英雄王で異世界へ   作:ギル

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短編日間ランキングにランクインできたので勢いで



名前を考えるのは苦手です


第一章 辺境都市エデン編
英雄王、街を目指す


 イブに名乗り、外に出ようとすると、イブが慌てて止めた。

 

「待って、王様。外には国の兵士がいて、いきなり外に出るのは危ないかも。」

「ぬ、戯けめ。その程度の事、我が分からぬと思うたか。」

「え、じゃあ、どうするの。そのまま行けば、兵士に捕まっちゃうよ。」

「喜べ、イブ。貴様には、我が財宝に乗る栄誉を与えよう。」

 

 幸い、この聖堂にはあれを出しても大丈夫な広さがある。英雄王の能力を使うのは、初めてだが、どうすればいいのか、まるで、手を取るかのように分かる。俺は、片手をあげ宝物庫の名を告げる。

 

王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)

 

 すると、俺の頭上に大きな波紋が現れその中から黄金に輝く美しい、飛行機のようなものが現れた。イブは、突然現れた、それに目を輝かせて、興奮しながら、俺にそれについて聞いてきた。

 

「王様! あれ王様の? どうやって出したの。すっごい綺麗だね。」

「無論、あれは我が宝物庫より取り出した、我が財宝の一つだ。」

「ねえねえ、名前、名前何ていうの。教えて。」

「ふん、いいだろう。あの財宝の名は天翔ける王の御座(ヴィマーナ)。思考と同じ速度で飛ぶことが出来る。」

「お願い、王様。わたしを、ヴィマーナに乗せて。」

「我の話を聞いていなかったのか。貴様には我が財に乗る栄誉を与えると言ったはずだ。」

「そうだった。ありがとう、王様。」

「理解したのであれば乗るがいい。行くぞ外の世界へ。」

「うん!」

 

 ヴィマーナに乗った、俺は乗ったイブが怪我をしないよう、ヴィマーナの中に入れると、ヴィマーナを起動させ聖堂の天井を壊し、外に出た。聖堂の外を警備していた兵士達や、近くにいた民たちは、突如現れた、正体不明の黄金の空飛ぶ舟が、去っていくのを見送る事しか出来なかったという。

 

◇◇

 

 聖堂があった王都から、離れたところで景色を楽しめるくらいの速度に緩め、ヴィマーナの中へ入り、青色の液体が入った小瓶を、イブに渡した。

 

「王様、これって。」

 

 イブは突然、差し出された小瓶に戸惑いながら受け取った。

 

「飲むがいい。」

「飲むってこれを? 良いけどあんまり美味しそうじゃ無いね。ん、美味しい!」

「飲んだな、では立て。」

「え、王様、知ってるでしょ。わたし立てないよ。」

 

 イブは悲しそうに笑った。

 

「いいから立て。王命だ。」

「分かったよ。立てなくても怒らないでね。……え、何で。」

「貴様に飲ませたのは霊薬エリクサー、あらゆる傷を治すことが出来る。歩いて外に出てみると良い。」

 

俺は、イブなら元気いっぱいはしゃぐと思ったが、イブは自分で歩いて、外に出ると動きを止めた。どうしたのかと様子を窺うと、イブは泣いていた。俺が何故泣いているのか聞くと。

 

「あれ、何で、痛くないし、悲しくもないのに。もう一度歩けて嬉しいのに、外に出れて楽しいのに。ねえ、王様、教えて、何で涙が止まらないの。」

「ふん、知れたこと。人は生まれる時、泣きながら、生まれてくる。それが、己が醜さ故かは、知らんがな。母の骸にしがみつき、泣いていた子は自分の足で立ち上がり。今生まれ変わったのだ。」

「生まれ変わった。……王様、私どうしたらいいのかな。」

「戯けが。貴様は今、自由だ。己が求めることを為すがいい。笑いたい時に笑い、怒りたい時に怒り、泣きたい時に泣く。それこそが人だ。それを他者に委ねては、もはや、人とは呼べぬ。犬畜生にも劣る雑種にすぎぬのだから。」

「うん。ありがとう、王様。わたし自分がやりたい事をやる。」

 

 俺が伝えたいことは、イブは自由になったんだよ、出会った頃とは違うんだよということ。そして、自由に生きていいんだよ。ということだけだったのだが。英雄王口調が暴走している。俺には、どうすることも出来ない。まあ、イブは泣き止んだし、言いたいことは伝わったみたいだから良いけど。それより、俺は、求めてたこと為してないし。今の言葉、俺も、雑種って事になるんじゃ・・・・

 

「所で、王様。どこに街があるか知ってるんですか。」

「下を見ろ。あの馬車たちを案内人にすれば、いずれ、何処かの街には着くだろう。」

「なるほど。さすが、王様。」

 

 そうして、地上を走る馬車を追っていると、馬車の進行方向の森を拓いて作った道に近い森に、隠れた武装している男たちがいるのが見えた。イブに聞いてみると。

 

「え! それって盗賊かも。道路を通る人たちを襲うつもり何じゃないかな。それにしても、わたしには、全然見えないよ。目が凄くいいんだね、王様。」

 

 どうやら、イブにはまだ盗賊は見えないらしい。確かに、あの盗賊たちは10キロは離れているにも拘らず盗賊の細部まで見ることが出来た。さて、馬車たちは歩いている護衛に合わせているのだろう。自足5キロ程度で走っているため。盗賊が居る所までは、およそ、2時間といった所か。

 

「ねえ、王様。どうするの。」

「馬車の護衛たちだけで、対処できるならそれで良し。出来ぬのであれば、我が介入する。まだ街が見えぬ。今、案内人に消えられては、面倒だ。」

 

◇◇

 

「野郎ども、矢を放て。」

 

 首領と思しきものに命じられて部下の十数人が矢を放つ。護衛たちは矢を避けるが、別の盗賊に攻撃された隙に、矢は護衛の一人の足に当たり、そこを、剣を持つ盗賊が切りかかるが、別の護衛に止められる。

 

「ジューン大丈夫か。すぐにマーチの所へ。」

「悪い、ジュライ。すぐ戻る」

 

 護衛は全部で12人。それなりの訓練を積んでいるようで、盗賊たちを次々と倒していくが、盗賊の数が多すぎた。一人また一人と負傷している。このままでは負けると思った。その時

 

「恐れを知らぬ戯けどもよ、この我の道を阻むとは、万死に値する罪としれ。せめて散り様で我を興じさせよ、雑種。」

 

 金の鎧を纏い、王の風格を持つ者が突如現れた。その男が、片手を上げると、背後に幾つもの波紋が現れ、その中から、生涯をかけても、触れる処か、目にする事すら無いと思わせる、剣や槍が盗賊にその刃を向ける。男が手を下すと、まるで王に従う兵のように、反応すら出来ない速度で、射出された。

 

「なんだこれ、こんなのきいて」

「た、たす」

「いやああああ」

 

 盗賊たちは悲鳴を上げ、死んで逝く。そして、一分が経った頃には、そこには、盗賊たちの命を奪った武器たちは姿形すらなく、地面の破壊跡と盗賊の死骸だけが唯一、武器が存在していたという証拠だった。

 

◇◇

 

 さて、盗賊は片づけた。そう、俺は盗賊を殺したのだ。にも拘らず俺の心は平常時と変わら無い。やはり、ギルガメッシュの精神に多少なりとも影響を受けているのだろう。だが構わない、それがこの力の代償というなら安すぎる。我思う故に我あり。俺が存在しているのかと考える限り、俺は存在しているのだから。

 

「王様。もう出て大丈夫ですか。」

「構わん、来い。」

「はい。」

 

 馬車が盗賊と出会うまでの時間に、イブと一緒に野暮用を済ませてからイブには危ないので、隠れてもらっていた。イブと合流すると、護衛を仕切っていた、男が話しかけてきた。

 

「あの、助けていただいて、ありがとうございます。僕の名前はディッセンと言います。あのままでは、僕も皆も死んでいたかもしれません。」

 

 男は、少し警戒しながら、助けた、礼を言ってきた。まあ、あれだけの力を見せたらそうなるのが当たり前か。

 

「構わん。我は我の目的のために、盗賊たちを掃討しただけだ。それに、貴様らには聞きたいことがある。」

「聞きたい事でしょうか。」

「ああ。貴様らは今どこへ向かっている。」

「僕たちは、辺境都市エデンに行こうと思ってます。」

「そうか、では、貴様らには、我にエデンへの道を案内する栄誉を与えよう。」

「駄目ですよ、王様。そんな言い方。お願いします、わたし達、エデンへの道が分からないんです。一緒に行ってくれませんか。」

 

 

 

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