俺の妹ときたら....   作:ばなナイン

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俺と可奈美と・・・・!!!

7-10

 

 

「すいません、衛藤可奈美の身内の者です....」

 

「えー、衛藤可奈美....はい、伺っております。案内致しますので此方へ」

 

 

ここ美濃関学院の校舎に入るのは可奈美の入学式以来かな。

親父一人での出席のはずが『お兄ちゃんも〜!!』、とダダを捏ねられ家族三人で式に挑み、

そしてその後の選考会でのおおはしゃぎまで目撃し....

親父が恥ずかしそうに周りの保護者に会釈していたな。

帰りは三人で校門の前で記念撮影。家に帰ってささやかなお祝い....

お袋の写真もテーブルに置いて....

 

 

「こちらです。ここで少々お待ち下さい」

 

 

ん・・・・ここは? 教室でも無く待合室でも無く。ホール? 剣術道場?? 何でこんな所に通されたんだ? 他の保護者達は??

 

 

・・・・「お兄ちゃん!! 何でここにいんの!?」

 

「ふぇ!? 可奈美!?」

 

 

なに!? 如何云う事?? なんで鎌倉に居るはずの可奈美が美濃関に?

 

 

「それわたしのセリフだよー! なんでお兄ちゃんが??」

 

「俺は...保護者会に出るために呼ばれて来たんだ。お前は?」

 

「わたし....進路の事で美濃関に戻るように言われたから....でもここに通されて、ナンデ??」

 

 

それはコッチの台詞だぞ! と言い返そうとした時....

 

 

「御免なさいね、二人とも。このヒトが如何しても! て聞かないものですから....」

「そうだ。二人を呼んだのはボク達だ。早速だが二人にはして貰いたい事がある....」

 

 

獅童さんと此花さんまで!?! 何が如何したって??

 

 

「真希さん! まだ話を....それにいきなりそんな!!」

「時間が惜しい、早々に始めよう。二人とも、これを....」

 

 

この二人が俺たちをここへ?? て、これは....

 

 

「袋竹刀....どうして? 獅童さん??」

「俺まで....何??」

 

 

「....ここでお二人には試合をして貰いますわ。....無理を承知して御願いします。私シ達には目算があるのです」

 

「ええっ!! なんでっ!?」

「俺が!? 可奈美と!?!」

 

「そうだ....もしボクの眼に狂いが無ければ....両者前へ!」

 

 

へっ!?! もう!? でも如何やるんだ?? オレはチャンバラごっこもした事も無い現代っ子だぞ!! ええ〜?!?

 

 

「でもお兄ちゃんは剣術なんて....!」

「これは命令だ、可奈美君」

「はい....お兄ちゃん、ここに立ってて。すぐ終わるから....」

 

 

真剣勝負では無いが....試合相手の妹に気を遣われるとは....情け無い兄貴だ....

 

 

「.... 始め!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ・・・・」

「え・・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の竹刀の先が可奈美の手首を・・・・ほんの一瞬の間に・・・・

なにが起こったんだ・・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・お兄様の勝ちです。両者、礼!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・どうした? 可奈美」

「うん・・・・ごめん、お兄ちゃん。もう一本・・・・」

 

「え? あ! うん・・・・いいですか? 此花さん」

「・・・・ええ、では、もう一度」

 

 

 

 

可奈美の目が・・・・本気になってきたのか?

 

 

 

 

「....両者、前へ、始め!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・うそ・・・・お兄ちゃん・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんどは....俺の竹刀の側面が可奈美の額の前に....ほんとに何が?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・一本! それまで! ....今日の試合はこれにて....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え・・・・もう終り・・・・?

たったこれだけの為に俺と可奈美を・・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・これだけ・・・・・じゃない・・・・

・・・・お兄ちゃん・・・・」

 

 

 

 

 

 

「....おい、可奈美....??」

 

 

 

 

 

 

「これだけじゃないっ!! お兄ちゃんっ!! もう一本っ!!」

「おいっ!?!どうしたっ!?」

「!!ハァーアッ!!」

 

バシっ!! 「おいっ!! まて!可奈美!!」

「!ハッ! ハッ!! ハアーっ!!」

 

なんだなんだなんだっ!!! 速い! 速いっ!! スピードがー!

!ってオレ何でで打ち返してんだ!?! オイ!!!

 

 

 

 

「やはり・・・・」

「真希さんの見込通りでしたわね、あのお兄様・・・・」

「可奈美君! かまわない! 迅移を使って兄さんと....!!」

 

 

 

 

コラ!! なんて事言い出すんだあのオトコンナ!! 迅移ってアレだろ....ワープみたいなモンだろ!! あっ!! 可奈美!?!

 

 

・・・・うわっ!! なんで天井からっ!!反則だろ!! オレはシロウトだっ!!

「う・・・・」・・・・でも俺の竹刀が可奈美の胴に....

いったいなんで・・・・?

 

 

「大丈夫かっ!? 可奈美!」

「うっ・・・・ううん・・・・まだまだっ!!ハアっ!!」

 

おいっ! またか!! ちょっ・・・・!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「....真希さん、いくらあのお兄様でも....もうそろそろ....」

「もう少し....可奈美君の本気を取り戻してくれたら....兄さん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハッ! ハッっ!!・・・・っ!ハアッ・・・・っ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう・・・・どれだけ・・・・打ち込んでくるんだ・・・・

 

おい・・・・可奈美・・・・お前目が・・・・溢れてるぞ・・・・

 

なんで・・・・そこまで・・・・もお・・・・いいだろ・・・・

 

・・・・かなみっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・あ・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・気がついたら、可奈美の竹刀を取って後ろに投げ捨てていた・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・おい・・・・可奈美・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うなだれて・・・・たちすくんで・・・・放心状態か・・・・涙が・・・・

 

床まで落ちて・・・・おれ・・・・そんなつもりじゃ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・ごめん! 可奈美・・・・オレ・・・・」

「・・・・お母さん・・・・」

 

 

 

 

 

「・・・・え・・・・?」

 

 

 

 

 

「・・・・お母さんと・・・・

お兄ちゃんと三人でお稽古してたの・・・・

思いだしちゃった・・・・おかしいね!・・・・

・・・・覚えてるわけないのに・・・・あはっ!」

 

 

「・・・・そうだ・・・・そうだったな・・・・」

 

 

「ねえ・・・・おぼえてる?

わたし、お兄ちゃんにはまだ一度も勝てたことないんだよー・・・・」

 

 

「あ・・・・」

 

 

そうだ・・・・可奈美の相手をしてた時はいつも・・・・

『もう一本!もう一本!!』て泣きじゃくってる可奈美の顔しか思い浮かばない・・・・

 

 

 

「だから・・・・お兄ちゃん、わたし! お兄ちゃんから一本取るまでずっとお稽古するからねっ!

何年かかっても! ぜったいにお兄ちゃんから一本取るんだからっ!!」

 

 

「・・・・ああ、わかった! いつでもいい! 相手になってやるから!!」

 

 

「えへへ・・・・」

 

 

ああ、いつもの癖で・・・・コイツのアタマに・・・・ハハ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アア・・・・可奈美さん、あんなに・・・・

よかっですわね・・・・真希さ「お兄さん!!是非ボクとも一本!!」

・・・・ったく、貴女というヒトは・・・・!こんなにいい雰囲気なのに・・・・

なんですの! もう・・・・」

 

「うん!いいよー! ねっ!!」

「本当か!?!」

「おいっ!ちょっ! 可奈美!」

「はあ・・・・可奈美さんまで・・・・仕方がないでわね・・・・」

 

 

・・・・ナンデこんな御見事なひとと打ち合いに・・・・

背は俺ぐらいだけど貫禄が....可奈美とはまるで違うタイプだ。

 

 

「....両者前へ、始め!」

 

「はぁーあっ!!」ボコっ!!☆ ☆ ☆ ・・・・

 

「お兄ちゃんっ!?!」

「....はっ! ちょ....真希さん!!」

「へっ!? え?? えぇえ〜?!?」

 

 

 

 

 

....ううう....真っ正面から脳天に....いくら柔らかい竹刀といっても....

おお....ここは! 可奈美の膝枕....「お兄ちゃん....大丈夫?」....まさかこんな風に介抱されることがあろうとは....

 

 

 

 

 

 

 

少し落ち着いた後、此花さんにもヤンワリと立ち会いをして貰ったのだが....

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ〜あっ! ハッ! ハッっ!!」

「おい可奈美.....もおいいだろ....俺にはもう体力が....」

「まだまだ〜っ! ハァアッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「こんな事ってあるんだな....寿々花君」

「ええ、お兄様の剣は、ただ可奈美さんの為だけにあるのですわね....」

「たった一人の為の何か、か....とても素敵なことじゃないかな。ん?」

「!!....そ、そうですわね....真希さん....では....! 鎌倉に戻ったら私シとも稽古の相手をして下さらないこと!? 宜しいですわね....!」

「ん? なんだい唐突に....それにナンカその目....怒ってない??」

「そっ、そのようなこと....! フン!」

「??」

 

 

 

 

 

ふう....やっと開放されたのは下校時間....明日も有給貰えるかな....

 

 

 

 

 

 

獅童さんと此花さんはそのまま鎌倉へ戻り、俺と可奈美はウチに帰る事となった。

暫くは自宅で休養を、てことだ。当人は『ナンデ??』て顔をしているが....

自分が沙耶香さんに零したという言葉、もうスッカリ忘れているのかもな....

 

 

 

 

 

 

 

 

後日談、特別刀剣類管理局並びに特別祭祀機動隊の体制の異動が発令されたと云う。

 

此まで鎌倉に一極管理されていたノロが、古来のように全国の神社、祠に分祠され、祀られる事。

これは鎌倉を中心とする関東圏での大荒魂の発生率を下げる為で、結果として地方での荒魂の発生を増やす事となるが、その分大荒魂の発生率が低くなり、むしろ鎮圧が容易になるとのこと。

それは刀使達の鎌倉への一極集中から地方への分散をも意味し、より地域に密着....つまり各刀使達の任務を出身地で遂行させることで、刀使達一人当たりの仕事量を低減させる事が予測されていという。

実際、昨年度のあの大騒動が鎮圧されて以来、荒魂・大荒魂の発生率は一昨年程度にまで抑えられ、今時点では小康状態。特別祭祀機動隊における非常事態体制は解除され、通常状態に移行しているらしい。

そして最大の変化は、それまでトップダウン型だった刀剣類管理局の組織を合議制へと移行させた事。それまで独裁的な権限を持った局長という地位、つまり『折神 紫』という圧倒的なカリスマ性で保たれてきた

管理局のトップに、妹の朱音様を据える事で象徴的な意味を持たせ、実務は伍箇伝の学長など旧刀使達の実力者が揃って管理、運営を行う体制に変化させた事にある。これにより鎌倉から地方の刀使達への権限が緩和され、より地方分権的に、即ち緩やかな状態になり、結果として幼い刀使達の心理的重圧も軽減、これで刀使を辞する子達も減少すると期待されているとも。

....これらは後に此花さんからのリーク....ならぬ近況報告で、要は可奈美達あの六人の負担も軽いものに成って来ているというありがたいメールだ。中には個人的なグチまで書かれてることも....此花さんも結構溜めやすい性格なのかな? その点ウチの可奈美は....忘れっぽいだけかも。

 

 

 

 

 

 

 

 

三日後の朝、可奈美が鎌倉へ立つ前に朝食を食べて、これで暫く三人での食事はお預けか....

お袋の写真も入れて四人かな? まだ鎌倉での任務はどうなのかな? 忙しいのかな?

 

 

 

「お父さん、お兄ちゃん....これから鎌倉へ帰るね。身体ちゃんとしといてよ!!」

 

「ん、じゃあ俺駅まで送ってく」

 

「うん! じゃ! お父....」

「可奈美、・・・・可奈美が帰る所は一つ、ここだけだ。な?」

 

「・・・・うんっ! お父さんありがとー!! だーいすき!!」

「おい....! こら! わかったわかった!!」

 

開けたままの玄関で....こいつはファザコンでもあったのだ・・・・

 

 

 

岐阜羽島駅....去年の鎌倉大会の時は見送る事が出来なかったこの駅で今は可奈美と二人。

あの後、何で見送らなかったんだ....と後悔したことも。

今日は見送って....いやいやいやもう大丈夫だって! 可奈美は元気に出掛けてまた帰って来るって!

....俺って心配性なんだな。やっぱり、妹はどこまでいっても妹なんだな....なんて、

 

 

 

「どーしたの? お兄ちゃん??」

「ん? ....いや、なに....」

 

 

 

アタマが混乱してしまった....もう時間か。

 

 

 

 

 

 

「どうぞ」

 

改札口で証明書を見せてホームに向かう。また静かになるな....

 

「じゃ! お兄ちゃん!行って来るねー!」

 

「ああ、行ってらっしゃい!」

 

そこを曲がると見えなくなるな....じゃ俺も。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・お兄ーちゃーんっ!! おみやげにチョコミント買って帰るねーっ!

いっしょにたべよーねーっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ・・・・最後の最後にヤラカしおって・・・・可奈美のヤツ・・・・

まだ乗降客が多いってのに・・・・よおし!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わかったーっ!たのしみにしてるぞーっ!!」

「うんっ! じゃーねーっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

はあ・・・・目立っちまったじゃないか・・・・

やっぱり俺たちは兄妹なのか・・・

 

 

 

まあ、アイツのやることはみんな笑顔で許されることばかりかな・・・・

さて! ヤツも戻って行ってしまったし、二泊三日分か・・・・

またもアイツの部屋が・・・・ハァ

 

 

 

さてっ! ウチに帰ったらまたやるとしますか!! ヨシ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




・・・・以上を持ちまして、このシリーズを終了させていただきます。

お読みになって下さった方々に感謝致します。

ありがとうございました!!
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