英雄王で異世界へ   作:ギル

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酒呑童子が我がカルデアにきてくれたのと、お気に入り登録で喜びのあまり



ギルガメッシュの口調難しい。違和感があるかもしれませんが、中身が違うからと納得してくれると幸いです。それと、このギルガメッシュは相当マイルドです。


英雄の王

 俺が、目を開けるとそこには一人の少女がまるで何かに祈るように目を瞑り、跪いていた。彼女が目を開けてこちらを認識したようなので、彼女に声をかけようとしたが、俺の口から出た言葉は俺の言おうとした言葉とまるで違かった。

 

「ふはははは! この我を呼ぶとは、運を使い果たしたな雑種!」

 

 それは、どこかで聞いた声と、セリフだった。俺が事態を呑み込めないままでいると。少女はまるで、最後の希望を失ったような、自らの無力に泣きそうな顔をした。俺は、未だに状況を把握できないが、まだ幼い少女にこんな顔をさせたくないと思った。だから、何とか慰めようとしたが、

 

「ほう、この我を前にして、失望するなど、万死に値するが、興が乗った。事情を話せ、雑種。」

 

 これである。俺は、頭を抱えたくなったが何とか抑え、少女を見た。少女は先ほどとは打って変わって、覚悟を決めたような顔をして、俺を見た。

 

「私の名前は、イブと申します。魔王による世界の危機を救うため、勇者召喚の儀式を行い、貴方をこの世界に呼びました。どうか、魔王を倒してはくれませんか勇者様。」

 

 少女の話を聞いて、ようやく、あの老人との会話を思い出すことが出来た。この声や口調は恐らく、望んだチートのせいだろう。ようやく事態を把握した。そして、少女の問いに対する答えは勿論

 

「断る。」

 

 少女は俺の回答に、一瞬絶望の表情を浮かべたが、すぐに理由を聞いてきた。

 

「何故でしょうか。理由をお聞かせください。」

「貴様こそ何故だ。その足、我が気付かぬとでも思うたか。」

「何の話でしょうか。それよりも、理由を「貴様、一体いつまで跪いているつもりだ。」!!」

「……勇者様を前に、立ち上がるなど。」

「構わん、立て。」

 

 少女は、何とか立ち上がろうとするが、立つ事はできずに倒れてしまった。

 

「足の腱を削がれては、立てまい。それは、自然に出来る傷ではあるまい。」

「何もかも、お見通しなのですね。そうです。これは、私が逃げることが出来ぬように、王の命令によって出来た物です。」

 

 もう全てを諦めたように微笑みながら、少女はこれまでの事を語りだした。

少女が生まれた場所は、牢屋の中だった。少女の母は奴隷で、若い奴隷商人との間に出来たのが、少女だった。そこが普通の奴隷商なら良かった。だが、彼女が生まれたのは闇の奴隷商だった。

 

「母の妊娠が分かった時、商売道具に手を出したと若い奴隷商人は殺され。母もすぐに子供を堕ろすよう、言われたそうですが、母は断り、私を生みました。」

「商人は最初、私を殺すつもりだったそうですが、私に人より並外れた魔力があると分かり、私も奴隷にされました。」

 

 それから、数年は外に出ることは出来なかったが、それでも、平和だったそうだ。奴隷商人は商売道具に無暗に手を上げたりはしないし、食事も生きていける分はもらえるらしい。健康な奴隷とそうでない奴隷どちらが欲しいかという問題らしい。

 

「しかし、それも長続きしませんでした。気付くべきだったんです。何故、私たち親子がなぜ売れないのか。当時、私はただ買い手がつかないだけだと思ってました。」

「ですが、違ったんです。母が私を売らないようにしていたんです。商人たちの仕事を手伝う代わりに、私たち親子が一緒にいられるように。」

 

 少女が生まれて10年、商人たちのもとへ王国の騎士たちがやってきて、商人たちを連れて行った。彼らは、相当悪事を重ねていたらしく、国が動き彼らを捕らえ、彼らを処刑していった。そして、その中には少女の母も含まれていた。

 

「私は、母が今までしてきたことを、母が死んだ後から知りました。母は私の為に、多くのものを犠牲にして、なのに私は、何一つ返すことが出来なかった。」

「勇者召喚には大量の魔力が必要なんです。だから、国は勇者召喚をしたくても出来なかった。本来なら、でも私ならその魔力を用意できる。」

「国は約束してくれました。私が、勇者召喚を成功させ呼んだ勇者が魔王を倒したら母の罪を消し、大きな功績を残した者の名が刻まれる、王国の石碑に母の名を刻むと。だから、お願いです。魔王を倒してください。」

 

 確かに、少女の境遇には大いに同情するし、助けてあげたいとも思うけど、一つ気になることがあるのだ。老人は、世界を救ってもらうとは、言っていたが魔王を倒してとは言っていなかった。勿論、言い忘れてたって事も、ないとは言えないけど安易に魔王を倒したら世界が救われるとは、俺には、思えない。この世界は現実なんだ。それに、少女もきっと。

 

「断る。」

「そう……ですよね。」

「雑種、貴様が心の底から為したいことは何だ。」

「ですから、母に恩を返すことです。」

「詰まらんな、己が欲を晒すことがそうまで恐ろしいか。」

「な、何を言っているのですか。私は本当に「貴様が、初めて外に出た時の事を話していた時、明らかに外に対する羨望と自由への渇望が見えた。」!!」

「出来るのなら、今すぐにでも外に出て自由になりたいのではないか。しかし、貴様の中に母がいる。自分の為に全てを捨てた母が。自由になりたい、しかし、母のことが気に掛かる。貴様の中ではさぞかし、愉快なことになっているのだろうな。」

「違う。そんなことない。お母さんを、邪魔みたいな言い方しないで。外には行きたい、自由になりたい。でも、お母さんは私の為に、いっぱい頑張ったんだから。わたしも、お母さんの為に頑張らないと。」

 

 泣きながら、頑張らないと、という少女は見ていてとても痛々しかった。だがこれも必要なこと彼女に外に行きたい、と認めさせない事には何も始まらない。

 

「ふん、ようやく、認めたか。さて、では行くぞ。雑種」

「……へ、行くってどこに。」

「まずは、街だな。我はこの世界の事について知ってることは少ない。故、この世界の事を調べに行く。」

「それで、なんでわたしまで。」

「外に出たいのであろう。ならば付いて来い。」

「だから、外には出たいけど。お母さんの事があるから。」

「何だ、そんなことか。ならば簡単だ。我が世界を救う。さすれば、雑種、貴様は世界を救う旅を共にした。者となる。その功績で母の名を刻むなり何なりすれば良い。」

「え、ええええ。何で、さっきわたしのお願い断ったじゃん。」

「我が断ったのは魔王を倒すことだけだ。世界を救うことを断った覚えはない。」

「そういえば。じゃなくて。確かに、魔王を倒してくれとお願いしたのは私ですが。」

「理解したのならば良い。それと、余り畏まるな、物知らぬうちは、ただ王たる我の威光に目を輝かせておればいい。分かったな、イブ」

「はじめて、初めて名前で呼んでくれた! は、そうだ、名前で思い出した。ねえ、勇者様の名前ってなんていうの。教えて。」

「この我に名を問うか。よかろう、いずれこの世界に響き渡る名と心得よ。我が名は、

 

世界最古の王にして、世界の全てを手中に収めた、全ての英雄たちの王、英雄王ギルガメッシュである。」

 

 


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