英雄王で異世界へ   作:ギル

8 / 11
英雄王の力

 その日、エデンは混乱に陥っていた。数時間で魔物の大群がエデンに攻めてくると、冒険者ギルドから報告があったのだ。しかし、魔物の大群が攻めてくるというのに誰も逃げようとはしなかった。ギルドがら、エデンの被害は皆無に出来ると言われたからだ。それを信じられるのも、これまでの、冒険者の活躍がうかがえる。最も、万を超えると言われる、スタンピードを止めるのが、まさかたった一人とは、誰も思わないだろう。

 

「今、魔物の大群を監視している、部下から報告があった。本来、スタンピードというのは多くても数万匹程度だが、今回のスタンピードは既に十万を超え、今も増え続けているそうだ。」

「それで、まさかその程度の事で、この我を呼び出したのか。」

「!!!」

「言ったはずだ。この我を侮るな。我にとって、数万も数十万も大差ないわ。本能で動く獣など所詮塵、いくら集まろうと、塵にしかならん。」

 

 俺がそういうと同時に、いきなりギルドマスターの部屋に受付嬢が入ってきた。

 

「申し訳ございません。たった今、魔物の大群が城壁から見えたと報告が。」

「ふっ、来たか。問答している暇はなさそうだな。先に行く。」

 

 ギルドの外に出ると、王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)から飛行用宝具を取り出し、使用する。空を飛び、魔物の大群が迫っている、北門に向かう。イブは、巻き込まれ、怪我をするかも知れないので、宿に置いてきた。北門に近づくと、空を飛んでいるからか、魔の森の木々をなぎ倒しながらエデンに迫る、魔物の大群が良く見えた。確かに、あれは、10万は確実にいるな。

 

 では、始めるか。

 

 

◇◇

 

 

 エデンに迫る魔物たちを城壁から見ている冒険者たちは、まるで、大地が揺れているのではないかと思うほどの迫力を感じた。

 

「お、おい。ほんとに何にもしなくていいのか。」

「ギルドマスターに言われたろ、何もせずに此処にいろって。」

「そうだよ、ギルドマスターが何とかするって言ってたし。」

「ああ、第一今から何が出来るんだよ。あの大群に突っ込んでいっても、死ぬだけだぜ。」

「それはそうだけど。こんなに近づいてるのにギルドマスターが一向に現れないじゃないか。」

「それは、確かに。おかしいな。」

「だろう。今からでも何か「不要だ。雑種風情が我の獲物に手を出すな。」」

 

 天から声が聞こえ、天を見ると、金の鎧を着た男が空で、静止しいていた。まるで、物理法則までを支配下に置いてるようだと、思うほど、この男から出る雰囲気は凄まじかった。

 

「貴様らはただ、我がすることを見る栄誉に打ち震えていればよい。王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)

 

 そういうと、男は片手をあげ、幾つもの黄金の波紋を作り出すと、そこから、剣、槍、斧、あらゆる武器を射出する。打ち出された、黄金の光は雨のように魔物の大群に降り注ぎ、魔物の体を砕き、血をまき散らす。生き残った魔物たちが天を見上げると、

 

「地を這う虫けら風情が、誰の許しを得て面を上げる。」

 

 天を見上げた魔物たちが、黄金の光によって砕かれ。悲鳴を上げる。

 

「貴様らは我を見るに能わぬ。虫けらは虫けららしく、地を眺めながら――――死ね。」

 

 雨はまだ、止まない。

 

 

◇◇

 

 

 エデンが、自分の策で滅びる様を、見て酔いしれようと、男は魔物の大群を見ていたが、

 

「なんなのだ、あの男は、ありえない。20万の魔物の大群だぞ。それが、こんな、エデンの城壁に触れる事すらできないなんて、あれが()()なのか。いや、だが報告では、王宮にいると。第一勇者であってもこの惨劇を、たった数分で出来るわけがない。あの男はいったい何者なんだ!!」

 

 男が目にしたものは、たった一人の男に蹂躙される、二十万もの魔物の大群だった。大地を覆う程の魔物はすでになく、あるのは、砕け散った肉片と、光の雨による大地のクレーターだけだった。それを為した男は魔物を殲滅した後、すぐにどこかに飛んで行った。

 

「と、とにかく、この事を陛下に知らせなくては。あの男は危険だ。計画の妨げになるやもしれぬ。あれだけは、必ず成功させなければ。」

「ほう、その計画とやらについて、それと、貴様の言う陛下の事を話してもらうぞ。」

「!!!  お、お前は、なぜここにいる。」

 

 突然の声に驚き振り返ると、そこにいたのは、先ほど、魔物の大群の殲滅をして見せた、金の鎧を纏う、金髪赤目の男だった。それだけではない。男の周りから、鎖が現れ男の体を縛った。

 

「ふん、貴様の事は、獣どもを殲滅する前から、見えていた。隠れていたつもりかもしれんが、この我から逃れられると思うなよ。さて、もう一度言う、計画の事、陛下の事について話してもらう。」

「ふざけるな! 誰が貴様などに、言うものか。」

「案ずるな、我の手を煩わせることはない。貴様は勝手にしゃべる。」

 

 金髪赤目の男は、宝物庫から、注射器のような物を取り出すと、男に注射すると、男は体の力を抜き、金髪赤目の男の質問に答え始めるのである。

 

 

◇◇

 

 

 野暮用を済ませてギルドに戻り、ヘレナの部屋を訪ねると、ヘレナがいきなり近づいてきた。

 

「ありがとう。やっぱり君は勇者様だよ。本当にありがとう。」

「ふ、当然だ。冒険者ランクを上げるのはどのくらいかかる。」

「そうだね、さすがに今すぐという訳にはいかないけど、今回は魔物の死骸と多くの目撃者がいるから、二週間くらいかな。」

「遅い、一週間だ。一週間で済ませろ。」

「そんな無茶な。なんでいきなり、何かあったの。」

「ああ、帝国に用が出来た。冒険者ランクが上がったら、帝国に行く。」

「て、帝国! なんで、よりにもよって帝国に。」

「なに、少し面白い情報を聞いてな。興が乗った。」

「分かったけど、君は帰ってくるんだよね。」

「無論、この件での、報酬をすべて貰っていないからな。」

「そういえばそうだったね。それじゃ、私は一週間でランクを上げるために頑張るから、期待しててよね。」

 

 そういって、ヘレナは何処かへ走っていった。さて、俺もイブの所へ戻ろうか。勝手に帝国に行くと決めてしまったからな、その説明もしないと。

 

「イブ、我のランクが上がり次第、帝国へ行く。準備をしておけ。」

「え、いきなりだね。わかった。何か持ってく物あったかな。」

「理由を聞かないのか。」

「うん、王様が話してくれるなら聞くけど、どんな理由であれ、わたしは王様について行くから。」

「ふっ、イブ、忠道、大儀である。努その在り方を損なうな。」

 

 それから、帝国に行く理由や、目的を話し、眠り。夜が明けてからは、ギルドで依頼を受けたり、エデンをぶらついたりして、気付けば一週間が過ぎていた。

 

 

 




英雄王が作中で使った、自白剤ですが、オリジナル宝具です。未来の人類が作った全く新しい、自白剤と似た効果がある物ということでお願いします。

次回、諸事情により、時間が空くかもしれません。申し訳ございません。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。