Build Divers ASTRAY   作:バレルソン

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 おはようこんにちはこんばんわバレルソンです。

 アースリィガンダムのシステムでチクショウ被っちまったと嘆いている真っ最中ですが平常運転でお送りいたします。
 どうにかして差別化しないとなぁ……

 やっぱ追加装甲とか皆考えるよねぇ……


STAGE24 ここじゃない何処かへ

――ひどくやられたな

 

 騎士ガンダムの姿をしたカドマツは修復作業を行っている作業ロボット・カレルやハロを一瞥しながらぼやいた。デストロイ一機が暴れただけでここまで破壊されるとは思いもしなかった。

 マスダイバーも力を蓄えればここまでできるのだと脅されているような気分だ。

 

 まったくこのようなイタチごっこをいつまで繰り返せばいいのか。

 そして――カナタにいつまでこんな終わりの見えない地獄を押し付けなければならないのか。

 

「だが、ソードマンが率先してマスダイバーを狩っているお陰で首の皮一枚で繋ぎ止められているのも事実だ」

 

 背後で誰かの声がした。振り向けばそこにはリ・ガズィを潜水型(ダイバー)にアレンジしたSDガンダム、ガンダイバーが立っていた。その右肩部にはGBNのデカールが施されており、カドマツには一瞬でその男が何者なのか理解した。

 

「カツラギ主任……」

 

 GBN運営の最高責任者――カツラギはそのまま言葉を紡いだ。

 

「我々は動けんのだ。ログが残らない以上、罰する事は出来ん」

 

 疑わしきは罰せず。マスダイバーの行動がログにならない以上、罰することは出来ない。疑わしきを罰するつもりで下手に動けば運営が糾弾されGBNが終わる。

 ゆえに、警察(運営)民間(ユーザー)による私刑に頼らざるを得ない。冷静に考えなくてもふざけた状況だ。それを是として良いわけがない。

 そんなカドマツの心情を読み取ったのかカツラギは言った。

 

「我々に出来ることと言えばログの修復の他にない……それに大きく動けるほどの証拠、人員、予算。何もかもが足りていない」

 

「出資者は無理難題をおっしゃるとはこのことか……」

 

 下手に運営が証拠のない存在を肯定し、ユーザーに注意喚起をするのも当然ありえない選択肢だ。曖昧な定義で犯人探しを始められようものなら魔女狩りが起こる。そうすればGBNが別の方面で終わる。

 そしてこれまでのマスダイバーと目されたユーザーは黙して力については語らず、証拠もないが故に拘束も出来ないので根本からの根絶にまでは程遠い。

 

「あのステアというユーザーからは情報はとれているか?」

 

「…………」

 

 カツラギの問いにカドマツは沈黙した。彼女はあの事件からログインこそしているが、あまりこちらには協力的ではないようだ。それに加え、カナリが庇い立てしているのもあって深入りが出来ずにいる。

 カナリ曰く、ステアは相当参っているから気持ちの整理が終わるまで時間をくれ、と。

 

「そうか……」

 

 カツラギの落胆した声が風にかき消される。

 このべアッガイランドをはじめとしたエリアは現状閉鎖されている、また次々とマスダイバーが現れようなら最終的に消えるのはこのGBNそのものだろう。

 

 GBNが消えるのが早いのか、マスダイバーが消えるのが早いのか。

 終わりゆく空を見上げながら、カドマツは一人思うのだった。

 

◆◆◆◆

 

 

 

 カーン、カーン、カーン。

 バットが球を打つ音がバッティングセンターのフィールド内で大きく響く。

 

 車と同じ速度で飛んでくる白い球がフルスイングされたバットで反対方向に勢いよく飛んでいく。そしてフェンスに当たり、地面に落ちていく。ホームラン用の的には一向に当たる様子は無かった。当たればあらかじめ用意された景品が選べてもらえたりするのだ。

 最初から当たることなぞあまり期待しちゃいないが、狙えるのなら狙ってみたいと思うのは人情だ。

 

「おい」

 

「あぁ?」

 

 隣のボックスから発せられるシュウゴの声にカナタはぶっきらぼうに返した。

 ……ここ最近むしゃくしゃすることが多くて気分転換にと、今日は半ドンなのでバッティングセンターに行ったらシュウゴが先にバッターボックスでバットをブンブン振っていた。カナタは声を掛けることもなく、隣のボックスに入り一心不乱にバットを振り、車と同じ速度で飛んでくる白い球をひたすら打ち返しているとシュウゴもそれに気づいたようだ。

 

「最近変わったな」

 

 唐突な切り出しにカナタは調子が狂い、振ったバットが見事に空振り白球が後ろのフェンスにぶつかった。今の玉はど真ん中だったのに、と若干恨めし気な声色で返した。

 

「何がだよ」

 

「お前自身がだ。何かに苛立っているというか――何があったかは知らんが」

 

「無えよ、何も……」

 

「フッ……そうか」

 

 次にカナタが力一杯に振るったバットは今度はボールに命中し、真上に空高くボールが舞う。

 飛距離は無い。ただただ真上に飛んでいるだけのフライだ。試合だったらピッチャーかキャッチャーに捕られてアウトだ。

 質問していいのは質問される覚悟がある人間だけだ――なんて言わないが意趣返しのようにカナタはシュウゴに問いかけた。

 

「そういうお前も変わったな」

 

「何がだ」

 

「ツラがかなりマシになった。何があったかは知らんが」

 

「無いさ、何も」

 

「あぁそう。期末で成績トップから転落したのと何か関係があるのかと思ったが見当違いだったか」

 

 隠し事をしているのはお互いさまらしい。含み笑いがついた返答を雑にあしらいながらもう一発ボールを当てた。低めのライナー、今度はヒットくらいか。

 隠し事とは言ってもカナタもシュウゴもそれを悪とは欠片も思ってはいなかった。誰だって脛に傷の一つや二つ持っている。本人が話したくなければこれ以上深入りしようとは思わなかった。

 それが正しいかどうかは別として、それが双方なりの気づかいのつもりだ。

 短いやりとりから二人は一心不乱にバットを振るい白球を撃ち返し続ける。しばらく繰り返した末にホームランの的に先に当てたのはシュウゴだった。

 

「よしきた」

 

「マジかよ……」

 

「フッ、これが文武両道だ。トップから転落しようが俺は強いぞ?」

 

「煽ったなこのインテリクソ眼鏡め」

 

「フッ……上がって来い、ここまでな」

 

「上等だコノヤロー!」

 

 どや顔で眼鏡をクイッと上げるシュウゴにカナタは中指を立てる。的はボールが命中したことでセンサーが作動しファンファーレを鳴らしていた。

 この状態でスタッフに声をかければ景品がもらえる。早足でボックスから出ていくシュウゴを見送ってから再び、飛んでくる白球を見据え力一杯に打ち返した。

 

 

 が――ボールは的のスレスレの壁に命中しポトリと地面に落ちた。

 

 

 

◆◆◆

 

 古鉄やにアヤがやって来る頻度がここ最近増えたのは気の所為じゃないはずだ。

 こうして学校の寄り道がてらバッティングセンターでかっ飛ばしてから帰ったら彼女がいるなんて現状を前にしてカナタは思う。

 カウンターの上でおそらく祖母が出したのだろうお茶を呷り待っていた。

 

「おかえり」

 

「おうもう来てたのか……」

 

 カナタは無造作に荷物を裏手に放り込む。今日は彼女のシフトが入っていることを思いだしながら、応接テーブルの椅子をカウンターの近くまで引き摺ってからそのまま腰掛けた。

 アヤは微笑みながらそんなカナタの姿を見てからもう一口お茶を呷る。

 

「今日は遅かったね」

 

「あぁ、ちょっとばかりバッティングセンター行ってた」

 

「バッティング……」

 

 意外だったのか彼女は眼を丸くしていた。

――俺は一体何だと思われてるんだ……

 ガンプラ一辺倒とかそんな風に思っていたのだろうか。どうも声に出ていたのか、アヤは困り顔で答えた。

 

「ジャンク屋さん行ってると思ってた。だってイズミ君そういうジャンク漁り好きそうだと思ってたから」

 

「あー……否定出来ねえ」

 

 あまりにも真っ当な返しにカナタは背もたれに全体重を預けて脱力した。言われてみれば暇あればジャンクショップに足を運んでいる自覚がある。行動パターンすら把握されている気がして何だか落ち着かないが、今回ばかりはアヤの予測を上回ることが出来た。

 そんな些細な優越感に浸っていると、アヤは続けた。

 

「時間もあるし展示用のガンプラ、作ろうよ」

 

「そうだな……っと」

 

 カナタはゆらりと席から立ち上がって、裏手に積まれたガンプラ箱の山を引っ張り出した。

 古鉄やにガンプラを展示しようと提案したのはアヤだ。古鉄やには未開封の箱が腐るほどあり、このままでは需要と供給のバランスが崩れて箱の山が出来かねない、どうせ作らないならここで作って展示した方がガンプラにとって幸せだと彼女は考えた。

 加えてカナタの私物としてパーツ取りとして複数買って結局使わなかった部品もかなりある。

 

 さすがにこんなところでMGディープストライカーなんてバケモノを組もうとは思わないがHG程度なら余裕で組み立てられる。

 

 

 作業台代わりに応接用テーブルに工具箱と箱をどんと置く。

 アヤも続いて作業台の椅子に居場所を移し、HGUCブルー1号機の箱を無造作に開けていく。カナタも同様に、HGUCイフリート改の開封を始めた。

 ランナーからの切り離しを始めた所で、カナタは向かい側で作業をしているアヤを見る。

 

 彼女もランナーからの切り離しを進めており、そこからパーツ別に塗装をするつもりなのだろう。ランナーからの切り離しはこの手の作業では一番多く繰り返すことになるものだが、ここでミスれば大変なことになる。

 それゆえアヤの表情は真剣そのものだ。あらかじめ余裕を持った状態で切り離してから、細かい修正や切り離しをやっていく。

 

 そんな表情をぼーっとカナタは見ていた。

 この娘もガンプラが好きなのだろう。作り始めたなら最後まで面倒を見るという気概を感じる。こうしてちゃんと向き合ってくれる人間がいるのであれば元の持ち主から売り払われ作られないままこのオンボロの店で埃を被ってきた意味もあったというもの。

 GPDで中破させたSDF91も結局ちゃんと綺麗に直してくれた。

 

「どうしたの? そんなじーっと見てて」

 

 気付かれたらしく、きょとんとした顔持ちで顔を上げたアヤは問う。

 さすがに凝視されれば良い気もしない。「なんでもない」と返してからカナタは作業を続けた。

 彼女の異様なまでの知識量で返事に窮する時もたまにあるが、そんな性分は嫌いじゃない。この娘と一緒にここで過ごしているのが楽しみになってきている自分がいる。

 

 以前GPDをやった後結局F91の修復に付き合わせてしまった。けれども、一生懸命に修復に臨む姿を見てこの娘にならこれからもガンプラを預けたっていい。

 ああ、多分おれはこの娘が――

 

「好きなんだろうな」

 

 その時、思っていた事が口に出てしまったことに気付いたカナタは咄嗟に口を噤んだ。が――覆水盆に返らずとはこのことか、アヤの耳に入り作業する手が止まりきょとんとした顔持ちになった。

 

――やべっ

 

 どう取り繕うべきなんだァこれェ!

 耳が熱くなり、次に出すべき言葉が分からずあたふたしているとアヤが先に言葉を発した。

 

 先手を取られた。このままでは自身の迂闊な発言でおかしなことになる。この瞬間ひたすら自分自身の迂闊さを呪いに呪った。

 迂闊さが爆発している――ッ

 

「ガンプラ? うん、わたしは好きだな」

 

――あれっ

 

 案外あっさりとしていて想定以上に当たり障りのない回答が返ってきたおかげでカナタは心底ホッとした。ついでに花が咲いたような満面の笑顔付きだ。

 そういうところだぞ。なんて心でぼやきながらカナタは再びイフリート改に手を付ける。

 

 

 これでいい。気付かれなきゃ安いものだ。

 そもそも従業員に手を出すバカがいるか。自制と自戒を込めてランナーに余裕を持ってニッパーで断つ。

 このままだけでも充分だ。これ以上踏み込むのは烏滸がましいことだ。神妙な心持になった途端、アヤが逆に声をかけてきた。

 

「イズミ君も好きだよね、ガンプラ。ストライクもあの子(SDF91)もとても丁寧に作られてたから」

 

 そう見えているのか。

 自分では当たり前のことをやっていても他人からすればそれは奇異に見える。逆も然りだ。相手にとって当たり前にやっていることが自分にとっては奇異に見えるのと同じだ。

 だからこそ、そう見えてくれているのは少しばかり照れ臭かった。そこまではいい。が、問題は次の発言だった。

 

「イズミ君のそういうところ、わたしは好きだな」

 

「あ……?」

 

 ちょっと待てや。

 沈静化したと思ったらそう来るのか。もしやさっきのアレで悟られていたとでもいうのか。そんな馬鹿な。

 顔を上げて口があんぐり開いた状態で脳内で慌てふためく思考を纏めようと必死に右往左往していると、アヤも何故かあたふたし始めた

 

「ほ、ほら! リアルのガンプラ仲間そんなにわたしいないから!」

 

「そ、そうなのか」

 

「どっちかというとそっちはGBNの方に寄ってるって言うか……」

 

 カッパガンダムなんて知っている現役女子高生など数えるほどしかいないだろうから割としょうがない所はある。ガンプラ女子と囃し立てられている時代になってもその辺は解決していないままだ。

 というか野郎であるカナタも大概だが。

 

「そうか、ぼっちなのか……可哀想に……」

「ち、違うって! そーれーにー、イズミ君だって友達と一緒にいる姿全然見ないけどなー?」

 

「…………」

「…………」

 

 お互い惨めになってきた。

 実際問題お互いが言っているほどぼっちではないにせよ、重度のオタク気質が災いしてメインの活動がGBNに寄ってしまっているのは事実だった。

 

「や、やめるか。これ以上は虚しい」

「引き分けってことでやめにしましょう……」

 

 虚しい押し問答を中断し再び黙々と作業に戻る。

 多くは望まない。けれどもこんな他愛のない日々がずっと続けばいい。通常モードのBD-1の頭部を作っているアヤの姿を見ながらカナタはそう思った。

 

 

 ヤスリでプラスチックが削れる音はこんな静かな店にはよく響いた。リズミカルに疾る音はノイズになるどころか自分自身のスイッチを入れる指にもなる。ガンプラをただひたすら作る自分を引き出すためのスイッチだ。

 お互い簡単な塗装を終え、乾燥に入った所でアヤは切り出した。

 

「……ねぇ、イズミ君」

 

「ん?」

 

「来週縁尾町の神社周辺で祭りあるのって知ってるよね」

 

「おん」

 

「予定があったら、ごめん……もし空いてたらいっしょに行こうよ」

 

「……おう……え?」

 

 無造作に、反射でyesと答えてしまい我に返ったカナタは手に持っていた紙ヤスリをポロリと落とした。一方でアヤも同様に我に返ったカナタの反応が要領を得ずポカンとしていた。

 

「え?」

 

「「えっ」」

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 あのゼータの初陣からというもの、ゴーシュはひたすら書き殴ったノートを片手にGBNのフィールド中をフライトした。

 航行距離を測るのも馬鹿らしくなってきた所で、バレルロールや飛び回りながら変形、そのまま攻撃行動に入るなど耐久実験を始める。とはいえ高速戦闘中に無理矢理変形しようならフレームが悲鳴を上げてドカンだ。

 まだおれはゼータを使いこなしてもいなければ完成もさせていない。

 

 集中力がいい加減切れ始めた所で一度地上に降りようとした矢先、木陰に黒い4足歩行のモビルスーツが隠れているのが見えた。伏兵か――

 時々こうしてただ戦う為だけに不意を突いて襲い掛かる不届きもののようなダイバーがいる。

 

 まさかこんな寂れたエリアにもいるとは。

 どうせその類に違いないと別のルートに進路を変えようとした矢先、黒いモビルスーツの上に人が乗っていることに気付いた。それも身に覚えのあるもので――

 

 

 

「ステアか」

 

「誰!?」

 

「俺だ」

 

 ウェイブライダーがMA形態のガイア付近に着陸するや否や、警戒しにかかるものの白いウェイブライダーであることに気付くとすぐさまそれを解いた。そしてきょとんとした顔で機体から降りるゴーシュを見た。

 

「あれ、なんでここにいるの分かったの……」

 

「え?」

 

「えっ」

 

 かみ合わない会話にゴーシュは首を傾げ、今置かれている状況が自分の思ったものと違うことに気付いたかステアもまた首を傾げた。

 

「俺は適当に空を飛んでいただけだ、それをたまたま――ん? 失礼、電話だ」

 

 要領を得ない状況に混乱しているにもかかわらず空気を読まない着信音に心底ゴーシュはうんざりしながらPDAを起動すると通知にリクからのものであることを示す写真が表示された。

 

「俺だ」

 

『ゴーシュさん、こんにちは。今日ステアさんとか見ませんでした?』 

 

「ステアがどうかしたのか」

 

『アークエンジェルスの皆さんがステアがいないって……ログインしているのは確かだけど位置情報を完全にシャットアウトしていて居場所がわからないって』

 

 このまま俺の近くにいると言えばすぐに解決だろう。ゴーシュは位置情報をonにしているのでフレンドであるリクには筒抜けだ。ステアの表情がみるみる強張って行くのを見てゴーシュは溜息を吐いた。

 

「……いや、俺は見ていないな」

 

『そうですか……』

 

「見つけたら連絡する。ではまた」

 

『はい、それじゃ』

 

 それで通話を切ってしまうとステアはゴーシュの行動に納得がいかなかったようであった。当然だ、嘘をついてでも彼女の居場所を話さなかったのだから。

 本来ならば居場所を伝えるのが筋というものだ。それを今ゴーシュは捻じ曲げている。

 

「別に助けて欲しいとか、連れ戻して欲しいとか、遭難したとか、そういうのじゃないんだろ?」

 

「……うん」

 

 今ステアが置かれている状況に何処か見覚えがある。ちょっと前の自分自身だ。

 彼女もまた、同じように探している――

 

 

 

 STAGE24 ここじゃない処かへ

 

 

 

「ごめんなさい……」

 

「これからどうしたいんだ。皆から離れて」

 

「わからない」

 

 何もかもがわからなくなって家出をした、というのが正確なのだろう。首を必死に横へ振る彼女が弱弱しくゴーシュの瞳に映る。

 ふきすさぶ風と小さくなったステアがこの寂れたエリアの寂寥感をひどくさせる。

 

「結局あたしにはここしかないんだって……思ったけど、もうあそこには――アークエンジェルスにはあたしの居場所はない。べアッガイランドもあんなにして……」

 

「……それは――」

 

 そう思っているのはお前だけなんじゃないのかという言葉が喉から出かける。そうじゃなきゃビルドダイバーズに頼んでまで人捜しなんてするわけがないのだ。

 けれども、自分の喋りでは逆に彼女を傷付けてしまう気がして口を噤んだ。

 

ここ(アークエンジェルス)じゃない何処かってどこにあるんだろうね。あたしみたいな下手っぴがどこに行ったっていっしょなのに」

 

 自嘲するような声にゴーシュは黙って聞いていた。否定も肯定もしない。

 否定したって彼女が救われるかと言われればNOだ。何度も否定され続けてきたのはアークエンジェルスの仲間たちが証明している。肯定など余程の詐欺師じゃなきゃ論外だ。

 

「俺もな、ここじゃない何処かを探してこのGBNに来たのさ」

 

「……見つかった?」

 

 ステアの問いにゴーシュは困り気味に返した。

 

「どうだろうな……」

 

 事実としてそこは本当にここじゃない何処かなのかどうかは未だに測り兼ねているところがある。けれども、ここじゃない何処かは一度くらい探してみる価値はきっとあるだろう。だから――

 

「探してみるか――」

 

「え?」

 

「ここじゃない何処かって奴を」

 

 一度探してみることにしよう、彼女にとっての行先を。

 そして、おれ(ゴーシュ)自身に決着をつけるために。

 




 運営、事実上の白旗宣言
 若干のラブコメ
 そしてステア、家出する

 の3本でお送りいたしました。


 次回STAGE25『彷徨


 はてさて今回改めて主役機の解説に入りましょう。


・ガンダムアストレイ・オルタナティブ(ベーシックフォーム)
 型式番号:MBF-P02ALT
 身長:17.7m
 装甲材質:発泡金属
 概要:イズミ・カナタが制作したガンプラ。装甲のカラーリングは黒と白、そしてフレームは赤色。ベースは型式の通りレッドフレームであり、それを無数のジャンク品及びパーツを使って製作している。そのため、オリジナル以上の機動力と跳躍力を獲得している。
 形状こそ大きな差異は無いが追加装甲の装着を容易にするようハードポイントが幾つか設けられている。
 本項目で紹介するのは何も装備していない【ベーシック】だ。

 装甲強度はオリジナルに毛が生えた程度なので掠り傷すら致命傷になる危険性を孕んでいる。但し機動力は折り紙付きであり、高機動かつ旋回性能も高く使い方によっては強力な形態になる。
 なおドラグーンシステムの応用でこの形態からジャケットを呼び出して装備も出来る。

 武装
1《イーゲルシュテルン》
:言わずと知れた頭部バルカン。けん制としても使うことが出来る貴重な飛び道具。
2《ソードメイス》
:メインウェポン。
 斬るというより殴る用途の剣であり、強度もある為シールド代わりとしても機能する。相手の装甲が強靭でもパイロットそのものにも微量ながらダメージが入るため、連続で当てれば気絶(スタン)させる事が出来る。
3《千子村正》
:日本刀型近接ブレード。早い話がガーベラストレート。
 切れ味は抜群で、ビームだろうがミサイルだろうがガンダリウムだろうがちゃんと命中すれば切り裂けるポテンシャルを持つ。但し扱いは難しく、切り裂くにはコツが要る。
4《ワイヤーランチャー》
:掌に仕込まれたワイヤーを射出する機能。遠方の相手を捕縛しこちらの距離に引き寄せることが出来る。更には相手を拘束し必殺仕事人紛いのことも可能。
5《光電球》
:掌の送電用プラグから放出されるエネルギーを掌に帯電、球体状に変質する現象。本来の用途として想定されていないのでアームに相当な負荷がかかる。
 ただしこれを命中させられれば敵機に重度のデバフを発生させられる。
6《紅龍ノ頭》
:早い話がリミッター解除。パイロットに尋常ではない負荷(ダメージ)を与える代わりにアストレイのカタログスペックを大幅に上回る性能を付与する。

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