海上の冒険者   作:ナレコ

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浜辺のゴミ、洗えばどうか、磨けば金貨

 目が覚めて

 浜辺を歩けば

 女の子

 

 昨日、俺が流れ着いていた浜辺に再び訪れてみたら、ピンク色の長髪の少女が倒れていた。

 思考を停めた俺はいつの間にか下らない一句を捻り出していた。

 ……さてどうするべきだろうか。

 

 1、無視

 2、助ける

 3、殺す

 

 いかんな、今は戦争じゃないのに何か鬼畜な選択肢が頭に過った気がする。

 もう一度考え直そう。

 

 1、スルー

 2、ライフセービング

 3、キル

 

 選択肢が英語読みになっただけな気がする…。俺はここまで馬鹿だっただろうか。昨日のめまいと頭痛がカムバックしてしまったのだろうか。

 

「とにかく、様子を見てみないと分からんか」

 

 相手に敵意や殺意は感じられない。気絶しているのか死んでいるのか。

 小さな背中に手を当てて鼓動を看てみる。

 

「脈はある、か」

 

 とりあえず生きてはいるようだ。しかし、自棄にボロボロだな。俺はサバイバル生活が長いとこれより酷い状態の服を着てたことがある。だが、まともな人間が俺のような極限生活をしているとは考えにくい。だとすれば…それはどういうものだったのだろうか。

 

 左肩とお腹、そして背中に傷があり、特に左肩は火傷か何かを負ったのか、焦げ付いた感じになっている。

 奇妙なのは顔が煤けてこそいるのに目立った傷がないことだった。

 

 顔だけは守る感じの少女だったのだろうか。

 確かに顔は大事だよな。急所だらけで、腕と違って穴が開いたらかなりヤバイからな。

 

「それにしても、また変わった銃を持ってるんだな…」

 

 明らかにハンドガンより使いづらそうな形をした銃だった。パワーガンの一種なのだろうか。大砲を縮小したような銃身が金属の箱に付いていた。不思議なことに引き金は見当たらず、手甲のようなグリップが付いていて、それを少女が片手で掴んでいる。

 

 これが銃だとするならば、かなり重い部類に入るだろう。少女の身体を見ればなおさらそう思わざるおえない。

 これは少女にギリギリ扱えるか扱えないかくらいには重そうな武器だ。両手でしっかり支えたとしてもあまりの重みですぐに腕が上がらなくなる。

 異世界で俺が片手剣を初めて振ったときに思ったこととそっくりな感想に何処か懐かしさを感じた。

 

 この少女もあのときの俺と似たような理由で己では扱え切れない武器を振るっているのだろうか。

 だとしたら、彼女は一体なにと戦っているのだろうか。

 ふと、考え込みそうになったとき少女のうめき声が聞こえてすぐに考えるのを止めた。

 

「なにぼーっとしてんだ俺は…。とりあえず、やれるだけの応急処置をしておかないとな」

 

 俺はとりあえず目先の問題を解決することにした。

 

 

 

「思ったより回復したな」

 

 怪我は回復した。

 ここは日本じゃない、だが俺が知ってる異世界でもない。その辺の草とかそんな信頼できないものを使った訳じゃないし、薬を作った訳でもない。使ったのは俺も存在を忘れていた懐にあったポーションだ。

 案外強度のある入れ物だったらしく珍しく割れていなかった。

 

 俺はポーションを使わない。というか効き目がない。異世界からの転移者だったからだろう。魔法とか魔法薬とかが効きづらい体質を持っているらしい。

 なので、俺が持っていたのは誰かが倒れていたときに使えと渡された緊急用のポーションだ。別に要らんとギルドの受付嬢に突き返しても無理矢理渡されたそれなりに上等のポーションはどうやら世界を越えても効果があったらしい。一体いくら掛かったのだろうか。

 ポーションよりも包帯の方がまだ効き目があった俺は興味がなかったが故に全く分からなかった。元より魔法も使えない身でもあったがゆえに魔法薬全般に興味がなかったのだが。

 ただ気になることがある。

 

「ポーションって回復するの身体だけだよな…? なんで服も武装も直ってんだ…?」

 

 ポーションを自分に使ったことはあまりないが、それでも他の人が使っているところを見たことくらいはある。

 それでもこれほど回復範囲の凄いのは見たことかない。

 あり得るとするならば使ったポーションが凄いのか、それとも服と武装も身体の一部なのか、もしくは服も武装も魔法的効果で作られたものだからなのか。

 

「あー、止めだ止め。考えるのは得意じゃない」

 

 今ごちゃごちゃ考えてもわかんねーし、分かるのはとりあえず今日1日寝てても服着てるから風邪は引かねぇだろうくらいしか分からん。

 余計な騒動面倒なくて助かったくらいに考えとけばいいだろう。

 

 それに今考えるべきは寝床だろう。この島で何日間か暮らすつもりなら雨が降ることも考えて、どっか良さげな場所を作る必要がある。俺は身体が凄く丈夫故に風邪など引かないが、この少女がそうとは限らない。

 

「面倒だな…。が、ポーションまで使っておいてむざむざまた死にかけるのを見るのもあれか…。仕方ないやるか」

 

 誰も聞いてなどいない独り言を呟いて、俺は決意を固めたのだった。

 

 

 

 

 とりあえず、少女を背負うことにした。寝床云々も大事だが、何より大事なのは自分でありそして、何より飯を食べて置かなきゃならないことが重要である。

 昨日、動物2体の骨を作ったが、あれだけじゃ腹は膨らまない。なので、探索兼ご飯探しの旅に出ることにした。

 

 俺的にはバスタオルとかでっかい布とかロープ辺りが落ちてたらいいなと思ってるがそんなもんあったら苦労しねぇよなぁ…。

 日本にいた頃浜辺で見つけたのってペットボトルとか誰のものか分からないパンツとか元がなんだったのか分からないプラスチック製品とかそんなもんばっかだからなぁ。

 異世界の海もそんなもんで、変な鳥の死骸とか安っぽいアクセサリーとか誰のものか分からない割れた手鏡とかだった。

 

 しかしながら、多くがゴミ同然のそれでも宝になるものがごく稀に流れ着くこともある。

 それ故に住む人もいるし、わざわざ洞窟の中まで入って探してる豪の者もいたりした。

 案外、海とはロマンの塊なのかもしれない。

 そんな風に考えていたら早速なにかを発見した。

 

 酷く既視感を感じた。

 それは黒く、大きいものだった。

 中には何が入ってるのか分からないが、恐らく入っているのは触るのも嫌になるようなもの。

 傷を見ればそれがはみ出ているから分かる。

 だがしかし、もしかしたらという思いで近寄ってみる。

 潮の香りと風化であいまって、酷い臭いがした。

 

 さすがにこれ以上近付いたら背負ってる少女も良い顔はしないだろう。俺は少し離れた位置に少女を下ろし、それへと再度近付いた。

 

「…これは酷い」

 

 蹴って、転がすと中が飛び出る。

 それを見た俺は触らなくて良かったという思いと見てしまってげんなりする思いがした。

 何故ならそれは

 

「やっぱり生ゴミか」

 

 黒いゴミ袋だったから。

 

 

 

 いや、言い訳をさせてもらうとだな。中にタオルとか欲しいものがあったら海で洗ってしまえば使えるかなぁとか思ったんですよ?

 でも生ゴミでしょう? 絶対ないでしょう?

 はみ出てるのがボロ布の雑巾みたいなやつだったからちょっと期待したけど、中は腐った食いもんだった。

 ハエ集ってたし、やばそうだなとは思ってたけどまさかマジとは思わんかった。

 

 布とか家財道具とか入ってそうな粗大ゴミ期待したけどやはり期待するだけ無駄だったか。

 木とか浮くからちょっと期待したんだけどなぁ…。

 

 俺は少女を背負い直し、再び浜辺を歩いた。




明日投稿する分でとりあえず溜めてた分は終わりです
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