俺の妹ときたら....   作:ばなナイン

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俺と加奈美と・・・・・・

「私は構いません。そういう事なら何度でも鎌倉に参ります。月に一度ぐらいなら....」

 

「いや、違う! 鎌倉で可奈美君と一緒に暮らしてくれ! そうすればもう帰りたいとは....」

 

 

 

「....俺が鎌倉で....?」

 

 

 

「真希さん! そんなに急に! お兄様にもここでの生活というものが在るのですよ!」

 

 

なにもそこまで....無理だ。鎌倉には引っ越せない。就職もしたしそれ以外の事も....

もうここでの生活の基盤が出来上がっているのだ。親父も独りに出来ないし....

それに刀使の仕事を辞めるつもりも無いなら別にここに帰ってきたっていいんじゃないのか?

 

 

「ダメだろうか....?」

 

「今は....無理です....」

 

「お兄様、お気になさらず....真希さん! 無理を言った事を謝りなさいませ!」

 

「ん!? ううん....唐突に無茶な事を言ってしまった。謝罪する、申し訳ない....」

 

 

それだけ可奈美の事を心配してくれているんだな。こういう人達なら可奈美も....

 

 

「でも困った事になった....これでは....」

「真希さん!」

 

 

ん....?

 

 

 

「そういえば可奈美はなんの役職にも就いていないですよね。刀使の一人として、ということで」

 

「あ、ああ....そうだ....可奈美君には重要なポストには何ら属していない....はずだ。な? 寿々花君」

 

「....そうですわね、その様な話、聞いておりませんわ」

 

 

何かおかしい、二人の口調....

 

 

「可奈美の学籍はまだ美濃関にあるはずですから、

ここに帰ってきても何ら問題はないと思いますが。

なんならしばらく自宅から学校へ通わせることも」

 

「それは困る! 鎌倉には可奈美君が必要だ!」

 

「....貴女ってヒトは....」

 

 

本音が出てきたか....

 

 

「可奈美には他に重要な何かがあるんじゃ無いですか? ただの人数合せでは無く」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「正直に申しますわ....

お兄様、貴方の妹の可奈美さんは、刀使の中でもトップクラスの、いや一番の剣の使い手ですの」

 

 

そんな話なら前に....思い出したくも無いあの講習会での騒動....

あれからしばらくオレは学校一の有名人となってしまったからな....副産物として友達も増えたが....

でもアレはアメリカンなリップサービスだったんじゃ無いのか?

 

 

 

 

 

 

 

「そうではありません、お兄様。

衛藤可奈美は本当にこの国の剣術使いのなかで一二を争う程の剣の達人なのです」

 

 

はあ....何を言って....

確かに美濃関代表として鎌倉の大会には出られたが....可奈美はまだ中学生だぞ....

 

 

「そうだ。ボクも寿々花君も或は二人で掛っても可奈美君には敵わない....」

 

 

この二人も相当出来るんだろ....前衛のトップだし....それでも敵わないって....

 

 

「本当ですかそれ....そんな話可奈美から聞いてない....舞衣さんからも....」

 

 

「詳しくは言えないが、去年のあの二つの騒動....」

「真希さん!」

 

 

可奈美が鎌倉へ行って暫くして鎌倉や東京ではあの大惨事に見舞われた。

可奈美や舞衣さん、姫依さんも沙耶香さんもあの漫才コンビ達も....

その処理に追われて母校には帰れず、不眠不休で働いていたという。まだ十代の子達が....

可奈美からはたまに携帯で連絡はしてきたが、詳細や泣き言めいた事も喋っていなかったし、

無理をしてるんだなとは思っていたけど....

 

 

 

 

 

 

 

「....ええ....解決に導いたのは衛藤さん。それ以上は話せません。

もし、衛藤可奈美が居なかったら私シ達は....そう云う事ですわ」

 

 

 

 

 

 

 

そんな....事になってたなんて....じゃああの行方不明の原因も....話してくれそうにないな。

とにかく鎌倉は可奈美を離したく無い、と云う事か。それで俺まで、利用して....

 

 

 

 

 

 

「可奈美の意志は、尊重されない、と云う事ですか....」

 

 

 

 

 

 

「いや、兄さん! それは....!」

「そうですわ! お兄様、ただ私シ達は....」

 

 

 

「可奈美は疲れているんでしょう。美濃関に帰って、時々鎌倉に出向すれば....」

 

「それだけじゃない! 兄さん! 聞いてくれっ!

可奈美君は! このままでは....刀使を....剣術そのものを....! 辞めるつもりだっ!」

 

「貴女....何を仰って....? 可奈美さんの進路希望書には先程の様に刀使を続けると....」

 

「いやっ! ボクには判る! 可奈美君は....!」

 

「あ....」

 

 

 

この獅童さん、というひとの....『辞めるつもりだ!』という発言に頭を殴られた様な衝撃を受けてしまった....そうかも知れない....この人の勘は正しい、無根拠にそう確信してしまった。

『美濃関に帰りたい....』とはそう云うことか、と....

 

 

 

「このところ....可奈美さん、笑顔が....ですわね」

 

「そうだ、無理をしている。努めて明るく振舞っている様だ」

 

「帰りたい、てあなた方に、ですか?」

 

「いや、糸見....そう、沙耶香君に零してたそうだ」

 

 

 

沙耶香さんに....あの子にならつい本音も....ということもありそうだ。

言いふらす事もなさそうだし。でも沙耶香さんまでこの二人に、て事は....

 

 

 

「そうかも知れません。可奈美は剣術そのものを辞めるつもりかも....」

 

 

「お兄様....」

「兄さん....」

 

 

 

 

つまりは、この二人は可奈美に鎌倉へ留まって欲しいと考えている。

此花さん? は刀使としての実力を持つ可奈美として....

組織の上に居る人だろうからそう考えるだろう。

でもこの真希、て人は、それだけでは無い様だ。本気で可奈美の事を心配してくれているのか?

 

 

 

 

「美濃関に帰れば、或は可奈美君の気持ちも落ち着くかも知れない。

ボクとしても、その方がいいならそうさせたい。だが、ボクの立場としては、可奈美君を手放したく無い。手放す訳にはいかないんだ。それだけ鎌倉は追い詰められている。それに、もうこれ以上、仲間を失いたくない....」

 

「真希さん....」

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間の滞在の後、追って連絡すると言い残して二人は家を出て行った。

まだ刀使達の自宅を巡ってくるらしい。彼等も忙しい....疲れてもいた。

必死なんだな....可奈美も疲れているんだろうな。ウチにも帰ってこれないし....

 

 

親父も帰ってきた。さて、最後の仕上げに取り掛かるか!

グリルに入っている焼き魚にも一回火を入れて温め直し、フライパンの上に予め炒めて味を染み込ませた肉と、キャベツ・玉ねぎ・人参・ピーマンなど薄く刻んだ野菜と混ぜて炒めてと、あとはこれらと豆腐を二人分テーブルに出してっと。漢の手抜きディナー完了!

 

 

食事中に先程の顛末を親父に聞かせる。ただし、可奈美の本当の実力と活躍は伏せて....会話はいたってボソボソと続き、出した結論が、

 

 

 

 

 

「可奈美に会ってこい」

 

 

 

 

 

である....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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