英雄王で異世界へ   作:ギル

6 / 11
短編から連載に切り替えた記念に


話が進む度、英雄王要素が消えていく


英雄王、騒動に巻き込まれる

 エデンへ戻った俺たちは、ギルドへ向かった。ギルドに着きドアを開けると、それまで騒がしかったのが嘘の様に静まり返った。俺はそれを気にする素振りを見せずに、受付へ向かう。だが、それを遮るものがいた。その男は、俺より20㎝は大きく、俺を見下しながら、

 

「おい、新入りが何、俺を無視してんだよ。新入りならまず、俺に挨拶だろ。ん、お前、Aランク依頼を受けた身の程知らずか。ま、その様子じゃ、怖くなって途中で逃げ出してきたか。はっははは!!」

「一度しか言わぬ。どけ下郎、さすれば我手ずから慈悲をやろう。」

「あ、今なんつった、どけだ、俺になめた口きいてんじゃねえよ。」

 

 男が、俺に殴りかかってくる。だが、男の拳が俺に当たる前に、突如として男が殴ろうとしていた腕が吹き飛ばされた。

 

「ぎゃああああ」

「なんだ貴様は道化か? なればもっと華美のある悲鳴で我を愉しませよ。」

「ごめんね。うちの馬鹿が不快な思いをさせたみたいで。」

「構わん。だが、道化ならば、次回はもっと我を興じさせることだ。」

「ふふふ、分かった。伝えておこう。受付に用があるのだろう。私は、この馬鹿の始末をつけてくる。」

 

 そういって、いきなり現れて、男の腕を吹き飛ばした。女は男を引きづってギルドから出て行った。

 

「ドラゴンを狩ってきた。死体はギルドの前に出せばよいのか。」

「へ、狩ってきた、ドラゴンをですか。本当に。」

「ほう、我が言を疑うか、雑種風情が。」

「も、申し訳ございません。ええっと、死体はギルドの裏の空き地に出していただけると。」

「面倒だ。ギルドの前でいいな。我はそのまま帰らせてもらう。報酬は後日で構わん。」

 

 あの男を痛めつけて、恐怖を植え付け、関わる気が起きないようにしようと思ったのだが、あの女のせいで計画が狂ってしまったので、なるべく、傍若無人な振る舞いを意識しながら、ドラゴンの死体を大勢に見せつけて、俺の力を誇示する。ギルドの前にドラゴンの死体を出す、いきなり、巨大なドラゴンが現れて周りの人たちが悲鳴を上げる。これだけ目立てば、後は勝手に噂が広まって恐れてくれるだろう。

 

 その予想通り、その名は瞬く間にエデンに広まった。金髪赤目の男、ギルガメッシュは竜殺しの英雄として。予想外の方向に。

 

◇◇

 

 俺たちは、宿に一泊し特にやることもないので、ギルドに行くことにした。

 

「ねえ、王様。世界を救うって、どうやるの。」

「さてな、まずは、さしあたり、魔王などとこの我以外に王を名乗る、不届き者にでも会ってみるか。」

「魔王か、どんな感じなのかな。やっぱり、角生えてるのかな。楽しみだなぁ。」

 

 ギルドに入ると、予想していた通り、注目されている。ただ、見る限り、周りの者たちに恐怖はなく、むしろ、期待や、安堵といった、感情が見て取れる。一体どういうことだ。疑問を感じながら受付に行き、先日と同じ受付嬢に話しかけると、頬を赤く染めながら、

 

「お待ちしておりました。ギルガメッシュ様。ギルドマスターがお話をしたいそうです。いかがでしょうか。」

「いいだろう。我も昨日の件で話したい事がある故な。」

 

 俺の返事を聞くと、受付嬢はギルドの奥にある階段を上ってい行き。俺たちは、それについて行く。階段を上ると、そこは一本の通路になっていて、左右に数個、奥に一つ、扉があり、ギルドマスターがいるのは奥の扉らしい。受付嬢は奥の扉の前で立ち止まると、俺たちが来たことを伝えると、奥から入っていいと、声が聞こえるが、何処か聞き覚えのある声だった。中に入ると。

 

「ありがとう、ミーシャ。下がっていいよ。やあ、昨日ぶりだね。私の名前はヘレア・アウトレア。今日は話せて光栄だ、勇者様。」

 

 そこにいたのは、昨日、腕を吹き飛ばした、あの女だった。それはいい、他の者たちは見えなかっただろうが、視力高いこの体は、へレアがしたことを正確に見ていた。特別な事はしていない、ヘレナは見えない程の速度で近寄り、腕を吹き飛ばした。それだけだ。だが今、ヘレナは何と言った。勇者と言った。この世界にきて、イブ以外に勇者と知る者はいない。何故ヘレナが知っている。

 

「驚かせたみたいだね。実は、私は特殊な目を持っていてね。相手の種族と肩書のような物が見えるんだ。例えば、君の場合は、種族は半神半人、肩書は勇者だ。何故、急にこんなことを話すのか、実は、お願いがあってね。これから、数日後に魔物の大群がエデンに攻めてくる。これは決定事項だ。」

 

 ヘレナが言うには、原因はダンジョンの魔物の暴走(スタンピード)だと言う。ダンジョンとは突如として出現し体内で魔物や財宝を生成する。ダンジョンは体内で無限に魔物を生成し、普段は決して、ダンジョンの外に出る事が無い、魔物が一定数に達すると、突如、一斉にダンジョンの外に出て暴れだすのだ。。その為、ダンジョンの核を壊し、ダンジョンを崩壊させるか、定期的に魔物を間引かなくてはならない。

 

「今回、魔の森にある、ダンジョンに行った冒険者が、スタンピードの兆候を発見したそうだ。」

「エデンの冒険者は、魔物を間引いていなかったの?」

「いや、定期的にギルドから依頼を出して、つい先日にも出したばかりだ、だからこそおかしいんだ。」

「その冒険者が虚偽を言ってる可能性は。」

「それについても、調べた。ギルドから人を出し、ダンジョンに行かせたが、その者もスタンピードの兆候があると」

 

 俺への願いは、魔物のスタンピードの殲滅してほしいということか。

 

「今、エデンの高ランク冒険者は依頼に出ていて、すぐに帰ってこれない。今いるものでも、対処は可能だと思うけど、エデンにも被害が出る可能性が高い。」

「貴様が戦えばよいのではないか。」

「私の力は個人向け、大群相手では分が悪い。それに引き換え、君の力は大群の殲滅にぴったりだと思うんだ。」

 

 俺の力をどうして知っているのか。いや、グッチの護衛たちは、冒険者、彼らから聞いたのか。

 

「ディッセンから君の事を聞かせてもらった。彼を責めないでね。私が強引に聞いたんだ。」

「なるほど、……いいだろう。しかし、条件がある。それが飲めぬ場合は、分かっているな。」

「ああ、勿論だ。それで、条件というのは。」

「一つ、我の冒険者ランクを上げよ。二つ、魔王についての情報。三つ、我の興が乗るような場所を教えよ。」

 

 一つ目は有名になるため、二つ目は魔王に会うため、三つ目は少しくらい異世界を楽しんでもいいじゃないか。

 

「二つ目と、三つめは、分かった。一つ目については、少し条件がある。」

「ほう、言ってみろ。」

「正規の手段ではなく、功績によってランクを上げることは出来る。ただ、その場合は多くの証人が必要になるんだ。功績については、一人でスタンピードを殲滅で十分すぎる。エデンはそれだけ、重要な都市だから。でも、証人を得るためには、都市の近くで殲滅し大勢の人に見てもらわなくてはならない。」

「つまり、都市から見える範囲で、都市に被害を出さずに殲滅しろと。」

「うん、そういうことになるね。」

「面倒だが、致し方ないか。いいだろう、この我が引き受けてやろう。」

「ありがとう!! 君はエデンの救世主だ。」

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。