俺の妹ときたら....   作:ばなナイン

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俺と可奈美と・・・・・・・・

 

・・・・しかしながらそう簡単にはいかない。今日は朝七時、職場にて仕事開始!

俺の職場は、『特別希少金属利用研究所』なるレッキとした理系工学系の研究所であり、何やらとんでも無く危険な研究と実地作業が続けられていると云う....

しかも、研究所の敷地内で飛び抜けて目立つガラス張りの研究棟では、その吹抜けの空間の中空に据えられた小部屋に、絶対機密のナニカが収められていて、さらにウワサによれば、どう云う訳か....御社が祀られているという....絶対機密なら何も目立つ所に置かなくても....なんて、文系高卒の一般事務員、しかも庶務課としてはどうでもいい話なんだけどサ。

ここの研究員達は二十四時間、交代で研究・作業を続けているので、庶務課の俺たちまで備品の調達、材料の確保、など各自割当てられた....或は急を要する研究に対応するための....仕事に追われている。

決してブラック、と云う程のものでも無いらしいが....研究員達は趣味で仕事をしている様な処があって、自分達の待遇に特に不満は無さそうだし、一度は閉鎖されようとしていたこの研究所をあの舞衣さんの父親が引き取って研究を継続、と云う事で、我等事務員....元々舞衣さんの父親の会社の社員が出向でここへ来た....にも、何やら恩人じみた対応をしてくれているのだ。

居心地は良いのだが忙しい....つまり、中々休日が可奈美の非番の日と重ならないのだ。

 

 

 

 

 

 

「お兄さん! お久しぶりです!」

 

「え、はい?」

 

 

 

 

書類を運んでいる途中の通路で声をかけられた。誰? この美少女??

 

 

 

 

「おにいさん! わたし、舞衣ですよ!」

 

「へっ? ああ! ....ひさしぶり....」

 

 

 

 

このギャルゲ....じゃない清純派女優の様な格好....白いワンピースに麦わら帽....しかも髪を下ろしたレアなスタイル....出木杉....てかナンでこんなとこに?しかも場違いなその....

 

 

 

 

「父の仕事の手伝いに来たんです。重要な会議もあると云う事で。お兄さんも壮健でなによりです」

 

「ハア、舞衣さんもまあ、その....健康そうでなにより....」

 

「ふふっ! やはり場違いでしたよね、この格好。でもお兄さんがここで働いていると聞いて、もしかしたらって!」

 

ソレ、誤解を招くアレですよ....つまり、

 

「どこか遊びに行くついでにここに立ち寄ったと、そういうことね」

 

「ええ! ここでの用事も済ませてから妹たちと。中々美濃関には帰れませんからね」

 

 

 

 

ふぅ....一安心....この方は幼い頃からの可奈美の大親友にしてオイラの雇い主の御令嬢、妄想桁たましいオレでも決して則を超えてはならぬヒト、そう、我ガ永遠の妹君なのだ....

 

 

 

 

「可奈美ちゃんも誘いたかったんですけど、日程が合わなくって....でもお兄さんがここで元気にしてるって可奈美ちゃんに報告しとかなくっちゃ!」

 

そうだ、ここで可奈美のこと、美濃関への事を、舞衣さんに....そうすれば可奈美に逢える算段も....

 

「最近可奈美ちゃんに直接合う機会が無いんです。同じ鎌倉なのに....元気してるかしら!」

 

 

 

 

ああ、聞けない....舞衣さんは知らないんだ。可奈美の事情....ここでこの事を舞衣さんに知らせたら....

 

「可奈美は元気そうですよ。毎日一回は連絡してるから」

 

メールだけど....

 

「そう!? 良かったー! あ! すいません、『ハイ、わかりました。すぐ移動します。』

では、お兄さん、いずれまた!」

 

「はい、さよなら....!」

 

 

 

 

ケータイでの呼び出しで行ってしまった....舞衣さんに頼んだら、あるいは日程の調整も....なんて甘える事なんて出来ない。皆んな忙しいんだ....

 

 

 

 

 

 

そんなある日、美濃関学院からの呼び出しがあった。保護者会の集まりだそうだが如何いう訳か俺の名前での呼び出しだ。親父じゃ無いのか? 平日だし俺だって仕事が....

 

『保護者としての出席なら構わんよ』

 

....あっさりと有給が認められた。理解のある上司でよかった....この会社、基本ホワイトなのね。だったら鎌倉行も有給取れたかも....まあいいや、学校行くだけだし、それに可奈美のあの一件かな....まさか転校、て事は....なんか頭が混乱してきた。

 

 

 

 

俺は基本、可奈美の望む進路ならなんでも受け入れるつもりでいる。美濃関に帰りたいなら家から学校に通ってもいいし、刀使を辞めたいなら辞めても....でも、可奈美から剣術を取ってしまったら....しかも自分の意志で....

 

 

 

 

あいつは幼い頃から剣を握っていた。お袋と、剣術の稽古とはとてもいえないようなおままごとの様な動きの頃から。

最初は俺も混って三人での稽古だ。でも、いつの頃からか、可奈美とお袋との一対一の稽古に。俺と親父はその様子を縁側で何と無く眺めていた。

幼い俺にも何となく気付いていた。可奈美には特別な何かが有ると。稽古の初め頃には遠慮がちに剣を振るっていたお袋も次第に本気に近い動きになってきて、それに可奈美が受け応えていたと。まだ三歳なのに。

お袋が居なくなったあと、俺も稽古の相手をする事もあったが、俺に負けると泣きじゃくりながら『....もう一本! もう一本!』とせがんでとことん付き合わされたっけ。

小学校に上がってから舞衣さんと出会い、うちの庭や舞衣さんの家でおままごと....ならぬ剣術の稽古をするようになって俺の出番は無くなった。舞衣さんは、特に剣術や刀使と関係のある家柄の出、と云うわけではなかったが、可奈美の稽古に付き合わされるうちに興味を持ち始めたそうで、舞衣さんの自宅近くにある剣道道場にも通うようにもなった。舞衣さんの流儀が北辰一刀流となったのもその流れを汲むからだそうだ。

 

幼い頃からお袋と同じ刀使になる事を夢見ていた可奈美は美濃関学院に入学して御刀の選考会に臨み、お袋と同じ『千鳥』と云う由緒ある御刀に選ばれた。その時の喜び様といったら....講堂一杯に『やったーっ!! 千鳥だーっ!!』って....

可奈美と同じ学校なら、と一応普通科のある美濃関学院に入学した舞衣さんも、試しにと選考会に出席したら、『孫六兼元』と云う御刀に選ばれて....舞衣さん自身が一番困惑して、そして喜んでいたな....

 

そして、穏やかに一年が過ぎた。俺はそこいらによく居る様な無気力な高校生活を送ってたし、可奈美も月に一度は寮から帰ってきて学校の事を楽しそうに話す。つまり、何事も滞り無く平和な日常を過ごしていたのだ。あの鎌倉の全国大会までは....

 

 

 

 

 

あれから一年半、可奈美には如何いう心境の変化があったのか? 俺と親父はわからない。

ただ、剣術だけは....と云う想いで美濃関学院の門を潜った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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