時系列はお察しください
台詞が一部下品。R17.9レベルのアレな言動が混ざってます。その癖読まなくても本編になんの影響もないので苦手な方は飛ばして読むことをオススメします。
もしかしたらこの通りに本編進むかもしれないし、こっちの方がずっと幸せだったと嘆く羽目になるかもしれない。作者はあまり色々よくないひとなのでこれを書いたということは……ねぇ?
なので初投稿です。
「クリスマス、それは子供たちがガンプラのプレゼントを心待ちにして夜も眠るに眠れない日。それは、ジョナサン・グレーンがママンの帰りとクリスマスプレゼントやクリスマスカードを待ち続ける日。そして盛った男女どもが睦言を交わし、深夜にあんなことやらこんなことをし腐る死の二日間を意味する。……だがワイらには関係ない。ここで我々この憎悪と怒りの集積たる煮物を食しこの呪わしき2日間を」
「そんなもったいぶるな、これただの鍋だろお前。つか人ん家上がり込んでなんて縁起の悪りィ」
男、ヒグレの憎悪の籠った前置きにカナタの疲れ切ったような突っ込みが放たれる。
20回以上も経験したクリスマスには何の希望も持てず、こんな風に集まって管を巻かざるを得ない者たちがいた。
GPD時代の知人であるヒグレが片っ端からモテない奴らをかき集めてこの有様である。
事実、この場にはガワが多少よくても草食系を地で行くコウイチ、女よりガンプラなシバ、リアルの女子に面白くなさそうと訳の分からない嫌われ方をしているアサミ。日々の言動から全てを台無しにしているヒグレ、色々上手くいかないナグモというあまりにもあんまりな顔ぶれだ。
シバに至っては強制参加させられたのだろうかなり不機嫌そうに貧乏ゆすりをしている。
それをコウイチが宥め、ヒグレが憎悪を撒き散らし、アザミは無言で持ってきた自前のビールを自分の喉に流し込み、ナグモに至っては
「なぁ知ってるか……12月24日の21時から翌25日の3時までの6時間は1年間で最も◯◯◯◯をする人の多い「性の6時間」と呼ばれているんだぜ。ハハッ、あと数時間で奴らおっ始めるぜ。爆破出来ねぇかな? ねぇあいつら爆破出来ねぇかな? なんかムカつくわ、あいつら死なねえかな? それで勢いあまって無計画に子供ぽこじゃか作りやがってお前らそれでも文明人かこのヤロー。バーカバーカアーホアーホ」
最後らへんがもう小学生レベルの罵倒だ。ヤケクソ声がお茶の間に木霊する。
カナタは頃合いで煮えてきた肉を引き上げ、ポン酢でつけて口に放り込み先達の発狂を見守りながら時計を見た。
本来カナタはこの場にいるべきではない。表向きこのようなイベントに参加させられているが、今この瞬間正直に話せば血祭り待ったなし。
加えて、逃げる理由も作れなかったのもある。
こうしてGPD時代の連中が集まれるという点においては本当に貴重だ。例えば予定があわないとかガンプラ絡みはもう懲り懲りだとか色々理由はある。
それでも各々が時間経過でそれなりに踏ん切りが付いたのが大きかった。
あとあのプレハブ小屋連中がモテない連中ばかりで暇を持て余しているのが幸いしたのもある。
故にカナタもシバも、コウイチも無碍には出来なかった。まぁ一番素直じゃないシバの場合はこうして貧乏ゆすりしているのだが。
で、肝心のアヤは現在GBNだ。
コウイチ除くビルドダイバーズのメンバーで何度目かのクリスマスを過ごすつもりらしい。
邪魔はできなかった。
あとを追うつもりにもなれなかった。
脳裏で過去の光景がリフレインする。
中破したアストレイオルタナティブとダブルオースカイが対峙している光景──
最早起き上がることすら困難な状態で、頭部は左半分の外装が吹っ飛び、剥き出しのカメラが虚しく光る。肩部のアーマーも吹っ飛び、剥き出しのフレームも深い傷が入っている。次を貰えば戦闘不能になるのは目に見えていた。
そんな状態でオルタナティブは折れた
対してダブルオースカイも同じだった。
レフトアームは吹っ飛び、右側のGNドライヴも煙をあげている。四肢の外骨格は所々吹き飛びフレームが剥き出しになっている。恐らく次はない。
お互いもう長続きできるような状態ではなかった。バスターソードの刀身にビーム刃を発振させる。
互いの得物を構え、そして──
もういい。過去のことだ。
「イブってんなら、エンドレスワルツか0080観ろってんだ、バーニィの最期でヒィヒィ泣けっちゅうねん」
と、ヒグレ。
実際問題お茶の間なのもあってテレビは置かれており、懇切丁寧にBlu-rayプレーヤーまでカナタが自室から持ち込んで来ているのでいつでも再生できる状態だ。
ヒグレは箱を開けディスクをプレーヤーに突っ込みながら、口を開いた。
「歳はとるもんちゃうな。気付いたらカナタ除いて成人や。ガンプラシミュレーターの世代交代に、秋頃の原因不明の記録的な通信障害。知らん間に色々ありおったわ」
「つってもコイツも来年ハタチだろ。コイツもそう差はねェよ」
気怠げにシバはカナタを指差しながら煮えたネギ、えのき、もやし、キャベツ。ありとあらゆる野菜を箸で纏めポン酢に漬けてかっ喰らう。
コウイチによそってもらった肉を空のコウイチの皿に持っていく。
「おら、コウイチお前鍋奉行やってないでお前も食え」
「あぁいいって」
ヒグレの言う通信障害の裏で何があったのか。
それは肉を遠慮しているコウイチも肉を押し付けようとするシバも知っている。けれども語ることはなかった。
なんせ知られれば大騒ぎになること待ったなしでもあるし、そもそも信じてもらえるような話でもないのだから。
アヤやコウイチのいるビルドダイバーズとは違う、もうひとつのビルドダイバーズが他の惑星のリアルで戦っているなんて聞くだけならふざけているようにしか聞こえない話なんて。
「それでも毎年毎年飽きもせず睦言交わすクソ共はどうにかならへんかんかね。そろそろこの時間になれば夕飯済ませてホテルにでも行ってるんやろなクソッタレ」
通信障害のことはさておいて、凝りもせず憎悪を垂れ流しているヒグレの方に視線を移し、いの一番にコウイチは突っ込んだ。
「なんで憎悪をまき散らしているヤツ相手にやたらと思いをはせているんだ……」
それで余計にストレスを貯めるくらいなら黙って飯食って酒飲んでふて寝した方がまだいいだろう、というのがコウイチの談だが、どうも彼は違うらしい。おもむろにコウイチの方を向いて──
「羨ましいからに決まっとんやろこのアホンダラァ!」
涙目で吠えた。
「考えてもみぃ、俺は確かに共通の趣味もあってサークルの知り合いと付き合ったりはしたことはあるんや、塗料の臭いがきついだの部屋が積みでクソ汚いやら、話がワケワカランやらでひと月も持たねえ。その癖他の連中は彼女のクリスマスにイブって例の6時間にあんなことやこんなことやらずっこんばっこんやりくさりやがってアホー!」
──塗料の臭いはなんとかしろよ……
ヒグレ以外の面々全員喉から出そうになる声を抑える。積みプラは仕方がない。だって人間だもの。大体察したのかシバは口直しのご飯を掻き込んでから言葉を返す。
「どうせアウターガンダムとかダブルフェイクの話でもしたんだろ、今時の大学生が知ってる訳ねえだろ話す相手を選びやがれ」
「シバてめどっちの味方や!?」
「ヘッ、お前をデンドロでひき殺すくらいには味方だぜ」
「それもう敵じゃねぇかぁ! お前そんなキャラだった!? 絶対違うやろ何があった!?」
シバがヘッ、と完全にグレ切った笑みを浮かべて味方です発言をかます。昔はそんな捻くれたことはやらなかったような気がする。年月が彼を変えたのか……まぁ今日に至るまでの一連の事情はヒグレは知らない方がいいかもしれない。
同じく知らないけれどもなんとなく察していたナグモも「イメチェンだろ。ダウナー系男子が今流行りなんだろうよ」と完全に投げやりな物言いで返していた。
それから0080そっちのけでヒートアップしてあーだこーだと好みの女子のタイプの晒し合いなどということを始めた矢先のこと。
「あのーお邪魔しまーす……カナタ、アレ?」
「「「え」」」
思わぬ来訪者。この野郎しかいないような空間に似つかわしくないような女子の声がしたと、ヒグレ、ナグモ、アサミが勢いで首がねじ切れんばかりの勢いで出入口に振り向く。そしてカナタは、まるで錆の入ったブリキ人形のようにギギギと声の主を見た。
サイドテールにタートルネックにロングスカート。その上に紺色のロングコートという出で立ちでそれが誰かは一瞬でコウイチは気付いた。
「……アヤ君?」
どうも2年前にオフ会をしたというのだから面識はあって当然だ。というかGPDでチームも組みもしたのだから。そのため3名のナイフにも似た眼光が一瞬だけコウイチに向くが──途中で気付く。今あの女はカナタを呼んだのだ。真の敵はコウイチなんかではない。この
「やべっ」
ほぼ反射で出たカナタの短い悲鳴じみた声とともに3名からの殺意を同時に受け、耐えられず気付かないふりをしつつアヤに「よう」と会釈した。
「なんだ。連絡してくれよ……てっきり
「電話はしたよ、ホラ」
「……げっ」
アヤがおもむろに取り出したスマホにはメッセージアプリで「今大丈夫?」と言った旨の文言が打ち込まれていた。
カナタは慌てて雑に床で転がっている自分のスマホを見ると3件ほどの不在着信と1通のメッセージが通知に出ていた。当然いずれもアヤのものだ。当然さっき見た同じ文言も出ていた。
──……あっっっっっっちゃぁ……
額に掌を当てる。見事なまでにやらかした。
挙句──
「guilty」
今まで喋っていなかったアサミがネイティブな発音でカナタに判決を下していた。
逃げ──られない。逃げようとしても即捕まるだけだ。ヒグレの手がカナタの肩に置かれ、振り払おうにもその手が重くのしかかり身動きが取れない有様だ。振り向けもしないが、これだけは言える。
──や、殺られるっ
「おうおうなんやカナタよォ? あの娘はなんだねェ?」
「……な、なんだっていいじゃないスか……ははは」
誤魔化しながら脱出方法を探るものの、アヤは苦笑いしながらなにもしない。そこまで電話に出なかったことを根に持っているのか。
──……というか面白がってないですかこの人ォ!?
あんまりにもあんまりな魔女裁判に掛けられるカナタ。なお、シバとコウイチは見て見ぬふりを決め込んだので救いはなし。間もなくして死刑が執行された。
「
「「異議なし」」
「「…………」」
アサミとナグモ、賛成。
シバは半笑い。コウイチは申し訳なさそうに棄権。最早誰も止められはしない。
「あのう……執行猶予は?」
震え声で救いを求めるカナタだが、残念ながらこの世の中は優しくなかった。精一杯首を回して辛うじて見えたヒグレは殺意に満ち溢れた笑顔であった。
「あぁ? ねぇよそんなの」
◆◆◆◆◆◆◆
「ごめんね、そっちも色々集まってたところ」
12月の風を浴びながら、アヤが謝罪する。
あれからカナタは3対1でボコボコにされた挙句、何故か自宅なのにお茶の間から追い出され(一応彼らなりの気配りなのだろう。過激だけれども)縁尾町の夜道をアヤと歩いていた。
あのまま直行で自室に行くのも別に問題は──ある気がした。ぶっちゃけ何か余計に気を配らせるのもよくないので一旦外へ。
とはいえ流石に夜遅いので何処かに行くわけにもいかないし、行けるとしても近場の公園かコンビニくらいだ。
一応門限という縛りが消えたとはいえ、大学生とビルダー特有の懐事情も相まってあまり無茶は出来ない。
「いや、追い出されたしあのまま嘘吐き続けるよりはマシなんでいいや……」
あのまま針の筵みたいな状態で呪詛をまき散らしながら鍋を囲んで0080を見ているのもアレだ。
適当に散歩をして公園まで歩を進める。流石にこの時期の若干過疎った所で若者がいるわけもなく、がらんどうの抜け殻だった。
「なんかこうして夜公園に行くのもなんか新鮮だよね」
「高校生だったらキレられてただろうしな。これで立派な非行少年だ」
「もーそんな歳じゃないでしょ」
ちょっとした背徳感も覚えながらも歳を取った実感が圧し掛かる、今思えば小学生の頃は中学生ですら遠いものに見えていたのに、今となってはその見上げていたはずの中学生が子供に見えてしまうほどまで行ってしまった。
アヤは手持ち無沙汰なカナタの手を取るや否や「ひゃっ」と短いを悲鳴を上げた。
「つめたっ」
「おーい人の手勝手に触って言うかァ?」
そそくさと繋いだ手をカナタの上着のポケットに突っ込む。
よくもここまで無遠慮になれたものだと、少しカナタは遠い目をした。嫌だというわけじゃない。それどころか安心しているのだ。それまで色々危うい出来事もやたらとあったのだ。
正直振り返りたくもないようなもの。
「えへへ……こっちはあったかいんだぁ」
「悪うござんした。冷えやすくて」
2人の手を同じポケットに突っ込めば当然距離も詰められる訳で、身を寄せ合いながら近くのベンチに腰掛けた。
ベンチも大概冷え切っており、ズボンを貫通して冷気が全身を貫く。
「にしても、まだクリスマスイベントとかもやってたろ。切り上げてよかったのか」
真面目な話、その辺の予定はとっくに埋まってしまっているだろうと思っていた。それほどに今回の登場は予想外が過ぎた。
「それがその……言い辛いんだけど」
「何」
「皆に追い出されちゃった。彼氏さんが待ってるでしょーって」
「……マジ?」
「マジ」
「……気ィ使いやがるなぁ」
カナタは少し困ったように笑う。
その結果こうして来てくれたのはありがたいのだけれども。するとアヤは肩に下げた鞄から何か包装紙で包んだものを取り出した。
「あ、そうそう。これ皆からクリスマスプレゼント」
「皆って、アイツらからか?」
「そ。開けてみて」
あまり散らかすわけにもいかないと思って恐る恐る開いてみるとそこにはスパナを咥えたオルタナティブのカラーリングを模した赤毛混じりの黒いオオカミらしきものがでてきた。引っ張り出すと紐も一緒に出て来て、それがキーホルダーだという事に間もなくして気が付いた。
「カナタって一人でフォースやってるよね。そのエンブレムをモチーフに作ったんだって」
「……よく気付いたなアイツら」
しかも元々情報にあるのは狼の頭と咥えたスパナだけ。ここまで立体的な姿を見たのはエンブレムを作ったカナタ自身も初めてだった。
「リクがね、また──ガンプラバトルをやりましょうって」
「…………そうか」
それ以上何も言えなかった。
次に何を言ったって勝てないじゃないか。そこまで言われれば。長らく途切れているのに。
目頭が熱くなるのを必死にばれないように誤魔化していると、アヤが空いた手をカナタの頭に伸ばした。
「え、なんだ。どうした」
「なんか可愛いなぁって」
「それ女の方から言っちゃう?」
「だってホントだし。なんかこう構いたくなるというか」
「お前なぁ……」
好きでいて貰えることに何の文句も無いのだけれども、可愛い呼ばわりされるのは何というか複雑である。カッコいいならまだしも。まぁかっこいいなどと一度も言われた覚えなどないのだけれども。
それに──
「はい、おいで」
なんてポケットから手を引き抜いて、膝の上に頭を乗せるように促して来る始末。それに逆らおうとしない自分も大概だな、なんて自嘲しつつ促されるままに横たわりアヤの膝に頭を乗せた。で、その上でカナタの上着のポケットに再び手を突っ込んだ。
「なんで?」
「だってカナタの方が体温ありそうだし」
「いやでもさっき、人の手触って冷たいって」
「言ってません」
「俺この耳で」
「言 っ て ま せ ん」
「あっはい」
何故か気圧された挙句黙らされた。これ以上何か言ったら頭にクナイを叩き込まれそうな気がしたのでこれ以上弄らないようにすることとする。
可愛いのはどっちやら。頭を腹部に向けさせそのままお腹に顔を押し付けてくる。
「……何」
「顔、寒そうだったから」
などとのたまうアヤに「そりゃどうも」と返すと、空いた手を上を向いていたカナタの耳に軽く手を乗せた。
少し冷たかったけれども、少し安心感めいたものがあった。
それから実際にかかった時間は大したものではないだろうが体感だけなら10分以上はこうしていた。ずっと無言が続いたまま。
無言を破ったのはやはりアヤだった。
「もう、今年も終わっちゃうね」
そうだ。今年も残すところ1週間程度しか残されていないのだ。
この勢いで行けば大学生も2回生、お酒も大手を振って飲めるようになる頃だ。今ならわかる、多分あっという間に大学生活は終わる。大人に近づくほど時間経過の速さが上がっていっている。
同じことを考えていたのか、アヤが次の言葉を紡ぐ。
「……いつまでこうしていられるんだろうね」
「ん? そりゃ終電行く前までだろ」
慌ててスマホを取り出そうとするカナタを必死にアヤは押さえつけカナタが「むぐぐ」と呻いている間に言い返す。
「そういう事じゃなくて! 高校卒業して、大学もいつか卒業して就職して。こうやってぎゅーってしてられるのはいつまでなんだろうなぁって」
気の遠くなるような話だった。
実際問題永遠に繰り返されるものではないのには間違いない。考えたくもないがもしかしたら別々の道を行ってそれっきりかもしれないのだ。
逆にジジイババアになっても続けているのも中々おかしな話だし想像しただけでも中々痛いけれども、離れるよりはまだいいか。
……どっちにしろ今この瞬間を信じるしかないのには違いない。
「今この瞬間を信じるしかないだろ。2年も──それもあんな事件があっても今までやってこれたんだ。これからも続くって、信じなかったら誰が信じるんだ」
「……ん」
2年前本当に終わりだと思っていた。けれども今この瞬間、自分たちはここにいる。そこに至れた自分たちは信じてもバチは当たらないはずだ。
何を思ったのか、アヤはカナタの耳の上に置いた手を──どけた。そして耳に唇を近付けて囁くように──
「ねぇ……じゃぁ。
ぞわり──と耳朶を直接打つような囁き声だった。どんな意味で言っているのかは最早言うまい。
「ん……れろ」
少しお腹からカナタの頭を離し、耳の外をなぞるように舌を這わせ、徐々に内側に。そして最後には生暖かくも濡れた感触が耳の奥にまで流れ込む。
あまりにも露骨だった。これで何もないですとか言えるわけがない。
「どんなことしたっていい。だからね──一生変わらないモノを…………わたしにちょうだい?」
身を起こすと、アヤの潤んだ瞳がカナタの顔を映していた。そのまま顔を近づけるとそのまま生暖かいモノが唇から差し込まれ、歯、舌へと移りまるで別の生き物のように這う。
「ん……んぅ……ぇぉ、ぷはぁっ!」
これ以上続けると外で続けかねない勢いだったので強引に引き剥がす。そして不満がに口を3の字に尖らせるアヤをよそに引っ張るようにして家の裏口から入り、鍋を囲っている連中に悟られないように自室に足を運ぶ。そして堰を切るようにアヤは上着を畳み床に置いて小さな声で溢した。
「…………しよ?」
◆◆◆◆◆
この後どうなったかについては記さないが帰宅してから、夜が明けた時のことを一つだけ。
ちゃんとゴミ一つなくカタされたお茶の間にぽつんとA4用紙が一枚置かれていた。何事かと怪訝な顔でカナタとアヤが拾い読み上げると──
「来年も続いていたら次のクリスマスは血祭りに上げてくれる。ガンプラ洗って待っていろ。あ、それと冷蔵庫に差し入れのケーキあるから全部食べていいよ」
怨念全開の文言が書き殴られていた。これはGBNかGPDかどちらかで決着でも付けようというのか。犯人はおそらくヒグレとみた。しかしシバやナユタ程でないにしろ相当な腕前を持っていたはずだ。カナタの背筋にいや~な汗が流れる。
──あかん、このままじゃ死ぬぅ!
「がーんば」
「えぇ……」
怨念を叩きつけられる光景が少し面白かったのか、後ろで少しだぼだぼの寝巻きを着たアヤが雑でかるーいエールを送るとカナタは力なく肩を落とした。
あぁ、マジで来年──血祭りかもしれない。
次回。カナタ、死す。
GPデュエル・スタンバイ!(来年)(次の年末で差をつけろ)
あ、明らかに事後っぽいですがその辺詳細は期待しないように。作者がシャイなせいで……
本作品におけるアヤさんは若干ヤンデレ気味ですが仕様です。仕様なんですってば
繰り返し言いますが、パラレルオチになる可能性も十二分にあるのでお気をつけを