英雄王で異世界へ 作:ギル
スタンピードの殲滅の依頼を引き受けた俺達は、部屋を出て受付に行き、昨日のドラゴン討伐の報酬を受け取った。ミーシャというらしい受付嬢が、ドラゴンの素材をどうするかを聞いてきた。
「ドラゴンは鱗は金属より軽く、強度もある為鎧に、牙や爪は剣や槍など、とにかく、使えない所がない様な素材の宝庫なんです。可能であれば売ってもらえると助かるのですが。」
「よかろう。トカゲの一匹や二匹興味などないわ。」
「ありがとうございます。」
お礼の言葉を、背中に聞きながら、ギルドを出る。スタンピードの正確な日時が分かるまで、エデンを出ることは出来ないので、この際にエデンを見て回るというのも面白いかもしれない。そういえば、異世界初の都市だからな。そうと決まれば、店などが多く並ぶ商業地区に向かうか。
「イブ、商業地区に向かうぞ。」
「分かった。何か買うの王様。」
その時、イブの服装を見た、イブは修道服を白くしたような服を着ている。そういえば、この服以外、着ているところを見たことがない。
「イブ、その服以外は持っているのか。」
「え、持ってないけど。でも、この服丈夫だし、王国が何着もくれたから。」
「よし、買うものが決まったぞ。我と貴様の服を買う。」
「いやいや。わたしのはいいよ。どうせ似合わないし。」
「王たるこの我と共にいる者が、常に同じ服では味気なかろう。では、往くぞ、案ずるな当てはある。」
商業地区はエデンの南つまり俺たちが初めて、エデンに入った門がある場所だ。そして、商業地区の一角、その店の前に俺たちは立っていた。中に入ると、そこには見知った男がいた。
「貴様の店を見に来てやったぞ、光栄に思うがいいグッチ。」
「これは、ギルガメッシュ様、イブ様、今回はどのようなご用件で。」
「我とイブに服を見繕え。金の心配はいらん。よいな。」
「畏まりました。君、こちらのイブ様を頼むよ。僭越ながら私が、ギルガメッシュ様の服を選ばせていただきます。こちらへどうぞ。」
そういって、イブは女性店員について行き、俺はグッチについて行く。グッチに座って待っていてほしいと言われ待つこと、一時間、グッチが何かを持ちながら、慌てながら、近づいてきた。
「申し訳ございません。大変お待たせ致しました、ギルガメッシュ様。」
「よい、それで服は決まったのか。」
「はい勿論でございます。最高の物が出来たと自負しています。」
「では、着させてもらおう。」
グッチが選び持ってきたものを着て、店員が持ってきた鏡の前に立つと黒一色の上下に腰から下のマント、マントの裏は赤。着る前から似てると思いながら、まさかと思っていたが、着れば分かる、これは。FGOの概念礼装。Gilgamesh in NYの衣装そのままだ。俺が驚いていると。俺の反応を不安がったのか、グッチが様子を窺ってきた。
「ギルガメッシュ様、お気に召さなかったでしょうか。」
「いや、気に入った。これを貰おう。」
「ありがとうございます。いや本当に良かった。」
そうしてグッチと話しているとき、イブの声が聞こえた。
「王様。」
「ああ、イブか。」
「どう……ですか。」
振り返るとイブがいた。いつもの修道服ではなく白いワンピースで背中に紐で五芒星があり、その下に大きなリボンがある。
「よいではないか。似合っているぞ、イブ。」
「ほ、本当!! そっか似合ってるか。えへへ。」
「では、金はこれで足りるな。」
俺は、先ほどのドラゴン討伐の報酬をそのまま渡した。
「も、勿論でございます。足りないどころか、むしろ多すぎます。」
「構わん、我とイブに相応しい、物を用意した貴様への褒美だ、受け取れ。」
「ありがとうございます。ギルガメッシュ様。ぜひ今後も、当店を御贔屓に。」
「ではな、グッチ。行くぞイブ。」
店を出て、街を歩いていると、イブが、
「ありがとう。王様。わたしこんな服着たの初めて。ううん、服だけじゃない。王様との旅は初めてばっかり。わたしを、連れ出してくれてありがとう。わたしね、王様の事、大好き。」
「ふっ、何を言うかと思えばそのような事、既に知っておるわ。今更、口に出すことでもあるまいに。」
「そっか。やっぱり王様はすごいなぁ。でも例え知ってたとしても今言いたかったの。」
そう言って、イブは笑った。生まれてから奴隷として生き、奴隷から解放された後も国に囚われていた。本人は否定するかもしれないが、傍から、見ても不幸と言える人生。そこを、救われ、自由を得て、それを為したのが、英雄王の完璧すぎる外見を持っているのだから、外の世界を知らない、少女が好意を抱くには十分過ぎるだろう。勿論、俺もそうだ。こんなかわいい子供に、懐かれたら、誰でも可愛がるに決まってる。もし、イブに何かあれば乖離剣を抜くことも辞さない所存。
「ふははは! まったく、愛い奴よ。近こう寄れ、この我手ずから撫でてやろう。」
「え! 本当、王様に撫でられるのってはじめてかも。」
こんな風にイブとじゃれ合うのは初めてだな。まあ、英雄王がこんなことするのは想像できないのに、AUOでは想像できるのが謎だが。宿に戻り、テーブルクロスによる食事を済ませ、眠り。朝起きて、商業地区をぶらつき、宿に戻り寝る生活を続ける事数日。ヘレナに呼ばれ、ギルドに行くと、スタンピードが明日、起こることが告げられた。
「まあ、明日起こってもエデンに来るのは距離から言って、一日かかる。君に戦ってもらうのは、明後日ということになる。」
「それで、まさかそのような事だけで我を呼び出した訳では無かろうな。」
「そうなんだ、じつは、今回のスタンピードがおかしいって話は、前ちょっとしたよね。間引いたばっかのダンジョンがスタンピードを起こすなんてありえない。でもありえない事が起こってるってことは。」
「人為的な要因ということか。」
「うん、私は帝国あたりが怪しいと思ってるけど、証拠は出てこない。仮に、帝国の仕業じゃなかったとしても、人為的である以上、何らかの方法で監視していると思うんだ。君の力も正体不明の相手に知られることになる。しかも、相手の策を一人で邪魔したものとして狙われると思うし。」
「くだらんな。この我を侮るな、その程度、どうということもない。」
「ふふふ。そうだね。君の言う通りだ。私は、君が倒した、魔物の処理でも考えておくよ。」
それからさらに、一日。ついに、魔物の大群が、エデンに近づいてきた。
「高ランク冒険者は、既に、エデンから排除した。ああ、もう少し、もう少しで全てが終わる。憎きエデンを、魔物が蹂躙したと聞けば、陛下はお喜びになるだろう。そうすれば、我が宿願もきっと聞いて下さる。辺境都市エデン、我が願いの贄になるがいい。クックック」
イブの服装は、いつも着ている物は、とある魔術の禁書目録のインデックスの歩く教会。
買った服は、FGOのキャスターイリヤスフィールの最終再臨をイメージして、書きました。 分かりにくい場合は、上記想像していただけるとありがたいです。