【またかよ】ソードマン、再びダイバーを数名襲撃【害悪ダイバー】
広大なネットの海の中、そんなスレッドが立てられていた。
内容はタイトルの通り、突如現れたソードマンがダイバーを襲撃。一方的に蹂躙したという話だ。
この手の話はよくGBNにいるとよく見るもので、これまで口頭でもちょくちょく話は聞いている。どうも非公式で懸賞金もかけられているらしく、相当恨みを持たれているようだ。
親に内緒で手に入れた端末で掲示板を見ていたシュウゴは思わず真顔になった。
6 名無しのMS乗り 20XX/7/28 22:14:31
いい加減こいつBANしろよ運営
8 名無しのMS乗り 20XX/7/28 22:15:51
ま た か よ
マジでアストレイ乗りに風評被害入るからやめてくれよ……(絶望)
あいつチーターなのに5000万ジンバブエドル賭ける
10 名無しのMS乗り 20XX/7/28 22:16:11
>>5
チーターだったら問答無用で消えてくれるからありがたいわ。運営BANはよ
17 名無しのMS乗り 20XX/7/28 22:18:36
出現パターンから察するに学生だとは思うが、それ以外分からんのよな。ダイバー姿の情報もほとんどないし。
特定班なにやってんの
25 名無しのMS乗り 20XX/7/28 22:25:17
ランカーのロブが自警団募ってるらしいし俺も参加しようかな
最近のスレッドですらこの有様だ。ソードマンで検索をかけてスレッドを探すと似たようなものが1年ほど前から見られた。
観ていてあまり気分のいいものではない。真偽がどうあれ他者の悪評というものは容易く広まるもので、ダイバーとしての姿を見せないのもうなずけるというものだ。
シュウゴは端末を仕舞い、ダイバーズギアに手を取った。
STAGE19 いるべき場所は
◆◆◆
ログインしたシュウゴ改めゴーシュはふと、一度Mk-Ⅱから離れて何かを作ってみようと考えた。
というのは、Mk-Ⅱで得た反省はこれまでの戦闘である程度固まって来たからだ。加えてしばらくの間、ビルドコインを払ってGBN内で劇場版FGやらZを見、叔父の家に入り浸りセガサターンで遊び倒したのもある。
カミーユ・ビダンという男の所業にドン引きと同時に少しばかり感情移入しつつ、セガサターンのガンダム外伝を遊び、PS2のガンダム戦記やエゥーゴvsティターンズを遊んだりして知識を少しずつ溜め込んだ。
既に完成していたMk-Ⅱに手を入れるにしても出来上がったものを分解して塗装しようにも時間が必要だった。一度カッチリと固定されたパーツを取り外すには細心の注意を払わなければならず、相応の時間が必要だった。となれば一から作り直した方が早い。
例の模型店で取り敢えず良いなと思ったキットを選び、資料とハウツー本片手に、パーツの一つ一つをくみ上げていく。
一つの部位を作るパーツを事前に集めて、塗りたくない箇所にマスキングを掛け塗装をしていく。これもこれでそれなりに時間のかかる作業だがあの模型店には預かりサービスもあり、日をまたぐ時は渇いていないパーツを預けて明日に持ち越すということにした。
そんなこんなで作っているのがZガンダムだ。
本来はトリコロールカラーだが、各パーツが白く染まっており、紫色のラインが全身に走っている。それはZガンダム3号機とほぼ差異のないものだった。
格納庫に聳え立つゼータの調子をコンソールを叩き確認していると、それを見かけたリクが零した。
「これがゴーシュさんの新しい機体なんですね……」
「ン、ゼータだ。まだ未完成だが、完成も近い」
塗装はやや手こずっている。特に通常の3号機は初期検証型と異なり、マスキングが巧く出来ないと確実に滅茶苦茶になってしまう複雑なカラーリングをしている。何故初心者の分際でこのような高難易度のことをしているのか、それは周囲のそこそこ高い技術から起因する。
制作技術は遅れを取っているしその他諸々の要因もあって中々時間が取れないのが現実だ。
短く、濃密に。
そうでもしなければ永遠に自分は土俵に立てないのだ。実験台で幾つものガンプラを犠牲にしつつ、本命のゼータを少しでも完成へと近づけていく。
とはいえど、組み立てている間はゴーシュは、否シュウゴは充実していた。
たまに騒がしくなるが模型店の組み立てコーナーで一つの
その時、雑音が聴こえようがシュウゴにはどうでもよく、流れた言葉が右から左にすり抜けていった。
「そろそろ行くよ二人とも」
ユッキーに呼び掛けられゴーシュは3号機のデータが表示されたコンソールを埃でも払うように削除した。
「あぁ。フォースフェスだったか」
どうも今回は期間限定フォースフェスが開催されるのでビルドダイバーズとして、リクとユッキーらと共にそれに参加しようというのだ。
リクたちがフォースを結成したという話は少し前から聞いていた。
その時シュウゴ自身も誘われはしたが時間の都合が付かないし居てもしょうがないだろうという理由を付けて断った。……つもりだったが、いつのまにか仮メンバーとしてぶち込まれていた。
実際問題あのゲームはどういう形であれフォースの一員であるほうが色々都合が効くので一応入っておきなよという形だ。
ボッチには中々厳しい仕様である。
都合が効く要素の最たるものがフォースフェスなるミニゲームや、フォース同士の戦闘である。フォースに属していなければ出来ないというGBNの仕様だ。そこでしか手に入らない資材もあるので入って損はないのだ。
それをマギーに聞かされたリクたちがほぼ強引にゴーシュを引き入れたという形だ。
いや、引き入れられたゴーシュ側としては欲しい資材を手に入れるチャンスを得られたのでありがたいのだが。
勿論フォースメンバーとしての役割は期待するなと断りは入れておいた。努力は惜しまないがあまり期待はしないで欲しい、と。
それはそうとして、ビルドダイバーズのメンバーはリク、ユッキー、モモ、KO-1というエルフと魔導士を足して2で割ったような青年ダイバー。そしていつのまにかあの偽シャフリに喧嘩を売ったくノ一型ダイバーのアヤメの姿もあった。
アヤメはどうも渋々といった風で、ゴーシュは少しばかり同情した。
「いい資材が手に入るんだし、前向きに行こう」
「資材には困ってないわ」
「……そうか」
出発前に励まそうとしたものの、つっけんどんに返されゴーシュはしょんぼりした。
◆◆◆
「べアッガイフェスにようこそ!」
高高度の上空に浮かぶ島々。中心には一際大きな島があり、広場にはべアッガイというファンシーなモビルスーツの模様が地形に作られていた。奥地には大きな山があり山頂には緑色の粒子に囲まれた地球が浮かんでいた。
「こんなファンシーなアッガイがいるのか……」
アッガイは知っているがべアッガイという派生は知らなかったゴーシュは眼を丸くしながらフライングアーマーに乗ったMk-Ⅱを操作し、出入口の港に着陸する。同じくダブルオーが並んで着陸した。
その姿を横目にゴーシュは口を開いた。
「それにしても改造したのかリク。ダブルオーダイバーを」
見慣れない姿だった。脆い部分を補強するようにアーマーが増設されており、なによりも両肩部に装備した実体剣がゴーシュの眼に止まった。これまではこんな大剣2刀はなかったはずだ。
「はい。ダブルオーダイバーエース、これが俺のガンプラです」
「凄いな、君は」
それは皮肉無しの賞賛だった。
元々改造の出来る人間はゴーシュにとっては未知の存在だった。それは今でも同じだ。ソードマン操るアストレイオルタナティブも、ユッキーのジムⅢも、零丸も。
「そんなことは……楽しみにしてますよ、ゴーシュさんのゼータ」
「……そうあまり期待はするな」
そんなこんなで着陸したビルドダイバーズの面々は機体から降り島の中を歩いた。
周囲を見渡すとガンダムシリーズをイメージしたモニュメントやコスプレをしたダイバーの姿、そしてNPDべアッガイの群れが練り歩いている姿もあり、その様相はテーマパークのそれだった。
フェスというだけあってにぎやかなもので、いつの間にかリクたちはアトラクションに興じ始めていた。
それをただ、ゴーシュは遠巻きに見ていた。
こうしていると殊更に思うのだ。彼らは心底楽しんでいる傍ら、自分は「今から逃げる」ためにここでガンプラの世界に身を投じているということを。
ゴーシュは撮影コーナーでべアッガイの被り物をしている彼らを横目に、買ったソフトクリームを舐めた。今こうして一人でぼんやりとしている自分の姿は、ここでアトラクションに興じている彼らにはどう見えるのだろう?
つまらなそうに見えるのだろうか、それとも自分たちと何も変わらないように見えるのか。
「貴方は行かないの?」
様子のおかしいことに気が付いたのか、同じく付き合い悪く一人になってビルドダイバーズの面々を遠巻きに見ていたアヤメが問いかけるとゴーシュは苦笑いで答えた。
「いや、リアルのことで少しばかり考え事をしていてな……」
リアルのことを訊くのはネットゲームでは推奨されていない。そういったマナーが暗黙の了解として存在している。そのためアヤメはそれ以上追及することはなかった。
「そう……」
「まぁ、それに俺は外様なんでな、もとよりあいつらと日程がそうそう合うもんでもない。実質いないのと一緒だ」
「外様……ね。私も似たようなものね、ここにいるべきじゃないもの」
アヤメも思う事があるのか、外様という言葉に含みのあるような言葉で反芻する。ゴーシュは少しばかり要領を得なかった。一体どんな負い目があるというのだろうか。
「なんだい? 二人して老け込んでいるのかい?」
そんな中、またまた馴染めない男が1人。最近ビルドダイバーズ入りしたばかりだというKO-1……コーイチもまた遠巻きでアトラクションに興じる若者たちを遠巻きに見ていた。そんな彼を仲間でも見つけたかのような目でゴーシュは……
「ふむ……先人曰く類は友を呼ぶ。やはりボッチ共は引かれ合うものか。ついに3人になってしまった」
「いや、
「え゛っ゛」
ゴーシュの発言にしれっとコーイチを巻き添えにしつつ冷ややかなツッコミを入れるアヤメ。そして巻き添え事故を喰らってポカンと口を開けるコーイチであった。
だが第三者からすればコーイチもアヤメもゴーシュも差はほとんどないわけで……
「「「「溶け込もうとしない人がいる……ッ!」」」」
リクたち4人に目を付けられるのは時間の問題だった。4人とも色とりどりのべアッガイの被り物をしてその目を光らせ、手をわななかせている。いずれも「ベアベア……ベアベア……」と最早ゾンビか屍人か何かだ。
このまま大人しく抵抗しなければナニカサレルのは明白。
「ぅ……」
一歩、後ずさり。流石に溶け込む溶け込まない以前にこのべアッガイの被り物だけは勘弁してほしかった。考えても見ろ、17歳の可愛げのない野郎がそんなファンシーなものを被ればそれはもうギャグだ。
一生もののトラウマ(大袈裟)を背負う羽目になる。
「こっ、断る! 流石にその被り物だけは勘弁してくれッ…………ハッ!? コーイチ氏ッ!?」
気付けば隣のコーイチはとっくにライトグリーンのべアッガイの被り物をしていた。ぼっち一名は既に屈していた。口があんぐりと開いた。即堕ち2コマとはこういうことを言うのかと感心しながら。
「二人とも、郷に入れば郷に従えって先人の言葉もあることだし……」
そう、コーイチは表情を引き攣らせた状態で冷酷にもそうのたまった。
だからって納得しろというのは別の話だ。アヤメもゴーシュもそう思っていた。流石にこの年齢でそれを被るのはきついものがある。その上仮にも両者ともクールキャラ(のつもり)で通そうとしている手前上なおのことだ。
しかしながらそんなぼっち2名の事情なぞ慮ってくれる4人じゃなかった。
ゴーシュはげっそりするような悪寒にその身を震わせる。
――じょ、冗談じゃ……
後ずさりしているといつの間にか壁に突き当たり既に退路は断たれていた。眼前には変わらず目を光らせてその両手をわななかせている。
――あっ、死んだ。
そう諦めた瞬間、4人の怪人べアッガイがアヤメとゴーシュに飛び掛かった。
「「うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッッッッッ!!!!!!!!!」」
◆◆◆◆
それからというもの、青いべアッガイの被り物をさせられたゴーシュは死んだ魚のような目で、次のアトラクションへ走るリクたちを追っていた。
「遊園地なぞ中学生の学外活動以来だ……」
「き、貴重な体験が出来たね」
ゴーシュもコーイチも絶叫マシンを連続5回(べアッガイコースター、ラフレシアバンジーetc)乗せられたものだから完全にダウンしていた。
VRは落下によるGも巧く再現していて、中学時代の思い出したくもない思い出が見事にリフレインした。
「やはり俺は絶叫マシンが駄目らしい……数年したら恐怖の度合いも変わってるだろうと思ったら何ら耐性も出来ちゃいなかった」
一方で紫色のべアッガイの被り物をしたアヤメは涼しい顔をしており、次も余裕そうだ。というか寧ろこの3人の中で一番ノリノリな説もゴーシュの脳内で浮上していた。
なんやかんやで素直じゃないのだろう、彼女は。
「あの――」
弱った身体を引き摺りながら園内を歩いていると、ふと声を掛けられた。知らない女の声だ。
力なく声のした方を向くと、二つ結びの黒髪と、飴色の髪の少女二人がデジカメ片手に立っていた。
「すみません、よかったらフォトってもらえませんか」
「……」
「あいや……僕は……その……いや……なんていうか……」
ゴーシュは精神が破壊されたような虚ろな目で2人を怯えさせ、コーイチに至っては女性に全く耐性が無いからかキョドっている。この2名のアバターの完成度もそこそこ高く、普通に美少女の部類なのでキョドっても致し方ないが……だからっていくら何でもキョドり過ぎではないか。
ゴーシュからすれば女アバターは全員ネカマだというスレた心構えをしていたお陰で何も思わなかった。
アヤメもぶっちゃけ男だと思っている。しかし、対応出来るほどいまは心の余裕が8bitすら残ってもいなかった。今ここに居るのは
「貸して」
デジカメを2人から受け取り、造作も無く写真に2人を納める。
「「ありがとうございます!!」」
「いいえ」
撮り終えてデジカメを返していると、アヤメたちが脚を止めていることに気付いたリクらが駆け寄ってきた。
「コーイチさん! 次のアトラクションなんだけど」
まだ乗るのかこの若者は。ゴーシュは何の絶望も希望も失ったように何処か宙を見て「大きな星が点いたり消えたりしているな……」と真昼の時間帯でうわ言のように呟き、コーイチは「まだ乗るのかい……?」とリクらの体力にげっそりしていた。
そんな中で黒髪の方がリクたちをまじまじと見てから思い出したように「あ!」と声を上げた。
「キミってもしかしてこの前フォース戦でロンメル隊を撃破したフォースの……!」
ロンメル隊。あの河童を倒す時に指揮っていたフェレットが率いる部隊だ。それを少し前にリクらビルドダイバーズは撃破したのだ。……まぁその時のロンメル隊は厳密にはフルメンバーではなく新人だけで固められた手加減込みの状態だったので、完全に超えたというのには些か語弊はあるのだけれども。
それでもロンメル隊――第七機甲師団のネームバリューはGBNプレイヤーで知らない者はいない程に有名でかつ実力派の部隊だ。なんであれ新興のフォースが彼らに勝利するのは異例だ。
「あの時の中継映像見てたよ!」
「うん! 凄くカッコよかった!」
口々に感想を言う少女二名に対し、リクとユッキーはデレデレしており、モモは「またそれか……」とボヤいていた。もうあの試合からそこそこ日は経っている。それまでに口を開けば第七機甲師団との試合の話や質問ばかりだったのでモモは少しばかりうんざりしていた。
で……その有名な試合にリアルの事情で欠場していたのがゴーシュである。
◆◆◆
あのリクたちに話しかけてきた少女たちもまた、フォースを組んでいた。
名前はアークエンジェルス。構成員は全員女性型ダイバーで、ガンダムSEEDにまつわるモビルスーツを操るのだという。
まだ宇宙世紀の半分も手を出していないゴーシュにはよくわからない話であり、黙って売店で買ったフルーツパフェに載ったキウイを一切れ頬張った。味は見事なまでにキウイそのものの味がした。
……このGBNにも味覚というものが存在する。元々ダイエット用の道具としてユーザーの味覚を騙して空腹を紛れさせるものをGBN開発は流用、導入したらしい。飽くまで味覚を騙すだけなので腹は膨れない点は留意しておきたい。
……で、話を戻すが、アークエンジェルスの黒髪の方はカナリというらしい。で、飴色の方はステアとかなんとか。
彼女たち曰く、イベントミッションに参加しに来たらしい。イベントミッションでは成功させたフォースには限定アイテムやらパーツやらが貰えるようになっている。
今回のイベント内容は「BeargguyQuest」サブタイトルは~失われしBの伝説~だとか。ユッキーには思い当たるものがあるらしく「なんてマイナーなネタを……」とボヤいていた。
これがどんなクエストなのかというと、べアッガイ島という一つの浮遊島にある宝箱を探し出し、お宝を手に入れよう。というもの。
非戦闘クエストなので戦闘が苦手なダイバーも安心……らしい。景品は特製
◆◆◆
『べアッガイクエストにようこそ! それでは簡単にルールを説明させていただきます。このべアッガイランドの色んな所にヒント入り宝箱が隠されています! 宝箱のヒントを頼りにべアッガイ像を探してください! そのべアッガイ像にもう一つのヒントの宝箱が隠されています! 参加者のみなさん! お宝目指して頑張ってくださいね!』
フェス会場空域に浮かぶ無数の島たちの片隅にあるべアッガイランド上、何機ものモビルスーツやモビルアーマーが並んでいた。ここにいるのはいずれもべアッガイクエスト参加者だ。その中に混ざる形でビルドダイバーズの面々も待機している。
べアッガイ像に付けられたスピーカーから出てくるライト層に向けたような女性ボイスの説明を黙って聴くことに集中していたモモだったが、思わぬ雑音が彼女の耳朶を打った。
「よーし、がーんばるぞー」
気だるげでそれでいて聞き覚えのある声が参加者たちの中からした。その声を辿るとそこには羽の生えたモビルスーツ、ウイングガンダムが立っていた。
「……まさか、そのウイングガンダムってカタナさん」
ユッキーが訊くとそのウイングガンダムは縦に頷いた。
「あぁ。今回貰える景品は分解すれば有用な資材になると踏んで俺も参加した。一応フォースは作ってるしな」
1人だけだけどな、と小さくこぼしたのは聞かなかったことにしておこう。この男もぼっちだってことは黙っておこう。
しかし武者凱を分解するというあまりにもあんまりな物言いに黙ってはおけない者がいた。
「武者凱を分解するとかなんてことしようとしてるんですか!」
責め立てるような口調で食ってかかるモモにカタナは口を尖らせた。
「資材を分解して何が悪いんだ」
「悪いッ!絶対に悪いッ!ていうか、一体何に使おうっていうんですか⁉︎ あんな可愛い仔をなんで分解なんてしようと思うんですかッ!」
「そらァ、新しいモビルスーツの素材だ。武者頑駄無とか」
「ひどーい!」
事も無げに切り返すカタナにモモは激怒した。
この邪智暴虐のダイバーに武者凱を渡すわけにはいかない。あの湖の時のようにボコボコにしてやると決意した。あそこで手に入れたネイビーハロも河童事件の際に釣り餌にしたという話だし、この男は人の心を持っていないに違いない。
今回の宝探しは小さい頃に埋めたガラクタを探し回る遊びをやった思い出もモモにはあったので今回も一方的に勝利出来ると確信していた。それにこちらには7人(ガンプラを持たないサラ含む)仲間がいるのだ。アヤメのRX-零丸も軽くカタナのウイングガンダムを睨みつけており女性陣を敵に回してしまっていた。
「よぉし! こんな奴に武者凱は渡せないわ! 皆、やるよ!」
「ちょっ待てや! 1対6機のモビルスーツたァ卑怯過ぎやしないか!」
ダブルオーダイバーエース、
ジムⅢビームマスター、
モモカプル、
コーイチ操るガルバルディタイプのカスタム型『ガルバルディ・リベイク』
RX-零丸
ガンダムMk-Ⅱ(フライングアーマー搭乗)
モモが呼びかけた皆の機体は機動力も高そうなものばかりであり、カタナをげんなりさせるには充分過ぎるメンツであった。
こういった宝探しはマシンの機動力はもちろんのこと索敵性能も重視される。事実として参加者の中には索敵用レドームを搭載したものやスターゲイザーそのものがスタートラインにいる。だが、カタナを叩きのめすことに目を向けているモモは知らない。ライバルには索敵機まで持ち込むガチ勢までいるなんてことを……
「こんちわ~」
あの先ほど接触したあのアークエンジェルスの2人組もそこにいた。カナリ操る可変モビルスーツ・ムラサメとステア操る犬型のモビルアーマー形態のガイアガンダム。
フォースとダイバーの名前に従って使用機体もガンダムSEED DESTINY出典のマシンだ。モモもやたらガンダムに詳しいユッキーからある程度話は聞いているので知っている。
「その声、さっきの」
リクの反応にムラサメが「やっほ」と手を振り、ガイアは頭を軽く振っている。
「負けないからね」
「わたし達、前もやったからヒントの位置覚えてるし!」
カナリの一言は別に良いとしてステアの一言にはモモからしたら引っ掛かるものがあった。前もやった……つまり強くてニューゲームという奴じゃないか。答えも知っているということじゃないか。その事実はモモを焦らせるには充分だった。
戦いは数だよとユッキーは時々言うけれども、絶対嘘だ。
たかだかその辺の素人数人弱ごときでは武勇に優れ、戦い方を知っている呂布には勝てんのだ。
モモの全身に汗が噴き出す。まさかのポッと出のコンビに自分たちも、
勝てるんじゃないかという自信が急速に萎えていくモモには、一方でリクが「俺たちだってやりますからね!」とアークエンジェルス相手に闘志を燃やしてくれていることだけが少しばかりの慰めだった。
ゴーシュ「ガンプラを作る時はな、誰にも邪魔されず、自由でなんというか救われてなきゃあダメなんだ。独りで静かで豊かで……」
おふざけはさて置いて、既に20話作成済みなので少々お待ちを
次回Build Dives ASTRAY
STAGE20 夜の始まり