英雄王で異世界へ   作:ギル

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第一皇女

 久しぶりの露天風呂にテンションが上がり、裸で涼んでいたら美人のお姉さんに裸を見られた……。そんな事より彼女について考えよう。風呂に入りながら遠見のレンズで夜空を見ようとしたら、偶然彼女が男たちに追われている彼女を見つけた。助けに行こうかと思ったが自力で逃げられそうだったので関わらないことにした。

 まさか、逃げる方向が俺たちがいる方とは思わなかった。彼女が何者で一体なぜ追われていたのか。聞きたいことはたくさんあるが、とりあえず名前が先かな。

 

 

◇◇ 

 

 

「ふぅ」

 

 私はお湯の温かさに声を漏らしながら、これからの事を考える。先ほどはあの変態男のせいで思考がパニックを起こしていたが風呂に入り落ち着きあの男のおかしな点に気づいた。あいつは『なかなかの余興であった。特にその剣……魔剣の類か?』と言っていた。何故私の剣が魔剣と気付いたのか、私とオスマンとのやり取りを見ていたのか、それとも……。

 

「……とりあえず、あの男の名前を聞いてみるか」

 

 

◇◇

 

 

「借りといてなんだが、服は本当にこれしかなかったのか?」

 

 彼女は俺たちの所へ来ると、俺にそう聞いてきた。

 

「何だ、我の選んだものが不服と申すか?」

 

「いや……そうではない、服を貸してくれたことには感謝している。少女の言う通りあのままでは体調を崩していたかもしれないからな」

 

「それ以外貴様が着れる服はない。不服が無いと言うなら着ておけ」

 

「……そうだな」

 

 そういいながら、彼女は頬を赤らめていた。それが、風呂上がりだからか服のせいかは分からない。それほど露出が多い服ではないと思うけど。

 

「それより、先ほどの少女は何処に行ったのだ?」

 

「イブなら既に寝ている。……我に聞きたい事があるのだろう?」

 

「……いいのか?」

 

「許す。申してみよ」

 

「では、まずは自己紹介をしよう。お互い名前を知らないと言うのはなんだろう」

 

「よかろう、我はギルガメッシュ。冒険者をしている」

 

「ギルガメッシュ、聞かない名だな。冒険者ランクはどの位なんだ?」

 

「Aだが」

 

「! Aランクの冒険者を知らないなんて事はないはずだが」

 

「Aランクになったのはつい最近の事だからな、だからだろうよ」

 

「最近と言ってもAランクになる程の力を持った者の名前を全く知らないなんて事早々ないはずだが……。いや、今はいいか。すまない、私ばかり質問をしてしまって。私の名前はレティシア、私は……」

 

「迂遠なのは好きではない。単刀直入に聞こう、何故男たちに追われていた、あの男たちは何者だ。貴様が何者であるかにも関係しているのだろう?」

 

 俺が問い詰めるとレティシアは観念したようにこれまでの経緯を話し出した。

 

「私はレティシア・ポラリス。ポラリス帝国の第一皇女だ」

 

「最も皇女と言っても私はお飾りのような物だ。ダンスやドレスなどと言ったものにトンと興味が無くてな。代わりに私が興味を持ったものは剣や戦いだった」 

 

 およそ皇女に相応しくないものに興味を持った彼女を周りは何とかしようとしたがレティシアは聞かず、レティシアは仕えている騎士たちに無理を言い剣術を習った。レティシアには剣の才能があったらしくどんどん強くなりすぐに騎士を倒せるまでに成長した。そんな時だレティシアの妹が才覚を現したのは。

 

「妹はとても優秀だった。皇女とはかくあるべきと皆が思った。それから、私に皇女らしくしろと言う者はいなくなった」

 

 レティシアはこれ幸いと城の外に出たそうだ。身分を隠し、冒険者となり魔物と戦ったりしたらしい。

 

「楽しかった! こんなに楽しいことがあるのかと思った。私はあまり城に帰らなくなった。小言を言うものが居なくても、私と妹を比べ剣を振るう私の事を白い目で見る者もいたからな……」

 

 だからだろうか。レティシアが城の異変に気付いたのは数週間前だったという。

 

「父がいきなり帝国の属国の国に攻め入ったと知らせが届いた。父は皇帝として必要ならば非情な決断を下す人だったが意味もなくする人ではない。何か理由があるのだと、父に聞こうと城に戻ると父はもはや私の知る父ではなかった」

 

 皇帝は頬がこけ、足はやせ細り、もはや一人では立てない程に弱り切っていたそうだ。

 

「私が父の豹変ぶりに驚いていると一人の兵が襲い掛かって来た。私はとっさに剣を抜き兵を切った。その時近衛騎士団の団長であるオスマンは『姫がご乱心なされた……陛下をお守りしろ!』そういい、私に剣を向けてきた。その声を聴いた兵たちも最初は戸惑っていたが事実兵は私によって切られていた。弁解の余地はなかった、私は何とか城を出たがオスマンたちが追ってきた」

 

 そこを俺が見たと。

 

「話を聞けばオスマンとやらの反乱に見えるが……腑に落ちん顔だな」

 

「確かに、そう考えるのが自然だが……どうも違和感があるのだ」

 

「違和感だと?」

 

「オスマンは昔誰かに仕えるのが幸せだと言っていた。あの顔は嘘を言っている顔には見えなかった。それに……」

 

「何だ?」

 

「私を追っているとき、本気で追っているようには思えなかった。私が捕まりそうになると話しかけてきて逃げる隙を晒す。一度ならまだしも二度も同じミスをする男ではない」

 

 確かに、俺はレティシアが逃げられるように後を追うオスマンたちを足止めしようとしたがオスマンは部下に命令し早々に立ち去って行った。

 

 

「では、黒幕は他にいる、レティシアはそう考えるのだな」

 

「ああ、オスマンが関わっている事に疑いはない。しかし、裏で糸を引いているものが必ずいると私は思う」

 

「それで、何故それを我に話す?」

 

「お前が聞いてきたんだろうが!」

 

「静かにしろ、イブが起きる」

 

「……はぁ、で何が言いたいんだ」

 

「いくら我が聞いたからと言って、正直に話す必要はない。何故我に真実を語った」

 

「それは……」

 

「我に何を望む? 道化」

 

「! ……私は今帝国中に犯罪者として、知れ渡っている。オスマンたちの計画を止めるために、場合によっては

帝国そのものを相手に戦わなければならない。今は少しでも仲間が欲しい。ギルガメッシュ、私に力を貸してくれ

ないか!」

 

「会ったばかり、素性も知れぬこの我に力を貸せと?」

 

「だからこそだ。敵の手が何処に潜んでいるか分からない。だが、ギルガメッシュは私を知らなかった」

 

「貴様の事を知らないと言うだけで敵でないと。我が真実を語っていると我限らんぞ」

 

「いいや、私は私を信じる。ギルガメッシュは嘘をついていない」

 

「……では、力はどうだ。今の貴様は皇帝を狙った反逆者。場合によっては帝国そのものを相手にする必要がある

やもしれぬ、それだけの力を持っているとどうやって判断する?」

 

「それこそ簡単だ。ギルガメッシュは最近Aランクになったと言ったな。しかし、私は知らなかった。つまり、ギルガメッシュは正規での方法でAランクになったのではなく功績によってAランクになったんじゃないか?」

 

「続けろ」

 

「Aランクになる程の功績は相当のものじゃないとギルドが認めない。つまり、お前はギルドに認められるほどの功績を残した男が強く無い訳ないだろう。それとも、君は国一つに負ける程弱いのか? それは期待外れだ」

 

「雑種風情が良く吠えた! この我が国一つに負けるだと! よかろう、力を貸してやる。その言葉撤回する事になるぞ!」

 

「本当か、感謝する!」

 

「当然だ。この我が力を貸す事がどれほど栄誉な事か思い知るがよい!」

 

 口が勝手に動き出し、力を貸すと言っている。今まで、ここまで挑発的な言葉を言われたこと無いから分からなかったが、英雄王ボディは挑発にものすごく弱いのでは……

 

 

 

 

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