不思議と怖くはなかった。
あのグシオンと対峙した時、以前自分に向いていないと吐き捨てたヤツと同一人物なのは機体のカラーリングから何となく分かっていた。その不安を誰かに言おうと思ったのだけれど、このいざ勝負と言わんばかりの空気感で水を差すようなことは言えず、ただ自分の中に押し込めた。
またアイツは何か言って来るに違いない、と。
けれども何か言いたくてカナリとゴーシュのもとへと行くと、気付いたゴーシュが「ステアか」と軽く会釈した。
「地上担当とは大役を貰ったな」
その言葉に厭味はない。ただ事実を述べるように淡々としていた。
「……大役、なのかな」
余りものなんじゃないのか、と不安になる。
事実狙撃も空を飛ぶことも叶わない。まだ自分のガイアは弱っちいままだ。
「大役だ。フォワードはセンセンのツウヤクなんだ」
「センセンの──ツウヤク?」
独特な言い回しにステアは要領を得ずに疑問符を浮かべる。
次第に具体的な形となって浮かぶ。あぁ、この人は戦線の通訳と言ってるんだと理解した時ゴーシュは次の言葉を紡いでいた。
「分かりやすく言えば前線で巧く押していれば、全体の士気もあがるというものだ。このまま押し込めば勝てる、と。押されていれば何とかしないと、とバックアップは考えることだってできる……はずだ」
最後の自信のないオチで自然と笑みがこぼれる。
彼なりに無から解釈して励ましてくれているのだろう。嘘がヘタクソなお陰で最後が台無しになっているのはゴーシュクォリティか。
「それにその機体は地上で真価を発揮するだろう。俺は恥ずかしながら宇宙世紀しか見ていないが空に行くのも狙撃するのも変に見える。……君が一番よく知ってるのは重々承知なんだが。もし違ってたらすまない」
そうだ。伊達にガンダムSEED DESTINYの登場人物であるステラ・ルーシェからダイバーネームを取っちゃいない。そしてガイアガンダムの特性だってゴーシュの言う通り知っているし間違っていないことだってわかっている。
「自分が作ったガンプラを信じること、だ」
「ゴーシュは信じてるんだ」
「信じてはいる。ゼータは俺や色んな奴がいてようやく完成したものだ。信じなかったら嘘になってしまう。俺がガンダムのガの字も知らなかった頃最初に触れた奴がZガンダムなんだ、あの時あいつを選んだ直感を──嘘にしたくない」
何の臆面もなく言ってのける辺り自分の機体に自信があるのだろう。だがそれは過信にあらず。その真っ直ぐさは誰から貰ったのだろう? どこで手に入れたのだろう? もしかして最初から持っていたのだろうか。
羨ましかった。
少し前の自分だったらあたしは貴方みたいに強くないんだ、と跳ね除けていただろう。
でもあの時の直感。ガイアガンダムを初めて見たときの直感をふと思い出す。アニメでコロニー上を走るシーンが大好きだったんだ。
胸に手を当てる。
うん、大丈夫。今は落ち着いてる。
「おーっと、あたしも忘れないでよ、ステア」
カナリが自分の存在を示すようにゴーシュの後ろで手をヒラヒラさせる。
そうだ。同じ好きなものを見つけてそれで皆と集まってアークエンジェルスなんて作って。自分の「好き」を信じなくてどうするんだ。ゴーシュがゼータを見て一目惚れした「好き」を信じているように、自分も同じだ。
カナリたちと「好き」を共有したことを嘘になんかしてはいけない。それが、あのとき。アークエンジェルスの皆で話して得た結論なんだ。
いつのまにかゴーシュはその場から姿を消していた。どうやら機体のセッティングにでも入ったらしい。
いや、こっちのことを気にしてくれたのか。
「なんかあったら今度こそ絶対ぜーったいに駆けつけるから。ムラサメのスピード舐めないでよ」
ちょっとふざけて見せているけれどカナリの言葉が心強く思えた。
アークエンジェルスの皆ともう一度やり直す。そう決めたんだ。
「ん……うん! でも」
守られてるだけなのはもうごめんだ。
カナリにだって、自分や皆がいるんだ。だから、
「カナリも、一人じゃないよ」
絞り出すように訴える。突然言ったものだからカナリは鳩が豆鉄砲食らったような顔を一瞬見せる。
伝わっただろうか。言うことだけに必死であまり自信がなかったけれども、照れ臭そうに彼女は口を開いた。
「言ってくれるじゃん。……あんがと」
ちょっと照れ隠しかぶっきらぼうに言ってのけるカナリにステアを笑みで返す。
それが嬉しくて仕方なかった。
◆◆◆◆◆◆
怖くはなかった。
コーイチとモモが援護してくれたから。そして、彼らも怖くないように援護を返す。
3対1による状況においてコーイチが提案した陣形を崩さない戦術は効果てきめんであった。なんせ味方機の窮地に即気付くことが出来るのだから。
一番怖いと思っていたグシオンも不思議と圧倒出来ていた。コーイチとガルバルディリベイクが相当強かったのもあるだろうけれど、それ以上に振るわれる重い一撃に何の臆面もなく回避できていた。
「ちょこまかと犬っころが! ガンダムフレームにビーム兵器なんて頭湧いてんのかお前ッ!」
毒を吐き散らす彼の防衛本能じみた攻撃はよく見ればかわすことも容易い。地面を派手に叩き岩盤が吹っ飛ぶが、ガイアの機動性は伊達じゃない。宙を舞う瓦礫を足場に飛び移り、グシオンに両翼のビームブレイドをすれ違いざまに叩き込む。
──ダメだ!
相手はビームコーティングをしている。もっと深くダメージを与えないと決定打にはならない。
まだナノラミネートアーマーまで再現されていないとはいえ、駄目か。機体相性の悪さに諦めの影がさす。しかし──
「ステア君! 装甲をよく見るんだ!」
コーイチの声でステアは目を見開いた。
グシオンの装甲の一部がコーイチの放つ攻撃で劣化している。恐らく対ビームコーティングが衝撃で剥げているのだろう。
ガイアを即180度に反転させ再度攻撃を仕掛ける。勿論グシオンとてただのカカシではない、振り向きざまにハンマーを振るい、一撃を放つ。
駄目だ、行動はグシオンの方が速い。このままハンマーを叩き込まれるのは明白だ。そう確信したステアは咄嗟に目を瞑る。が。
「させるもんかぁ!」
上空から急降下しながらカナリのムラサメがビームライフルを落雷のように降らせてきた。
別方向からは腹部からビームを放つモモカプルが。連続で叩き込まれたビームは相手のビーム耐性を劣化させられるのは言わずもがな。
「お腹のビィィィィィム!!!」
「ムラサメに
喚き散らす彼を前に誰も助けに来なかった。近くにいたはずのV2アサルトも、アカツキも。
その様相に思い込んでいた己の姿を重ね、少し同情した。
「いっけえええええええええっ!」
傷口に塩という言葉があるように装甲が破損した部位を攻撃すれば酷く壊れるのはステアも知っている。
綺麗にビームの刃がビームコーティングの剥げた部分に突き刺さり、そのまま裂けるチーズの如くその重厚な装甲を斬り裂いた。
「誰かちゃんと俺を援ごッ」
声は最後まで聞こえなかった。
機体が木偶の木のように無残に倒れ、爆発音を放ち呪い節は空に消えた。
「勝った……」
ここで1機倒したところで戦局が大きく傾く訳ではないのだがステアはこの瞬間喜ばずにはいられなかった。やれたんだ、自分たちは。
グシオンを撃墜し、自分がキメたことに対しての達成感は計り知れない。そうだった、GBNを初めたてのころは些細なことも喜べたんだよな、と。
今は感慨にふけっている暇はない。次だ、とステアはモニターに映る数機に視界を映す。
残りはV2アサルトとアカツキだ。後者はどうも地上戦用にカスタマイズされているようだ。2機は動きを止め、ぎし、ぎしとモビルスーツにしても不穏当な音を出していた。
「えっ、何」
本能が叫ぶ。近づいてはいけない、と。
直感に迷いがあったのだろうそれはまるでノイズがかった叫び声であった。ノイズで警笛が聞き取れず、ガイアを走らせ背部に2門装備されたビーム砲、MA-81Rビーム突撃砲の引き金を引く。
回避運動らしきものはない。確実に直撃コースだ。V2アサルトのコックピット目掛けて飛んでいくそれを操縦桿を握り締めて見守る。……が。
「いかん! そいつには手を出すな!」
ゴーシュの叫びが一足遅くこだまする。しかし遅過ぎた、何もかもが。
V2アサルトのコックピットに触れた弾丸はそっくりそのままの光を放ちながら真逆の方向へと跳ね返ったのだ。分かりやすく言えば、ステアのガイアの方向に。
それがアカツキに搭載されているはずのヤタノカガミであることに気付くのにはさしたる時間は掛からなかった。
なんでV2がそんなものを持っているんだ。
あのグシオンのようにビームコーティングは全機体にセット出来るのに対し、ヤタノカガミはある特定の条件を達成しなければ発動出来ない。あのV2は見たところそんなものを持っているそぶりはこれまで一つもなかったというのに。
吸い込まれるように飛来するビームを前にステアが悲鳴を上げるより先に閃光が視界を支配した。
◆◆◆◆◆
Gサイファー。こいつがお前の新しいモビルスーツだ。こいつでソードマンを殺れ──必ずな
無銘の男の言葉が脳裏でリフレインする。
アヤメは極力ビルドダイバーズの面々と避け、ソードマンと思しきエクシアと対峙していた。
過去にウイング、フリーダム、バルバトスといった具合に偽装していたことを思えばあのエクシアもコピーだ。なんせ頑なにライトアームしか使っていないのだ。
となればレフトアームに装備されたシールドはブラフ。
左半身を狙ってしまえばこっちのものだ。
「左半身が動かないモビルスーツなどッッ!」
更にGサイファーの真価は高いジャミング性能と、機動力。更にはダミーバルーンに相当するものも持っている。
SDモードは持ち合わせていないが、本質は零丸に近い。
性能だけで言えばこの機体はソードマンの弱点を的確に突いてきている。
確かにパワーはギリギリ互角だが、高い旋回性能を持ちアームの動きも精密だ。その高い追従性で搭乗者の要求に応えるこの力はあの男の製作技術の高さゆえのものだろう。
自分自身が作った零丸より高いと感じる。が、自分が作ったわけではないという違和感も同時に出てくるわけだが。
零丸の方が落ち着く。しかしビルドダイバーズを相手取る以上このモビルスーツに頼らざるを得ない。リクはともかく、コーイチという男は自分が思っている以上に勘が鋭い。
「この裏切り者が……」
自嘲を込めてアヤメは吐き捨てる。
それに──もう今更踏みとどまった所でもう遅い。これは予行練習だ。
ソードマンを始末した後ビルドダイバーズを潰すという。あの男はソードマンもビルドダイバーズも脅威と感じている。
多分、本格的に対立するのも近いだろう。
エクシア(?)の動きが鈍る。
その隙に状況を確認すると、上空でSFSに乗っていたはずのクロスボーンがリクのダブルオーダイバーエースにスーパーGNソードⅡの一閃で叩き落とされ、鉄屑と化したSFS共々墜落していた。
──想定より速い!?
ブレイクデカールの即時発動は避けるとは言っていたがこんなにもあっさりやられるのか。
いや、違う。ビルドダイバーズがこの短期間で力をつけてきていると言ったほうが正確と言えよう。
シャフリヤールに製作技術を教えられ、タイガーウルフに戦闘技術を教えられたという初心者にあるまじきアドバンテージがあったとはいえ、それをモノにしてみせたのは彼らだ。
特にリクの成長速度は圧倒的だ。
あの男が気に留めるだけはある。
「くっ!」
このままでは任務失敗だ。このままではあのガンプラが壊されてしまう。このままではここまで来た意味が全て失われてしまう。
だが、あのエクシア(?)は依然として本性を見せず、紙一重の防戦を繰り返している。
それがささくれ立つアヤメの心を逆撫でする。
だが、乗り手も疲れを見せてきたか動きが鈍る。現状こちらが有利を取っている。ここで乗り手がパワーダウンすれば押し込み圧殺出来る。
紙一重で致命傷を避けている相手だ。これで終わりだ。
それに月夜の7人も自力でブレイクブーストを発動してくれていることだろう。
まだ引き下がれない。
GNソードによる斬撃をGサイファーが弾き返す。衝撃でエクシア(?)は大きく後ろに向かってよろめく。
「これで!」
桜色に光るビームサーベルをエクシア(?)の左半身を狙って横に一閃する。
が、エクシア(?)ツインアイから禍々しく光るV2アサルトの姿が映った瞬間、アヤメの背筋に嫌な汗が流れた。
「6機ブレイクブースト発動を確認。偽装解除。イノヴェイティヴジャケット──システム全開放。コード:……」
STAGE47 セブンエッジ
搭乗者の独り言と共にエクシア(?)の蒼い装甲が剥がれ落ちるように消える。そして入れ替わりにアストレイ特有の林檎を兎のように切った形をした頭部が露わになる。
ボディは鮮やかな蒼と深い黒が基調の追加アーマーと剥き出しだったフレーム部分を覆う両腕のガントレッドに、脚部はグリーブが加わっている。
そしてライトアームにあったGNソードの偽装が消えトンファーに書き換わる。
ただし、トンファーはトンファーでも長い部分が剣となったブレードトンファーだが。
ウイング(流星)
バルバトス(野性)
フリーダム(自由)
の次はエクシア(革新)か。
AGE-1レイザーの面影もあるそれは、封印されたレフトアームを存分に動かす。そして──振り上げたGサイファーのビームサーベルが宙を舞った。
「なっ──」
すでにGサイファーのアームからビームサーベルは消え失せ、オルタナティブの両アームに携えたブレードトンファーが太陽光を鋭く反射していた。
見たところ、両アームにブレードトンファー。脚部の脛に当たる部分もブレードが付いている。
これで4本。
モデルがエクシアからダブルオーへの系譜なら残り3本の得物が何処かに仕込まれているはずだ。
……目星はついている。両肩部の大型ブレードと腰に提げた千子村正。これで7本だ。
それもコズミック・イラの技術で出来る限りのシステムで。
すでにオルタナティブの視界にはGサイファーの姿はなかった。真っ先にマスダイバーを全員狩るつもりだ。
無機質な装甲越しから発せられる殺気はアヤメを焦らせた。
「させるかっ!」
この間に月夜の7人が勝利を収めてしまえばいい。それまでにこいつを足止めしてあわよくば倒して仕舞えばいい。
この戦いは長引けばあのベアッガイランドの惨劇が繰り返されるだけ。ビルドダイバーズの撃退をクライアントに丸投げするとあの男に何を言われるかわからないが、あのソードマンを放置すれば本当に全員斬られてお終いだ。
──あいつなら、やる。
その数の差を覆しかねないだけのポテンシャルをあの化け物は持っている。
残念ながら月夜の7人にはソードマンに食い下がれるだけの技量は持っていない。それならまだリクの方がソードマンと良い勝負が出来るはずだ。
再びこの場から飛び去ろうと機体をジャンプさせようとしているのを見て、咄嗟に残ったビームサーベルを抜刀しつつビームマグナムの引き金を引いた。
しかし着弾より先にオルタナティブが跳躍していた。
──なんて跳躍力!?
常識外れの跳びようにアヤメは眼前の光景を疑った。これがモビルスーツの跳び方なのか。そんな馬鹿な。
だが空に飛べば自由に動けまい。機体が限界まで跳びそのまま地上目掛けてゆらりと落ちていく。
バーニアで動こうにも限界がある。
ビームマグナムの銃口を上空へ向ける。
射程は問題ない。
「──貫通させる」
高密度に圧縮されたビームが、紫電を撒き散らしながらオルタナティブに迫る。
勝った。アヤメがそう確信した所で──
ぎろり、と。オルタナティブが睨め付けた気がした。
追加装甲のバーニアを駆使して、方向を変えビームマグナムと向き合うように体勢を変え、ブレードトンファーの刀身を前に向けるように持ち替える。
──まさか。
アヤメの脳裏にはあまりにも現実離れした光景が浮かぶ。
あり得ない、と。
馬鹿馬鹿しい、と。
内なる自分が鼻で笑う一方、目の前で起こっている現実は回避姿勢すら取らずにブレードトンファーの切っ先を振り上げている姿だけが映る。
──マグナム弾を、斬った。
あまりにも現実離れした光景がアヤメの眼前には広がっていた。GBNのシステム上不可能ではないことは知っている。だが自ら進んでやるような奴はいない。なんせ斬ったあと自分の装甲をぶち抜かれるなんてオチもあり得るからだ。
ただのビームじゃなくてマグナム弾だ。正気の沙汰じゃない。
機体の負荷を覚悟の上で無理やりバーニアを蒸して避けたりシールドを使った方が間違いなく効率がいい。余程の酔狂な変態か馬鹿かヤケクソか、1000人に1人の戦術か。
分断されたビームは明後日の方向に飛んでいき、力尽きたように減衰し空に消えていく。野球で言う自打球めいたオチにはならなかったようだ。
移動を阻まれたオルタナティブはアヤメのGサイファーの眼前で着地して、まるで苛立たしげに構えをとる。
逃げられないと悟ったのだろう。
思い通りの盤面になりかけているというのに、この肌をつたう嫌な汗はなんだ?
平然とビームを両断して見せた化け物を前にアヤメは噛み殺すように操縦桿を握り直す。
こうして真っ当に戦うのは初めてだ。
あのバルバトスもどきの時は片手間での勝負に近かったしなにぶん連携のれの字も出来ていない1対多数の戦闘だった。
今度こそ倒す。
後ろ髪が引っ張られる感覚がした。
──何を迷っている、今更。
まるでロープで縛り付けられているような感覚だ。
上空でブレイクブーストしたサザビーとクロスボーンガンダムとぶつかり合うリクのダブルオーダイバーエース。
山中ではゴーシュのゼータとユッキーのジムⅢビームマスターがバスターとジムスナイパーⅡと不毛な撃ち合いを繰り広げ、
付近の平地ではモモのモモカプルとステアのガイアガンダム、コーイチのガルバルディリベイク、そして何故か地上にいるカナリのムラサメがV2アサルトやアカツキと衝突している。
あのグシオンはもう叩き落とされたらしい。
まぁアレだけはブレイクデカールをロストした経歴があるお陰で、渡せなかったようだが。
──ここで踏みとどまるようなら、取り戻せるものも取り戻せなくなる。
アヤメの脳裏にはかつてあった
あの男はともかく、傭兵連中はガンプラやGBNになんの思い入れもない。あれを破壊するなんてことも平気でやりかねない。
──こんな所で壊してたまるものか、壊すものか、壊させるものか。
壊させない為に目の前の友達ごっこを終わらせる。
甘ちゃんな感情は捨てろ──あたしは!
機体のレバーを押し込み、バーニアを吹かせる。
ビームマグナムを棄て、落ちていたビームサーベルを回収、そのまま2刀流でオルタナティブに斬りかかる。当然、あのオルタナティブは剣を先端に持ち変えて2刀を防いでみせる。
「くっ、ガードが硬い!」
機体のパワーが徐々に上がっているとでも言うのか。拮抗していた出力が打って変わって、オルタナティブを押し始めている。
足元を見ると徐々に後ろにずり下がっている。
今はそんなことを気にしている暇はない。
今度こそ──こいつを!
「沈めぇ──ッ」
吠えた時には、オルタナティブが跪いていた。
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今回のイノヴェイティヴジャケットのモチーフはエクシア+ダブルオー+AGE-1レイザー。あとアルブレードだとかなんとか