俺の妹ときたら....   作:ばなナイン

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俺と可奈美と・・・・

「たのむ! ボクと一緒に来てくれ! ボクにはキミが必要だ!」

 

 

 

....いきなりの告白....俺は息を飲むしかなかった....

 

 

 

ここは俺の自宅。突如二人の客が来訪し、重要な話があると告げ、止むを得ず客間へと通した....

 

 

 

「キミには重要な使命がある....!

この国の安寧のため、国民の安全のため! 是非ボクと一緒に来てくれ!」

 

・・・・話が急に飛んでしまった....

いま俺は愛の告白を受けたんじゃ無かったか? それが何で安寧? 安全?

 

 

「....貴女という人は....真希さん....!

ちゃんと誤解の無い様に喋る事がお出来にならないの!? ほら、お兄様が....」

 

 

俺の目の前に座るこの二人....かなり自由に制服を着崩してるがエエのか?

しかもそのうちの一人....顔はどう見たってオトコ....

いやいやそこいらの男に較べてもかなりの、○塚級の顔立ち....!

もう一人は優雅で御淑やか....

良いトコの出であることは身から染み出る様ではあるが若干言葉遣いが....

ウム、古の諺、『東男に京女』を地で行くカップリングだな、こりゃ。

 

「そ、そうか?」

 

「そうですわよ真希さん。お兄様、お困りの様ですわ」

 

「??」

 

 

 

ああ、無自覚だ....この○塚、直情型だな。なにも段取りを考えずに結論だけを先に口走る....

対して隣の御嬢様、上手く手綱を取りに行くタイプか....なるほど、絶妙な組み合わせかな。

この二人、こう見えても刀使の中でも最重要ポストにあたる特別遊撃隊、という組織のNo1、No2、なのだそうだ。

とにかく凄いんだろうな。ナカミはどうか知らんが。

でもこんな凄い人たちが俺んちに来るなんて! アポ無しに....

親父は休日出勤で俺しか居ないってのに。

 

 

ちなみにこの俺、『可奈美の兄(登録商標付?)』は、この春無事に高校を卒業し、地元の企業....舞衣さんのお父さんの会社の関連企業(様は下請け)に就職と、まさに地方人として順風満帆な人生を送ろうとしている....!

自宅通いでもあり、家のローンにも悩まされる事も無い、後はケッ....ゲフっゲフっ!

とまあ、凡庸な人種としては模範的なルートを歩んでいる! のだが....

 

 

「このままではダメになりそうなんだ....だからボクと一緒に是非!!」

 

だからその顔で....って近い! アブナい! 何かにめざめちゃう! だってアンタの顔じゃ....

 

「もぅ....真希さんは口を閉ざしていて頂戴! お兄様、私シから説明申し上げますわ」

 

 

話というのは、可奈美の事だった....可奈美と、親友の十条姫依さんは共に昨年の十二月下旬から今年の四月までの間、

行方知れずだった....

鎌倉からも学校からも要領を得ない説明ばかりを受け、親父も会社を休んで学校や鎌倉へと....

とにかく気が気でなかった。俺は高三で就職活動中だったし、何もする事も出来なかった。

舞衣さんも忙しいなかウチに来ては状況を説明してくれたり励ましてくれたりと....

お袋ばかりでなく、妹まで....刀使という仕事を理解していたつもりだが、頭の中だけのことだった....

 

 

『お父さん! お兄ちゃんっ! たっだいまーっ!!』

 

 

無事に家に帰って来た時の可奈美の第一声がこれ....

思わず玄関を開けたままコイツを抱きしめて大声で泣き出してしまった....

姫依さんも無事で、二人ともまた鎌倉での勤務に復帰することとなったのだが....

 

 

「衛藤さん、美濃関に帰りたいと零していた様ですの」

 

「可奈美が....」

 

 

可奈美が家に帰って来て約一週間、家族三人で話し合ったり励ましあったりと....

親父も俺も刀使を辞めろとは言わなかった。

可奈美もそのつもりは無い様だし、元気に鎌倉へと戻って行った。

それから半年、二度ウチに帰ってきてるがそんな素ぶりはみせなかったぞ。

何があったんだ?

 

 

 

「今、衛藤さんに去られては困りますの」

 

「と、言いますと?」

 

「だからなんだ! だから兄さん! ボクと一緒に鎌倉に!」

 

「真希さん!!」

 

「!?....ハイ」

 

あらシュンと....結構効くのねこのツッコミ。漫才とはチト違うか。

 

 

「順を追って説明しますわ....」

 

今、鎌倉....刀剣類管理局は世間から厳しい目で観られている。

去年のノロ流出事故、そして首都圏での戒厳令....あのクリスマスの夜東京では何があったのか?

地方の住民には知る由もなく、報道も及び腰....これを機に政府の責任を追求する筈の野党まで口を閉ざし、首都での復興事業を優先させる事に合意しているかの様だ。ネットでは審議不明の情報が蠢き、結局何もわからないまま一年が過ぎようとしている。

そしてその批判の矛先が刀剣類管理局並びに刀使達に向かっている、と....

 

 

「先代の局長、紫様が引退されて妹の朱音様が跡を御次なされましたけど、体勢を整えるには器量不足と申しますか....

ここだけの話ですけど、紫様の様な圧倒的なカリスマ性が感じられず、若い刀使達を率いるのにも少しばかり、影響が出始めているのです」

 

確かに、我ら一般市民にも、日常の中に、『折神 紫』という人物の持つ存在感がひしひしと感じられる....ぐらいの影響力は在るとは思われる。表立って宣伝している訳でも無いのに....

やはり二十年前のあの大災厄を鎮めた当時の刀使達のリーダーというのが主な理由だろう。

その時の戦いの様子は伝説として語り継がれ、リーダー及び、当時の仲間達....今では伍箇伝校の校長も務める....の活躍の結果、刀剣類管理局並びに特別祭祀機動隊の権威が大いに高まった。と、その様に俺たちは学校で習ったのだが....

 

 

「鎌倉での一件、そして首都での....あれ以来私シ達の立場は危うい物となってしまったのです。

刀使を辞める子たちも増えて、私シ達がその残留の説得に当たっている、と、そう云う事ですの」

 

「可奈美は....」

 

「衛藤さんは....まだ中学の三年ですから、そこまで難しい立場にはおりません。

むしろそういった事とは無関係に事に当たらせておりますの。」

 

「そうですか....」

 

 

少しホッとした。仕事そのものが嫌になったということでは無いんだな。

そういえば何か役職に就いた、て話も聞かないし。

 

 

「可奈美さんは、刀使として現場に出ていたいという希望書を提出しておりますから....

刀使としての生活が嫌になった、と云う訳ではない様ですの。

ですからお兄様、何か心当たりは....」

 

「私にも....わかりません....すいません、お役に立てなくって」

 

「いえいえ、そんな! お兄様のお手を煩わせるだけでは無く心配までお掛けして仕舞って....」

 

「そこでだ、兄さん! ボクに一計がある!」

 

「真希さん....! 貴女は黙って....」

 

「いいや! これには効き目がある! 何故なら、可奈美君は....」

 

「....何で御座いますの?」

 

 

 

 

 

 

 

「ブラコン!? とか云う病気に罹っている! と聞いたからだっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

....ナゼそんな話がここで飛び出してくるのか....!?

ブラコン!? 確かにそうなのだが....それとこの話と如何云う関係が....アタマが....

 

 

「真希さん....貴女ってヒトは....真面目な話をしている時に....!

いい加減になさって下さいまし!!」

 

「ボクは本気だっ! 兄さんも判るだろう! だから一緒に鎌倉へ来てくれっ!!」

 

 

わかって仕舞った....この真希さんというヒト....つまりは....

 

「私が鎌倉に行って可奈美と会えば、元気になる、と....」

 

「そうだ! その通りだ兄さん! ボクの計略を理解してくれるとは流石だ!

やはりボクの思っていた通りのヒトだ兄さん!」

 

 

どっかで聞いた様な言い回しだが....しかし計略って程か?

でもまあアタマがカラッポなだけ勘が優れるってこともあるらしいしな....

それで冒頭の台詞って訳か、ハア....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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