Fate/Grand Order Cosmos in the ash and blood world   作:ローレンス教区長

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お ま た せ

※長いし荒いので加筆、修正するかもです


六話

狂気の死血

 

血の遺志を宿した芳醇な死血

 

使用により狂気的な血の遺志を得る

 

それはまさに狂気であり、まともな人のものではない

 

或るいは、まともであることの————なんと下らないことか

 

 

 

狩人の手記

項、狂気なる啓蒙より

 

 

 

 

 

 

「さてさぁ〜て、お嬢さん。用意はよろしいかなぁ? では行こう! 直ぐに行こう! 啓蒙が我等を待っているっ!」

 

「は、はあ……」

 

 曖昧極まる返事をしてしまう。事実こういう手合いに関する経験が少ないマシュは生返事に似た切り替えししか出来ないのは普通の事である。いや、というよりこの珍妙なおっさんにドン引きしているだけなのだが……。

 講義室に位置するであろう、この部屋でテンションMAXなミコラーシュはマシュとの間に得も言えぬ温度差を生み出している事に気づくことは無いだろう。

 とは言え、こんな傍から見れば無人のーーミコラーシュとマシュを除いてーー真っ暗な部屋から出る、というのは賛成であった。

 

「ーーさあ、啓蒙よッ! 今行くぞ!」

 

「ちょ、ミコラーシュさん!?」

 

 マシュが部屋からの退出を請おうとした矢先に、ミコラーシュは空中回転しながら扉をブチ開けた

 

 これにより、意図せずーーとても、強引にーー外に出る羽目になった。

 しかしながら、良い機会だとも言える。どちらにせよ、ここから出るのも時間と都合の問題であったのだから、如何に突拍子のない行動をとられても結果オーライだ。

 

「待ってください!」

 

 蹴破るドアの悲鳴を聞きながら慌ててその、奇抜な後ろ姿に追走するマシュ。

 甲高い靴音を響かせるワックスの効いたタイルを駆け、懸命にその後ろ姿を見失わぬよう努めるが、その珍妙且つ奇抜な姿の何処にそのような脚力があるのか、高笑いと共に猛進する。デミ・サーヴァントたるマシュもその姿に思わず瞠目するが、それ以前にミコラーシュの速度に追いつけなくなりそうだった。

 

「ちょ、本当に、待っ—————」

 

いよいよその姿が霞に消えるかと危惧した瞬間

 

 

 

 

 

それに、気が付いた

 

 

 

 

 

ぶわり、と全身の汗腺から汗が噴き出るのを感じる

 

 

 

 

 

ついさっきまで、必死に追いかけんと息巻いていた両足が凍り付いたかのように硬直する

 

 

 

 

 

「—————ッハ、ぁ—————」

 

 

 

 

 

息が詰まる。それと同時に脳髄に頭痛が走り、掠れた喘ぎがもれる。

 

 

 

 

 

硬直した足が悲鳴を上げ始め、ナニカを思い出す。

 

 

 

 

 

そうだ————コレハ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの時の感覚だ(汝、啓蒙を求めよ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ()()の顔に精気は無く、眼窩は落ち窪み深淵を思わせる。青白い——否、()()の肌は人を優に超す人外へと至らせ、人であった名残故か学生服を身に纏うソレに悍ましさを醸し出させる。

 そして、特筆すべきはその下半身。鳩尾から、下にかけて

 

 

 

 

 

ーードロドロに溶けている

 

 

 

 

 

水銀を思わせるその異様な姿。その光景に意識が遠のくのを感じ、すわ卒倒かと思いきやーー

 

 

 

 

 

目を合わせてはいけない

 

 

 

 

 

ーー背後に先行していたはずのミコラーシュが体を支えていた。

 

 

 

 

 

「ミコーーー」

 

「シッ……声を出してはいけないよ、お嬢さん。()()に気づかれてしまう」

 

 先程の狂熱した様子とはうって代わり、冷静さを伴った声音でマシュへ制止を促す。その姿に思わず面食らうマシュは慌てて、出かけた声を口元を抑えて押しこむ。それと同時に双眸をギュッと引き絞り息を殺す。ミコラーシュの登場と共にどの様な状況か、思い出したのだ。もし、ここでミコラーシュの言う()()に気取られていれば、どうなっていたかは想像に難くないと言える。

 

「………っ」

 

ぐじゅり、と気色の悪い生々しい蠕動音が耳に響く。音が聞こえて来る毎に大きくなっているのを感じ取ってしまう。

 

 

ーー近づいてきている

 

 

 壁際、こちらからは死角になっているだろう箇所。

 目を開ける事など能わず、ゆっくりと近づいてきているソレらに只管、気取られまいと努める他ない。

 

 

 

 

 

ーーーぐじゅり

 

 

 

 

 

ーーーぐじゅり

 

 

 

 

 

ーーーべちゃっ……

 

 

 

 

 止まった、視覚を塞いでいる故にそう判断せざるを得ない。現にあの気色の悪い蠕動音が止んだのだから。

 否、そんなことはどうでも良い。問題は

 

 

ーーどこで止まったかだ

 

 

マシュの体躯が小刻みに震えだす。

 

 

 

 

 

考えるべきではない

 

 

 

 

 

思い浮かべてはいけない

 

 

 

 

 

啓蒙()ては、いけない

 

 

 

 

 

そいつが、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前にいるなんて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

口元を抑える手に力が籠る。顔からは血の気が引き、開けまいと固く閉ざした瞼からは涙が零れ落ちそうになる

 

 

 

 

 

目の前で、蠢く

 

 

 

 

 

ナニカが蠢く。閉ざされた瞼越しに感じる存在感が、この悪夢を現実だと突きつける

 

 

 

 

 

ーーああ、そうだ

 

 

 

 

 

ーーいっそのこと、目を開けてしまおうか

 

 

 

 

 

心が、身体が、底知れぬ恐怖に晒され、ついに限界を迎えてしまったマシュは糸が切れた人形のように、消え入る蝋燭の灯りの如くその身体を弛緩させーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アッハハハハハァ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー背後から響く高笑いと共に身体が宙を舞った

 

 

 

 

!? ミコラーシュさん!?」

 

「ハッハァ! おっと、失礼! お嬢さん、君の表情があまりにも素晴らしーーーンンンッ! Majesticだったもので、つい後ろでスタンバイしていたのを忘れてしまっていた!」

 

 喜悦の表情を浮かべ、宙を舞う様は格別に気色悪い。しかし、小脇に抱えられたマシュにそんなことを考える余裕はない。二の句を述べる前にミコラーシュは、颯爽と薄暗い回廊を超えてゆき、重さを感じさせぬステップで二階の手すりへと降り立つ。

 借りてきたネコのように萎縮してしまっているマシュをゆっくりと降ろすと、ハッ、と我に返ったように手すりの上にいるミコラーシュを問い詰めた。

 

「い、いいい今の、あれ、何なんですか!? 人じゃあないですよね!? 悪夢とか、メンシスとか、理解ができません!? というか、先ほどのセリフ言い直しても同じ意味です!」

 

「オウ!? ちょ、待ちたまえ、お嬢さん! この状態での解説は不可能ーーーお、落ちるっ! 落ちてしまう! 今わたし縁際(へりぎわ)だから!」

 

 マシュの堰を切ったようなラッシュによりスケート選手も真っ青な体勢で、高さ数メートルありそうな手摺り上で意図せず背筋の強さを証明せざるを得なくなったミコラーシュ。このまま、一階フロアへダイブさせるのも吝かではないが、そうは問屋が卸さない。

 

「あ、すみません……」

 

すんでのところで、マシュが後ろに引いた。あと数舜、遅ければ落とせていただろう、惜しい。

 

「ふぅ……いやはや、危ない危ない。目覚めるのを覚悟してしまった……。ま、お嬢さん、君の言う通り些か説明不足に過ぎたようだ。うん、紳士たるものこれではいけない。では、ここいらで語り明かそうではないかーーー新しき啓蒙について!

 

「結局、さっきと同じ!?」

 

 悲しきかな、如何に取り繕うがミコラーシュは見紛う事なき変態だ。このように本人が紳士と嘯いても、捉える世間は満場一致で変態の烙印を引き攣った笑みで押すことだろう。とりあえずマシュは泣いて良い。

 

「オッホウ、中々に良いツッコミだ! 素質あるぞぅ、君ィ! ……とまあ、冗談はこのくらいにして語り明かそう。スゥパァーアドバイザー兼案内役としての本懐の一端をお見せするとしよう。ぶっちゃけ、このまま変態ロールしていたいのだが……私は効率を尊ぶ性質(タチ)でね。話せる瞬間(タイミング)があるならそこでしてしまうのが最善だと思っている。---何しろ、わたしは、お嬢さん。君……貴公のBad endフラグの回避をさせるためにいるのだからッ!!」

 

 得も言えぬ悪寒が走る。が、一言いわせて頂きたい。いつも通りなら、恥や見聞を物ともせず啓蒙へダッシュするのだろうが今回は役割が真面な故か、多少マイルド風味かもしれないという事をご理解、頂きたい。しかしながら、素が気色悪い所為でこの様に、カッコつけても微妙な感じなのは最早運命(さだめ)だろう。そも、最初と中盤で台無しにしているのだから、如何ともし難い。

 幸か不幸か、本人はソレに気づいていない様子だ。

 

「ここは悪夢ーーー言ってしまえば異界だ」

 

「異界、ですか……」

 

「その通り。ああーーー別に難しく考える必要はないよ。一種の夢の世界、と漠然と思ってくれれば良い」

 

 ……未だ落ちかけた手摺りの上を巡回しながら説明するミコラーシュは割と不自然さを感じさせない。いや、寧ろ堂に入っているとすら感じる。

 珍妙珍奇な恰好だが、よく見れば頭以外は学生服のような意匠を思わせられる。もしかしたらここの、学徒だったのかもしれない。それならば説明姿に違和感を感じないのも、理由が付く。

マシュは、ふと、ミコラーシュの言う夢の世界、というのに既視感を得た。

 

「夢……もしかしたら先輩みたいな」

 

「おやおや、このような状況に陥った事がある知り合いがいるようだね。なら、話は早い。君も()()()()()()()()()()()()()()、ということだ。()()()()()()()()

 

 ミコラーシュは意外そうにお道化るも、手間が省けたとばかりに事実を突きつけてくる。

 全身に血の気の引く感覚が走る。

 嘗て、マシュは自身のマスターたる藤丸立香が意識を失う事態(イベント)に陥ったことを思い出したのだ。

 

「…………」

 

無言で頬を思いっきり引っ張ってみた。

 

アッハハハハ!どうだい? 痛いかね?」

 

「いふぁいれす(痛いです)」

 

「そうだろう、そうだろう! 夢なのに痛い! 是すなわち、夢か現実か!? 曖昧模糊ここに極まれりッッ!

 

 器用に縁際で腹を抱えて笑うミコラーシュに若干の怒りを覚えるが、それ以上にテンションと明かされた事実についていけない。

 要約すれば、マシュは現在幽体離脱(巌窟王イベント)状態だと言う。まさか自身が先輩の二の舞を喰らう羽目になるとは思ってもいなかった。

 

「……まあ、頬をつねる程度で目覚められれば、どれだけ楽だろうか……ともあれ、君は、何者かに誘われココ(悪夢)にいる」

 

 姿勢を正すと、ようやく縁際を降りる。

 

「その理由は、なんにせよ……いや、考えるべくもなく碌でもないに違いない」

 

「ここは、悪夢。そう、悪夢だ。只人たる君が踏み込むべきではない埒外の地獄」

 

 理性的に聞こえるソレは酷く憐憫を含むように聞こえる。この狂人のような人物の一抹の人間性の表れだろうか。

 マシュは知らずのうちに手に力を籠める。

 

「君も見ただろう? 悪夢の住人たる学徒の成れの果てを」

 

 後方を向いたミコラーシュより、()()の正体が告げられる。

 先ほどまで、対峙していたであろうミコラーシュの言う学徒の成れの果てに、マシュは思い出し、身震いしてしまう。

 

「今から言うことを、しっかりと覚えておきたまえ、お嬢さん」

 

こちらを振り向き一泊を置くミコラーシュ。その瞳は今までの狂気に揺れてなど、いなかった。

 

 

 

「もし、ここで死ねばーーー彼らと同じ結末を迎えるだろう

 

 

 

息を吞む。足元の感覚がなくなる。まるで、穴に落ちたように

 

 

 

「それだけではないよ、お嬢さん。文字通り()()()()()()()()

 

 

 

動悸が激しくなると共に顔が青ざめていくのが解る

 

 

 

「未来永劫、目覚める事無くこの悪夢を彷徨い、この悪夢の虜にされてしまう。悪辣な下卑た悪夢の主の玩具に成り果てる

 

 

 

ふらつく身体を抑えるように両肩をつかまれ、支えられる

 

 

 

「わかるかい? その恐怖、()()()()()()からしたら決して、耐えられぬ絶望が」

 

 

 

支える手に力が篭るのを感じる

 

 

 

 

 

「ーーーだが、決してそうはさせない」

 

 

 

 

 

その言葉に、顔を見上げてしまう

 

 

 

 

 

「わたしは、そのタメにここにいる。言っただろう? Bad endフラグの回避をサポートするスゥパァーアドバイザー兼案内役だと」

 

 

 

 

ニチャリ、と笑ってみせる

 

 

 

 

「…………ふふ」

 

「おん?」

 

面食らったように、暫し顔を見つめていたマシュが顔を伏せ小さく笑う。間抜けな反応を返すミコラーシュは、得心が追いついていないようだ。

 

「ミコラーシュさん」

 

「なんだい、お嬢さん」

 

マシュは軽く呼吸を整え、その言葉を告げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最ッ高に気持ち悪いですね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……

 

…………

 

……………………

 

 

 

 

 

「…………ウボァ

 

 

ここに来てからの一番輝かしい笑顔で告げられたミコラーシュは膝から崩れ落ちたという…………。

 

 

 

◆◆◆

 

 

Damn it(クソが)! 何でこうなるんだ!」

 

「うおあああぁあ! 洒落になんねぇって!」

 

「し、死んでしまいますぅ!」

 

「…………すまん」

 

「と、とりあえず、安地。安地探そう!」

 

五者ともに様々な反応を見せ、全速力で地を駆ける最中、後方より忍び寄る巨大な影。

 

 

ーー拝啓、カルデア職員各位様。

 

 

ーーこの特異点に迷い込み、早数日。いかがお過ごしでしょうか?

 

 

ーーえ、俺ですか?

 

 

 

 

ーー今、岩に追われています

 

 

 

 

ーー助けてください(泣) 敬具

 

 

 

 

◆◆数日前◆◆

 

「で、どうするよ?」

 

 口火を切ったのは壁に凭れかけているギルバートだ。俺たちはあの後、常夜の土地近くにある荒れ館へ戻り、暫しの休息を取っていた。そこへギルバートの口火切りだ。

 

「どうするってのは………」

 

 問いを問いで返すようになってしまうが、仕方がない。横目でオスカーのほうを見遣る。

 窓際の端っこで座り、太陽のほうを見ながら護符(タリスマン)を弄っている。あの日以来、何処か意気消沈気味にみえてしまう。

 

「そこの騎士サマは放っておくとして、アンタはやるべき事があるんだろう? 聖杯については……所在が分からねえから保留として、奴らのお目当てであるオレらが持っているアイテム。それがある限りオレらは、東奔西走と逃げなくちゃならない。今までもそうやってきたしな。で、最初の質問だ」

 

 あ、オスカーが体育座りになって”の”の字を書き始めた。

 俺はオスカーを尻目にギルバートの面貌を見据え、どう答えるかに悩む。悩んだ末、そこで、一つの疑問が浮かんだ。

 

「仮に、えーと………瞳に火、でしたっけ? それが敵の手に渡るとどうなるんですか?」

 

「ーーーああ、この特異点は虚数世界より抜け出し、表面ーーー地上へと君臨するだろう。文字通りにな」

 

 オスカーが答えた。さっきまで、いじけていたのに、機会を待ってたなコイツ。

 

「…………」

 

 案の定ギルバートはオスカーを恨めし気に睨めつけるが、ドヤ顔で対抗されて顔を背けさせられてしまった。というか器用だな、こいつら。二人とも顔を隠してんのに。

 

「とまあ、茶々はあったが、そういうことだ。なんにせよアンタはこの特異点を超えて次の目的地に行かねばならない訳だ。ならば、自ずと選択肢は浮かぶんじゃないか?」

 

 選択肢、確かにそうだ。今まで、先送りにせざるを得なかった事についても同様に考えて、いかなければならないのだから。この特異点を正すより前に、先ずはシャドウ・ボーダーとの連絡、或いは皆が無事かを確かめねばならない。マシュも心配しているだろうし……。

 

「……ひとまずは皆と合流したいかな」

 

「よし、なら場所特定をしよう。……先にやっとくべきだった感が否めんがな。おい、オスカー。都合の良い『奇跡』なんかないのか?」

 

 オスカーは弄っていた護符(タリスマン)を置き、懐を漁る。しばらくして満足のいく物が発見できたのか、数枚の羊皮紙を取り出した。

 

「これなんかどうだ?」

 

「どれどれ……」

 

 羊皮紙を見合わせる二人を他所に俺は蚊帳の外へと追いやられた気分だ。というか奇跡って、なんぞ?

 

「あのー、お二人さん」

 

『ん?』

 

「奇跡って何ですか?」

 

 あー、そういえば説明忘れてたわー、みたいな雰囲気を出すギルバートとキョトンとしているオスカー。あ、そういえば、なんかまだ説明したりないとか言ってたなこの暗殺者(アサシン)。まあ、いいか。とりあえず蚊帳の外へと俺を追いやった『奇跡』とやらの説明を聞こうじゃないか。

 

「『奇跡』ってのはあれだよ、ほら。オスカー説明」

 

「ここで私に振るのか貴公……」

 

 本当だよ。お前が説明すんじゃないんかい。

 

「……『奇跡』とは()()()が生むエネルギーを基に神秘を行使する業だ。主に純エネルギーを司るとされ、物質的な概念を伴わない。多少の例外があるがな……」

 

「雷とか、ですか?」

 

「その通り。基本触れないフワフワ系だと思ってくれれば良い。今から見せるのも触れない類のものだから、わかりやすいと思うぞ」

 

 フワフワ(雷)とはこれ如何に。

 そう言って羊皮紙を床に置き、護符(タリスマン)を掲げるオスカー。ふと、気のせいか空気が揺れたきがした。

 

「『家路』」

 

 ぼう、と淡い黄金の光が護符(タリスマン)を中心に包み込む。暖かく、優しいその光が迷える者へと家路を示すように羊皮紙へと集まってゆく。

 

「この『奇跡』は本来、術者を帰路へ導くための物……決まった場所への転移ともいえるが、今回は多少勝手が違う。帰るべき場所を失った者、或いは分からなくなった者へはこの様に……」

 

 集まっていった光が流動し、三次元的な立体図が浮かび上がった。ホログラム、と言えるソレは現代での最新技術にも勝るとも劣らない輝きを放っている。感嘆を禁じ得ない程に美しい光景にしばらく唖然としていたが、その図にて数か所、点滅している部分を視界に捉えた。

 

「………収穫はあったな。しかし、これは……」

 

「ああ、こりゃマズいな……()()()()()()()()()()()だな」

 

 ()()()()()()()()()()()()()が常夜の反対側である不夜の土地を指示している。ということは、そこにカルデアの皆がいるのだろうか? しかし、大王の領地……たしかグウィン王と呼ばれる神霊が治める領域。あの、大軍勢を木っ端のように蹴散らした化物がいる所。

 俺は体が強張るのを感じた。

 

「この術は貴公の中にある寄る辺、つまり親しい者、縁を結んだ者、関りを持った者、といった風に記される………早い話が、アイコン表示だ。まあ、精度はお察しだ。余りにも数が多いと大きい点滅になる。そら、ここに三つの点滅が集まっているだろう。これが、私たちだ」

 

 強い点滅を示す、反対側の上の隅っこに表示されている三つの点滅。これが俺ららしい。これにより何故、複数の点滅があるのかという疑問も合点がいった。どうやらオスカーの説明にある関りを持った者が、ちらほらと居るらしい。人数制限は已む無し、というべきか。見たところ五人以上は表示が、一纏まりにされている。カルデアの点滅らしき部分が一番大きいのもそういうこと、らしい。

 ともあれ、改めてこの特異点は異質と感じさせられる。オスカーにつれられて、一望できる場所から覗いただけでも迫力があるというのに、こうした無機質的な図でも変わらぬ、雰囲気を如実に感じる。まるで、ワン〇ースのパンク〇ザード島だ。

 

「ほー、アンタ中々に慕われているな。お仲間の星見屋だけじゃなく、ゲストもこんな所にいるとは……いやはや、救世の英雄はモテモテだねぇ」

 

 ギルバートが点滅の数を数えて、からかってくる。といっても、ばらけている反応を見る限り3、4個ぐらいしかないが………。まあ、少し嬉しい。場所は様々だが、一番遠い点なんて図のギリギリ表示できる場所にある。まあ、それは置いといて、誰と再会できるのかが若干楽しみである。………早く皆と会いたいのが本音だが。

 

「一番近いのは、ここ(ヤーナム)の中だな………効率重視で行くなら近いところから攻めるのが定石だ。しかし、アンタのお仲間は十中八九、大王の領地にいる。判断は任せるぜ、貴公」

 

 そう言って、ギルバートは判断を求めてくる。オスカーの方を向いても同じ反応を示すばかりだ。

 

「ーーー大王の所へ行こう」

 

「決まりだな」

 

「……異論は無い」

 

 一刻も早く合流すべきだろう。一時、シャドウ・ボーダーが大破したと勘違いして大いに狼狽えたこともあり、オスカーの『奇跡』といった特殊な形で皆が無事であることを知れたのは非常に僥倖だった。

 

「よし、そうとなれば直ぐに用意………おい、ちょっと待て」

 

 用意をするべく動き出そうとした矢先、ギルバートに待ったをかけられた。

 

「どうした、貴公」

 

 オスカーが訝しむ。俺も同様だ。

 

「ここ………点が増えてないか?」

 

『……は?』

 

 オスカーと声が重なる。それとそれと同時にギルバートが指し示す、地点を見遣る。点滅している点を数えてみると確かに増えている。計四つに。そして、

 

ーーギルバートの指先はここを示している

 

 

『…………』

 

全員で出入口に視線を向けると、ナニカが倒れる音が響く。

 

「………誰が見に行く?」

 

両者の顔を見合わせ、問う。

 

「貴公、行くといい」

 

「なんでオレ!?」

 

 ポン、とギルバートの肩に手を置くオスカー。きっと、兜の下は笑顔にあふれている事だろう。

 同情を禁じ得ないが、正直ありがたい。この手の展開では見に行った者がパックリとやられてしまうのがお決まりだし、流石にこんな分かりやすいフラグは回収したくはないので、俺はギルバートにサムズアップを向けた。

 

「ちょ、マスター!? アンタもかよ!? ……仕方ねえな! おいオスカー! 貸し、一つだからな!」

 

「ああ、骨は拾ってやろう」

 

「死ぬ前提かよ……」

 

 面倒くさそうにインバネスコートから武骨なノコギリと大鉈を掛け合わせたような得物を取り出し、扉の向こうへと進んでいくギルバート。俺とオスカーその後を隠れながら追う。ありえないとは思うが本当にパックリ、と逝かれてしまっては困るので後方の扉越しでスタンバイしておくのが吉だろう。何気に仕向けたオスカーも心配そうだし。

 

『うん? いないじゃないか。どういうこった、こりゃ?』

 

 扉越しに聞こえる怪訝そうなギルバートの声。

 オスカーと顔を見合わせる。いまいち要領を得ないが、ギルバートの言葉通りなら先ほど倒れた音の主が居ない、ということだろうか?

 

『んだよ、行き損かい。じゃ、戻ろーーー』

 

 ギルバートが扉のノブに手を掛けた。それと同時にオスカーが懐から、棍棒を二本取り出し一本を手渡してきた。

 その瞬間察したーーーこれ、フラグ回収パターンだと。

 

「ーーーって、んな陳腐なモンに引っかかるわけねえだろうが!」

 

 そのセリフと共に扉を素早く開け、体勢を低く屈ませたギルバートが視界に入る。どうやら、あっちも察していたらしい。オスカーと俺は遠慮なく()()()()()()()()棍棒を振りかぶる。

 

 

ーーーゴシャ

 

 

鳴るはずのない虚空より奏でられる鈍い音。ソレは悲鳴と共に交響曲に早変わりした。

 

 

 

イッテエエエェエエエ!?!?

 

 

 

弧を描きながらドサリ、とナニカが倒れる。見るからにそれは人だ。

 

ーーやっちまった

 

 闖入者だと決めつけ、多少の乱暴は免罪符と共に見逃されると思ったが、これは洒落にならない。下手をすれば事案だろう。俺は青ざめ、力なく棍棒落とす。カラン、と鳴るソレはなんとも言えぬ寂寥感と沈黙を育んだ。

 

「…………ん? お前、()()じゃないか! なにしてんだ、ここで?」

 

 沈黙を破ったのはギルバートだった。吹き飛び、断末魔の悲鳴を上げ、鼻血まみれで目をまわしている人物に声をかけたのだ。状況が読めない俺にはさっぱりだが。

 

「---もし」

 

 そこへ、美しく透き通った声音が響く。この男だけのむさ苦しい場所に似つかわしくないものだ。全員ーー気絶している蜘蛛?さん以外ーーが声の方を向く。俺はその時の得も言えぬ安堵と歯がゆさを決して忘れないだろう。

 

「シェヘラザードさん!」

 

 褐色の肌に口元を隠すベール。大きな錫杖に、ないすばでぃ(誤字にあらず)。透き通った声音は何処か儚さを思わせ、聞き手を魅了する語り部のキャスター。嘗て千一夜物語を語り、悪辣なる王を改心させたという。

 アガルタではお世話になりました、ありがとうございます(いろんな意味で)

 そして、これで分かった。ギルバートの言った点が増えているということが。シェヘラザードのことを指していたのだろう。

 

「ああーーーマスター。ご機嫌麗しゅうございます。ようやく見覚えのある方に会えて、とても、とても安心しております…………ところでパッチ様はご無事、でしょうか?」

 

「パッチ? …………ああ倒れている人かーーーってそうだ! 手当てしないとーーーちょ、おお、オスカーさん!? なにしてんの!?」

 

「いや、とどめを刺してやろうかと………」

 

 気絶しているパッチなる人物を手当てしようと見遣れば、何をとち狂ったのかオスカーが手に持った棍棒でオーバーキルを目論んでいた。いや、マジでなにしてんの。ギルバートの方を見遣れば、腹抱えて笑っている。

 

「ブハハハハハ! 最高だ貴公! ()()に慈悲はいらねえってか!」

 

 ひーひー、と心底面白いとばかりに笑い、オスカーを止めずにいる。おいおい、なんでそんな殺意たらたらなのだろうか。ギルバートは面白がっているので兎も角、オスカーに至っては本気な気がする。というか、知り合いなのだろうか? この人と。

 

「いやいや、ダメでしょトドメ刺しちゃ! ギルバートも笑ってないで運ぼうよ!」

 

 俺は、パッチさんを持って引きずろうとする。すると、くぐもった呻きが耳に届く。

 

「…………てぇえな。何がどうなって…………うおあ! なんだ!?ーーー痛ぇ!?」

 

 咄嗟に放してしまった。するとオスカーがしゃがみ込んでパッチさんの輝く頭を鷲掴み、視線をこちらに向けさせる。

 

「久しぶりだな。ハゲ(貴公)

 

「あっ、えーと………どっかでお会いしたこと、ありましたっけ?」

 

「ほうほう、雷をご所望か」

 

 そういって左手に構えた護符(タリスマン)が帯電し始める。やっぱり知り合いっぽい。

 

うえあ!? ちょ、旦那。そいつは話が違う! お互いノーカウント、そうノーカウントだってーーー」

 

「今謝れば許す」

 

すみませんでした

 

 拘束を振り解き、華麗なスタイリッシュ土下座を披露するパッチさん。輝く後頭部が、神々しさすら醸し出させるほどだ。

 

「ふん………まあ、今のところはそれで勘弁してやろう。貴公、見苦しい醜態をさらした。申し訳ない」

 

「い、いえ……お気になさらず……ところで再度となりますが、傷のほうはよろしいのでしょうか? 死なれては困りますので………」

 

「大丈夫でしょう。エストでも飲んでおけば」

 

「は、はあ………」

 

 雰囲気に呑み込まれ、ドン引きしていたシェヘラザードへ謝罪をするオスカー。未だ。土下座の状態で顔を下げているパッチさんへ一瞥すると、館の中へ戻っていった。

 オスカーがいなくなると安堵のため息を吐いて空を仰ぐパッチさん。とても生き生きとしている。

 

「いやー、面白いモンが見れたぜ」

 

 カラカラ、と笑うギルバートがこちらにやって来た。

 

「知り合いですよね? 完全に」

 

「おうよ。所謂、腐れ縁ってやつだな。なあ、蜘蛛よ!」

 

 マスクの内ではきっと笑顔だろう。呼ばれたパッチさんはびっくりしているが………。

 

「って、カラスのアニキじゃねえか。久しぶりだなぁ、なんでここに?」

 

「白々しいわ、俺だとわかってたくせに、後ろ致命(バックスタブ)しようとすっから棍棒喰らうんだよ。またぞろ空き巣でもしようと企んでたんじゃねえのか? 綺麗な嬢ちゃんまでつれてよ。相変わらず欲深な事だ」

 

「いやー………ハハッそんなことする訳ないじゃないですかー。姐さん、なんか言ってやってくださいよ」

 

「うえ!? わ、(わたくし)ですか!?」

 

 急に振られて焦るシェヘラザード。今までの流れ的にパッチさんがどんな性格なのか、なんとなく理解できた。確かに軽薄そうだ。というか、なんで一緒にいたのだろうか? そこが一番の疑問なんだが、個人的に。

 

「まあ、互いに積もる話もあんだろう。意図せずだがマスターの縁者と巡り会えたんだ。中に入ってゆっくり話すとしようじゃないか」

 

「流石、アニキ話が早え! さっそく、休ませてーーー」

 

「お前は後で糞団子の刑だ。オスカーに手配させとく」

 

「そんな、殺生な!?」

 

 なんとも、表情豊かな人物だ。そう思いながら俺は館へ入る。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「ほー、大王の領地に向かう、ね………」

 

 パッチさんーーー改め、パッチ。彼がこの荒れ館へ足を向けた理由は単純であった。

 大王の領地とこの常夜の大地の狭間、でっかい峡谷の付近で野営をしており、時折に各地を転々とまわりながら商売を営んでいたそうな。

 そしてその道中、ぶっ倒れていたシェヘラザードを見つけ、下心MAXで近づいたところ、シェヘラザードの得意技である土下座に天啓を受け、行動を共にするようになった。

 そして、パッチと共に行動するにあたり、疲労したシェヘラザードにパッチが気を利かせ、偶々視界に入ったこの荒れ館で休息と空き巣をしようとして、俺らに出くわしたという。……理由はどうあれ、シェヘラザードを気遣ったうえでの行動だったので、糞団子の刑ではなく雷落としの刑になった。南無。

そして、現在。共に大王の領地へ行かないかと提案中なのだ。

 

「一緒に来てくれると助かるんですが………」

 

「正気かよ、死にに行くようなもんだぜ坊主」

 

「どういう、こった。そりゃ?」

 

 ギルバートが問う。確かに若干だが要領を得ない。パッチはあぐらに姿勢を崩し、話し始める。

 

「この間の大軍勢のやらかしで、警備がきつくなったのさ。俺がここ(ヤーナム)に来たのもそれが理由でもある。更に言っちまえば、大王が”王の刃”を動かしやがった」

 

「………笑えぬ冗談だ」

 

「まったくだよ」

 

 オスカーの言葉に肩を竦めるパッチ。いまいち話についていけない。”王の刃”とはなんぞやとオスカーに視線を向ける。

 

「大王の誇る彼の四騎士。あの大軍勢に対して、大立ち回りした騎士のご同類だ」

 

 身体に緊張が走る。パッチの言う通りなら今、向かえば高確率でアレの同類と顔を合わせるということだ。

 俺はグッと息を吞み、決意を抱こうと努める。どっちにしろ、その化物の根城に行くんだ。このぐらいの不安要素は笑顔で飲み込まなければならない。

 

「ーーーそれでも、行かなくちゃいけないんです」

 

 ここで、足踏みをしている訳にはいかない。

 

「………へえ」

 

 半目で値踏みをするように見遣ってくるパッチ。ニヤけてはいるが、目は笑ってはいない。

 

「死ぬかもしんねえぜ。坊主」

 

「上等です」

 

「バケモンであふれてても、それでも行くと?」

 

「返り討ちにします」

 

「ハッ、剛毅なこった。ガキ一匹でどうにかなるほど容易い場所じゃあねえんだぜ?」

 

 その言葉に飄々とした、それでいて槍のように鋭い威圧感を感じる。

 彼は本気で言っている。間違いなく的を得ている言葉だ。

 

ーーだから、だからこそ言える

 

「大丈夫です。俺には()()()()()がいますから」

 

 その言葉に、パッチは瞠目する。オスカーとギルバートは嬉しそうに頬を掻き、シェヘラザードさえ恥ずかしそうに微笑んでいる。

 僅か数日だが、俺はこの二人を()()()()()だと思っている。簡単に信じすぎとも捉えられるが、二人を見ていて、俺が出した結論の一つだ。()()()()()()()()と。

 

 

「ーーーハッ」

 

 

 鼻で笑う声音。だが、不思議と嘲りではないと感じる。

 

「姐さんの言う通りだ。心底お人好しで普通。それでいて、良くも悪くも善人臭ぇ………臭すぎて背中を蹴り損ねちまうな、コイツは」

 

 パッチはかぶりを振るとお手上げとばかりに、苦笑いを浮かべた。

 

「気に入った! もとより、行く当てもない風来坊。姐さんの知り合いだと聞いちゃあいたが、どうも信用できねえと疑って、カマかけてみたらビックリ………まともじゃあないか」

 

 先ほどの苦笑いを浮かべていた表情とは打って変わり、大仰に反応してみせるパッチ。

 

「坊主、喜んでついて行こう。精々、寝首を搔かれんようにな」

 

 軽薄そうな笑みを浮かべるパッチの頭はひどく輝いていた。

 

「とは言ったものの、厳戒態勢では侵入が困難どころか無理ゲーの域に上っちまうが……そこはどうすんだ? 谷越えは兎も角、オレらは()()()()()()()()()()()()()()()()()……」

 

「あん? そうなのか、あの神殿に向かうってなら()()()

 

 ギルバートの言葉に意外そうに反応を見せるが、楽勝と嘯いてみせるパッチ。その自信の出所は何なのだろうか?

 すると、ナニカを察したのかオスカーが口を開いた。

 

「貴公、まさか………」

 

「ああ、その通りだぜ旦那」

 

 ニヤリと不敵に笑って見せ、口を開く。

 

 

 

センの古城を目指せばいいのさ

 

 

 

 俺はその言葉に疑問符を浮かべるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 遥か彼方、大王の領地に面する山岳の深下。光の一切を許さぬ暗黒の墓所にてある人物が、眉間に皺を寄せていた。

 

 幽玄に在りし信仰に殉ずる者にして死告天使が如く終わりを告げる、伝説の暗殺者。暗殺教団ニーザル派の初代頭目にして継名の原点。ハサン・サッバーハその人である。

 嘗て、人理の旅路にて太陽の騎士をあしらい、大地母神を地に堕としてみせた彼が、何に顔を顰めているのだろうか。彼は呆れ交じりに口を開く。

 

 

 

 

 

働け……

 

 

 

 

 

 底冷えするような声音が墓所に響く。配下の骨どもが戦慄するも言われた()()は意に介していない。

 そして、ゆっくりと答えた。

 

 

 

 

 

 

嫌です

 

 

 

 

 

 棺桶に靠れ、口をあけながらだらけている伝説の三柱が一柱、大王グウィンと並びこの墓所を根城とする死の神たる存在。

 

 

 

最初の死者ニト只今、ニート(お仕事)中である

 




感想、批評カモン(高啓蒙)

てことで更新。漸くタグの不夜城キャスターが仕事し始めましたw

もうちょい先に出す予定だったんですが、気づいたらこんな遅くに……。

そして、ついにアノールロンドへ向かう事になったマスターくん。お供を増やしていざ、進撃! 運命や如何にw

…………感想くれないかなー|д゚)チラッ

上の厨二文いる?

  • いる じゃんじゃん書いて
  • いらない クオリティを見直せい
  • 偶にで良い あげるならもっとカッコよく

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