙れ、ガキ共。殺すぞ?」

 

 低い声。その凄まじい殺気、その恫喝に、教室が静まりかえた。

 

「おー、良い子、良い子。さてと……そんな良い子ちゃんの君達に聞きたいことがあるんだけどさー。ルミアちゃんって女の子いるかな-? いたら手を上げて-?」

 

 手を上げる者は居ない。ただ、困惑した何人かの生徒が呟きとともに、視線が動いてしまった。

 

「あー、なるほど。ここら辺にいるのかー。うーん、どの子かなぁ?」

 

 ずかずかと歩いてくるチンピラ。チンピラ男は、ルミアを通り過ぎるとその二つ後ろの小柄な女子生徒──リンの前で止まる。

 

「ルミアちゃんは君かなぁ?」

 

「ち……違います」

 

「じゃ、誰がルミアちゃんか知ってる?」

 

「し、知りません……」

 

「そっかー、それは残念。でもさー、オレ、嘘つきはきらいなのよね……?」

 

 元から気が弱いリンは、ますます萎縮してしまう。恐怖で涙が頬を伝って、地面に落ちていく。

 

「ホントに知らないんだよねぇ?」

 

 男が指をリンの額につけようとして──

 

「あ、貴方達、ルミアって子をどうする気なの?」

 

「ん?」

 

 システィーナが震える足を叱咤して立ち上がり、チンピラ男に問う。チンピラ男は面白そうに笑った。

 

「お前、ルミアちゃんを知ってるの? それともお前がルミアちゃんなの?」

 

「私の質問に答えなさい! 貴方達の目的は何!?」

 

「ウゼェよ、お前」

 

 一転、冷酷な顔になった男がシスティーナの頭に指を向ける。

 

「お前からにすっか」

 

「……え?」

 

 男の口が開かれかけたその時。

 

「私がルミアです」

 

 ガタリと音を立てて、ルミアが立ち上がった。

 

「うん、知ってた」

 

 そう言って、腕を下げるとルミアを見る。

 

「事前に調べるでしょ、フツーさ。いやー、でもルミアちゃんが出て来ちゃったから、ズドンッゲームできなくなっちゃったかぁ」

 

 男はくつくつと笑いながら言う。ルミアはそんな男に屈さずに睨み付けていた。

 

「遊びはそこまでにしておけ、ジン」

 

 ふいにダークコートの男が口を開いた。

 

「私はその娘をあの男の元へ送り届ける。お前は第二段階へ移れ。この教室の連中のことは任せたぞ」

 

「うぇー、面倒臭いなぁ。もう、いいんじゃない? どうせ束になってかかってきても返り討ちでしょ、こんは雑魚共。そもそも、すでに牙も抜かれちまってるじゃん?」

 

 教室を睥睨するチンピラ男。誰もがうつむいて震えることしかできない。

 

「手筈通りにやれ」

 

「へいへーい」

 

 面倒臭そうに言って、男が端の生徒から順に【スペルシール】をかけて【マジック・ロープ】で縛り上げ、更に【スリープ・サウンド】で眠らされていく。誰も抵抗せず無力化されていった。

 ルミアは、システィーナと幾つか言葉を交わした後、どこかに連れて行かれてしまった。

 

 

 そして、全員が眠らされたはずの教室。システィーナだけが、あのジンと呼ばれたチンピラ男に連れて行かれ、ドアが閉じたその時。

 レナがゆっくりと目を開けた。【ディスペル・フォース】を唱えて、手足を縛る【マジック・ロープ】を打ち消す。レナは元々魔術に対する耐性が強い。加えて、レナの纏っている制服には、魔術式を改変して効果を弱めた【トライ・レジスト】が付呪してあるのだ。なぜ弱めかと言えば、付呪を完全に無効化させないためだ。完全に無効化させてしまえば、相手は警戒することになる。あえてかかることで隙を生むためにも、弱めにしてあるのだ。

 そうして、数分にも満たない時間で【スペル・シール】は解除される。チンピラ男はレナが動けることに気づかないで出ていた訳だ。

 確かに、レナは一人の生徒だ。だが、彼女はただの生徒ではない。周到な魔術対策のされた制服だけ見ても、それは明らかだった。

 

「ふぅ……」

 

 立ち上がって、レナは思案する。

 グレンは間違いなく無事だ。それは間違いない。チンピラ男はグレンが死んだと言っていたが、相手が純然たる魔術師である以上、グレンに負けはない。

 ルミアはおそらくではあるが無事だろう。ダークコートの男、確かレイクと呼ばれていたか。その男が、送り届けると言っていた。しかも、生きた状態で連行したと言うことは、生きていなければいけない、という可能性が高いのだ。

 であれば、まずはシスティーナを連れ去ったジンと呼ばれていたチンピラ男を追うべきか。システィーナが何をされるかわかったものではない。嬲り殺しにされるかもしれないし、慰みものにされる可能性も高い。というか、多分そうするだろう。あの手の人種はそう言うことが好きなのだ。

 そっと教室のドアを開け、外の様子を覗う。ロックの魔術がかかっていたが、容易く解除できるものだった。

 廊下に人影はない。

 

(おそらく、どこかの教室に連れ込まれてる……)

 

 片っ端から調べていくのでは時間がかかりすぎる。

 

「≪五感に彼の御業を≫」

 

 白魔【ハイパー・センス】を唱えて、感覚を強化する。この魔術は術者と呪文の相性の良さが如実にでるタイプの魔術だ。相性がよければ、数キロ先のことまで手に取るようにわかるが、相性が悪ければ精々壁一枚挟んだ先のことが何となくわかるのが精々だ。

 レナはこの魔術との相性はそれなりにいい。この学院ていどの大きさなら、起こることすべてを把握するのは容易だ。

 

「……見つけた」

 

 魔術実験室、ここから少し離れた場所だ。床に倒されたシスティーナをジンが面白そうに見下しているのがはっきりとわかる。だが、ルミアは見つからなかった。隠蔽の魔術を使って、バレないようにしているのかも知れない。

 ひとまず、レナは音を立てないように魔術実験室の前まで向かった。

 

 

 

**********************

 

 

 

「ひゅーッ! 胸は謙虚だが肌は綺麗じゃん! うわ、やべ勃ってきた……」

 

 ジンはシスティーナの制服を引き裂いて、冷やかすようにそう言う。ジンは心底この状況を楽しんでいた。

 

(中々の上玉、しかも性格もオレの超ドストライク! これを逃す手はないってな!)

 

 屈辱を与えて、壊して、滅茶苦茶にしてやる。くつくつと笑って、そう考える。

 羞恥に顔を赤く染め、やめてと懇願するシスティーナに覆いかぶさる。

 

「ぎゃははははッ! ってなわけで、いっただきまーす!」

 

 その時だった。ジンの魔術師としての感覚か殺し屋としての感覚か、咄嗟にシスティーナから飛び退いた。

 瞬間──閃光がジンの頭があった空間を貫いた。

 

「ちぃ──ッ!?」

 

 すぐさま物陰に飛び込むジン。再び、ジンがいた空間を閃光が駆ける。

 

(なんだ!? 今のは間違いなく【ライトニング・ピアス】! どっから撃って来てやがる!? いや、そもそも誰が!?)

 

 見れば、実験室のドアに穴が空いている。どうやら、ドア越しに撃ってきているらしい。

 だが、今日のこの学院には教授はおろか、講師すら居ないはずだ。【ライトニング・ピアス】は軍用攻性呪文(アサルトスペル)。しかも、連射。そんな芸当をやってのける人間がこの学院に潜んでたとでも言うのか。

 

(しかも隙がねぇ……! 迂闊にここから出れば撃たれる!)

 

 こちらを誘うように閃光が逸れるが、それに乗れば間違いなく撃ち抜かれる。相手は間違いなく一流、それも実戦経験があるのは確実だ。

 ふと、閃光が止まる。訝しげに様子を覗うジンだが、目をむくことになった。

 バンッと、穴だらけになっていたドアを蹴破って人影が侵入してきたのだ。

 

「あーぁ……こんな派手に備品壊しちまって……」

 

 惨憺たる状況の室内を見渡して、侵入してきた男がぼやく。

 

「誰だテメェッ!?」

 

「先生!」

 

「ん?」

 

 状況が飲み込めておらず、ずっと固まっていたシスティーナが声を上げた。

 声をかけられ、そこでようやく気づいたとでもいうように、男──グレンがジンをを見る。続いてシスティーナを見て、もう一度ジンを見て言った。

 

「……いくらモテないからって、お前……これ、犯罪だぞ?」

 

「うるせぇ! 誰だってんだ、テメェ!!」

 

「この学院で講師をやってるグレン=レーダスだ。どうぞよろしく」

 

「グレン=レーダスだと? ま、まさか、キャレルがやられたってのか──ッ!?」

 

 ジンは驚きを隠せなかった。まず、キャレルが倒されたこと。そしてグレンが【ライトニング・ピアス】を連射出来たことだ。グレン=レーダスはたかが第三階梯(トレデ)の三流魔術師ではなかったのか。

 実際【ライトニング・ピアス】を放っていたのはグレンではないのだが、ジンにそれを知るすべはない。

 

「ク、ククク、だがオレの勝ちだ。死ねッ! ≪ズドン≫──ッ!!」

 

 確かにキャレルがやられたのは想定外。どんな手段を使ったのかはあずかり知らぬが、どちらにせよこれで終いだ。

 瞬時に起動された閃光が、グレンを貫き──

 

「……は?」

 

 黒魔【ライトニング・ピアス】は発動していない。電光が迸ることはない。

 

「くっ──≪ズドン≫ッ!」

 

 やはり、起動しない。不意にグレンが何かを手に持ちがら、口を開く。

 

「愚者のアルカナ・タロー、こいつは俺専用の魔導器だ。この絵柄に変換した魔術式を読み取ることで、俺はある魔術を起動できる」

 

「な、なんだと……?」

 

「それは俺を中心とした一定範囲内の魔術の完全封殺。残念だな。お前の詠唱がどんなに早かろうと、もう意味ねーよ」

「な、なんだそりゃ!? そんな滅茶苦茶な術、聞いたことねーぞ!?」

 

「そりゃあ、俺の固有魔術(オリジナル)だからな」

 

 ジンは驚愕した。固有魔術(オリジナル)、しかもデタラメすぎる効果の。これでは勝ち目がない。

 ふと視界の端に銀色が写った。見れば、床に倒れたままの少女がいるではないか。

 ニヤリと笑うと、ジンはシスティーナの髪を掴もうと手を伸ばして──

 伸ばしかけた左手にナイフが突き刺さった。

 

「なっ──」

 

 ナイフは、グレンのものではない。それよりも後方、教室の外から飛来していたからだ。

 その隙が見逃されるはずがない。すかさず動き出たグレンが、鋭い右ストレートをジンの顔面に見舞う。咄嗟に反撃したが、グレンには当たらない。攻撃に伸ばした腕を掴まれて、背負い投げの要領で投げ飛ばされた。

 

「がぁ──ッ!? ク、クソがぁああああ!!」

 

 起き上がったジンが飛びかかる。その目標は──

 

「……えっ!?」

 

 ──システィーナだ。

 先ほどは失敗したが、今回は違う。隙をつかれたグレンの反応は間に合わない。

 だが、そう上手くいく訳がなかった。

 

「──ッ!」

 

 金色の影が駆けた。

 鋭く息をのむ声とともに、今まさにシスティーナに到達しようとしていたジンの腹部を蹴り上げ、右の二の腕にナイフを突き立てる。

 

「ぐぼぁ──ッ!? ごふッ!?」

 

 大きく体勢を崩しながら後退したジンに、グレンの鋭いアッパーが刺さる。絶妙なコンビネーション。一人が体勢を崩し、もう一人がトドメをさす。熟達した経験がなければ、できない芸当である。よろよろと壁に寄りかかり、ジンはなんとか立ち上がる。

 

「システィーナ、大丈夫?」

 

 その間に、間一髪のところでジンを撃退させた金色の影──レナは膝をついて、システィーナの頬に労るように触れる。

 

「レナ……レナ……っ!」

 

 それに安心したのか、システィーナは縋るように泣き始めてしまう。本当は泣いている場合ではないのだが、こんな状態では仕方がない。それに、今はグレンが戦っている。それは安全が保障されているようなもので、だからレナはそっとシスティーナの髪を撫でた。

 

「くそ……くそ、くそっ! 何だってんだ! 魔術も使わないで、殴るだと!? 魔術師としてのプライドはねえのか!?」

 

 ジンが鼻血を噴き出しながら怒鳴り散らす。どうやら、グレンが魔術を使わないのがお気に召さないらしい。

 

「いや、だって、俺も魔術起動できないし」

 

「は?」

 

「俺を中心に展開するんだぞ? 俺も効果領域内に居るに来まってるだろ」

 

 さも当然と言い放たれた言葉に、ジンはもはや唖然とするしかない。

 

「ふ、ふざけんな! 魔術師が肉弾戦で雌雄を決するだと!? そんな舐めた話があるかっ!!」

 

「お前、そんなに魔術以外で倒されるの嫌なの? もう、しょーがねーな。じゃあ、今からお前に放つ一撃は【魔法の鉄拳 マジカル☆パンチ】っていう伝説の超魔術な? 今、開眼した」

 

「あ?」

 

 何言ってんだコイツ、のような顔をするジンに構わず、グレンが拳を構えて突進する。

 

「魔法の鉄拳──」

 

「う、うおお!?」

 

 咄嗟に両手で顔をガードするジン。

 

「マジカル☆パンチァアアアアンチッ!」

 

 勢いよく振り上げられた右足が、ジンの無防備な側頭部にクリティカルヒットする。

 

「ぎゃぁあああああああ──っ!!」

 

 勢いよく床を転がり、壁に激突する。とてつもなく痛そうであった。

 

「説明しよう。【魔法の鉄拳 マジカル☆パンチ】は、なんかよくわからない魔法的な力で、パンチの二倍と言われるキックに匹敵する威力が出る、なんかもう凄い魔法のパンチなのだ」

 

「パンチ……じゃなくて実際、キックだった……だろ……」

 

「ふっ、そこがなんとなくマジカル」

 

「クソがぁ……このオレが……こんな、ふざけた奴に……ッ! がは……」

 

 ジンの意識が完全に闇に飲まれる。

 ちょっと悲惨だなぁ、と他人事のように考えるレナだった。

 




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